清和の自然と人情を満喫

ホイスコーレ清和(2001年7月21-23日)の報告

吊り橋での参加者たち
 大人の林間学校という趣旨で、2001年7月21日から23日まで、熊本県清和村緑川の清流館で協会の夏のセミナーを行いました。今回は久々に二泊三日で、ちょっとした短いサマー・ホイスコーレです。清流館はこの二年間、リュ・ホイスコーレの日本コースの受け入れ先となった場所です。

清流館(旧緑川小学校を改築)

 まずは、バスに乗り、清和村、矢部町の自然探訪。デンマーク人たちを魅了した日本の山里と渓流の風景を会員のみなさんにも味わっていただこうという趣旨です。バスはこの間いつもお世話になる蘇陽町の南阿蘇交通。ビジネスライクでない田舎の素朴な対応がこの会社のもち味です。

 清和村の美しい山里風景を見た後は、通潤橋に行きました。このときは改修工事中でした。みなが感動したのはその裏手にあたる五郎ヶ滝を間近に見たときです。雄大な滝の光景に感銘の声がしきり。顔に水しぶきがかかり、夏らしい涼やかな風景です。「あまり知られていないけど、これはすごい観光資源だよ」との声も。その後は鮎の瀬大橋に行き、お尻がむずむずするような高さを楽しみました。

五郎ヶ滝

滝をバックに参加者たち

 夜は野外でバーベキューを楽しみながら、同時に姫野洋三さんのコンサート。緑川地区の人たちも参加し、楽しいひとときでした。姫野さんも「老若男女すべての人が来ているので、みなに合うような内容にするのはむずかしい」といいながらも、会場から「与作」の一部を歌うように工夫するなど、上手に盛り上げていました。この清流館は百年以上続いた地区の小学校で廃校になったものを改築したものですが、地区の方から緑川小学校校歌も出たり、清流館の支配人奈須昇さんの隠し芸の郷土紹介の仁義も出て、楽しい夕べとなりました。

姫野洋三さん

地区民の方々もいっしょに楽しむ

 コンサートが終わってまたバーベキューの続きをしていると、遠く群馬より来られた高石友江さんの大学時代(愛知教育大)のドイツ語の先生が同じ参加者の栗山次郎さん(現在は九州工業大勤務)とわかりました(ただし直接には習っていないとか)。世の中狭いものです。

 翌日は、五ケ瀬村の向坂山(1684m)へ車で登山。ほんとは近くの山を歩くつもりが案内を頼んだ奈須さんが本格的な山をと気を利かし、時間がないので車でいける山ということでこの山に行きました。五ケ瀬スキー場があるところです。舗装道路が切れた後は岩の道をひたすら登ります。かなり痛む車も出てきました。たいへんでしたが、子どもたちには楽しい冒険になったようです。

向坂山の頂上付近で

清和文楽

 午後は清和文楽を鑑賞した後、近くの鍾乳洞へ行きました。これが一番好評だったもので、まっくらな鍾乳洞を行くときの参加者の意外な反応が興味深いものでした。暗くて狭いところをいくと子どものように怖がる人も何人かいるのです。

 戻って灯油缶でできる竹の炭焼きに挑戦しました。Uターンして今はここで炭焼きに挑戦している奈須さん(この地区は奈須さんばかり)が先生です。暑いのでみなはあまり動かず、結局奈須さんが一人で全部して、夜も火の加減を見てました。翌朝には立派な竹炭ができてました。

できた竹炭を取り出す奈須さん

 この日の夜は清和天文台へ。比較的天気もよくそれなりに星も見えましたが、参加した人たちには都会からの人も多く、日ごろは気づかない夜空の美しさ、ロマンチックさにしばらくひたっておりました。

 翌朝竹炭を取り出しましたが、奈須さんが自分のつくった1メートルくらいの竹炭と木酢液をおみやげにということでみなさんに配りました。どちらも市価で数千円以上する高価なものです。恐縮しながらみなさん帰っていきました。

 清和の自然と人情を満喫したとても充実したセミナーでした。

 清流館は地元住民の振興会で運営していますが、村長が替わり、文楽館ばかりに力を注いで清流館を省みなくなり、経営がたいへんだということです。会員のみなさんには機会あればぜひこの清流館をご利用いただければと思います。

  熊本県清和村緑川 清流館

Tel/Fax. 0967-82-3311


参加者の感想から

あらたなふるさとが見つかったような気が・・・

円藤 純子(熊本市)

 ひとり旅では経験できないこと、今回もいっぱい体験できました。
 私は渓谷、渓流が大好きです(これはデンマークにはない?)。幼い頃夏休みになればいつも田舎に帰っていました。この齡になると、その故郷が私のふるさとではなくなってしまったのですが、あらたなふるさとが見つかったような気がします。あふれる緑、鳥の鳴き声、星空、すべてが「よう来たね」といってくれるようです。

 初体験は予定にはなかった鍾乳洞めぐり。といっても観光化されていないので、明かりもなく、足場も悪いけれど、それだけに洞窟そのものという感じでよかった。といいたいけれど、実は腹ばいになって進むときに早くもリタイアしてしまったのだ。自分の閉所恐怖症に気づかされる体験でした。

 姫野さんのギターのうまさ、声のよさ、人柄の静かさに感動しました。星空の下、中村隆市さんの「ナマケモノ倶楽部」やエクアドルの話もよかったです。

たくさんの思い出をもらった旅

高石 友江(群馬県高崎市)

 お世話になりました。この一言が一番似合う清和セミナーでした。子どもと二人おとずれた清和村。まだつかないね、どこだろうと思いながら、姫野さんと一緒に来ました。豊かな自然もさることながら、奈須昇さんはじめ多くの緑川の人たちのあたたかさにふれることができました。子どもたちも川遊び、洞窟探検と自然の中で遊びを満喫し、また文化的な石の橋なども思い出に残ったようです。

 あっという間の三日間でしたが、いろいろな人に出会えてよかったです。遠く群馬からはるばるやってきて、ひょっとしたら一期一会になる人もいるかもしれませんが、こうした人とのふれあいが私にとって旅をするだいご味のような気がします。群馬に帰って、今ごろ緑川の人たちは……九州の人たちは……と思い出すことでしょう。

 何かにめげそうになったときにも、こうした人とのふれいあいがあると今ごろみんながんばっているだろうからと思うと自分もがんばれるような気がします。本当にたくさんの思い出をもらった旅でした。

参考