遺伝子データ保護


<< 1996/06/22 読売新聞 夕刊より >>

■遺伝子データ保護

「知的財産権」検討へ 通産が検討会

 通産省は二十二日、遺伝子情報を巡る知的財産権や プライバシー(個人情報)保護の在り方について、本 格的な検討に乗り出す方針を明らかにした。具体的に は、(1) 遺伝子情報に知的財産権を認める (2) 遺伝子に関 する個人情報を保護する (3) 遺伝子研究の安全性に関す る情報を開示する一一の三つのテーマを設け、テーマ ごとに専門の研究会を作る。研究会は企業や大学の 研究者らで構成し、今年夏にも発足、約二年かけてそ れぞれのテーマを検討する。政府はこれに基づいて 指針(ガイドライン)を策定することも考えている。

 遺伝子を解読(解析)して得たデータについては、 データの持つ意味(機能)がわからなければ、知的財 産権として保護しないという考え方が先進国では主流 だ。このため、遺伝子情報の解析に膨大な費用と時間 をかけても、知的財産権の保護を受けられない可能性 があり、企業や大学が解析作業を敬遠する一因となっ ている。研究会は、機能が分かっていないデータの権 利をどう保護するかを検討する。

 さらに、将来、人間の遺伝子の解析が進んだ時、個 人の遺伝子情報が漏れると、その人がかかりやすい 病気などが分析され、例えば就職や生命保険の契約の 際に不利になることなどが想定されるため、プライバ シーとの関連で遺伝子情報をどう保護するかも考え る。すでにアメリカでは、雇用や保険契約での遺伝子 情報の利用を禁じている州もある。

 また、微生物の遺伝子組み換えの研究施設を新設す る時、安全性に不安を抱いた周辺住民が反対運動を起 こすことなどがあるため、、欧米の情報開示の方法など を研究し、日本版の情報開示の在り方を示す方針だ。

 遺伝子情報を利用したバイオ産業は、将来の成長産 業として有望視されているが、現状は基礎研究などで 欧米に後れをとっている。研究会の設置は、国際競争 力の強化に向けた環境を整える狙いもある。

――引用終り――


「機能が分かっていないデータの権利」だって? 理解できないなぁ。 「第8染色体の端から13,885,700番目の塩基配列が AATTGGCCAATTGGCC で あることは、僕が発見した特許です、機能はわかんないけど。だから この塩基配列を使っちゃダメだよ。」とでも言うのでしょうか。


1996/06/24 T.Minewaki
1997/03/23 modified T.Minewaki

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