知るための教育から共生のための教育へ

<第5回ユネスコ成人教育会議後のAWE INTERNATIONAL COUNCIL参加報告>

白木 ゆかり(福岡市)

(グルントヴィ協会会報「Heimadal」18号から) 

<はじめに>

 97年7月14日から18日までの5日間にわたり第5回ユネスコ成人教育会議がドイツのハンブルグで開催された。デンマークのヘルシンガーでの第1回会議(1949年)以降、カナダのモントリオール(第2回、1960年)、東京(第3回、1972年)、パリ(第4回、1985年)とほぼ十数年ごとに開催されており、それぞれの時代を反映したテーマと声明文が採択されてきた。今回の会議では「成人教育:21世紀への鍵」というタイトルの下、成人教育における21世紀への展望と課題についての様々な角度からの討議が行われた。本会議の最終目標は、成人教育の危急な重要性を認識し、成人すべての学ぶ権利への地球規模的な誓約を立て、既存の方策による経験と望まれる改善策とを織りまぜながら、未来への方針と優先事項を勧告し、成人教育について声明文と未来への協議事項を採択し、さらなる国際的協力の促進を目指すものである。

 この会議における国連の諮問機関としてのAWEの役割は、

等であった。

 残念なことに本会議は原則として非公開であったため、一団体から代表者2名とオブザーバー6名の参加しか許されず、AWEからはオヴェ(AWE会長、デンマーク)、エディシオ(副会長、フィリピン)、ダニ(副会長、ウガンダ)、ユーディット(副会長、ハンガリー)、テレサ(チリ)、ヤコブ(デンマーク)、オーレ(デンマーク)、インゲー(AWE事務局、デンマーク)の8名が参加した。

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<「INTERNATIONALIZATION」と「GLOBALIZATION」>

 第1テーマのタイトルは「成人教育と21世紀への挑戦」。第1テーマは次の8つのキーワードから構成される。

 AWEはユネスコから第1テーマの担当を委任され、2年前からAWE主催の会議や会報においてこのテーマについての論議をグローバルな視点から展開してきた。「インターナショナル」と「グローバル」という二つの言葉はしばしば混同されがちであるが、前者が「Inter-national」という言葉通り「国家(Nation)」と結びついているのに対し、後者は「Think globally, act locally(地球規模で考え、(身近な)地域から行動しよう)」というスローガンにも唱われているように「地域(Local)」と密接に結びついている。この「Globalization」という概念は、これまでに開催されたユネスコ成人教育会議では用いられず、今回初めて導入されたとAWE会長のオヴェは指摘している。

 1985年開催の第4回会議から12年。その間、東西間の壁の崩壊に象徴されるように既存の政治・社会体制が180度近く転換し、また経済面では多国籍企業の台頭など経済のグローバル化が進行する中、先進国と発展途上国間の経済格差は広がるばかりで、不況・失業・貧困等の問題は世界的に深刻さを深めている。こうした複雑で不安定な社会情勢の下、人類が21世紀を生き抜くための鍵として成人教育に対する社会的要請が年々高まっているのだが、ほとんどの国が生涯教育に対する社会的認知度の低さや財政支援の乏しさ、公教育との連携の脆弱さ等の問題を抱えているのが現状である。

 本会議の意義は、こうした現在の施策での限界と問題点を見据え、国家を越えた新たな繋がりによるグローバルな視点から21世紀への人類の挑戦における成人教育の果たす役割を再検討するところにあるようだ。

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<RONSHOVED ホイスコーレでのAWE国際評議会>

 ユネスコの会議終了後、7月18日から21日にかけてデンマークのRonshovedホイスコーレにおいて、会議に出席したメンバーからの報告会を兼ねてのAWEの国際評議会が開かれた。今回の評議会は、ユネスコの会議報告や各支部からの活動報告を含むワーキングセミナーと、今後の活動方針や財政面等についてのビジネスミーティングの二本立てで、実務的で内容の濃いものとなっている。ユネスコの会議参加メンバー以外の出席者は、デンマークからはルース、エリック、ポール、ウーラ、ジャンの5名、カナダのマイケル、南アフリカ共和国のシャーリー、北アイルランドのポーリン。日本からは清水さんの代理として白木が参加し、全体的にこぢんまりとした集まりとなった。

 Ronshovedはデンマーク・ドイツ国境近くの小さな町で、ハンブルグからはIR特急で3時間。Padburg駅で降りて迎えの車に乗り込み、フィヨルド沿いの湾岸道路を通り過ぎる間、(夜9時近くにも関わらず)夕陽が射す中、地元の人が犬を連れて散歩したり沖でヨット遊びに興じたりと白夜のシーズンを満喫している光景を目にし、改めて北欧の地にたどり着いたという実感が湧いてくる。

 Ronshovedホイスコーレronshoved skoleは経済・社会学から芸術工芸、スポーツ、演劇や音楽まで総合的に学べるホイスコーレで、今の時期は短期のサマーコースが開催されているようだった。

 評議会会場は宿泊棟の3階のミーティングルーム。天井が高くゆったりとした造りで、窓からはフィヨルド沖のドイツの街がうっすらとだが見晴らせる。到着したその日、遅い夕食を済ませた後全員この部屋に集まり、軽く自己紹介。時計に目をやるとすでに夜10時半を過ぎていたが、辺りはようやく夕暮れ時の薄暗さに変わって深い闇が訪れようとしていた。白夜のため体内時計が狂いがちで深夜だという感覚はあまりないが、ハンブルグからの移動の疲れが出たようで、全員の顔合わせが終わるとすぐに皆それぞれの部屋に戻っていった。

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<ユネスコ会議報告>

 翌朝9時からのワーキングセミナーは、まずユネスコ成人教育会議の報告から始められた。最初に、本会議に出席したヤコブにより準備会議から本会議に至るまでの経緯の説明と会議全般についてのコメントがなされ、次にAWEとは別枠で参加資格を得て全日程出席したポーリンからAWEが担当した二つのワークショップの内容報告を受けた。

 地域別準備会議は、1996年から今年にかけて、アフリカ、アラブ諸国、アジア・太平洋地域、ヨーロッパ・北アメリカ、ラテンアメリカの5つの地域ごとに開かれ、前回会議から今日までのそれぞれの地域での社会的発達及び成人教育の潮流や最優先事項が調査・分析されており、またそこそこでの協議から導き出された答申書をもとに本会議で用いる参考資料が作成されている。AWEからはエディシオ(フィリピン)とカジ(バングラデシュ)がタイで開催されたアジア・太平洋地域会議に、カチ・オズンバ(ナイジェリア)がセネガルでのアフリカ会議に、ユーディット(ハンガリー)とヤコブ、オヴェ(デンマーク)がスペインでのヨーロッパ・北アメリカ会議に、そしてテレサ(チリ)とオヴェがブラジルでのラテンアメリカ会議にとそれぞれ参加している。

 分科会のテーマは以下の通り。

 ヤコブによると特に第4テーマを担当する女性団体の活躍がめざましく、ICEA(International Community Education Association)等のプロフェッショナルに徹した活動ぶりが顕著だったようだ。

 本会議中AWEが担当した二つのワークショップでは、「成人教育と21世紀への挑戦」をテーマとするパネルディスカッションと、「民主主義と平和教育を推進させる教育学的挑戦」というタイトルの下でグループ別討議が行われ、オヴェとヤコブがそれぞれ進行役を務めた。冒頭にオヴェがAWE会長として挨拶を述べる中で、成人教育と民主主義及び平和に地球規模で影響を与えている急激な社会的変化について語り、ゲストスピーカーとAWEのメンバーを紹介した後、第一ワークショップが開催された。

 まず最初にエディシオが口火を切り、地域で国家単位でそして地球規模でいかに感じ、学びそして行動するかを学んでいく必要性、批判精神を持ち創造的かつ共感できる心を持つ必要性、そして我々人類の夢について主張する必要性について述べた。また彼は、消費中心主義を広める多国籍企業の圧力を批判する一方、実際に活動を進める上で重責を担いがちな指導的リーダーの能力の浪費の危険性についても警告している。

 これに続いて、テレサはチリにおける17年間に渡る民主主義への闘争からの覚醒を背景に、形式だけの民主主義と本質的な民主主義(すなわち権利を持つ権利)とを区別すべきだと主張した。経済のグローバル化はチリという国を経済面で潤したが、下層階級の生活の質は悪化し貧富の差は広がる一方であるという。

 彼女は成人教育の貢献度は認めているが、さらに戦略的に考え行動する必要性と異なる社会の人々とつながりネットワークを広げることの重要性を強調した。

 ウガンダのダニは肯定的価値としての文化的多様性を認識する必要性と、土着民族の蓄積があることを述べている。

 また、南アフリカ共和国のシャーリーは性差別が存在する限り本質的な民主主義は完全に達成されないことを強調しており、性平等と発達との密接な関係に対する理解の欠如を克服するための具体的な勧告を行っている。そのひとつとして、成人教育及び訓練における人道的・民主的かつ実業的・経済的伝統は女性にとって非常に重要であることを認識すべきであり、国際会議における声明文の適用により女性の地位向上を監視する「Gender Watch」を創設すべきだと提案している。

 パネルディスカッション後、質疑応答をはさみ第二ワークショップへ。グループ討議では、紛争解決の貢献者としての、そして和解と平和を増進する使者としての成人教育指導者の役割についての認識が喚起され、今後さらに教育指導者に必要とされることが結論の中で以下のように幾つか挙げられた。

 さらに、教育指導者を育成及び支援することに焦点を当てなければ上記のような目標は達成されないことが付け加えられた。

 次に、第1テーマの担当を委任されてから2年間に渡る準備活動の評価について論議した。

 一昨年からAWEの会報「The Journal of World Education」において、会員を含む各国の教育関係者による当該テーマに関する論文を掲載し、これらの論文をもとに会議用刊行誌「Adult Learning and the Challenges of the21st Century」を発行している。これに掲載された内容は第1テーマの8つのキーワード総てを網羅するものではないが、グローバリゼーションという新しい見解を先駆けて取り上げている点については高く評価できるだろう。今後もAWEの会議や会報においてこのテーマを扱うことが意見として出され、さらに今後も継続してユネスコ及び国際連合と連絡調整を図っていくことが決まり、副会長の一人であるハンガリーのユーディットがその調整役を務めることが承認された。

 会議報告の後、20分程度のコーヒーブレイクを挟み、ミーティングは再開した。AWEの基本理念について再確認する意味も含めてエディシオがレクチャーし、その後自由討議となった。成人教育について考察する際、地域・国家・地球規模(Local-National-Global)の3点から捉える必要があることや、枠組みとしての国家を越えて地域市民社会が地球規模的に結びつきを強める必要性、グローバリズムの概念や移民教育等を盛り込んだ教育学の発展等が論じられ、2日目午前中のスケジュールは終了した。

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<支部からの活動報告>

 午後からはいくつかの支部からの活動状況についての報告があり、最初はハンガリーのユーディットが近々設立されるフォークスクールについて、学校の設計図を手にその設立までの道のりや進捗状況について報告した。その学校はオーストリアとの国境の町ショプロンの中心部近くに建てられる予定であり、寄宿生10数人を収容できる施設を備えていて、また校庭には木の架け橋のオブジェが建てられるという。去年開催されたAWEの準備セミナーで、ハンガリーは東西世界及び南北を結ぶ架け橋の役目を果たすだろうと話していた彼女の言葉が不意に思い出された。

 続いての報告は日本から。日本グルントヴィ協会設立から現在進められている清和村ホイスコーレの開設計画までの経緯を報告する前に、日本の教育事情について少し触れてみた。

 日本の教育・受験制度の過酷さは世界的にも知られているが、その弊害を訴える声が年々高まっているにも関わらず、現行の制度をたやすく変えられない理由の一つとして、学校・教師側に教育裁量権が与えられず、文部省の学習指導要領に沿ってカリキュラムが組まれていることを挙げた。政治・行政だけでなく教育面でも実際には中央(国)がその権限や決定権のほとんどを掌握する「中央集権」的システムが問題の根底にあるが、そうした閉塞した状況に風穴を空けようとする地方分権の波が近年全国的に広がり、国からも(具体的・財政的な回答は得られないものの)幾つかの公益事業を地方に委託する見解が出されている。地方分権実現に向けての課題は山積みではあるが、自律した市民社会を地域から創りあげていく過程において地方分権への動きは今後も重要な鍵となるだろう。 「そしてもう一つの小さな波が4年前に起こり、人々の共感を集めながら次第に大きくなり、今では全国的な広がりを見せている」。清水さんとオヴェ共同編集による一冊の本「デンマークに生まれたフリースクール〜『フォルケホイスコーレ』の世界」が投げかけた波紋が、?番目のホイスコーレの設立に向けての計画着工までに広がっていること等の報告に併せて、その他の活動や今後の展開について話し、最後に地域自立と日本のフォルケホイスコーレ運動の展望で話を締めくくり壇上を降りた。

 意外にも皆さんから拍手をいただき、エディシオからは話の中で紹介した「フォルケホイスコーレの世界」の英訳部分のコピーを求められた。

 フィリピンの「生のための教育財団」代表である彼は、解放のための政治・経済学や日本の商社などの多国籍企業への侵略への理論武装、辺境地域の文化的アイデンティティー・民衆文化の継承等についての教育をホイスコーレ活動を通して各地で行っている。そんな彼からは、陽気で穏やかな表情の下に日本人全体に対する批判的な目が時折感じられることがあったのだが、もしこのレポートと日本でのホイスコーレ運動の歴史に関する記述が、彼の日本人観に「同じ『市民』である日本人」という要素をわずかばかりでも加味できたならば、微力で頼りない代理ではあるけれども参加した甲斐があったように思えた。

 次に、ウガンダのダニがケニアや南アフリカ共和国等のアフリカ諸国を代表して、アフリカ支部が各国で相互協力し連絡調整を図りながら活動を進めていくこと等について短いコメントを述べ、続いてデンマークからはヤコブが今回の会議におけるデンマーク支部の活動について振り返り、まずまずの成果が得られたことに対する満足感を個人的な感想として付け加えた。

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<夕食後のワインの夕べ>

 通常は最終日の夜に、会議の締めくくりとしてちょっと贅沢なディナーが催されるのだが、20日の午後にはデンマークを離れる会員が何人かいたため、予定を1日繰り上げて19日の夕方に、食堂ではなくマントルピースのある応接室のような部屋で、キャンドルのほの明るい灯火の中での夕食となった。

 ここのホイスコーレでの食事は素材の良さに加えて味付けが素晴らしく、またドイツに近い土地柄のせいだろうか、どことなくドイツ料理の味付けを思わせるものだった。ワインが少し回ってきたメンバーもいるようで、普段以上に賑やかなディナーとなった。

 隣合わせたテレサとダニとの会話の中で地方分権が話題に上った。途上国では中央集権体制をしいている国がほとんどらしく、そこでは貧富の差は広がる一方で下層階級の人々

は社会的に劣悪な環境に置かれており、チリでは特に就業女性の職場環境はひどいらしく、就業時間の長さ(休憩時間もあまり与えられないそうだ)・低賃金・過酷な労働など「野麦峠」を彷彿させるような状況を耳にした。メディアからは伝えられない情報を交換し合い、互いの活動状況や目標を社会的地位を越えた人間同士の繋がりで話し合えることが、国家・民族の枠を外したネットワークの強みだと実感できるひとときだった。

 夕食の後、この近くにコテージを持っているデンマークのメンバーが、そのコテージでのワインパーティーに全員を招待してくれた。学校から歩いて30分そこそこの距離だったろうか、そのコテージは木立を抜けたところにあり、芝生が敷き詰められた庭はフィヨルドに面している。古い漁家を改築したその家は二棟に分かれていて、そのうち一つは美術工房となっていた。ベランダから庭を眺めながら、または暖炉のある部屋でくつろぎながらの楽しいワインの集いにしばし時間を忘れて語り合った。

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<教育と民主主義に関するインターナショナルアカデミー>

 RONSHOVEDホイスコーレで迎える2度目の朝。ハンブルグでは不順な天候(特に蒸し暑さの後の急激な冷え込み)に悩まされたが、ここでの気候は比較的穏やかだった。(それでも長袖のシャツの上から羽織るストールは手放せない。)昨日と今日の実質2日でユネスコ会議報告から今後の具体的活動についての論議まで盛りだくさんの議事をこなさなければならず、かなりハードな日程が組まれている。さすがに何人かは疲れが出たようで、会議開始15分前にようやく食堂に現れて朝食を急いで口に運んでいるメンバーも見かけられた。

 この日の最初の議題として、ユネスコ会議中、文部大臣を通じてデンマーク政府が「教育と民主主義に関するインターナショナルアカデミー(International Academy for Education and Democracy)」設立の意志表明をしたことがヤコブから報告された。

 7月15日、デンマークの文部大臣オーレ・ヴィ・ジェンセンがAWEが担当したエキシビションに出席した。オーレ文部大臣は冒頭の挨拶の中で、人々が自由を享受し貧困等の艱難を克服するためには教育が必要不可欠であることや、教育が健全な民主国家の維持に大いに寄与しているについて述べた後、教育と民主主義に関するインターナショナルアカデミーの設立を目指すことを宣言し、ユネスコ及びヨーロッパ評議会等と協力して計画実施におけるイニチアシブをとっていくことを表明したとのことである。AWEはこの提案を受け、今後のアクションプランのひとつとしてデンマーク政府及び文部大臣の相談役として支援していくことを決定した。

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<成人教育における4つの柱>

 午後からの会議が始まる少し前にミーティングルームに行ってみると、エディシオを囲んで数人のメンバーがなにやら歌っている。エディシオが即興で創った今回の会議のテーマ曲らしい。彼の口ずさむメロディはとても憶えやすく、皆すぐにその輪に加わって歌いはじめた。歌詞の詳細はおぼえていないが、歌の締めくくりに

「To be! To do! To learn! And to live together!」

という掛け声が入る楽しい曲だ。踊りながら歌うエディシオとダニの二人を皆拍手で盛り上げる。いつもながらエディシオとダニは会議前の雰囲気づくりが見事だ。

 午後からの議題は財政面の問題がその他の事務的事項と併せて1時間程度話し合われ、その後はデンマーク支部の総会が開かれるため、そのほかのメンバーは午後4時からのビジネスミーティングまでは自由時間となった。

 コーヒーブレイクしようと食堂横の談話室に集合。談話室はサンルーフになっていてガラス越しに明るい日差しが降り注ぎ、デッキにはグリーンや花の鉢植えが置かれている。明るい色のソファーに数人で腰掛け、賑やかなおしゃべりで盛り上がる。

 話の中で先程歌った曲の掛け声について聞いたところ、あれは今度の会議のまとめ(summary)のようなものだという。後で分かったことだが、1年前からの準備会議を経て作成された答申書の一つに「21世紀への教育についての国際委員会(The International Commission on Education for the Twenty-First Century)」によって作成された「Delor's Report」と呼ばれる報告書があり、この中で成人教育の4つの柱が系統立てられている。

 前二つの柱については、過去の会議で何度となく論議されているが、後半二つの柱は今回の会議の主軸となるものであり、また、我が国の生涯教育において最も必要とされるものではないだろうか。

 現状としては途上国のほとんどが国民の識字率を上げ、GNPを高めるために第一、第二の柱に重点が置かれているが、地域別の準備会議においては、平和・共存のための教育と人間らしさを目指す教育の必要性は、特に後進国と云われている国々からの指摘が目立ったという。

 成人教育が日本に導入された当初は、高度情報社会における急激な変化に適応するための技術及び資格取得を目指す第二の柱が広く受け入れられたが、今後は第三・第四の柱を視野に入れた幅広い生涯教育の展開が強く望まれるところだ。

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<ビジネスミーティング(AWE委員会)>

 午後4時からのビジネスミーティングですべての議事が終了する。ここでは2年に1度の会長・副会長選任等の実務的でやや堅苦しい議題が並ぶのであるが、司会役を務めるエリックのゆったりとしてどこか微笑みを誘うキャラクターのおかげ(?)で終始和やかな雰囲気に包まれた総会となった。

 まずは新たにAWE支部となったチリと新会員4人の紹介があり、代表してチリのテレサから挨拶と共に参加後の抱負が語られた。続いての会長・副会長の選任では、会長のオヴェをはじめ4人の副会長が再任することが全員の承認で決まった。

 今後の具体的活動として、

等が事務局のオーレから発表され、その後財政面の報告と事務連絡が付け加えられて総会は終了し、全員拍手でもってこの3日間にわたる国際評議会を締めくくった。

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