日本人の女性が一生に産む子供の数、生涯出産子数は 1.6 くらいだ という話を最近聞いたような気がします （1990 年前後？ 2000 年には 1.34 となった）。

考えてみると、ある生物が一度に産む子の数、あるいは一生の間に産む 子供の数はいろいろです。 猫や犬では、一度に出産するのは４〜６匹くらいだったかな。 海亀は一度に１００個くらいの卵を産みます。 もっと単純な動物、例えば寄生虫サナダムシは、毎日１０万個以上（わぉ！） の卵を産み続けるそうです。

さて、問題です。
これらに共通するルールは、何でしょうか？
何がこれらの数を決めているのでしょうか？

ある生物が種として生き続けて行くためには、個体数が安定している 必要があります。だんだん少なくなっていけばやがては絶滅しますし、 あまり増えすぎると過剰人口になって食糧資源が足りなくなるので いつまでも増え続ける事はできません。

短期的にはそういう変動があったとしても、現在は生命誕生後 すでに十分長い時間が経った後とみなせますから、（絶滅しそうな 生物とかは除くとして）各生物種の個体数はそれぞれ安定している はずです。

安定している、とはどういう事でしょうか？
巨視的には、地球上に存在するその種の個体数がいつも変わらない という事です。
もっと近付いて見ると、それは、１世代進んだ時に、父親と母親の 数が前世代と同じくらいで、それぞれが前世代が産んだのと同じくらいの 数の子供を産む、という事です。
もっとミクロに個体レベルで見ると、１夫婦（２人）から産まれた 子供達が成長して、それぞれ非血縁の個体とペアになり２夫婦（２家族） を形成するという事です。

つまり、あるペアがどんなに沢山子供を産んでも、 そのうち成熟して次の世代の子供を産んでくれるのは たった２個体にすぎません。

そこで問題になるのが成熟するまでの死亡率です。
子供は成長する過程で様々な要因で死んでしまいますから、 死亡率が高ければ沢山子供を産まなくてはなりません。 弱いものほど、沢山子供を産まなくてはならないわけです。 （サナダムシの産卵のなんと無駄な事か。でもそれでバランスしているから それでいいんです。）

日本の子供はおそらく地球生命史上もっとも死亡率の低い 生物種ですから、医療が発達するのに伴い、生涯出産子数は ２に近付いて来た訳です。
（２以下になったのはまた別の要因と考える、このままだと日本人は 絶滅する。）