わんだふる インド ガルワール・ヒマラヤ (3)

  1.プロローグ 
  
2.デリーからリシケシ、ジョシマートへ(往路) : 07月20日(水)〜22日(金) 
  
3.ジョシマートからゴビンダガート、ガンガリアへ、そして花の谷  : 07月23日(土)〜24日(日) 
  
4.シーク教徒の聖地・ヘムクンド湖 : 07月25日(月) 
  
5.ガンガリア からヒンズー教巡礼地・バドリナート : 07月26日(火) 
  
6.バドリナートからデリーへ(帰路) : 07月27日(水)〜30日(土) 
  

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4.シーク教徒の聖地・ヘムクンド湖 : 7月25日(月)

 夜中の2時頃から雨が降り始めたようで、朝方からは雨が強まってきました。今日は標高差約1,300mのヘムクンド湖(4,320m)まで、片道6km、予定で約7時間をかけて往復します。標高4,300mは、ペルーアンデスをトレッキングしたときの高地の標高です。ペルーアンデスのときは、4泊5日のテント泊トレッキングでしたので、今回と比べようもありませんが、標高差1,300mの往復登山も結構ハードなものと予想されました。もちろん、富士山の5合目からの1日往復登山よりもハードです。前日から高山病による下痢も始まっており、雨の中をヘムクンド湖を往復する自信がありませんでした。と、ごちゃごちゃと考えていても仕方ないので、場合によっては途中から馬にお世話になるか、あるいは途中から引き返せばよいだろうという安易な気持ちを頼りに、とにかく出かけてみようと決意しました。

 5時15分には起きて、6時15分、例のカレーの朝食(私はツアーリーダーが用意してくれるおかゆ)を食べました。そして、7時少し前にロビーに集合し、乗馬チームを置いて7時にホテルを出発しました。今日もフラワーガイドのラジニスさんが案内してくれました。雨脚はかなり弱くなっておりましたが、レインウェアを着て、折りたたみ傘をさして歩き始めました。10分ほど歩くと、昨日の花の谷方面との分かれ道に出会い、そこで今度は右のヘムクンド湖方面の道をとりました。

 道は、ゴビンダガートからガンガリアまでの道と同じく基本的に石畳の歩きやすい道でした。もちろん、多くの巡礼者が登り、巡礼者を乗せた馬もたくさん通り、あちこちに馬糞が散らかっているのも同じでした。少し歩くと、大きな滝が見えてきました。行程は長いので、ポレポレ(ゆっくり)の精神で、大きく呼吸をしながら、ゆっくりとマイペースで登るように努めました。9時40分、行程のおよそ半分くらい来たところで休憩をとりました。

 雨はまだ止まず、傘をさしての歩きが続きます。途中で、乗馬組に追い抜かれました。標高が高くなってくると、広々とした尾根に出てきました。広い尾根のジグザグの道を多くの巡礼者が、サンダルまたは素足で登っていました。もちろん馬に乗った巡礼者もいます。

花の谷との分岐点の道標 すぐに大きな滝が見える 多くの巡礼者が登ってくる広い尾根 高地の崖に咲くワスレナグサ

 このあたりから、高山植物も現れてきました。高地にワスレナグサが群落を作って咲いているのには驚きました。しかし、花は心を癒してはくれるのですが、体力の回復には何の効果もありません。写真を撮っていると、呼吸が乱れ、腰に負担を掛け、その結果歩くペースも乱れるので、写真を撮るのはできるだけ控えて、ひたすら歩くことに専念しました。この頃には、足も慣れてきたのか、足が痙攣することもなく、ゆっくり歩けば何とか登れそうな感じがしてきました。馬に乗ったり、引き返すという邪悪な考えは断念です!

 さらに喘ぎながら高度を稼いでいくと、潅木もない瓦礫の岩山になってきました。大きな雪渓が道を覆っており、激しく水が道を横切っていました。そして、その岩山の山肌に大きなクリーム色の花を見つけました。そうです、これがサウスレアです。霧雨の中、大きな花をつけて、ひっそりと咲いているのを観て、大感激でした。
雪渓が道を横切っている 初めて観るサウスレア
登山道脇の滝 インドの花21 インドの花22 インドの花23(サウスレア)
 大分高度を稼いだので、ヘムクンド湖は近くなってきたようです。登山道脇に激しく水が流れ落ちる滝がありました。そして、最後の石段のようです。石段は急で、上を仰ぎ見ると、もう岩山はなく、霧雨の空でした。11時40分、ようやくシーク教の聖地ヘムクンド湖の入り口(標高4,328m)に立ちました。思わず万歳です。私はもちろん最終組でし4時間40分も掛かってしまいましたが、よく登りきったなと、自分自身にも驚いてしまいました。とにかく感激です(ビールが飲めないのが残念でしたが・・・)。

 休憩所に入ると、シーク教徒の老人がチャイとカレー味のおかゆ?をサービスしてくれました。中には乗馬組みと、先着組みの人が待っており、歓迎してくれました。本当に疲れました。呼吸もなかなか落ち着きません。

最後の急な石段 休憩所(白い建物)を背景に万歳

 しばらく休んでから外へ出て、広場でランチパックを開いて、ランチをとりました。この頃には霧雨は止んでいましたが、さすが標高4,300mの高地で、かなり寒かったです。ところが、氷河の水が流れ込んでいる湖の中で、熱心な?シーク教徒(さすがに数人でしたが)が沐浴をしているのを見て驚きました。宗教とは?信仰とは??私には複雑な気持ちが起こるだけでした・・・

休憩所で老人がチャイをサービス ヘムクンド湖岸の沐浴所 霧のヘムクンド湖(奥)

 ランチを食べた後、フラワーガイドのラジニスさんの案内で、ヘムクンド湖の湖岸のお花畑を散策しました。湖畔の周りは、雨は降っていませんでしたが、霧が出ており、遠くを観ることができませんでした。それでも、ブルーポピーをはじめとした珍しい高山植物(花の名前はほとんどわかりませんでした)を観ることができ、とても満足な気分でした。時間の関係か、湖岸の奥まで散策できなかったのが、少し心残りでした。



インドの花24(お花畑) インドの花25(ブルーポピー) インドの花26
インドの花27 インドの花28 インドの花29 インドの花30

 1時30分過ぎ、下山することになりました。下る頃には完全に雨も止んでいましたので、気楽な気持ちで下り始めました。下りの最初の道は、登った急な階段の道とは違う緩やかな斜面の道を下りました。すると、山の斜面のあちこちに、上りのときには観られなかったサウスレアやブルーポピーがあちこちに咲いているではありませんか。またまた、夢中になってそれらの花の写真を撮りました。きれいですね。

インドの花31(サウスレア) インドの花32(ブルーポピー) インドの花33(ブルーポピー)

 下りは雨も止んでおり、楽勝かと考えていたのですが、さすが6kmの道のりを、1,300m下るとなると、足がかなり疲れてきました。”ホテル”には5時15分に着きました。3時間45分もかかってしまいました。トータルで、10時間のハイキング?となり、着いたときは大変疲れてぐったりとしてしまいました。旅行日程表では、約7時間とありましたので、写真を撮ったりして時間をくったことはありますが、それにしても7時間というのはまったくでたらめな時間であったようです。どうもツアー会社では過少時間をパンフレット等に載せ、登山の素人を呼び込んでいるようでした(日本へ帰ってから、ツアー会社にクレームを入れました)。それでも、途中で引き返すことなくヘムクンド湖まで行って、サウスレアやブルーポピーをはじめとしたたくさんのすばらしい高山植物を観ることができたので、大満足でした。”やったー!!”

 6時30分に夕食となりました。またまたカレーと”中華”料理でした。もちろん、私は高山病と疲れであまり食欲はなく、おかゆを食べて何とかしのぎました。明日はいよいよガンガリアを出発して下山となります。それで、食後は馬に運んでもらう荷物を仕分けてバッグにまとめました。

 大変疲れていたので、もらったバケツのお湯で体を拭いて温めた後、例の”お経”の大音響などは気にすることなく、すぐに深い眠りに入りました。夜の2時頃目が覚めたのですが、また雨が降り始めたようでした。でも後は下りなので、気にはなりませんでしたが、雨季の山歩きは憂鬱な気分になってしまいますね。



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