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 マンドラゴラ(恋茄子、マンドレーク、アルラウネ)

イメージとしてのマンドラゴラ

小麦刈りの頃、ルベンが畑を歩いていて、恋茄子を見つけた。彼はそれを母のレアのところにもって行った。するとラケルがレアに言った。

「あの子の恋茄子をわたしにもわけてくださいな」
レアが答えた。
「わたしの夫を横取りしただけでもずうずうしいのに、この子の恋茄子までとりあげようというの?」
ラケルは言った。
「では、恋茄子のお礼に、今夜はあの人を姉さんと寝させてあげましょう」

夕方ヤコブが野原から帰ってくるとレアが出迎えて言った。
「今夜はわたしのところに来ていただかなくてはなりません。あの子がとってきた恋茄子で苦労してあなたを雇ったのですから」
そこでヤコブはその夜レアと寝た。

『旧約聖書』

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一方、ラケルも恋茄子が効いたか、みごもって男の子を産む。その後このラケルの墓の周りにはおびただしいマンドラゴラの群が繁殖したという。また最初にこの植物を見つけたルベンの一族はこれ以来、先祖の偉業(?)を記念するために、マンドラゴラをあらわす象徴的な人間の形をその一族の旗似縫い取りするようになったという。

<マンドラゴラの名前について>

恋茄子(旧約聖書などで)

まんだらげ→これはまちがい。まんだらげは
『ダチュラ(朝鮮朝顔/別名:気違い茄子)』のこと

マンドレーク→イギリスでは(イギリス名は)マンドラゴラのこと、
 アメリカではメイアップルのことでこれがまぎらわしい。
 メイアップルも根っこに毒があり(また同様に薬効もあるらしい)
 根のぐちゃぐちゃっとした感じがにていることから混同が起こったか?

ウーマンドレイク→“マン(man)”に対しての“ウーマン(woman)”
 とくに秋咲きのマンドラゴラをさす。

アルラウネ→とくにマンドラゴラの根っこのことをさす。

           

           


▲▼伝説の中のマンドラゴラ▲▼

★どんな植物?
・神が人間のひな形として実験的に造った植物。ゆえに物語などでみるマンドラゴラは人間のような形をしており、男女という性別までもつのだろう。

・エデンの園のアダムが夢でイブを抱いた時、そのとき漏れた精液が地面に落ちて生まれた植物。

・断頭台で処刑された男の精液と脂がまじって漏れ落ちた地面に生える植物。無実の罪に命を落とした人間の無念の涙と怨みが生み出した植物。それゆえにこの植物がもつ魔力が強いのか?

           

★何の為に使う?

・不妊薬として

根の外皮をはいで、糸を通して吊るして乾かす。それをワインや水で煮だし、漉す。上記に引用した聖書でも不妊薬としてもちいられている。

『マンドラゴラの根は男の精液以外のものではない』

・痲酔薬として 根っこは世界最古の痲酔薬である。
・麻薬として

刻んだマンドラゴラの葉をパイプにつめアヘンのようにこれを吸飲する。

『蒸気の力は毒と催眠剤との中間にあった。適度に用いれば、あらゆる苦痛の感覚を忘れた陶酔の人工楽園に遊ぶことができた』

『ほんの少量で人の羞恥心に変化を与え、幻覚や生々しい幻視をおこさせ、その倍量になると完全に人を狂わせてしまう。増量すればたちまち死をまねく』  

・魔女の薬として

魔女がほうきにのって飛ぶには、魔法をかけたこのマンドラゴラが必要とのこと。マンドラゴラの幻覚作用でトリップして「飛ぶ」ためだろうか?


『ジャンヌ・ダルクの名声を妬む貴族たちはイギリス(敵)側のブルゴーニュ公とひそかにとりひきをおこなっていた。
そんなことはつゆしらず、ジャンヌはコンピエーニュの町にのりこみ、そこでブルゴーニュ側の策略にひっかかり、捕えられイギリス軍にうりわたされてしまったのである。
宗教裁判がはじまった。
ジャンヌが神に使わされた聖女か、それとも魔女なのかを決める裁判である。わずか19歳の少女を、博士や司教たちがとりかこみ何日も質問攻めにした。
そのときの告発状にこのような箇所がある。
「ジャンヌはしばしば乳房のあいだにマンドラゴラを隠し、もって世俗的な富を手に入れようと望んだ。彼女はこのマンドラゴラなる植物にこのような効果があるということを断言してはばからなかった」』

要するに、ジャンヌ・ダルクはマンドラゴラの魔力を用いて善良な民衆をまどわし、イギリス軍を苦しめた妖術使いにほかならない、ということである。

・万能薬として

身体的な病気のみならず、精神病にも効果があった。

ざっとあげると、蛇の噛傷、打撲傷、体の衰弱、膿腫(皮膚癌のようなものにも効いたらしい)、鬱病、神経性の吐き気、あまつさえ、毒におかされた体からその毒を排出する、というのもあった。毒をもって毒を制するの典型か?

日本で「朝鮮人参」が万病に効くといわれていたのに似ている。  

           

★採取方法は?

準備…採取者は長期間の禁欲生活をし、採取の前に斎戒沐浴して身を清める。なぜならば邪淫の罪に汚れた人間が近づいてくると、マンドラゴラは即察知してもぐらのように地中ににげてしまうからである。

採取の日…説がさまざまあるのでいくつかあげてみる。
その1:9月の最初の土曜日
その2:12月のクリスマスの晩
その3:季節は問わないが、金曜日の真夜中
その4:季節は問わないが、金曜日の明け方
その5:土曜日ならいつでもいい

マンドラゴラをみつけたら…いきなり引っこぬいてはいけない。マンドラゴラが放つ強力な魔力を一時的に弱め、動けなくするためにいろいろなことをする。

例1)マンドラゴラのまわりに剣で三重の魔法の輪を描き、樹皮に3つの十字架の印を彫りつける

例2)マンドラゴラのまわりに女の月経の血や小水を散布する。

例3)マンドラゴラのまわりで若い処女が輪になって踊ったり、みだらな冗談をいう。
『ルーマニアのトゥルダ地方では、真夜中に若い娘が二人ずつ組になり、髪を振り乱し、裸になっ抱きあいながらマンドラゴラを摘みにいく。植物のはえているところへくると、二人は折り重なってねるのである』

、、、天の岩戸を彷彿とさせるような風景である。

        

いよいよ採取…人間は直接手を触れてはいけない。一匹の黒い犬を利用する。マンドラゴラが黒い色が好きだからである。

犬の首輪にながい皮紐をつけ、その反対側をマンドラゴラの根元に結わき付ける。そうして飼い主は大急ぎでその場を逃げ出す。犬は主人のあとを追いかけてくる。こうして犬が走り出せばマンドラゴラの根は引き抜かれることになる。根が引き抜かれたときにマンドラゴラは悲鳴を発する。この悲鳴はじつに不愉快な、金属と金属とが擦れ軋むような音で、うっかり耳にしようものなら人間は発狂してしまうか、その場で死んでしまうという。犬に犠牲になってもらうわけである。万が一のことを考え、ワックスで耳栓をしたり、角笛をふき鳴らして悲鳴が聞こえないようにする。

後始末…犠牲になった犬はマンドラゴラとともにその紐がついた状態で薬屋等にもっていく。ひきぬいたばかりの新鮮なマンドラゴラであることを示すためである。またマンドラゴラを引き抜いたあとの穴には、少々の食料と金貨を収めてきちんと土をかぶせておかなければならない。

★★これらの伝説が生まれてきた理由としては、地面というものが生命の根源であるという考え方からであろうと思われる。成長するものの一切が大地から誕生すると考えれていた(最初の人類、アダムも土からである)ので、したがって地中からでてきた人間のような形をした植物にはなにか神秘的な力があるに違いないと考えられたのであろう。



           

▲▼植物としてのマンドラゴラ▲▼

ナス科マンドラゴラ属
マンドラゴラ オフィシナルム(春咲)
マンドラゴラ オータムナリス(秋咲)

<全草、特に根>
アルカロイドのアトロピン、スコラミン、ヒヨスチアミンなど。

症状:興奮、麻痺、幻覚、意識不明、昏睡。多量の服用は死に至る。

*クリックするとオリジナル画像が出ます*

不思議植物園園長さまからご提供いただきました。
 種は海外の種苗会社でネットで買いました。
育てた期間は3,4年ですね。
夏には地上部は完全に枯れてしまいますが、涼しくなると芽を出し始めて、雪をかぶっても枯れることはありませんでした。
 毎年気をつけてはいたのですが、ナメクジ、 ヨトウムシ、アブラムシの食害を受け易いようです。
 根っこは不格好は朝鮮人参・・・って感じかな。植木鉢が小さいこともあって中でとぐろを巻くようになってます。根っこの写真も撮ったのですが、行方不明です(すんません)。
 ちなみに、花が終わっても種は取れませんでした。


Richtersのオンラインカタログから

花は秋に咲くものと春に咲くものがある。
花は薄紫色、葉は赤紫がかった緑で悪臭がするが
果実はパイナップルの匂いがするらしい。

初春に種を蒔いて開花までに5〜7年かかる。
日当たり、水はけのよい砂質の用土で育てる。スペインでは荒れ地や道ばたによく生えているという。

Common name : MANDRAKE
Latin name :
Mandoragora officinarum
Duration : Perennial
Zone : 6-8
Seed Propagation : spring or anytime
Germination : Difficult
Uses : medicinal ,
poisonous

(by Richters herb catalogue 2000)



マンドラゴラ・オフィシナルムの種


マンドラゴラ・オータムナリスの種



ここの画像や文章を無断で私するものにはマンドラゴラの呪がかかろうぞ。ひっひっひ。

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