◆ 島、登場。 つれづれノート (10) ◆
◆ どんぐり いちご くり 夕焼け つれづれノート (11) ◆
銀色 夏生

Tsurezure Note 10
作品名:島、登場。 つれづれノート (10)
作 者:銀色 夏生
発行所:角川書店 角川文庫
    2001年6月25日 初版発行
定 価:571 円(税別)
ISBN4-04-167344-5 C0195 \571E
Tsurezure Note 11
作品名:どんぐり いちご くり 夕焼け つれづれノート (11)
作 者:銀色 夏生
発行所:角川書店 角川文庫
    2002年6月25日 初版発行
定 価:514 円(税別)
ISBN4-04-167348-8 C0195 \514E


つれづれノートシリーズ 10, 11 巻目。
2000/04/01〜2001/03/31 (10巻)、2001/04/01〜2002/03/25 (11巻) の日記。
2冊続けて読んだのでまとめて感想を書くことにする。

第9巻から漂っていた、 2番目の夫イカちんとの不穏な関係が、次第にこじれて行く様子が つれづれに記されている。 日常生活の中で夫婦の価値観の違い、気持ちのずれがどのように現れ ストレスが蓄積して行くのか、リアルに伝わってくる。 読者(僕)は銀色さんの側に感情移入して読んでいるので、 そうなるのも仕方がないなぁと思えてしまう。タイトル通り、突然、島登場。

10 巻では、うつうつと考え込み「島」への道を模索するが、 11 巻ではついに告白。考えがまとまり、いろんなことが吹っ切れて 状況は解放へと向かう。島、頓挫。目の前に広がる未来、その爽快感。

-11巻 p165-
今は平らな広い草原に立っている。右、左、前、後ろ、
みわたす限りの草っぱらだ。次のどこかへ、私は行こうと
している。次のところを、早く見てみたい。より自由で、
自然で、大らかなところがいいなあ。
何もない、という不安よりも、何がやって来るのだろう とわくわくする期待感でいっぱいだ。 こういう姿勢にはなかなか至れるものではない。読むと元気が出る。
まぁ、現在の銀色さんにはかなりの経済的余裕があるようなので、 生活の糧について心配する必要がない、という楽観バックグラウンドは あるのだろう。(もちろんそれは彼女が努力して来た結果だ。)
他にも、以下のような記述は銀色さんならではの視点。

-11巻 p54-
人生について考えてみた。
私は何のために、今こうして生きているのだろうか。
長い人生を何のために。
すると、ピンとくる答えがうかんだ。
私は人生に遊びにきたんだ。人生の中で楽しもう。
人生という広さと長さを楽しく遊ぼう。興味深いものは
いっぱいある。人も場所も、なにもかも。
すがすがしい。前向きな心。

本の真ん中へんに数ページ挿入されているカラーページ、 かわいい子供たち(かんちゃん、さくぼう)の写真が満載。 子供はぐんぐん育っている。
10 巻では銀色さん本人も写っているが、11 巻ではついに本人は 1コマも登場しなくなった。残念。

ページの端をちぎってマークしたところは多い。 特に今回は人生の岐路で悩んでいるので、教訓となりそうな言葉が多数見られた。
(10巻)page 24, 31, 34, 40, 79, 84, 105, 150, 157, 161, 184, 193, 204, 212, 231, 234, 241, 273, 275, 290, 297, 306, 307, 310, 314, 321
(11巻)page 20, 32, 39, 50, 54, 70, 76, 85, 90, 91, 109, 114, 158, 165, 178, 182, 223, 247, 262, 263, 270, 280

2003/03/12 Takakuni Minewaki
2004/09/29 last modified Takakuni Minewaki

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