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Talking about WINE by T.Yone, the fake-chef

偽シェフヨネのワイン漫談


第41回「甘いワイン」 | 第42回「まとめ-2」 | 第43回「発泡酒」 | 第44回「まとめ-3」
最終回「まとめ-4」


偽シェフヨネのワイン漫談 第41回「甘いワイン」

せっかく勇んでまとめにかかったのに忘れていたものがありました(意図的に忘れたわけではありません)。ボルドーの甘い白です。

ボルドーの白を買う時の恐怖は「これ甘いかもしれない」です。ラベルにでも書いてあればいいのですが。キリッとした辛口が欲しい料理にいざコルクを抜いたら甘かったなんて、笑い事ではありません。Entre-Deux-MersとかGravesとかはまず辛口です。

どうして甘いのかがなんとなく理解できるのは、Chateaux d'Yquem(シャトー・ディケム)を筆頭とするSauternes(ソーテルヌ)やBarsac(バルザック)の超甘口白ワインの存在です(注32)。世界的に珍重されるデザートワインで、その甘いことといったら。ドイツワインと同様、枝で完熟させた葡萄を使って作ります。時々「貴腐ワイン」(実際に腐ってしまうのでありません。どういう状態かは写真でしか見たことがありませんが)として高価な値札がついているのを見たことがあるでしょう?

単にBordeauxというAOCであれば、この甘いワインの産地のものが混じっていても不思議はありません。

(C)T.YONE 1998

(注32)なお、超甘口白ワインの最高峰のもうひとつはハンガリーの「トカイ」です。なお、トカイは地名です。この地方では甘口だけではなくって、食事に合うワインもたくさん生産しています。甘口は「トカイ・アスー」、貴腐ぶどうのみで作った最高級品は「トカイ・アスー・エッセンシア」といいます。

annotation by Takashi Kaneyama 1999


偽シェフヨネのワイン漫談 第42回「まとめ-2」

前々回のまとめの続きです(断続的になってます)。

3:味の好みは個人の勝手ですが、一応世界標準はおさえましょう。ごちゃごちゃ言うのはそれからでも決して遅くはありません。時々少し高いものを買って、自分の舌にカツを入れてみることをお勧めします。

そして、ラベルと味が対比できるように、情報を蓄積していってください。その際、赤でも白でも「産地」をちゃんと記憶することが必要です。ヴィンテージ(収穫年度)はその次です。メモリーはたっぷりと空けておいてね。

生産地が特定されるにつれて個性的な味わいになります。AOCボルドーは最大公約数的な味わいから脱せませんが、それぞれのシャトーごとに味は違うのです。

4:ワインは単独で味わうものではなく、食べるものに合わせるべきだと思います。もちろんワインに合わせたメニューを考えてもOKです。マッチングした時のうれしさはやっぱりいいものです。いろいろと失敗してください。失敗は財産です。また、同じパターンばかりをくり返さないで、時には冒険も。この間良質のカマンベール(もちろんノルマンディ産(注33)で、缶入りのものは不可です)に辛口の白を合わせたらものすごくうまかった。赤で合わせる時とはまた違った雰囲気でよかった(つづく)。

(C)T.YONE 1998

(注33)ダイオキシン騒ぎでフランス産乳製品の輸入自粛が広がっています。こういうときにはベルギー産チーズがいいのですが、こちらの方も今回はダメです。イタリア、スイス、デンマークも入手はむずかしいかもしれません。こうなったらオーストラリアかニュージーランドしかないか(1999/06/12)。

annotation by Takashi Kaneyama 1999


偽シェフヨネのワイン漫談 第43回「発泡酒」

発泡酒(注34)の王者シャンパンについては前に話しました。糖はアルコールと炭酸ガスに分解していきますが、炭酸ガスを「捨てるのがもったいない」と思った(かどうかは知らんけど)人がいて発泡酒ができた(かどうか確認してない)。

シャンパーニュ地方以外のフランスの発泡酒は総称して「(Vin) Mousseux」と言います。とにかくいろいろなものが売られてますが概してネダンの高いほうがうまい。特に「シャンパン方式」と明記されているものは、葡萄の産地が違うだけでシャンパンと同じ丁寧さで作られてます。

イタリアへ行くとこれは「Spumante」と呼ぶ。イタリアワインは通常のものでも時々微弱発泡している場合があるが、いかなる理由なのかわからない。そんな中で、エミリア=ロマーニャ地方のLambrusco(ランブルスコ)の赤の発泡酒は美味。グレープジュースそのままの鮮やかな色が見事。なかなか常備しているところがないけれど。白のAstiは酒屋でよく見かける。

スペインは「Cava」辛口から甘口までいろいろあるけど、ここは白。比較的入手が容易。けっこういける。

ドイツにだってある。「Sekt」という。赤のゼクトは数少ないドイツの赤ワインである。発泡していない赤は市場にほとんど出ない。希少価値と思って飲むせいか、大変おいしく感じる。

(C)T.YONE 1998

(注34)日本の税法上の「発泡酒」とはまた違うお話です。言うまでもないか。

annotation by Takashi Kaneyama 1999


偽シェフヨネのワイン漫談 第44回「まとめ-3」

5:最低限、ラベルは読めるようにしましょう。別にむずかしい内容じゃありません。通常の語学力で十分です。ラベルに書いてあることだけが「真実」です。と、言うか、中身の確認ができないのでラベルの表示が唯一の手がかりなのです。もちろん各国の管理方式は覚えてください。それをわかっていないとラベルさえ読めないということになります。勉強も少し。

ついでにキレイなラベルを集めるのもワインのひとつの楽しみ方です。決して「邪道だよ、それは」なんてヤボなことは言いませんから。

6:ワインは生き物です。だから保存には十分の配慮を。しかし日本の高温多湿はワインにとっていい条件ではありません。特に家庭での保存が課題です。

ボルドーのシャトーワインはまだ熟成しないうちに売り場に出てきます。ガイドブックで「飲み頃」となっているものは意外に少ないのです。もちろんそんなことを無視して飲んでしまっても十分おいしいのですが、何年か置いておこうとした場合は注意してください。気温が上がりすぎないように(と言っても保管場所には困る)。ちなみに、うちには1970年のボルドーがころがっていますが、多分もうおいしくないでしょう。開ける勇気はありません(つづく)。

(C)T.YONE 1998


偽シェフヨネのワイン漫談 最終回「まとめ-4」

7:欲を言えば周辺のモノにも凝っていただきたい。

まずグラス。メルシャンかどこかのオマケでもいいですが、お客さんを呼んでも困らないくらいのシャレたものを。あまりに華奢だとすぐに割ってしまいそうで不安なのですが。そしてソムリエナイフも。酒売り場で1個150円くらいで売っているオープナーはやめましょう。あれを使いこなせるのは怪力の人だけです。質のいいソムリエナイフは本当に使いやすいのです。「いやぁ、開ける練習しなくっちゃ」と言いながらどんどんワインを飲んでしまいましょう。

8:さて、こうして秘かにワイン通になったなら、日々の食費を切りつめて、ソムリエいじめにレストランへ繰り出しましょう。ただし、まともなワインを置いているところがあまり多くないのが問題です。高いのを覚悟で一応の店に行くか、事前に電話でワインリストを読み上げてもらうか。ま、とにかくソムリエに「何でこのワインは合わないんだ」とかダダをこねたりしてみましょう。いろいろと教えていただけますよ。

と、いうところで、「何かいいワインを教えてください」という質問へのぼくなりの回答は終わりです。あまりいろいろな銘柄を紹介できなかったことや、特徴についての記述がいまひとつだった(とにかく飲まなきゃわからねぇ)ことが物足りなかったかもしれません。こんな駄文でも何かの参考になれば幸せです。

おつきあいありがとうございました(注35)

(C)T.YONE 1998

(注35)というわけで、ヨネの連載は完結です。メール配信ではすでに1998年秋には終わっていたのですが。長い間、ありがとうございました。

annotation by Takashi Kaneyama 1999



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annotation by Takashi Kaneyama 1999