Road to FRANCE PART1 【ワールドカップ・アジア最終予選篇】
アラブ首長国連邦対日本

1997年9月19日 アブダビ・ザイードスタジアム

アブダビの空は、遠くフランスの空につづいている

やっとテレビの放映に間にあった。こういう日に限って野暮用が入る。家に着いた時にはもう国歌斉唱だった。遠くアブダビの空は青い。伝えられるところによれば、すさまじい気温と湿度らしい。アウェイの厳しさだ。

異国でのニッポン・コール

日本の動きは鈍い。暑さと湿気対策でセーブしているのか? 白一色の観客席に、青の一群がいるのが心強い。中東独特のコーランの詠唱が流れるなか、ニッポン・コールがよく聞こえる。

せめぎあい

UAEはディフェンダーの裏へのロングボールを中心にしているが、川口が前でキャッチ。川口のプレーは危なげない。カズもワンツーから抜けてチャンスがあったが、キーパーにとられる。

UAEは中盤を組み立てて攻めてきた。縦パス一本のイメージではない。30分ごろ、左サイドを突破されてピンチ。ドリブルに川口が出てはじくも、さらにドリブル。シュートは素早く立ち直った川口が足ではじき、こぼれた球を秋田がクリア。危なかった。川口は今日は大忙しだ。

華麗なダイビングヘッド!

日本も惜しかった。右サイドで城が持ち込み、ペナルティエリアへドリブルすると見せて、名良橋にアウトサイドでパス。名良橋はダイレクトで折り返す。ゴール前で中田のダイヴィングヘッド! 「やった!」大声をあげる。アパートのみなさん、申し訳ない。深夜なのに。ボールはゴールに突き刺さるかに見えたがキーパーが奇跡的にフィスティングで逃れる。それにしても流れるような美しい攻め。中田も何気なくものすごいシュートを打ってくる。このシュートにはしびれた。

後半は、日本もバテたが、UAEもバテた。中盤で日本がパスカットしてカウンターを仕掛けるが、いかんせん、前線に人数が少ない。UAEが後半投入した背番号7番はドリブルが速く、元気がいい。対抗して加茂監督は本田を入れてマンマークにつける。

中田のキラーパス

今度は中田からのスルーパスでカズがキーパーと1対1! 飛び出すキーパーをトラップで抜くが、そのトラップが長すぎて追いつかない。「走れ! カズ!」。カズはかつてのスピードがなくなったぶん、フィジカルには強くなった気がする。ここはキーパーの飛び出す方向とタイミングがよかった。

痛恨のオフサイド

さらに中田のフリーキックを井原がヘディングでゴール右下隅へ! 小村が右足で合わせてゴール! 「入った! 入った!」と思いきや、小村の位置がオフサイド。小村がさわらなくても入っていたが、あそこは小村の反射神経が良すぎた。あ〜、絶叫してしまった。

勝ち点1ずつのドロー

結局0-0で引き分け。双方が勝ち点1を獲得。気候の厳しいアウェー戦であることを考えればこんなところか。それにしても惜しかった。あのキーパーで2点損した気分。それにしてもテレビ観戦はもどかしい。フォルツァ、ジャパン! あと6戦。

text by Takashi Kaneyama 1997

backmenuhomenext