化石がザクザク

[White Dino Fossil]
( 1997/8/11 撮影 at ツグリキン・シレ、モンゴル )

風砂にまみれながら、目をこすりながら、荒れた斜面をうろうろと歩き、 骨っぽいものを探す。
さっそく、Wさんは白い露出物を砂の中に発見した。 アルンさん(アルンチムクさんのことを省略してこう呼んでいた)に 見てもらうと、「プロトケラトプス *」の化石だという。 かなり固まって多くの骨があり、頭はこれで体はこっちを向いてるのかなー という雰囲気がある。
いきなりこんなのが出てしまうのか。 去年フルンドッホでは 何日間も探してやっと 尾骨1個 見つけただけだったのに。えらい違いだな。

地面を良く見て、ゆっくり歩く。ビュウゥゥッと吹きつける突風には 背中を向けて耐える。
ここでの化石は白い色をしているようだ。 化石のカケラらしいものはパラパラと散らばっていてどんどん見つかるが、 形をなしているものはなかなか目につかない。
ある斜面の途中に、親指ほどのくぼみがあり、その中に動物の骨が 詰まっているのを見つける。なんだこれは?(超小さい恐竜の化石か!? わくわく)顎の骨の一部を持って行ってアルンさんに見てもらうと、 「現世の小型動物の骨、ねずみかも」だった。がく。
そうこうしているうちに、他のメンバーはさらにちゃんとした化石を 見つけているようだ。Sさんはプロトケラトプス、アンクルディノさんは プロトケラトプスとなんだか判らないもの。

小さな丘を越えて行くと、なんだか白い固まりが目についた。
なんだあのでかいのは? と近づいてみると、これは骨だ(写真)、わぉ。 体のどこかの1個の骨のようだが、妙にでかい。割れてしまっているが、 長さが 50cm くらいはあるかな。周りにはこれの続きの骨らしいものは 見当たらない。これなら誰の目にも見つかるな、と思って、一応目印の 石積みを置いて、さらに進む。
このあと、プロトケラトプスらしい、背骨と指が判る部分体の化石と、 もう1体不完全なプロトケラトプスを発見した。深掘りせず、目印の 石積みを置く。

このころになると、あぁここはほんとうに化石が良く出る場所なんだな、 ということが実感としてわかってくる。この3時間ほどで、プロトケラトプスは もう6カ所くらいでポコポコ見つかっているし、 不完全なものは気にしてもしょうがない、という雰囲気がアルンさんの 言動から読み取れる。バラバラに出ているのはいくらでもあるんだよ、と いうのが。

もしかしたら、ここは世界で一番化石が良く出る場所、と言っていいほどの ものなのかもしれない。それだけの場所に僕たちは本当に来たのだ。 そして化石が露出している様をじかに目にして、素人の僕たちが それを触ったり掘ったりできるなんてことは、考えてみれば とてもとてもラッキーなことなのだ。

発掘は 18:30 で終了。斜面を登ってゲルに帰る。
バタバタと体をはたき、頭をボリボリ掻いて砂を落とすが、 とても完全に落とすことはできない。ゲルの中に設置してある ベッドの上にもいつしか砂が積もっている。 ここでは砂とつきあって行くしかない。


* 「プロトケラトプス」は草食の恐竜。良く知られている「トリケラトプス」 の3本の角を取って、小型にしたものをイメージすると近い。この旅行記の 後の方で、判りやすい化石が出てくる予定。:-)


1997/12/22 T.Minewaki
1998/05/10 last modified T.Minewaki

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T.Minewaki / minew@post.email.ne.jp