自転車で行こう

エントリーからゴールまで

ブルベのエントリーから出走前にしておくべき準備、当日の受付からゴールまでの流れを紹介します。

まず、オダックスJapanのサイトを見てルールを確認してください。
それほど難しい事を要求しているわけではなく
(1) 日本の道路交通法・道路運送法・都道府県条例などの法を順守すること
  ・ベル(警音器)、前照灯、尾灯(点滅不可)は道路運送法で規定されています。

(2) 主催クラブが要求する装備(前照灯、尾灯、反射ベスト、ヘルメット etc)を備えること
  ・主催クラブが独自ルール(尾灯は2灯以上とか反射タスキ禁止とか足首に反射テープとか)を設定してる場合があります。

(3) 主催クラブが用意するコース指示(キューシート)に従って走行し、コースを逸脱(ミスコース)した場合にはコースを逸脱した地点からコースに復帰すること
  ・ショートカットは禁止です。
  ・安全上の問題で危険な個所を避けてコース設定していたりしますので遠回りならOKとかでもありません。

ブルベに参加するには1億円以上の損害賠償責任保険と傷害保険への加入が必要です。
現在加入している保険が使えればそのままでOKですが「スポーツイベント(ブルベ)中の事故は保障対象外」としている保険も少なくありませんのでブルベ中の事故が保障されるのか確認が必要です。

オダックスJapanのBRM開催予定カレンダーに主催クラブ/距離/開催日の一覧がありますので、参加できそうなブルベの目星を付けます。
※募集は多くの場合、開催予定の2ヶ月前位に始まり1ヶ月前位に締め切られます。
※募集を開始してすぐに(数十分で)定員オーバーで募集が締め切られる事もあります。


1年の前半(1月~7月)に開催されるのは普通のブルベですが、後半(9月~11月)に開催されるブルベは主催者の趣味が反映された灰汁の強いコース(山岳コースだったり天候次第で難易度が激変するコースだったり脱出路がなくて途中棄権が事実上不可能なコースだったり)する事がありますので慎重に検討してください。
詳細(スタート時間、スタート地点、コース概要、申し込み期間、申し込み方法)を各主催クラブのサイトで確認します。
参加出来そうなブルベが見つかったら申し込みをします。
スポーツエントリーを通して申し込みを行う事が多いですが、直接メール等で申し込みだったりする場合もありますので詳細は各主催クラブのサイトで確認してください。
スポーツエントリーの登録は無料ですので事前に登録しておくと良いです。

ブルベの参加通知(例)参加通知や同意書の扱いは主催クラブによって異なります。
通知・参加同意書を郵送してくるクラブもあればサイトからダウンロードして印刷が必要なクラブもあります。
※写真はオダックス埼玉の参加案内

独自ルールが設定されている場合もありますので、各クラブの参加要綱をよく読んで確認してください。

出走までにしておく準備

ルート(キューシート)の確認

ブルベのコースはキューシートと言う形式で公開されます。
キューシートにはスタート地点からゴールまでの
・曲がるべき分岐点(交差点名や目印)
・スタートから分岐点までの距離
・一つ前の分岐点からの距離
・注意事項
が表形式で記載されています。
通過点  進路 ルート 区間 合計 情報・その他 [ ]行先道標
20 T「分れ道」 右折 K63 1.8 68.8 [平塚・伊勢原市街]
21 「三本松」 右折 K63 1.6 70.4 東名高速くぐってすぐ右折
22 「伊勢原」 右折 R246 1.1 71.5 [沼津]
23 「板戸」 左折 K63 0.6 72.1 [大磯]
24 T「国府新宿」 右折 R1 12.2 84.3 [沼津・小田原]
25 T「小田原市民会館前」 左折 R1 12.3 96.6 [沼津・箱根]
26 T「本町」 右折 R1 0.3 96.9 [沼津・箱根]

例えばこんな感じ。
※オダックス埼玉 アタック小田原城のコースから抜粋

これを見てもよっぽど土地勘があるか特別なセンスの持ち主でなければ何処を走るのか分かりません。
なのでキューシートを地図上にトレースしてコースを確認しておきます。

キューシートと地図の対比 【伊勢原】交差点
交差点名の確認
【板戸】交差点
交差点名の確認

例えば
21番目の指示地点[三本松]交差点から県道63号を1.1Km走った地点(スタートから71.5Km地点)が22番[伊勢原]交差点です。
[伊勢原]交差点を右折して国道246号を0.6Km進んだ所(スタートから72.1Km地点)にある[板戸]交差点が23番目の指示地点。
[板戸]交差点を左折して県道63号を12.2Km進んだ[国府新宿](スタートから84.3Km地点)が24番目の指示地点です。

このように地図をトレースしてコースを把握しておきます。
コースのトレースにはルートラボが便利です。
BRM+日付 (例えば BRM226 など)で検索すれば誰かが作成したコースデータが見つかることもあります。
また、過去のブルベコースはブルベコース Viewerなどで見る事が出来ます。

キューシートはスタッフによる試走(開催2週間前位に実施される事が多い)などを経て訂正される事がありますので、逐次更新を確認してください。

地図が更新されていない事もある、そしてキューシートが間違っている事もあるので、
キューシートの指示と地図を照らし合わせると「何処を走れば良いのか理解できない」謎区間がたまにでてきます。

例えば、次のキューシート(オダックス埼玉 アタック那珂川 のコースから抜粋)と該当区間の地図(ルートラボ参照)を比べてみます。

35 「稲毛田」 左折 K61 1.9 124.3 [那須烏山]
36 ├ S 右折 K64 4.1 128.4 [那須烏山・国道294号]

35の稲毛田交差点から 36の信号のある┣字路の間ですが、キューシートの指示は「県道61号から県道64号に向かえ」って事だと思いますが、その際に┣字路を右折するよう指示されています。
そして、ルートラボで該当区間を見ると道路が2本並行しており、どちらが正しいコースなのか悩ましい事になっています。

(1) 西側の道路を進む   (2) 東側の道路を進む
キューシートと地図のズレ キューシートと地図のズレ

(1) 西側を通る場合
 県道61号から県道64号に入る信号のある┣字路で右折しようとすると、その手間の┫字路で左折する必要がありますがキューシートには左折指示はありません。

(2) 東側を通る場合
 県道61号を道なりに進んで┣字路を右折して県道64号に入ろうとすると、該当する交差点には信号がありません。しかも、曲がった先が県道ではなく市道。
一個手前の╋字路を右折するよう指示するのが普通のように思われます。

可能性として考えられるのは
・道路の付け替えが行われるなどして道なりに走れば┫字分岐を意識せずに西側のルートに入るようになっている
・東側の郵便局の所に実は信号がある
とかだと思われますが考えても分からないので謎指示区間としてキューシートに注意マークを付けておき、現地に到着してから確認する事にしておきます。
大枠としては【那須烏山・国道294号】の案内板(青看板)を目印に県道61号から県道64号に入れば良い筈です。

 キューシートと地図のズレの原因   当日現場で確認してみると←のように道路が付け替えられていて、道なりに走れば西側の道路に入るようになっていました。
右側に曲がっているのが地図にある旧道、正面に新しい道が出来ていています。
┣路が新たに出来ていて右折しないと東側の道路には入れなくなっていました。

キューシートと地図のズレの原因 
こうした事は時々あるので都度柔軟に対処する必要があります。

キューシート加工に便利なラミネーターキューシートは持ち運びやすい大きさに印刷して防水加工しておきます。
コンビニのレーザープリンタで印刷 or コピーするか、高いモノではないのでラミネーターを買ってしまうと捗ります。



同意書(権利放棄書)

 主催クラブのWebサイトにある文章を印刷してサイン(主催クラブによっては捺印)して用意しておきます。
 主催クラブによっては予備を用意している場合もありますが、ないと出走できません。
 

 細部は主催クラブによって異なりますが大雑把には次のような事が書いてあります。

 1.ブルベが危険なスポーツである事を認識している。
 2.ブルベ中の事故による怪我・死亡は主催者の責任ではない。
 3.ブルベ中に受けた損害に対して主催者に賠償を求めない。



ブルベ用装備の準備

 最低200Kmを走れるだけの装備(予備チューブ、ポンプ、携帯工具 etc)は当然としてブルベの為の装備が幾つか必要です。

 1.ヘルメット
  夜間も走行するブルベではベルメットの後ろに尾灯が必要
  ブルベ装備のヘルメットヘルメットに付ける尾灯は専用品はまず無い(尾灯付きのヘルメットが販売されていたような気もしますが)ので、皆さんそれぞれ工夫されています。
←はジョギング用(?)の足首に付けるライトを流用してます。

ヘッドランプと一体になってるやつとか、自転車用の尾灯を流用する人が多いようです。


 2.反射ベスト
  ACP(オダクス・クラブ・パリジャン:ブルベの層元締め)では反射タスキを認めていない(EUの交通ルールで反射ベストの着用が義務づけられているから)のですが、AJ(オダックスJapan:日本でブルベを主催する団体)では反射タスキを禁止していません。(日本の道路交通法では義務付けられていないので。)
  ですが、主催クラブによってはACPにならって反射ベストの着用を義務付けています。
  安全面からも反射ベストの使用をお勧めします。

 3.ライト(前照灯)
  ブルベでは日が落ちるとマジで真っ暗になる外灯も何もない場所を普通に通ります。
  その暗さたるや(曇りとか雨とかで)星の無い夜にライトを消したら自分の手も見えない暗さです。
  360度見渡しても人工の灯りが何もない場所も通ります。
  街中で使用するような貧弱なライトだと死ねます(身動き取れなくなります)、ライトが故障しても死ねます。
  強力なライトが2灯以上必要です。

 4.尾灯
  尾灯は点灯する事が求められ点滅は禁止です。
  道路運送法の規定で点灯する必要があるのと、点滅する光を長時間見ていると眠くなるので後続のライダーに迷惑だからと言われています。
  尾灯を「点灯」すると意外にランタイムが短いですから予想される走行時間分は点灯して置けるだけの予備電池も忘れずに。

 5.ブルベカード入れ
  ブルベカードはBRMにとって大切なものです。
  たとえ完走しても、出走サイン、PC通過時間とサイン、フィニッシュ後に記入する所用時間とサインがなければ完走になりません。
  主催クラブによって事情は違いますが、多くの主催クラブでは開催1~2週間前にコース担当者が自宅のインクジェットプリンタでPCの名称やクローズタイムを印刷しています。
  顔料インクのインクジェットプリンタや熱転写プリンタ、レーザープリンタ等のマニアックなプリンタを個人で持ってる人は滅多にいませんので、普通は染料インクのインクジェットプリンタが使われます。
  染料インクは雨や汗で濡れると滲んでグチャグチャになります。
  なので、ブルベカードを入れておくケースが必要になります。
ブルベカードケースハガキサイズの名札入れ(チャック付き)や100均で売ってる防水スマホケースがお勧めです。
ブルベカードを三つ折りにしたときのサイズは横81ミリ、縦130ミリですので大きさを確認して適当なモノを選んでください。
レシートを挟んでおいたりするのでジャストサイズだと扱いにくいです、若干余裕のあるサイズが必要です。



ブルベ当日

通常、受付はスタート時刻の1時間前から始まります。
受付で出走者名簿にサインし、ブルベカードを受け取り必要事項(氏名、住所 etc)を記入します。
※あらかじめブルベカードに印刷されている場合もあります。
※親切な訳ではなくて個々に記入すると誤記や記入漏れはもちろん、字が汚くて読めなかったりするので、
※リザルトの集計やブルベカードの返送の手間を少しでも省きたい主催者側の思惑だったりします。


ブルベの出走受付

通常の場合、スタート30分前位にブリーフィングが行われます。
コース担当者からキューシートの変更点、注意事項などが説明されます。
ブルベのブリーフィング

スタート時刻が近づきましたら、スタッフによる装備チェックを受けてブルベカードに出走許可サインを貰います。

予定時刻になったらスタッフの指示に従って順次スタート。
スタートは30分後にクローズされます(遅刻しても30分以内なら間に合います)。
※ACP(オダクス・クラブ・パリジャン:ブルベの層元締め)ルールでは60分後ですが、AJ(オダックスJapan:日本でブルベを主催する団体)ルールで30分に短縮されています。
ブルベのスタート装備チェックはベル/ライト/尾灯/反射ベスト等の必須装備が規定通り揃っているかをチェックします。
装備に不足があるとスタートできません。

主催クラブとしては参加者に楽しんでほしいので煩い事は言いたくないのですが、見逃したせいで参加者が事故にあうようなことがあっては悔やんでも悔やみきれませんので、コースや状況によってはブレーキシューが減っていたりタイヤが痛んでいる場合にも出走を認めない事があります。


PC(仏:Point de Control、英:Control Point)
日本のブルベでは大抵の場合、PCの通過チェックはコンビニのレシートで代用します。
※レシートを紛失するとPC未通過となり失格になります。
稀にスタッフが待っている場合や、写真やクイズ(その場所に行かなければ回答不可能な問題)で代用する場合があります。
PCには到着制限時刻が設定されています。
スタートから60Km以内では平均速度20Km/hで走行した場合の所要時間+1時間
60Km~600Kmの区間は平均速度15Km/hで走行した場合の所要時間
600Km以降は12Km/hで走行した場合の所要時間が制限時間となります。
※60Km地点で「20Km/hでの所要時間+1時間」と「15Km/hでの所要時間」が等しくなります。
※スタートに遅れてきたりスタート直後にトラブルが起こると最初のPCに間に合わなくなるのでこの設定になっています。

ブルベのPC(チェックポイント)
PCになるコンビニには試走時にスタッフが挨拶と協力のお願いをしています。
主催団体名と開催日時、予想される時間帯と人数を告げていますのでブルベ参加者である事をお店の人は把握しています。
迷惑行為があると次回からお願いしにくくなりますし、最悪の場合 出禁にされる事もあります。
※私の知る限りではブルベ(というかロードバイクなどのスポーツサイクル全般が)お断りになったコンビニが2店存在します。
お店に迷惑を掛けないようにお願いします。

参加人数の多いブルベではPCになっているコンビニのトイレが混雑することがありますので、トイレはPC以外の場所で済ませておくのもちょっとしたテクニック(?)です。

ブルベのコース設定によってはゴールとゴール受付が分かれている場合がありますが、ゴール受付ではスタッフが待っていますのでゴール手続きをします。
※ゴール受付がなくてブルベカードを郵送して後日処理する場合もあります。
※オダックス岡山(スタッフが二人しかいない)とかSR600(ちょっと特殊なブルベでスタッフが全くいない)とか。


ゴール受付で無人PCの通過証明(レシートやクイズの答え)を確認して所要時間を確認し、ブルベカードにサインします。
規定時間内にゴールしていれば完走となりブルベ完走メダルがもらえます。
※貰えるのは購入する権利で、実際には1000円で購入です。
ブルベのゴール受付

ゴール後は お菓子や炊き出しを食べながらスタッフや一緒に走った参加者とまったり談笑して楽しいひと時を過ごして休憩してから帰宅です。
※お菓子や炊き出しは主催クラブやゴール受付の場所(ファミレスや旅館をゴール受付にする場合もあるので)によって異なります。
ブルベが終わってまったりするひと時


例えばこんな感じ ⇒ ブルベ参加レポート(blog記事)

これからブルベに挑戦しようと考えている人へ

ブルベの雰囲気が知りたい、実際に走れるか試してみたいと思うこともあるでしょうが、ブルベ開催当日に参加者と一緒に走る(モグリ参加)や部分的に並走するのはやめてください。
ブルベのルールに「PC以外での第三者のサポートを禁止する」項目があります。
参加者と並走すると参加者が「(ドラフティングによる)サポートを受けた」とみなされ失格となる場合があります。
※モグリ参加者と一緒に走った参加者が認定を取消された事例が発生しています。

ルール以外にも保険の問題が発生します。
本人にその気がなくても、事故が起きて「ブルベを走っていた」と思われた場合に非参加者とは全く関係ない主催者に事故の賠償請求や訴訟を起こされる可能性が出てしまいます。
ブルベが好きなだけの一般人がボランティアでブルベを主催しているだけなので、訴訟とかの面倒事は困るのです。

走ってみるならブルベの開催日とは別の日に、当日の雰囲気を見たいなら並走せずにPCとか(個人的にはゴールがお勧め)で見学してください。