協会のお助けできるまちづくり案 その2
2 環境・エネルギー分野

2-1 小規模水車、小規模風力発電の開発・設置事業を行う研究所の設立

 現在わが国でも自治体や商社を中心に大規模風力発電事業が行われているが、新エネルギー財団の補助があるとはいえ、設備投資があまりにも大きく、事業として成り立つのは困難であると推測される。これはわが国の風車市場が大企業中心で形成されてしまい、多大の中間マージンをとられて、デンマークやドイツで直接購入するよりもはるかに高くなっているからである。また売電システムが不備でとても利益が出ないこともある。

 このように売電目的の事業としてはわりに合わないので、観光資源として設置する自治体が多いが、すでに同様の自治体があちこちあるので、新鮮味に乏しいといわざるをえない。第三セクターの地方のテーマパークが倒産したが、今度は自治対立風車が同じ轍を踏むだろうと思われる。

 自然エネルギーはこれからのエネルギーとして需要は見込まれるのは論を待たないが、企業中心の市場となっており、個人が参加することができない。脱サラしての就農、有機農業志望者が今いちばん多い就農者であるように、個人的に投資をして自然エネルギーの生産をしたいと考えている者は多く、循環型住宅への関心は高いので、彼らを相手にした自然エネルギー普及事業を行う。

 具体的には、地元中小企業とタイアップし、彼らに小型水車発電、風力発電設備の開発、製造を委託する。その際の設計、開発、市場開拓を研究所で行う。

 研究所を小規模自治体が設立する例としては山梨県早川町に「日本上流文化圏研究所」の例がある。この程度の規模の研究所なら財政負担もあまりいらない。協力理事は協会メンバーをはじめ、全国各地の専門家に依頼可能である。

 デンマークにおいては世界的に有名な民間研究所「フォルケセンター」がこうした役割を果たす。80年代を通じて風車発電の実験と開発を行い、設計図を無償で町の鉄工所に与え、風力発電企業を養成。今では輸出産業の柱となる。フォルケセンターの所長プレーベン・メゴールは現在では新エネルギー財団の招きで日本各地を講演しているが、最初に彼を日本に紹介し、招待したのは当協会である。

Follecenter

フォルケセンター

プレーベン

プレーベン・メゴール

2-2 オープン・エアの「エコミュージアム」構想
 筑後川まるごと博物館、筑後川流域連携倶楽部への参加と合同企画

 オープン・エアの「エコミュージアム」の実践例としてNPO筑後川流域連携倶楽部を中心とした「筑後川まるごと博物館」がすでにスタートしている。こうした試みに積極的に関与し、環境保全意識、住民自治意識を高める。その際イギリスのナショナル・トラスト運動(白木ゆかりさんのイギリス自治体報告参照のこと)などの先駆例も加味していく。

2-3 ネイチュア・アグリカルチュア・スクール

 町とNPO、教育団体、農業団体と協力して「ネイチュア・アグリカルチュア・スクール」をつくる。1-2の生活学校、1-4の青少年街角倶楽部との連携をし、また都市部の大人対象の週末園芸、農業体験農園的な役割をもたせる。就農希望者の研修施設も兼ねる。

 農事組合法人であれば学校、研修施設をもつことができる。地域の農事組合法人との協力が不可欠となる。

3 福祉分野

3-1 「グレー・ウルフ」、「パワフル・ハンディキャップド」の設置

 長野県松本市では地域の福祉の拠点としての「福祉のひろば」づくりを行っている。またドイツの全国老人団体に「グレー・パンサー(灰色のヒョウ)」があり、市民運動団体として活発な政治社会運動を担っている。

 このような先例に倣い、杷木町版福祉の広場として老人対象の「グレー・ウルフ(ドイツを意識して仮に名づけるならば)」、障害者対象の「パワフル・ハンディキャップド」を組織し(両者合同でもかまわない)、彼らが中心となって地域の福祉をリードするような活動を促進する。いわば自分たちが主人公の市民運動団体として位置づけ、独立性をもたせる。

 1-4の「青少年街角倶楽部」と同じく各地区公民館ごとにおいて公民館に部屋を確保する。地域通貨システムとの兼用で、シルバー人材センター、障害者作業所的役割を持たせることも可能である。

3、これからの住民行動原理、自治体の意志決定原理としてのマーストリヒト条約の「補完性原理」

 EU統合の際に序文で謳われた地域分散の原理に「補完性原理」というものがある。できるかぎり住民に近い主体で意志決定を行うとするものである。

 「消極的補完性原理と「積極的補完性原理」があり、前者は「小さな主体(住民、NPOなど)ができることはより大きな主体(行政、企業など)がそれを侵してはならない」という限定の原理で、後者は「小さな主体が充分になしえないときは大きな主体はそれを支援しなければならない」という介入・支援の原理である。

 協会のような小さく小回りの利く団体こそは、地域住民と協力しあい、学習・研究のネットワーク、ワークショップを繰り返して、住民の意欲と要望から生まれた政策を構想できると思われる。

 またシューマッハーの思想にあるような「適性技術」にもとづく地域づくりこそは協会に加わるメンバーの得意とするところである。

 まだまだ多くのアイディアを協会はもつが、興味を抱いた方はご連絡下さればいつでも駆けつけてともに考え抜くことができる。どうぞ協会までメールを。

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