( 1997/8/12 撮影 at ツグリキン・シレ、モンゴル )
ゲルに着くと、バタバタ、ボリボリと体の砂を落として中に入り、 バサバサとベッドの上の砂を払ってから、やっと落ち着くことができる。
今回泊まったゲルは、僕らの滞在のためだけに急造で建てられたものなので、
それほど見かけのいいものではなくて、床は地面そのままだし、
壁財の骨組みがそのままむき出しになっている(写真)。
ふつう観光客が泊まるようなゲルは、
壁も綺麗な模様のついた布で覆われている
もんなんだけど。
砂が吹き込みやすいのはそれが一因かもしれない。
でもその木組みの角に荷物を引っ掛けてぶら下げたりして、
これはこれで便利だな。
他のメンバーたちも、ひとりまたひとりと帰ってくる。
風が強くなってきた。風上の方の地平を見やると、茶色く煙る雲が
地面を這うようにこちらへ近づいてくるのが見える。
あれはなんだ? 雲ではない、風に巻き上げられた「砂の固まり」だ!
映画なんかで時々聞く「砂嵐」がこっちにやってくるのだ。うひゃぁー
バルスボルド博士(モンゴルの恐竜学権威)がキャンプに到着している。 昨夜9時にフルンドッホ (去年発掘をした所、 今年も発掘ツアーが行われている。ここからは直線距離にして約 400km) を出発し、夜じゅうジープを走らせて、10 時半にこに到着したとのこと。 すごいパワーだ。
砂でジャリジャリする昼食の後、バルスボルド博士を囲んで、
最新の恐竜研究動向や、ツグリキン・シレの化石について歓談する
(14:50〜16:15)。
ツグリキン・シレはモンゴル有数(ということは世界有数ということだ)の
恐竜化石産地で、プロトケラトプス、ヴェロキラプトル、ヨロイ竜、
ダチョウ恐竜、恐竜の卵などの化石が出るとのこと。
地質的には川、湖、砂丘の混じった土地だったらしい。
すぐ近くのアラク・テグという場所でもいろいろ出る。
博士と語り合っている間、外はものすごい砂嵐で ゲルはびゅうびゅう音をたてていたのだが、 「そのうち止むよ」という博士の言葉どおり、 歓談が終わる頃には風は穏やかに吹いていた。
[ 南ゴビ 写真日記 1997 | 思い出のアルバム | MINEW ]
T.Minewaki / minew@post.email.ne.jp