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【統一模試36点から】 1カ月で英検3級合格 ~息子に英検3級を受けさせた時の記録~

長男が2015年度に受けた時のお話なので現在とは試験形式が違います。
次男が2018年度に受けた(Writingが加わった)時のお話は こちら



息子が中学3年になった年のGW前半、伊豆半島一周サイクリングを満喫して帰宅した私を待っていたのは息子が隠していた成績表を手に怒り狂った妻の姿でした…

審議中/可決
兎に角、英語を何とかしないとマズイので、内申点を稼ぐためにも英検3級を取らせることにしました。

直前の統一模試の点数は36点、偏差値は38。
これで英検3級がとれたら奇跡です。

※英語教師が英検に力を入れており、英検を取る事で加点の他に英語の内申点自体が上がる事を期待していました。
※英語が極端に悪いだけで他は悪くないので、加点だけが目的なら数学検定漢字検定でも良かったのです。実際、数学検定3級は過去問で時間配分の確認をしただけで余裕の合格でした。

まずは現状把握と合格可能性の検討

一次試験を突破できなければ二次試験はないので取りあえず一次試験の事だけを考えます。

公式サイトに公開されている英検3級の過去問で模擬試験を行いました。
※過去問は最後の仕上げで必要になりますので公開されている過去問をやり尽くしてしまうと後で困ったことになります。
模擬試験の結果は正解率は4割程度、合格には6~7割程度の正解が必要ですので、このまま受けても絶対に受かりません。

1次試験まで一ヶ月しかありません。
正攻法(地力を付けて全体的にレベルを上げる)では間に合わないので(と言うか、そんな努力が出来るくらいならこんな点にはなってないので)TOEIC的な発想点数を稼ぐテクニックでいきます。
最も時間の掛かるボキャビルに関しては英検が択一問題であるため、読めさえすれば良くて書ける必要は無いのでスペルが曖昧でも何とかなりそうなのが幸いでした。

最初やった事は英語に対する苦手意識の払拭でした。

英語は暗号解読ではない
コミュニケーション主体に変わってきているようですが、長年に渡って日本の英語(外国語)教育は技術の輸入を目的とした文献の翻訳を主眼に置いてきました。
その為、英語学習=英文を日本文に翻訳することのように扱われ結果として英語という暗号を解読表に従って解読する作業のようになっているように思います。
イメージとしては↓の暗号解読と同じ認識になっているのではないでしょうか。

※コナンドイル著:「踊る人形」より引用
※「汝の神に合う覚悟をせよ」は聖書的表現で「死ぬ覚悟をしろ」的なニアンス。


どこのシャーロック・ホームズでつか?
英語は言葉であって暗号ではありません。
こんな解読作業をやっていても楽しくないですし英語ができるようにはなりません。

英語と日本語の単語は一対一で対応しない
言語は暗号ではないので英語(外国語)と日本語は一対一で対応していません。
※日本語でも標準語の一語で表せない方言はざらに存在します。「はんかくさい」とか「もちけない」とか。

例えばLIKEは

I like fruit.
では 〈…を〉好む,〈…が〉好きである. の意味ですが

fruits, like apples and pears.
では (たとえば)…のような. ~に似た.

の意味になります。

同じ意味を外国語の一語で表せない言葉はたくさんあります。
MOTTAINAIが有名ですが、木漏れ日も対応する外国語はないそうです。
日本語に訳せない言葉もたくさんあって『翻訳できない世界のことば』なんて本も出ています。

理解すればよくて翻訳する必要はない
文献の翻訳を主目的としてきた日本の英語教育では英文を綺麗な日本語に訳すことが求められますが、言語の本来の目的は情報の伝達です。
情報を読み取る・伝える事が出来れば良くて受け取った情報を別の言語に置き換える必要はありません。
情報の伝達精度は必ずしも100%である必要はないのです。

読んだ(聞いた)英文から、文の本質的な情報をくみ取れれば(コミュニケーションの)道具としては十分に機能します。

英語を日本語に訳す/訳した日本語を理解する のではなく
英語を理解する/理解した事を日本語で表現する のが正しい手順です。
英語の理解と、日本語での表現は別の作業ですし英検では日本語で表現する事は求められません。
英文のまま理解できればリーディング/リスニングの速度が大幅に向上します。

文の骨格を捉える
日本語は癒着語で助詞によって動作主体と動作対象が決まる。
(動作主体)(動作対象)(動作)する。」 でも 「する。」でも文が成立する。

英語は屈折語で動作主体と動作対象は位置によって決まる。
語順は必ず(動作主体)(動作)(動作対象)で、語順が変わる事はない。
※語順が変わると意味自体が変わる。

そして英語の形は究極的には
 (である) と  (の動作をにする)
の2種類しかない

一文には(又は)が1個しか入らない、(又は)が2個以上入る事はない。
(動作:動詞)の左側が動作主体で右側が動作対象なのでにあたる単語を覚えるのが重要。
※自動詞とか疑問文、命令文とかありますが、細かいことを言い出すと収拾がつかないのでザックリで。


とにかく一ヶ月しか時間がないので時間の掛かるボキャビルや反復練習は効果が期待できません。
苦手意識を払拭する(これ以上苦手意識を増長させない)事に気を使いつつ本質論だけに絞って学習します。

一次試験対策

一次試験は
 筆記試験  リスニング 
 問題形式  問題数  問題形式  問題数
 短文の穴埋め(単語)  15問  会話に対する応答  10問
 会話の穴埋め(語句)  5問  会話内容に対する質問  10問
 語句の並べ替え  5問  パッセージ内容に対する質問  10問
 長文読解  10問    

この中で最も難易度が高いのが短文の穴埋め(単語)だと思います。
抜かれている穴がSVOのいずれかであれば話は簡単なのですが穴埋め部分が形容詞だったり副詞だったりイデオムだったりすると基礎力(ボキャビル)の弱さが露呈しますし、範囲が広くて学習に時間のかかる部分だからです。

問題形式に沿った例題と解説が多く掲載されている問題集なら何でも良いのですが、本屋で英検3級の問題集を見比べて良さげだった『英検3級をひとつひとつわかりやすく。』を使用しました。

名詞、動詞、イデオム、形容詞、副詞、不定詞、動名詞 etc の品種毎に頻出単語がまとまっていて、解説された頻出単語毎に穴埋め問題、並べ替え問題が用意されているので理解が進みやすいと思う。



「何だか分からない」苦手意識を払拭するために、全部の問題をに分解して動作主体はどの単語か、どの単語が動詞で、欠けているのは何かを一つ一つ解説しながら考えさせました。

語句の並べ替えでは「話者間の共通認識は省略される」日本語の特徴を踏まえたうえで、省略しない完全な日本語を作ったうえでに並び替えてから英訳します。
問題文をそのまま英訳しようとすると動作主体が省略されている罠にはまります。

長文読解はリーディング速度の向上に主眼をおいてスラッシュリーディングと語順のまま英文を理解することに重点を置きました。

リスニングは聞き取れさえすれば筆記試験の会話の穴埋め長文読解と変わらないので聞き取ることに重点を置いた練習をしました。
リエゾンについては 手持ちの教材『LaLaLa English 1』を使って、必ずしも綴り通りに発音される訳ではない事を説明しました。

・聞き取れたと思うまで繰り返し問題を聞く
・聞き取った内容を日本語で説明させる
・スクリプトを見ながら聞いて、正しく聞き取れているか確認する
・スクリプトを和訳説明して回答を選択
を繰り返し行いリスニングに慣れさせました。

試験直前の仕上げは『英検3級 過去6回全問題集』で模擬試験を行い、全ての問題に回答できる時間配分を練習します。
TOEICでも兎に角全ての問題に回答するのが第一関門ですので一問に掛けられる時間を把握することが重要になります。
英検3級 過去6回全問題集』ですが、当然ながら直近の問題は英検の公式サイトに公開されている英検3級の過去問と同じものですので、最初に過去問をやり尽くしてしまうと仕上げの模擬試験がやっとことある問題ばかりになってしまいます。



二次試験対策

二次試験は一次試験の一か月後。
一次試験の結果を待っている余裕はないので一次試験後すぐに対策を始めます。

試験内容は下表、全体の流れは英検公式サイトのバーチャル二次試験でなんとなくわかります。
 問題形式  問題数
 30語程度のパッセージを読む  1問
 上記パッセージの内容に対する質問  2問
 イラスト中の人物や行動の状況描写  2問
 日常生活の身近な質問に答える  2問

状況描写や身近な質問の具体的な例が掴みにくくて対策に悩みます。

まずはパッセージが読めなければ話にりません。
質問が聞き取れなければ回答のしようがありませんし、聞き取れても意味が分からなければ回答できません。

一次試験の長文、リスニング問題を音読しながら読解する練習を繰り返しました。


そして奇跡は起きた

「あの○○が英検に受かった」事に驚かれたようです。
本人としても英語に対する苦手意識は払拭されたようでした。