日本の中のデンマーク的風景を楽しむ

ホイスコーレ阿蘇(2002年8月24-25日)の報告

デンマーク製風車の前で
 昨年の夏の清和セミナー以来、一年ぶりの協会の主催のセミナー「ホイスコーレ阿蘇」が2002年8月24日-25日に、阿蘇百姓村で行われました。

 今回はテーマを「自然エネルギー」に絞り、風車と太陽光発電を実践されている協会会員の方をお招きしてお話を伺いました。その一人原野順二さんは、佐賀の鎮西町で自力でデンマークから中古風車を個人輸入し、この5月から発電しています。2000年の春からのプロジェクトで昨年秋には完成していましたが、売電関係の手続きなどに時間がかかりました。32メートルの高さで、150キロワット時の発電量です。

話をする中川さん(左から二人目)と
原野さん(右から二人目)

 また太陽光発電トラストを主宰する中川修治さんもゲストとして来ていただいて、行政の補助金に過度に依存しない市民発電システムの必要性を語りました。中川さんは某国営放送の記者で全国を転々としてますが、今は佐賀に来て原野さんとも連絡をとっています。いい意味での自然電力フリークといえる二人の話は、かけあい漫才のように専門用語がどんどん出てくるので、初めての方にはついていくのがたいへんだったようですが、熱意は伝わったのではないでしょうか。

 福岡市の脱原発の市民グループ「たんぽぽとりで」は協会会員でもありますが、河端則子さんと吉岡知美さんが来られて「たんぽぽ発電所」の実践の報告をしました。これは市民からカンパを集めて、太陽光発電所を設置、運営しているものです。九州電力が傘下の市民団体を通じて補助金を出しているのですが、原発に反対して自分たちでクリーンな電力をつくるという趣旨なので、九電の補助金を申請することなく自主独立(新エネルギー財団の補助金は申請)で行った点などが評価できるところです。

柏木敏治さん

 その後は、近くの温泉でゆったりし、夜は水俣のシンガーソングライター柏木敏治さんのコンサート。柏木さんはおだやかな口調でたんたんと語り、水俣の自然を歌いましたが、胎児性水俣病の患者、鬼塚勇治さんのつくった詞に曲をつけた「安心の歌」など、心打つものがありました。歌詞の一部を紹介します。けっこう乗りのいい曲で盛り上がります。CDも最近出ています。

 コンサートの後は懇親会。一番遠方から参加された後藤詩子さんから始めて、一人ひとり自己紹介をかねていろいろな思いが語られ、柏木さん夫妻もいっしょに加わってくれました。

懇親会で語る詩子さん

 翌日は会員総会のあと、バスで草千里を経由して産山村のうぶやま牧場へ向かいました。看板も建物もない道を選んで通ったので車窓の阿蘇の雄大な風景がすばらしく、これだけでも来た甲斐があったというもの。

草千里にて

 うぶやま牧場に行くと大きな風車が目に付きます。デンマークのミーコン社製で荏原製作所が請け負っていました。昨年建設されたけっこう新しいものです。高さが69.1m、羽根が24.2mで、定格出力150kwとのこと。ここで原野さんの解説。残念ながらこの日は風がなく風車は回っていませんでしたが、日本におけるデンマーク的な風景でした。

風車の解説をする原野さん

 その後はバター作りのワークショップ。7度に冷やした生クリームを容器に入れて20分ほど振ると出来上がり。まろやかでとてもおいしい自作バターでした。

バター作りのワークショップ

 今回はこれまでも利用してきた阿蘇百姓村に宿泊しましたが、阿蘇グリーンストック運動の中心を担ってきた山口力男さんの運営するこの場所も最近は近辺に安い宿などができたせいもあり、あまりはやっていないそうです。こういうよい場をなくさないためにも、みなさんのご利用をお願いします。

 阿蘇百姓村
 861-3845 熊本県阿蘇郡阿蘇町赤水天神山830-1 
 Tel. 0967-35-1414 Fax. 0967-35-0487