---ま---

●マオウ マチン マムシグサ
●マレイン
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 マオウ(エフェドラ)

実が付いたマオウの雌木

日本の作家たちはおよそ薬物的知識が貧しすぎる。三すくみの喜劇を如実に実演しているのだ。蛙を退治する蛇をなめくじが溶かし、ナメクジを蛙が食う……眠くなるからヒロポンをのんではっきりする、はっきりしすぎて不眠になるので、アドルムを飲んで寝る、眠気が残るのでヒロポンをつかう、これだ。ますますこの恐るべき中毒は加速度的に健康を蝕みつづけ、ついに英才田中英光の自殺となった。太宰といい、織田作之助といい、田中といい、アプレ・ゲールはあまりにも非科学的であり非進歩的である。世紀末の詩人よりも生命に消極的である。

平野威馬雄 『ヒロポン禍 戦後作家の生態 

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マオウからエフェドリンを単離したのは日本人の長井長義博士で、これは日本人としても快挙であり、後の研究の進歩に大きな影響をあたえた。エフェドリンは喘息の薬であるが、興奮作用があるために『覚せい剤』としての使用が目立つようになり、このエフェドリンから作られたのが、日本でも悪名高い“ヒロポン”という名の薬で、その精神的依存性が大きな社会問題となった。昭和30年頃にはようやく鎮静化したものの現在でもいっこうに覚醒剤の使用者は減っていない。

毒・害

薬・効

<地上茎
アルカロイドのエフェドリンが主要成分(現在ではエフェドリンは合成製造されるためマオウは利用されない)

症状:エフェドリンによる過剰な興奮作用は、肉体的依存にはならないが、精神的依存を生み精神障害を病むようになる。

喘息、呼吸困難、風邪用に調合された漢方薬にはほとんどはいっている、ただし単独でつかわれることはない。


 マチン


写真入手ならず(^^ゞ

革質で卵形の葉、緑白色の花、果実はみかんの様なオレンジ色、この果実の中に平べったい種が数個。高さは20mほどにまでなる。
インドから東南アジア。日本にはない。

「とても面白いですわ。今のお話、もっと続けてくださいまし。わたし、神秘的な東洋のことにむかしから夢をもっておりましたの」

「では、お話しましょう。奥様のようなかたが、悪用なさる心配はございませんから。……たとえばマチンという毒を、初めの日には1ミリグラム、次の日は1ミリ増やして、10日目には1サンチグラムまでお飲みになるとします。20日つづけて2サンチグラムとれば、奥様には何のさわりもありません。が、初めて飲む人には非常に危険な量なのです。ですから、ひと月のあとには同じ瓶のものを一緒にのみながら、相手を殺すことができるのです」

夫人はほっと深いため息をついた。

「東洋人の毒物化学についての知識はすばらしいものです。阿片とかベラドンナとか、フォス・アンゴスチュラとか、毒蛇の木とか、ロリエ・スリーズとか、彼らはそういうものを自分をおびやかす敵を眠らせるのに用います」

「まあ」と、夫人は目を異様に輝かせる。

A.デュマ「モンテ・クリスト伯」

毒・害

薬・効

<全草、特に種子
アルカロイド、ストリキニーネ、ブルシン等。この種子をしぼってストリキニーネを抽出した。

症状:全身痙攣、身体中弓なりになって呼吸困難等から死にいたる。致死量は0.03〜0.1g

クラーレマチンが属するストリキニーネノキ属の植物はさまざまな種類があり、とくに南米などで狩猟の矢毒として使用される『クラーレ』はこの樹皮を水でよく煮てその煮汁をさらに煮詰めたものである。これを毒殺に使用したケースもある。

・少量用いる時は、胃の機能を促進させる作用があるので、食欲増進剤となる。

・中毒者の痙攣が始まった場合、ストリキニーネの分解排せつは早く、消化器官には影響がないので、呼吸の気道を確保したうえで、24時間もたせれば助かる可能性も高い。

キャプション
この毒で死んだ動物の肉を食べても中毒にはならない。


 マムシグサ

山道わきに咲く花
鍋割山のきつい登り道が続いたので、尾根道にはいったところでちょっと息をつく。
なにげなくわきの茂みに目をやると、大きな蛇がこちらをにらんでかまくびをもたげていた、、ように見えた。おりしも微風にそれが揺れる。私はぎょっとした。 
生まれてはじめて見た“それ”は私の恐れをバカにするかのように妖艶に高慢にたちつくしている。これこそがうわさに聞いてはいた『マムシグサ』であったのだ。

毒・害

薬・効

<全草
サポニン、シュウ酸塩、アミノ酸類、コニイン。

症状:触ると皮膚炎をおこす。食べると口や胃粘膜がただれる。多量に摂取した場合吐き気、心臓マヒで死にいたることがある。こんなものは誰も食べないだろうと思っていたが、毎年2、3件の中毒患者がでるらしい。薬効のあやまった摂取によるものだろう。

・飲んで効く腰痛の薬
このマムシグサの熟した実をそのまま4、5粒たべると体があたたまってきて腰痛に効くらしい。

・頑固な肩こりに
生の地下茎をすりおろし、足のうらに張る。ひりひりしてきたらはがす。そのあとおふろにはいると翌朝はすっかり肩こりがなおっているという。


 マレイン(ビロードモウズイカ)

当時の教科書に
毒草と紹介されていた写真転載

「ハーブ」という名前が世の中を漂いはじめたころ、
すでにローズマリーを2本も枯らしてしまっていた私は、ハーブ栽培について学びたくなり、講習会に3ヶ月ほど通った。
そこで配布されたプリントに、ハーブとは薬草でもあるが、中には有毒なハーブもあるというという記載が。
「にやり」
私の内なるものがほくそえむ。
リストには昔からおなじみの妖しげな植物が名を連ねているではないか! そうか、こういうのもハーブだったのか!
ケシ:「くくくくく♪」
麻:「ぐふふふふ♪」
シキミ:「きゃ〜〜♪」
マンドラゴラ:「うぉぉぉぉぉぉ♪」
・・・そして、リストの中に「ビロードモウズイカ(マレイン)」の名を見つける。『これ、全然知らない。どんなのだろう。どんな毒があるんだろう?』
以後、その植物本体にも出会い、『毒草である』と表現された多少の文章にもであったが、『圧倒的な毒』でないためか、今でもよくわからない。ビロードモウズイカは謎の毒草である。



Mullein also contains coumarin; and rotenone, a natural insecticide and fish poison, which is supposed to be non-toxic to mammals. It's important touse caution with medicinal or edible plants until you're familiar with their effects on your system. Start small, pay attention, and remember that all things are best in moderation.

Legend has it that buring mullein could keep witches away and contrdictory to that is the myth that witches were fond of it. Another myth says thatwearing the leaves it could insure conception and another that it could prevent it.

Kingdom: Plantae

Some claim that mullein was the mythical herb moly, given to Ulysses by Hermes as a protection against the sorcery of Circe.

Bother Cadfael's herb garden
(ただし私はこの説には不賛成。わはは)

毒・害

薬・効

<種子、特に花以外の部分
サポニン、クマリン、ロテノンなど

症状:ほ乳動物には無毒、ともあるが、腐さりかけた状態のものを食べた放牧の牛が死亡したという記述有り。これはクマリンの分解生成物デクマロール(有毒)の作用によるものらしく、とすれば他のクマリンによる芳香植物も腐敗がはじまると危険か? またロテノンは非常に魚毒性が高く、殺虫剤としての効果も期待可らしい。『ハーブ図鑑110』には“花以外の部分は毒性があるのでごく控えめに使用せよ”とある。

・去痰剤、抗炎症剤、抗生物質、収れん剤として。特に肺、粘膜等におだやかに作用する。

・強壮剤として、アメリカインディアンは、葉を乾かしたものをタバコのように吸う。
また他の薬草と交ぜて吸うことにより、喘息、気管支炎、肺の病気を治療するのに有効とか。(お茶にしても同様の効果がえられるらしい)

※平成14年9月13日、山形県保健薬務課は同県長井市立致芳小学校で、校内の花壇で採った薬草を食べた児童が、吐き気や腹痛などの食中毒症状になったと発表した。
調べによると、授業中に児童が薬草を採取し、てんぷらにして食べた直後、 16人の児童のうち、6人に食中毒の症状が表れ、5人が病院で診察を受けた。 保健所は、児童が食べた薬草をハーブの一種である「マレイン」(ビロードモウズイカ)と確認した。