わんだふる パキスタン 桃源郷フンザ (3)

  1.プロローグ 
  
2.イスラマバードから、シガールへ(往路) : 4月5日(金)〜7日(日) 
   2.1
 東京からイスラマバード :  4月5日(金)
   2.2 イスラマバードからチラス : 4月6日(土)
   2.3 チラスからシガール :     4月7日(日)
  
3.シガール散策 : 4月8日(月)〜9日(火)
   3.1 シガール散策 : 4月8日(月)
   3.2 シガールからカリマバード : 4月9日(火)
  
4.フンザ地方散策  : 4月10日(水)〜11日(木)
   4.1 フンザ地方散策(1) : 4月10日(水)
   4.2 フンザ地方散策(2) : 4月11日(木)
  
5.カリマバードからイスラマバードへ(復路) : 4月12日(金)〜15日(月


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4.フンザ地方散策 : 4月10日(水)〜11日(木)
4.1 フンザ地方散策(1) : 4月10日(水)

 今日のモーニングコールは、6時45分でしたが、部屋の外の声で6時前には起きました。昨夜はよくわからなかったのですが、部屋の前は広いテラスとなっていて、眼下にはフンザの谷がひろがっており、正面には7000m級の山がそびえていました。フンザの谷は、アンズの花はすでに散ってしまった後でしたが、萌黄色のポプラの木が谷を彩っていました。

 正面の山は、左からスパンティーク(Spantik:7,027m)(別名ゴールデン・ピーク:Golden Peak)、ディラン(Diran:7,266m)、ラカポシ(Rakaposh:7,778m)です。実は、今朝の山は山頂に少し雲がかかっており、すっきりとは見えませんでした。それで、掲載した山の写真は、12日の朝の写真であることをお断りしておきます。今の春のシーズンでは、7000m以上の山がすっきりと見えることは少ないそうです。

 ホテルの後ろには、ウルタル(Ultar)T、U峰とフンザ・ピーク(Hunza Peak)がそびえていますが、テラスからはあまりよく見えません。

 ところで、カリマバード(Karimabad)はフンザ地方の中心の町です。標高はおよそ2450mくらいです。フンザといいう名の町はなく、昔は一つの王国だった地域を表わす名前だそうです。ここの人々は、他の言語とは全く関連性のないプルシャスキー語という独特の言葉を話すそうです。今回滞在したホテルは、フンザ・エンバシー・ホテル(Hunza Embasy Hotel)といい、カリマバードの中心に位置しています。なかなか素敵なリゾートホテルでした。周りにもきれいなリゾートホテルがいくつかありました。


フンザ・エンバシー・ホテル ホテルのテラスからフンザの谷(1) ホテルのテラスからフンザの谷(2) ホテルのテラスにて
スパンティーク(Spantik:7027m) ディラン(Diran:7266m) ラカポシ(Rakaposh::7788m)
スパンティーク(Spantik:7027m) 拡大 ディラン(Diran:7266m) 拡大 ラカポシ(Rakaposh::7788m) 拡大

 フンザ谷の景色を堪能した後、7時30分に朝食をとり、8時30分にロビーに集合しました。今日はハセガワ・メモリアル・スクールを見学し、その後上部フンザのアンズの里(グルミット(Gulmit)村)を訪れて、散策する予定です。

 2台のバスに分乗し、まずはハセガワ・メモリアル・スクール(Hasegawa Memoria lSchool)に向かいました。狭い坂道を登って行くと、学校の門の前に到着しました。この学校は、ウルタル(Ultar)U峰を登はん中に雪崩に巻き込まれて死亡した登山家長谷川恒夫氏を記念して、長谷川氏の奥さんが中心となって建設、開校した学校だそうです。長谷川氏は、ヨーロッパアルプス3大北壁の冬期単独初登はんで有名なアルピニストです。フンザの地を大変愛し、遭難する前にフンザに学校を設立しようと奥さんと考えていたのだそうです。現在でも、日本の個人や企業からの寄付に頼って運営されているようです。

 「はじめに」でも述べたように、この地方はイスラム教のイスマイール派が多く、比較的開明的で、教育や女性の社会的進出などが進んでいる地域です。この学校は、フンザ地方で著名な学校となり、多くの子供たちが競って入学するのだそうです。学校は幼稚園から短期大学まであるとのことでした。小学生のときから英語教育が徹底的に行われているそうです。我々は、校舎内を案内された後、イギリスから帰国したばかりの若い校長からハセガワ・メモリアル・スクールの設立の経緯、目的や意義などの話を聞きました。そして、校庭で歓迎の歌や踊りを見せてもらい、また、答礼?として、我々一行も日本の歌を歌いました。
なかなか有意義な時間を過ごすことができたと思います。


スクールの門 ハセガワ・メモリアル・スクール 幼児と先生の歌 校庭に整列した生徒
 *左の二人は、我々の夕食(フンザ郷土料理)の席に来て、楽しい踊りを披露してくれました。でも、教育的観点から見ると、ちょっと問題があるのではないかなと疑問に思いました。彼らは、映画「草原の椅子」にも出演したそうで、カリマバードの有名人?だそうです。


女学生の歌 子供たちの踊り 二人が対峙して踊る

 学校にお別れを告げて、再びバスに乗り、上部フンザ地方のグルミット(Gulmit)村に向かいました。しばらく峻険な山道を、といってもれっきとしたカラコルム・ハイウェイですが、走りました。1時間半ほど走ったところで、道路工事現場のような場所にバスは止まりました。ガイドの話によると、2010年に発生した大規模な地滑りによって、フンザ川が堰き止められて、大きな湖が出来てしまったということです。湖の名はアッタバード湖といい、全長21km、深いところで約100mだそうです。着いた所は、川を堰き止めている堰堤の場所ということになります。当然、カラコルム・ハイウェイは水没し、陸上の人々の移動や物資の流通は寸断されてしまいました。現在は、代替交通手段として、中国から大型のボート?が導入され、船での人々の移動、物資の輸送が行われています。

 ということで、我々もライフ・ジャケットを着て、ボートに乗り込みました。実は、旅行パンフレットにも”湖をボートで縦断”と書いてあったのですが、遊覧船にでも乗って観光するのかくらいに思っていました。まさか、カラコルム・ハイウェイが、地すべりによって出来た湖のために不通になっているとは知りませんでした。いやあ、湖を見たときは驚きでした。更には、我々のバス移動のときでも、いつなんどき地すべりやがけ崩れが発生するかもわからないということを意味しています。でも恐ろしいことですが、自然の力には勝てないし、一気に流されて死ぬなら、やむを得ないだろうと考え直して、ボートに乗った次第です。

 ボートは結構たくさん運航されているようで、途中で何槽かの船に出会ったり、追い越したり、追い越されたりといった状況でした。時々、湖岸に孤立した開けた土地(昔の村落の跡)があり、アンズの花が寂しげに咲いていました。

アッタバード湖の乗船場 ボート?に乗り込み、出発 人と荷を満載したボート?

 上部フンザのボート乗り場に着くと、ジープに乗り換え、グルミット(Gulmit)村に行きました。村のレストランでランチをとり、その後村の中を散策しました。標高は恐らく2,600mくらいはあるのかなと思いますが、村はアンズの花が満開で、とてもきれいでした。日本のサクラのようにアンズの並木道が作られているのではなく、それぞれの家の庭にアンズの木をたくさん植えているようです。アンズの実を販売するので、果樹園なのかもしれませんが、日本のモモやブドウの大規模な果樹園とは違います。とにかく、青い空と白い山を背景に、あちこちにアンズが咲き乱れているといった感じで、とてもきれいで、のどかな桃源郷といった風景でした。今回の旅行の目的の半分が達成されました。この村の人々はイスマイール派であるため、女性も多く外に出ており、右下写真のように多くの女性が集まっていたりして、写真を撮ることも嫌がられませんでした。

桃源郷(杏の里)(1) 桃源郷(杏の里)(2) 桃源郷(杏の里)(3) 村の女性たち

 桃源郷を後にして、再びボートに乗り、アッタバード湖を戻りました。夕方近くの風はかなり冷たく感じました。ボートを降りて、迎えのバスに乗りました。途中、フンザ・ピーク(Hunza Peak:6270m)とレディ・フィンガー(Lady Finger)をよくみることができました。ホテルに戻ったのは、18時30分過ぎでした。

 夕食は、フンザの郷土料理で、マトン(ヤギ肉)や小麦のクレープのようなものが中心でした。座興にフンザの民族音楽と民族ダンスも披露され、ツアーメンバーも一緒になって踊って楽しみました。ハセガワ・メモリアル・スクールのところでも述べましたように、この座に二人の生徒が参加して、楽しい踊りを踊って見せてくれました。今日は本当に楽しい一日でした。



フンザ・ピーク(Hunza Peak:6270m) フンザ・ピーク(Hunza Peak:6270m) 拡大

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4.2 フンザ地方散策(2) : 4月11日(木)

 今日はフンザ滞在2日目です。予定では、朝食前の早朝に、近くのドゥイカル村の山の展望地(約2,800m)へ行って、フンザ地方の山々を展望することになっていました。ところが、朝方に小雨が降り、4時30分に起きたときも、曇天で、雨がぱらついていました。でも、雨が強くなりそうもなく、また今日乗車するジープも集まり、我々もすでに起きてしまって、部屋に戻るわけにもいかないということで、とにかく出掛けることになりました。ジープは暗い山道を登り、展望地の直下の駐車場に着きました。まだ暗いので、開いていなかったレストハウスを開けてもらい、そこでお茶を飲みながら、あるいはショッピングをして、しばらく晴れるのを待ちました。着いたときは、雨は止んでいましたが、霧が出ており、展望はまったくききませんでした。しかし、しばらく待っている間に、空が明るくなり、フンザの谷が望めるようになりました。しかし、まわりの山は全く見ることができませんでした。残念!

 最後は展望を諦めて、途中ドゥイカル村の花を楽しみながら、ホテルに戻りました。8時に朝食をとりました。今日のこれからの予定は、フンザ川の対岸のナガール(Nagar)の村で花を楽しみながらの散策、その後は近くにある2つの昔の城郭(要塞)の見学とカリマバードのバザール散策です。8時45分にロビーに集合し、朝に乗ったジープに分乗して出発しました。

 ナガールはフンザ川の対岸の山間に入ったところにある村で、シーア派の人々が暮らしています。昔からイスマイール派のフンザの人々とは争いをやってきたそうです。今では特に争いといったものはないそうですが、お互いの村の間の結婚などは問題が生じるそうです。ロミオとジュリエットの世界がまだまだあちこちにありますね。

 村へ上がるにつれて、天気はよくなり、青空が広がってきました。アンズの花も満開となっており、白い山を背景にとてもきれいな風景でした。ちなみに、パキスタンでは、5000mや6000mの山々には名前がないのがほとんどだそうです。日本に4000m峰があったら、最高峰ですよね。村の奥では、氷河(ホーパル氷河)も見学しましたが、世界中どこでもそうですが、氷河の後退が激しく、大分やせ細っているように見えました。その後、家庭の庭で、ランチを食べました。ご主人は日本人のトレッキングツアーのコックさんをやっている人だそうで、とても日本人にあった料理で、美味しかったです。ランチを食べた後、フンザに戻りました。

分乗したジープ フンザ川対岸からのウルタル山群 ナガールの村風景(1) ナガールの村風景(2)
ナガールの村風景(3) ジープのドライバーと ホーパル氷河 ランチ・テント

 ナガールから戻って、最初に近郊のアルチット・フォート(Altit Fort)という城砦に行きました。城砦は高台に造られており、その中は迷路のようになっており、人々が生活していました。我々が中に入ると、多くの女性や子供が広場に集まってきて、簡単な民芸品などを売っていました。シーア派のナガールでは考えられない風景です。

 次に、バルチット・フォート(Baltit Fort)という城郭に行きました。この城は、昔フンザを収めた藩主が住んでいた館だそうで、現在は博物館のようになっており、案内人が中を案内してくれました。この案内人は日本語がとてもうまく(日本へは行ったことがないそうです)、ハセガワ・メモリアル・スクールで日本語を教えているそうでした。この城は、カリマバードを見下ろすような高台にあり、眼下の展望はとても素晴らしかったです。

アルチット・フォート(Altit Fort) アルチット・フォートの中庭で バルチット・フォート(Baltit Fort) フンザ谷(バルチット・フォートから)

 バルチット・フォート見学の後は、自由解散となり、歩いてホテルまで戻ることになりました。途中におみやげ店が並ぶバザールがあり、ショッピングしました。乾燥したアンズやイチジクの実、アンズやアプリコットのジャム、アンズの木で出来たスプーン、Tシャツなどを買いました。ぶらぶらと歩いていたので、ホテルに着いたのは17時30分でした。

 夕方、ホテルのテラスから、ウルタルU峰(7,388m)がすっきりと見えました(右写真)。ウルタルU峰はなかなか顔を出さないそうで、とにかくみることができたのでとてもうれしかったです。この後スケッチをやってみたのですが、薄暗くなってしまい、未完成となりました。これで、フンザの散策は終わりです。夕食は19時30分でした。実は、ここではXXXが注文できたので、楽しかったフンザ旅行を祝して、乾杯してしまいました。ちなみに、中ビンの値段が約1000円でした。 


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