さ迷い歩き 「量子の森」 (2)-2 =朝日カルチャーセンター講座:量子力学20講= |
講座内容 | 講座内容 | |||||
01 | 古代原子論とは (Prev.Page) | 12.04.07 | 11 | 原子から素粒子へ | 12.10.06 | |
02 | ニュートンからマクスウェルへ | 12.04.21 | 12 | 物質の素材と力 | 12.10.20 | |
03 | プランクの光量子仮説 | 12.05.19 | 13 | アインシュタインの失敗 | 12.11.03 | |
04 | 光の粒子性 | 12.06.02 | 14 | 統一理論の成功 | 12.11.17 | |
05 | 原子の土星モデル | 12.06.23 | 15 | 唯一の弱点 | 12.12.01 | |
06 | 原子構造の解明 | 12.07.07 | 16 | ヒッグス粒子の発見 | 13.01.19 | |
07 | とびとびの物理量 (欠席) | 12.07.21 | 17 | 量子宇宙を垣間見る | 13.02.02 | |
08 | 不確定性原理 | 12.08.04 | 18 | 超対称性理論 (欠席) | 13.02.16 | |
09 | 量子力学の成立 | 12.08.18 | 19 | ダークマターとダークエネルギー | 13.03.02 | |
10 | 相対論的波動方程式 | 12.09.01 | 20 | 究極の量子力学 | 13.03.16 |
20.究極の量子力学 2013年03月16日
いよいよ最終回となりました。いつものように、前回のおさらいから始まりました。第1は、観測問題の課題です。マクロの世界はいろいろな量子状態が重なっていると考え、波動性と粒子性が同時にそなわっていると考えるのだそうです。そして、対象をある時点で観測すると、波動性が消えて、粒子性が現れると考えます(コペンハーゲン学派の考えです)。すなわち、観測によって波動函数が収縮すると考えます。この考えを認めてしまえば、ミクロの世界を理解することができるようになるということです。簡単に説明すれば以上のようになるわけですが、それだけではさっぱりわかりませんよね。要は、その深い理解を得るためには、ファインマンや朝永振一郎の量子力学の本を読みこなさないとわからないと思います。私は、現在そのための努力をやっています。
次に、標準理論のおさらいがありました。標準理論は、ミクロの世界が次の3つから成り立っていると考えているそうです。すなわち、@物質を構成する素材は、クォークとレプトンである。A物質間の力(相互作用)には、電磁力、弱い力、強い力および重力の4つがある。B宇宙開闢直後には、真空はヒッグス粒子で埋められており、物質に質量を与えた。現在は、標準理論を越えた「超対称性理論」が研究されているとのことでした。
今回の講義内容は、まず、円形加速器と線形加速器でした。現在、ILC(International Linear Collider)の建設計画が進んでおり、日本の宮城県および熊本県が実験施設の誘致を進めているとのことでした。円形加速器(LHC)と線形加速器の特徴について、次のような説明がありました。
1)円形加速器(LHC)は陽子と陽子を衝突させるので、陽子が3個のクォークからなっているため、バックグラウンドが多く、観測が大変である。
2)線形加速器(ILC)は電子と陽電子を衝突させるので、基本粒子である電子、陽電子が直接消滅し、バックグラウンドが少なく、観測に有利である。たとえば、ヒッグス粒子の性質や超対称性粒子の研究には適している。
3)しかし、線形加速器は直線的に加速するので、放射光のロスが少ないが、逆に、1回しか衝突ができないため、高度な技術(小さなビームサイズと高いバンチ密度の実現)が必要となる。
4)標準理論を越えた新理論(超対称性理論など)の構築あるいは量子宇宙の探索のためには、ILCが是非とも必要である。
最後に、超ひも理論の話がありました。このりろんは、重力を含む4つの力を統合し、10次元のプランク世界を探求するものだそうです。重力の発散(無限大になる)は、「ひも」によって解決されるとのことでしたが、定性的なお話では全然わかりませんね。
ぜんぜん最初に、前回のおさらいとして、次のような話がありましたが、前回は欠席したので、内容を説明することができません。
以上で、講義の内容の説明は終わりです。若干の感想を述べますと、当初私が抱いていた「量子力学」の内容と、実際の講義内容にだいぶ隔たりがあり、最後には講義に対する興味も薄れてしまいました。私は、素粒子物理学や量子宇宙の話は考えていなくて、いわゆるSchrodingerの方程式を代表とする「量子力学」あるいはDirackの「相対論的量子力学」のやや詳しい話を期待していました。しかし講師の話は、どちらかというと、講師の専門である素粒子物理学、それも実験物理学に重点が置かれており、私の期待していた部分はさらっと流すだけでした。もちろん、素粒子物理学は、今までは遠い話と思って、あまり本を読むことはなかったので、それらに触れる事ができ、たいへんよかったとは思っています。まあ、今進めている量子力学の勉強が終わったら(いつ終わるかわかりませんが)、素粒子物理学の本でも買って、独学で勉強してみようと思っています。その場合、今回の講義がきっと役立つものと思っています。
それでは皆さんお疲れさま?でした。長い間お付き合い頂き、ありがとうございました。
2013年03月19日
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19.ダークマターとダークエネルギー 2013年03月02日
最初に、前回のおさらいとして、次のような話がありましたが、前回は欠席したので、内容を説明することができません。
1.宇宙初期の相転移 ・・・現在は宇宙の初期状態の解明に向けて努力が行われている
2.超対称性理論、超対称パートナー ・・・標準理論を更に拡大して、高エネルギー状態の超粒子を扱うようですが・・・
3.ダークマター(暗黒物質)とその有力候補であるニュートラリーノ
今回のタイトルは”ダークマターとダークエネルギー”ですが、前回に説明が終わったようで、今回は量子力学の話を少し前に戻って、いくつかのトピックスについて話がありました。最初は、量子力学における重要な基本的原理としての”重ね合わせの原理”の話がありました。すなわち、2つの波動函数(これは確率振幅を意味します)ΨaとΨbを重ねた波動函数Ψは、次のように表わすことができます。
Ψ = Ψa + Ψb
この重ね合わされた波動函数の確率は次のように表わされ、3番目の項2ΨaΨbが干渉縞(ヤングの実験)に関係してきます。
|Ψ|2乗 = |Ψa|2乗 + |Ψb|2乗 + 2ΨaΨb
次に、波動性と粒子の2重性についての話がありました。ボーアを中心としたコペンハーゲン学派の主張では、電子は観測するまでは波動性と粒子性をもっているが、1個の電子を観測しようとすると、観測による波動函数の収束が生じ、粒子としての電子が観測されることになるということです。これに対して、アインシュタインは、「神がサイコロを振るはずはない」と、執拗にコペンハーゲン学派の主張に反論を試みましたが、現在では上の観測と収縮の考えが受入れられているようです。
その他に、有名な「シュレーディンガーの猫」の話や、「遅延選択実験」の話がありましたが、細かくなるので省略します。
2013年03月06日
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18.超対称性理論 2013年02月16日
*病気で欠席のため、講義内容を記述できません。
17.量子宇宙を垣間見る 2013年02月02日
今回は量子宇宙の話です。これは宇宙が誕生した直後の宇宙の初期状態の話となります。したがって、勘違いしてもらっては困るのですが、現在の宇宙の状態の話ではないと言うことです。それでは、単なる架空の噺家というと、違うのだそうです。すなわち、スイスのCERNにおける巨大加速器LHCなどによって陽子を衝突させ、作り出させる超高エネルギー状態が、宇宙の初期状態を実現していることになるのだそうです。したがって、LHCで観測される事象は、宇宙の初期状態でみられたはずの状態であるということです。本当かどうか私にはわかりませんが、物理学者は標準理論に基づいて、理論と実験の両面から宇宙の初期状態を探求しているということなのでしょう。これが、「量子宇宙を垣間見る」といった意味です。
標準理論を整理すると、次のようになるそうです。
1.現在の世界はクォークとレプトンがベースとなっている。
2.クォークとれ部とンから物質が作られている。すなわち、物質の素材はクォークとレプトンである。
3.三つの力(相互作用)、すなわち電磁力、弱い力および強い力は統合される。
4.真空にはヒッグス量ウシが充満している(ヒッグス場)。
5.このヒッグス場の中でクォークとレプトンは質量を獲得した。
まだ、ヒッグス粒子は確認されていないわけですが(昨年、LHCにおいてヒッグス粒子らしいものが確認されている)、もしヒッグス粒子の存在が否定された場合は、標準理論が破綻することになってしまうのだそうです。なにやらよく分かりませんが、大変なことですね。
講師の話はよく理解できないし、また両氏宇宙について学んだこともないので、聞いた話をうまく整理できません。以下はレジュメに記載されていること、あるいはノートに取ったことを適当に並べてみますが、理路整然とはなっていません(今までもそうですが)。
陽子と中性子は電荷が違い、質量もわずかに違っています(スピンは同じです)。また、中性子は次のようにβ崩壊をして、陽子に変ります。
n => p + e- + ν^e ^は反粒子の意味
ところが、陽子と中性子は同じ”核子”から出来ており、”荷電対象変換”で陽子から中性子に変換されるという考えがあるそうです。
次に、フェルミ粒子(スピン1/2)とボーズ粒子(スピン1)の関係ですが、これらも同じ”超粒子”から出来ており、”超対象変換”によってお互いに変換するという考えがあるそうです。すなわち、フェルミ粒子の長対象性のパートナーはボーズ粒子であり、またボーズ粒子の超対称性パートナーはフェルミ粒子であるということです。さっぱり意味は分かりません。大体、素粒子論では”超”何々といった言葉が多くて、何となく”まゆつば”物といった感じがしないでもありません。そういえば、餓鬼どももよく”超”何々といったことをよく言いますよね。うさんくさいです。
長対象パートナーの探求においては、一番軽い粒子が見つかりやすいということで、ニュートラリーノやフォティーノ、ジーノ、ヒッグシーノなどの探索が行われているそうです。そして、その一番軽い超対称パートナーが”ダークマター(暗黒物質)”の有力候補になるのだそうです。
済みません。とりとめもないことを、ランダムに記述しただけになってしまいました。量子宇宙の研究は、我々が現実に体験する事柄とまったく違ったプランク定数の世界の研究なので、イメージがわきません。逆に言えば、なぞめいた世界の探求でおもしろいといえるのかも知れません。量子力学自体も、同じように現実の世界の事象と対比して理解することが不可能なのですから、やむを得ないですね。
2013年02月03日
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16.ヒッグス粒子の発見 2013年01月19日
20回シリーズの本講座はいよいよ第4コーナーに入ってきました。今回は16回目です。タイトルが”ヒッグス粒子の発見”となっていますが、いまだCERNから最終的ヒッグス粒子の確認の発表はありません。気を持たせるようですが、やむを得ないでしょう。
最初に、おさらいがありました。一つ目は、3つの相互作用、すなわち重力を除いた電磁力と弱い力、強い力の統一的理解ができるようになり、いわゆる標準理論が成功を収めつつある。二つ目は、その標準理論を確定させるためには、ヒッグス粒子がはっけんされなくてはならないということである。ヒッグス機構は今のところ仮説に過ぎない。このために、CERNの成果が今か今かと待たれているのである。三つ目は、真空の相転移の話である。「真空の相転移は仮説ではなく、実際に起こっていた。」という説明があったのですが、私にはよく理解できませんでした。
今日の話の最初は、大統一理論の話です。大統一理論の世界は、宇宙開闢後から第2回目の相転移までの期間に摘要される理論だそうです。それは、宇宙開闢後10(-36乗)秒であり、宇宙の大きさは10(-30乗)mの大きさで、そのエネルギーは10(15乗)Gevの、我々には想像もつかないと言うか、でたらめで信用できないたわごとではないかと思わせるような世界です。こんな世界は、私にはまったく信じることが出来ないです。
力の統一については、アインシュタインが重力と電磁力を統一する”統一場の理論”を構築しようと努めましたが、最終的には統一理論を完成させることは出来ませんでした。ただし、このアインシュタインの力の統一という考え方は、今でも生きているということです(ちなみに、アインシュタインの生きていた20世紀の中ごろには、まだ強い力、弱い力という相互作用はありませんでした。) 標準理論では、力の働く場が真空であるとします。そして、真空の中にエネルギーを注入すると、粒子が出来ると考えます。そして、標準理論では、その真空の中にヒッグス粒子が詰まっており、それが粒子に質量を与えたと考えます。このヒッグス粒子が実際に見つからないと、標準理論は破綻することになるかもしれないとのことでした。
大統一理論では、第2の相転移によって、強い力が弱い力、電磁力と統一されるわけですが、これによってクォークとレプトンの区別もなくなったとします。その例として、陽子崩壊の話がありました。陽子崩壊は次のように表わされます。
u(2/3) + d(-1/3) --> e+(1) + (u)(-2/3) (u):uの反粒子、カッコ内の数字:電荷
これは、重大なことを意味しています。すなわち、クォーク(u、d)がレプトン(e+)に変換されるということを意味します。これは、物質の安定性が失われてしまうということを意味しています。なぜなら、陽子や中性子を構成しているクォークが不安定な陽電子(レプトン)と反レプトンに変換されてしまうのです。これは一大事!
ここで、大統一理論のポイントをまとめておきます。
・大統一理論では、3つの力(電磁力、強い力、弱い力)が同じ強さになる
・強い力は他の2つの力(電磁力と弱い力)と区別されない
・クォークとレプトンも区別されない
・核子(クォークから成る)がレプトンに変りうる
・陽子崩壊が起こる
ところが、このような陽子崩壊が起こる確率は、大統一理論によれば、10(-23乗)年に1回起こるかどうかといったレベルで、ほとんど観察されることはないレベルだということです。また、実験的には日本のスーパーカミオカンデで陽子崩壊の観察が行われ、観察ができなかったそうです。この結果から、単純な大統一理論は修正が必要になってきたのだそうです。その理論が、超対称大統一理論といわれる理論だそうです。本当に大げさな名前ですね。”超”だの”大統一”だのと、過剰な修飾子で飾られた言葉ですね。この超対称性大統一理論では、物質粒子(フェルミ粒子:電子、陽子、中性子等)と力の交換にかかわるゲージ粒子(ボース粒子:光、ウィークボソン、グルーオン等)を統一しようという理論だそうです。たいへんなことですね。数学のお遊びで、現実の物理を本当に考えているのかどうか、私にはちんぷんかんぷんといったところです。
参考:
フェルミ粒子: フェルミ統計に従う粒子で、スピン波1/2の整数倍である
ボーズ粒子: ボーズ統計に従う粒子で、スピンは0を含む整数である
フェルミ統計: 一つの状態には一つの粒子しか入ることが出来ないとしてカウントする
ボーズ統計: 一つの状態にいくつもの粒子が入ることが出来るとしてカウントする
2013年01月21日
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15.唯一の弱点 2012年12月01日
今回は15回目、第3クルーに入ってきました。しかし、タイトルの”唯一の弱点”の意味がよくわかりません。今回も、最初は前回のワインバーグとサラームの統一理論と大統一理論のおさらいでした。前回述べたので省略します。
続いて、初期宇宙(量子宇宙とも言うそうです)と標準理論の話がありました。ビッグバン宇宙論(初期宇宙論)が素粒子物理学の標準理論(量子宇宙論)と対応しながら発展してきたといえるそうです。初期宇宙は非常に小さくて、高温(高エンルギー)状態であったと考えられています。しかし、現在の宇宙の温度は非常に低く、2.7°Kと言われています。それで、初期ビッグバンの時代から今日までに何度かの相転移が起こり、次のような経緯をたどって現在に至っているとみなすのだそうです。
宇宙の膨張 => 温度の低下 => 対称性の自発的破れ(ヒッグスメカニズム) =>質量の獲得 => 多様性の実現
宇宙の初期では、多様性がなくい世界であり、そこでは(質量のない)粒子は運動を妨げられることはなく、光速で飛び回っていたと考えるのだそうです。その後、第3回目の相転移で、対称性の自発的破れ(ヒッグスメカニズム)が生じ、粒子がヒッグス粒子と衝突した(運動が妨げられた)結果、粒子は質量を獲得したと考えます。それらの粒子とは、クオーク(陽子、中性子等を構成する素粒子)やレプトン(電子の仲間)をいいます。
最後に、レジュメでは、「宇宙の課題:ダークまたーとダークエネルギー」というタイトルがありましたが、質疑応答の時間を多くとったため、時間切れとなりました。あしからず。話は素粒子論の核心部分に入ってきたようなのですが、毎回同じ話があり、説明も、素人を意識しているせいか、内容が浅く、表面的なことばかりです。若干、つまらなさを感じていますが、乗りかかった船ですから、最後まで進みたいと思っています。
2012年12月01日
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14.統一理論の成功 2012年11月17日
最初は、前回のワインバーグとサラームの統一理論の復習でした。すなわち、ゲージ理論の”交換粒子の質量はゼロでなければならない”という基本原理をみたすために、弱い力の相互作用粒子であるウイークボソン(陽子の数10倍の質量がある)の質量をゼロとみなして理論を組み立て、その後に質量を持たせるという巧妙な?理論が提起されました。質量を持たせるに当たっては、対称性の”自発的破れ”による相転移という考え方が導入されました。これが、現在の”標準理論”のベースになっているのだそうです。今年(2012年)に、セルン(CERN)からヒッグス粒子が見つかったようだという発表がありましたが、このヒッグス粒子が標準理論で必然的に?出てくる粒子で、これが事実だとすると、標準理論の正しさが強化されるとのことでした。今年の年末には、詳細な報告が出るようです。ご期待を!
続いて、力の強さと荷量の話がありました。荷量には、電荷、ウィーク荷、カラー荷があり、それらは距離(エネルギー)によって変化するとのことでしたが、電荷以外は何のことかさっぱり分かりませんでした。
その後、統一理論の話がありました。そこでは、電磁力と弱い力の強さは1000倍ほども違いがあるが、木ッグ版から数分の間の”量子宇宙”のときには、”原始の電磁力”と”原始の弱い力”があり、その力の差は2倍であったという話がありました。さらに大統一理論の話もありましたが、話の内容が断片的で、標準理論との関係や理論の流れなど、私にはほとんど理解できませんでした。当たり前ですが、事前にそれなりのきちんとした勉強をしていないと、解説的なお話だけでは理解できませんね。ということで、今回はこれで終わりとせざるをえません。
2012年11月21日
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13.アインシュタインの失敗 2012年11月03日
前回の続きです。1950〜60年代に掛けて、基礎理論の統一への歩みが始まり、1970年頃に、ワインバーグとサラームが電磁力と弱い力の統一理論を提案しました。この統一理論は、ゲージ理論を基礎にしているのだそうです。ゲージ理論とは、尺度を変えても理論方程式が変らないということが前提にあり、相互作用で交換する質量はゼロで、かつ電荷は保存されるということです。
ところが、電磁相互作用の交換素粒子は質量ゼロの光子ですが、弱い力の相互作用を担うウィークボソンは質量はゼロどころか、陽子の質量の数10倍もあり、統一理論においてゲージ理論がそのままの形では成立しなかったのだそうです。そこで、ワインバーグとサラームは、巧妙な?理論でその困難を切り抜けたのだそうです。すなわち、最初は、m(w)
= m(γ) = 0 として理論を構成しておき、その後に質量を生み出すメカニズムを導入し、矛盾のない(ゲージ不変性を破らない)理論に仕上げたのだそうです。そのメカニズムが、最近話題になったヒッグス粒子によるヒッグスメカニズムなのだそうです。ははーん。ようやく統一理論とヒッグス粒子の関係が少し分かりました。すごいですね。でも本当なのかな?私にはもちろん確認する能力はありませんが。
このヒッグスメカニズムの特徴は、ビッグバンの当初は、真空中のヒッグス粒子は高温状態で”対称性”が高かったのが、時間とともに低温になり、それにつれて”対称性”が低くなり、そこで”相転移”を起こし(ゲージ対称性の破れ)、水蒸気が氷になるように(化学の世界では相転移という)、ヒッグス粒子が真空中に凝縮し、質量をもつようになりました。それによって素粒子に質量が与えられたということのようです。???数学の世界ですね。もちろん、マクロの世界の常識では、何のことかさっぱりわかりません。世にも不思議な、不思議なお話です。
ところで、アインシュタインは、マクロの世界で、電磁力と重力の統一を目指して研究を行ったのですが、それは失敗に終わりました。彼の時代は、弱い力や強い力はまだ出現していなかった時代だったようです。
ウィークボソンは、1983年、ジュネーヴ郊外のセルンにあった”SPS”という陽子シンクロトロン(400GeV)で発見されました。これによって、ワインバーグ、サラームの統一理論が実証されました。その後、シンクロトロンの仕組みについての話がありましたが、内容が細かいので省略します。現在は、ご存知のように、セルンではヒッグス粒子の存在確認が行われており、年末までには発表される予定だそうです。もしこれが実証されれば、統一理論は現段階での完成をみるというこになるそうです。ほんとにまー、すごいことですね。
2012年11月06日
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12.物質の素材と力 2012年10月20日
まず、前回の復習です。第1は、粒子はハドロン(強粒子)(バリオン(重粒子)とメソン(中間子)から成る)とレプトン(軽粒子)に分類されます。
次に、物質の究極的要素は大きさのない点状粒子であるレプトンとクォークからなっているというのが標準理論の考えです。レプトンとクォークは、大きさはありませんが、電荷と質量(すなわちエネルギー)を持っています。まとめると、つぎのようになります。
・クォーク: アップ(2/3)、 チャーム(2/3)、 トップ(2/3)
ダウン(-1/3)、ストレンジ(-1/3)、ボトム(-1/3)
・レプトン: 電子(-1)、ミュー粒子(ミューオン)(-1)、タウ粒子(-1)
電子ニュートリノ(中性)、ミューニュートリノ(中性)、タウニュートリノ(中性)
*各粒子にはそれぞれ反粒子が対応して存在します。
ハドロンはクォークからできており、バリオンである陽子と中性子は、3つのクォークから、メソンは2つのクォークから作られています。
第3に、自然界には、強い力、弱い力、重力および電磁力の4つの力があります。クォーク間は強い相互作用(グルーオン)が働きますが、レプトン間には弱い相互作用(ウィークボソン)が働きます(クォークには弱い力も働きます)。弱い力の到達範囲は、強い力のそれの1/1000くらいだそうです。弱い力は原子核の崩壊に関係しており、次のような中性子から陽子への変換が起きるのだそうです。
n -> p + e- + νe(反)
基礎理論を統一するという考えは、昔からあり、最初の一歩が、ニュートンの万有引力(重力)の考えです。これは、天界の運動理論と地上界の運動理論を運動方程式として統一したものです(古典力学)。電気力と磁気力については、マクスウェルがマクスウェルの電磁方程式として統一しました(古典電磁気学)。そして、20世紀に入って、アインシュタインが電磁気力とマクロの重力を統一しようと試みましたが、失敗しました。
その後、ワインバーグとサラームが、電磁気力と弱い力を統一した”統一理論”(電弱力)を築きました。現在は、電弱力にさらに強い力を統一した”大統一理論”の研究が行われていますが、まだ完成していないとのことです。なお、”量子電気力学”は、マクスウェルの古典電磁気学と量子力学を統一化したものといえるそうです。この理論は非常に精度が高く、完成の域に入った理論とのことです。物理学の世界では、理論が基礎的になるほど、自然のより基本的な仕組みが解明できるという考え方の上で研究が進められているのだそうです。そのことによって、宇宙の初期の状態に接近できるということです。
標準理論では、世界は物質の要素(クォークとレプトン)と真空(場)から成ると考えているのだそうです。物質の要素であるクオークとレプトンを束縛する力をゲージ粒子といいます。また、真空には、今年新聞をにぎわせたヒッグス粒子が存在しており、それが物質の質量を与えていると考えられているそうです。
この後、ゲージ理論の話がある予定でしたが、途中で質問が続き、話が進みませんでした。これは、次回となります。
2012年10月23日
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11.原子から素粒子へ 2012年10月06日
約1か月振りの講義です。これから後半10回の講義が続きます。これからの話は、いわゆる「量子力学」の範囲を超えて、「素粒子物理学」の内容に入っていきます。この素粒子物理学では、量子力学をベースとした「標準理論」が展開されていくようです。”ようです”というのは、私自身は、素粒子物理学や標準理論は学んだことがないので、初めて聞くことがほとんどです。したがって、私が解説のようなものを書くこともできません。講義のレジュメにしたがって、講義内容のポイントだけ記すことになります。
前回の「場の量子論」のおさらいとして、3つ取り上げられました。
1.素粒子の質量は、アインシュタインのE = mc2乗 によってエネルギーに関係しており、素粒子物理学では、質量に代ってエネルギー(単位eV:電子ボルト)が用いられます。
2.高エネルギー状態を実現するために、高速粒子加速器が用いられる。加速器の中で、高速度に加速された粒子どうしを衝突させて、新しい素粒子を発生させます。
3.場の量子論によって、電磁力の発生と伝播が解明されました。これと関連して、「ファインマン図」の話がありました。
次に、1950年代に、スタンフォード大学(SLAC)の電子-核子散乱実験で、陽子と中性子には固い”芯”があることが確認されました。この実験は、液体水素、重水素の陽子、中性子に電子を衝突させ、ラザフォードの原子における大角度散乱と同じような散乱現象を見つけたのだそうです。そして、1964年、ゲルマンとツバイクが陽子の”クォークモデル”、すなわち、陽子は3つのクォークから構成されている、ということを提唱しました。
続いて、ハドロンとレプトンの話がありました。次のように整理されます。
・ハドロン(強粒子): クォークから構成されています。ハドロンは大きさをもち、クォークが”強い力”でつながれているということです。
・バりオン(重粒子) ・・・ 陽子、中性子
・メソン(中間子)
・レプトン(軽粒子): 質量はあるが大きさがない点状粒子のことです。
・・・ 電子、電子ニュートリノetc
物質の基本粒子は、クォークとレプトンで、ともに大きさをもたない点状粒子です。スピンは1/2で、フェルミ粒子になります。「標準理論」は、このクオークとレプトンから組み立てられているのだそうです。クォークとレプトンは、次のようにそれぞれ6タイプがあります(カッコ内の数字は荷電量を表わします)。
*各粒子にはそれぞれ反粒子が対応して存在します。
・クォーク: アップ(2/3)、 チャーム(2/3)、 トップ(2/3)
ダウン(-1/3)、ストレンジ(-1/3)、ボトム(-1/3)
・レプトン: 電子(-1)、ミュー粒子(ミューオン)(-1)、タウ粒子(-1)
電子ニュートリノ(中性)、ミューニュートリノ(中性)、タウニュートリノ(中性)
そして、陽子と中性子は、次のような3つのクォークから構成されており、強い力の相互作用が働いていますいます。
・陽子: アップ(2/3) + アップ(2/3) + ダウン(-1/3)
・中性子: アップ(2/3) + ダウン(-1/3) + ダウン(-1/3)
日本の加速器である”トリスタン”と”テバトロン”は、トップクォークの発見を目指したそうですが、うまくいかなかったそうです。
最後に、自然界の4つの力の話がありました。4つの力とは次のものです。
・強い力
・弱い力
・重力
・電磁力
これらは、場の理論で、4種類の”場”に対応します。それらの力は、到達距離(作用範囲)と強さが異なり、それぞれに対応した”4つの”ゲージ粒子”によって相互作用が働くと考えられているのだそうです。すなわち、ゲージ粒子は、力を伝える粒子であり、次の4つがありまます。
・光子(γ): 電磁力
・ウィークボソン(W): 弱い力
・グルーオン(g): 強い力
・重力子(G): 重力(未発見)
標準理論は、クォークとレプトンがゲージ粒子による相互作用によって、この世界の物質粒子を構成していると考えるのだそうです。言っていることは分かるのですが、数学的背景がまったくわからないので、なるほどということはできません。要するに、よーくわかんねーな??とりあえず、今回はこれで終わりです。
2012年10月11日
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