自転車で行こう

ブルベの装備 ~基本的な考え方~

「ブルベの装備」と言った時に何を揃えるのか、どんな基準で選ぶのか指標となる考え方が必要です。
考え方は人それぞれですので「コレが正解」と言えるような確固たるものはないのですが、基準が何もないと考えようがないので「私の基準」を紹介します。

装備を幾つかの区分に分けて考えます。

(1) 安全の為の装備
 ・道路交通法(道路運送法/都道府県条例)で定められた装備:ブレーキ、前照灯、尾灯、ベル(警音器)
コレを備えていないとブルベに限らず車道を走るのはアウトです。
そのうえで、前照灯、尾灯(ブルベでは点滅不可)については明るさやランタイム、防水性で選びます。
ブルベでは雨でも走るので雨で水没して壊れるようなライトでは使い物になりません。
夜通し(9~11時間)点灯している必要があるので2時間しか使用できないようなライトでは運用に困ります。

尾灯については道路運送法で定められた規定があり、反射板か尾灯(点滅は尾灯と認められない)を備える必要があります。
反射板(赤)が付いていない場合にはブルベでなくても点滅するライトは尾灯として認められません。
 ・ブルベのルールで決められた装備:反射ベスト、ヘルメット、ヘルメットの尾灯(点滅可)、2灯以上の前照灯
私の場合は3灯付けていますが、ブルベ中にライトが故障(脱落/破損)した事が何度かあります。
1個を失っても走り続けられる事を基準に考えた方が良いです。

(2) トラブルに備えた装備
 ・予備のチューブ(予備タイヤ)、携帯工具、輪行バック、携帯電話、エイドキット
ブルベに限った話ではなくて普段のサイクリング/ツーリングでも「どんな状況になったら自走を諦めるか」
自走を諦めた後「どうやって家に帰るか」と言う問題だと思います。

単純なパンクで自走を諦める人はまずいないでしょう、普通はチューブを交換するなりパッチを当てるなりして修理します。
サイドカットやバーストで大きく穴が開いたら?ホイールが歪んで自走不能な状態になったらチェーンが切れたら、ワイヤー(シフトワイーヤ、ブレーキワイヤー)が切れたら、ディレーラーが壊れたら etc
どの程度までなら修理して走行するのかで持つ工具類が決まります。
逆説的に持てる工具で対処できるトラブルの範囲が決まるとも言えます。

どんなトラブルが起こり得るのかはサイクリング/ツーリングを含めた経験を積んでいないと想像しにくいです。
例えばクリート(のネジ)の脱落などは予備のネジを持っていれば簡単に対処できる問題ですが経験したことがないと「予備のネジを持とう」と言う発想に至らないと思います。

雨の日にダウンヒルを行うとブレーキシューが物凄い勢いで減ります。
すり減るブレーキシューの状態を気にしながら走った経験がないと交換用のブレーキシューを持つ重要性は理解しにくいかもしれません。

「ゴミ袋輪行」は昔の話で現在は鉄道会社各社の輪行に対する運用が厳格化していますのでゴミ袋では改札を通れません。
※運用が厳格になっただけでルールが変わった訳ではありません。
※元々「専用の袋に収納する」ルールだったのをゴミ袋などの専用ではない袋でも見逃してもらっていただけです。
※どんなに綺麗に梱包しても「専用の袋」でないと改札を拒否されるケースが(JR富山駅などでは実際に)あります。

(3) 快適に走るための装備
 ・サイクルウエア、ウィンドブレーカー、レインウエア、補給食
早朝から深夜、明け方。海岸沿いから峠。晴れから雨と変化が若干大きい傾向はありますが基本的な考え方は普段のサイクリング/ツーリングと変わりません。
ブルベ特有の条件があるとすれば真夜中から明け方の寒い時間帯や雨の中を長時間走行する事があるくらいでしょうか。
普段のサイクリング/ツーリングでは雨がふればそもそも行きませんし途中で降られれば引き返すなり輪行するなりするので、雨の中を長時間(10時間とか)走行する事はまずないと思います。
雨対策は、ほとんど対策なしのずぶ濡れで走る人もいれば完全防備の人もいますので個人の考え方の差が大きくでる部分だと思います。
私は、雨対策で重要なのは「濡れない事」ではなく「冷えない事」だと考えています。
雨の中で峠に上れば「雨で濡れるか汗で濡れるか」の二択状態になりますので完全防備はあまり意味がないと思っています。
しかし、何も対策しないで濡れるに任せると下りや夜半は寒さに震えて動けなくなってしまいます。
 ・エマージェンシーブラケット(ViVi、アイマスク etc)
経験しないと信じられないと思いますが、自転車でも居眠り運転は起きるのです (´・ω・`;)
ペダルをこいで走りながら寝てしまう…自転車はバランスを取らないと走れない乗り物ですから…
フッ…と意識が飛んだ次の瞬間には道路脇に突っ込んでいたり道路に倒れたりしています。
自損事故で済めばよいですが状況次第では最悪の事態にもなりかねません。
ですので、眠気対策は重要です。
「仮眠場所まであと少しだから…」が危険です。
眠気を感じたらすぐに止まって5分で良いので目を閉じて休んでください。

主催者が用意した仮眠場所であってもそこが「温かい」とは限りませんし「暗い」とも「静か」とも限りません。
ホテル以外の場所(健康ランドや主催者が用意した仮眠場所)ではアイマスクがあると疲れの取れ方が格段に違います。

(4) ブルベを走るための装備
 ・キューシートホルダー、サイコン、コマ図ホルダー、地図、GPS
ブルベは指示されたコースを指定時間内に走行する競技ですので、コースを確認する手段が必要です。
昔ながらの方法ではキューシートやコマ図をサイコンの走行距離と照らし合わせてコースを確認…ですが
今時はGPSを使うのが一般的かなと思います。
GPSを使用する場合には電子機器ですので水没やバッテリー切れの対策は忘れず、GPSの指示で走る競技ではないのでGPSが無くても走れる準備だけは必要だと思います。
GPSのバッテリー切れ(あるいは故障)でDNF…はいかがなものかと思います。