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ジギーのブギー

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Boogie #022 それぞれが

 その日、私はマスター、ジンさん、ツガルさん、チューイさんら、いつもの仲間たちに誘われ、冒険に出ました。

 魔物の一団に遭遇したとき、私は魔法使いとして皆を援護します。体力を回復し、毒を治療し、祝福の魔法をかけ、時には蘇生もおこないます。

 皆は私の助けを必要としてくれます…しかし、助けられているのは私のほうなのです。

 非力で、身を守る術のない私にとって、魔物への盾となり、剣となる皆がいなければ、そもそも私はダンジョンの奥深くなど歩くことさえできないでしょう。

 人は、それぞれが助け合い、それぞれの力を必要とし合っている。

 冒険はいつも、そんな当たり前だけど忘れてしまいがちなことを、私たちに思い出させてくれます。












蘇生連発…恐るべし激沸きオーク軍団。






 土曜の夜は、冒険仲間の皆さんとの定例集会。一人では冒険に出ることはほとんどなく、また「狩り」(この言葉はあまり好きじゃないんですけど、他に表現の言葉がないので…)という行為自体全くしない私にとって、この、週に一度の冒険タイムは実に刺激的だったりします。

 この日は皆まだ行ったことがないというオークダンジョンに行くことになりました。

 すでにGMクラスの戦士さんばかりですし、オーク程度では全く問題ナシ…ときどきオーク・ボンバーの爆弾でダメージをくらうのが危険な程度で、楽勝楽勝。

 なんてお気楽モードで奥へと進んでいくと、ついに出ました、オーク・ブルート!…っていうか、単体が強いというよりも周りにオーク沸きすぎっ(※1)! 鬼のような数のオークに囲まれパーティーは一気に劣勢に。…あうっ( ̄□ ̄;

 私の魔法も右にグレーターヒール、左にブレス、合間にザコにメテオスウォームと大忙し。さらには死亡者も続出し、リザレクションも連発でした。

 皆さんから、私の回復魔法に感謝をされましたが、でも、本当は私こそ感謝しなければならないんですよね。なぜなら、魔法使いにとって数多くの敵と狭い空間で戦うのは、本来非常にツライのこと(※2)…そんな中、私がその場に居続けることが出来たのは、戦士の皆さんがタゲ役や壁役になってくれたからこそなのです。

 うーん、人って助け合って生きているんだなぁと、死亡者続出の中、不謹慎にも感動していたジギでした(笑)。


※1:
普通のオークの3倍の大きさはあろうかというオーク・ブルート。扇動無効、オートディスペル(召喚魔法を自動キャンセル)という特技に加えて、なんと魔法攻撃をくらうとオークを投げつけてくるという鬼っぷりです(←いや、強さというよりそのオーク投げが…笑)。

※2:
魔法使いは、呪文詠唱中にダメージをくらうと魔法がキャンセルされてしまうため、常に敵との間に一定のスペースを確保しつつ戦う必要があります。しかし、ダンジョンのような狭くてしかも多くのモンスが沸くような場所では、ただでさえスペースを確保する場がないうえに、やっとスペースを開けても今度は別の新しく沸いたモンスにタゲられ、さらなるスペース不足に陥る危険性が高いです。したがって、そういった場所はPスキル(プレイヤースキル=プレイヤー自身の技術)の低い魔法使いにはいささか向いていない場所だと言えます。