Bon Voyage! HOMEMOVIE REPORT > 1997年5月

「マイケル」

ノーラ・エフロン監督、ジョン・トラボルタ、アンディ・マクドウェル、ウィリアム・ハート、ボブ・ホスキンス
★★★
確かに観たんだけど、印象にない。なので、感想を書けません。すみません。トラボルタが実に下世話な天使になるお話です。けっこうほのぼのしたような記憶があります。しかし思い出せない。ごめんなさい。う〜ん、とにかく田舎のモーテルに天使が住み着いたらしいというネタを確かめにダメ記者と自称・天使研究家と犬が取材に向かう。出てきた小汚い男の背中には確かに大きな羽が生えている! シカゴまで連れてきたら大スクープだが........そんなストーリーで、この男、奇跡を起こすこともできるのです。どんな奇跡かというと.........う〜ん、ここで記憶が途切れちゃうんです。だめだなあ、私って。

「クルーシブル」

ニコラス・ハイトナー監督、ダニエル・デイ・ルイス、ウィノナ・ライダー
★★★★
独立前のアメリカ東岸部の小さな州。人々はピューリタンの敬虔な信仰のなかに生きている。そこに降ってわいた魔女騒ぎ。「私は魔女を見た」といえば、魔女にだまされたとして免責され、「見なかった」といえば魔女として断罪される。少女たちの集団ヒステリーに発した騒ぎを利用して、「あいつは魔女だ」と指さす人々。良識ある人たちは、「魔女たちなどいない、少女たちが起こした騒ぎだ」と鎮めようとするが、コチコチに固まった宗教家とヒステリー状態の少女たちにはかなわない。見ていて「あんな馬鹿なことがどうしてまかり通るんだ?」と不思議を通り越して怒りさえ感じます。しかし、従容として死に赴く人たちの最期の祈りは落涙ものです。アーリー・アメリカンの風俗や生活がていねいに描かれているので、家具や衣装につい目がいってしまいます。脚本はアーサー・ミラー。

「イングリッシュ・ペイシェント」

アンソニー・ミンゲラ監督、レイフ・ファインズ、ジュリエット・ビノシュ、ウィレム・デフォー、クリスティン・スコット=トーマス
★★★★

ご存知アカデミー賞の作品賞・監督賞・助演女優賞など総なめに近い作品。アカデミーだからといって面白いとは限らないが、これは、非常によくできたwell-madeな映画。タイトルバックは紙の上を滑る筆。やがて飛行機が空を飛んでいる風景に。砂漠の上。前部座席の女性は首を傾けて眠っているかのよう、後部座席で操縦する男は飛行眼鏡で顔が見えないが、何かを叫んでいるかのよう。地上からの砲火を浴びて墜落し、男は焼けただれた皮膚を現地のベドウィンたちに手当してもらいながら、陣地に運ばれ、「英国人の患者」になり、次第に話を始める。連合軍の部隊がイタリア前線へ北上するに伴って、患者も運ばれる。しかし、看護婦は死期の近い者をこれ以上動かすよりは、と教会に残り、そこで、最期を看取ることにする。(この看護婦を演じたジュリエット・ビノシュが出色の出来。これだけでも、見る価値あり)。

この患者の語りと交互に、戦争前にサハラ砂漠で共同研究をしていた仲間の様子が描かれます。最初はなにがなんだかわからないが、次第に謎が解かれ、ジグソーパズルの一片一片がぴたりぴたりとはまっていき、最期に「イングリッシュ・ペイシェント」の皮肉な意味が明かされます。私は3回泣きました。最初は、ビノシュ演じる看護婦が、インド人将校に誘われてさびれた礼拝堂に入り、滑車で引き上げられて照明弾で見事なフレスコを見る場面。この場面は過去に私が見た映画の中でもっとも印象的なデートです。あとの2回は? わかった方はメールください。当たったら賞品進呈。

「コーカサスの虜」

セルゲイ・ボドロフ監督、オレグ・メンシコフ、セルゲイ・ボドロフ・ジュニア、ドジエマール・シハルリジェ、スザンナ・マフラリエヴァ
★★★★☆
トルストイ原作。ただし、背景は現代のチェチェン紛争になっています。設定を変えても、ストーリーが生きるということは、同じような戦争を人間は繰り返しているということでしょう。捕虜になったロシア兵と、捕らえたチェチェンの親子とが、次第に交流し、心を通わせ合う。しかし、運命は残酷な結末を用意していた。戦争の愚かさを見事に映像で示した傑作。あまり評判にならなかったようですが、おすすめです。


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Text by (C) Takashi Kaneyama 1997