◆ MINEW の座右の銘 ◆


テニスボーイの憂鬱

人生はテニスのシングルスゲームと同じで、誰かが誰かを
幸福にすることなどできない。他人にしてやれることなど
何もない。他人のことをわかってやるのも無理だ。他人を
支配するのも無理だし、支配されることもできない。
人生はシャンペンだけだと思うか? そう吉野愛子は聞いた。
そうシャンペンだけだ、そう答えればよかったとテニスボーイは
今思っている。シャンペンが輝ける時間の象徴だとすれば、
シャンペン以外は死と同じだ。キラキラと輝いていなければ、
その人は死人だ。キラキラと輝くか、輝かないか、
その二つしかない。そして、もし何か他人に対して
できることがあるとすれば、キラキラしている自分を見せて
やることだけだ。キラキラする自分を示し続ける
自信がない時、それは一つの関係が終る時を意味する。


「テニスボーイの憂鬱」村上龍 / 集英社 (1985) 第2章 5 より引用

真理ですねぇ。
ゴーンと叩かれて、じわーんと体に広がっていく一文です。
この本は、この数行のことを言いたいがために書かれた本だと思う。
村上龍の考えていることは、いつもとても単純なのだと思う。


2000/01/27 T.Minewaki

みんな同じさ / 村上春樹
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