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モーリュ モロヘイヤ

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 モーリュ(モリ、モル、モーリィ等)

まさに右場面のさし絵
上部の植物がモーリュらしい

根は黒く花は乳のような色をしている、とある。

<ヘルメイアスの解毒剤>

「キルケの恐るべき企みを残さず話してあげますが、彼女はあなたのためにキュケオーンという飲み物を調合し、それに毒をまぜるでしょう。しかし、そうはしてもあなたに魔法をかけることはできますまい。いまお渡しする秘薬がそれを許さぬからです。(略)」

こう仰せられると、名に負うアルゴス殺しの神(ヘルメイアス)は、ある薬草を土から引き抜いて私(オデュッセウス)に手渡し、どのような草か見せて下さった。神々の間ではモーリュと呼んでおられ、人間の力ではなかなか掘り出すことが難しいが神々に出来ぬことはなにもないのだ。

ホメロス「オデュッセイア」

毒・害

薬・効

<キルケの毒薬
キュケオーン=ぶどう酒+チーズ+小麦粉、それに毒をまぜる。これがなんの毒かは不明。一説に『ヒヨス』+αとも。

症状:飲んだあとキルケに杖でたたかれると人間は豚にかわってしまう。
ヒヨスの学名「ヒヨスチアミス」が‘豚の豆’というのはこのあたりから?

・オデュッセウスの仲間はキルケにだされた飲み物をのんで全員豚にされてしまった。が、オデュッセウス自身は神にもらったこのモーリュという解毒剤でことなきをえる。

・豚にかわった人間たちを元にもどすときキルケは別の「塗り薬」を使う。この解毒剤はなんだろう??

【プリニウス『博物誌』より】
「あらゆる草木の中で、もっとも高く賞賛されていた草は、神々によってモリ(モル)と呼ばれていた。この草の効能を発見したのはメルクリウスで、同時に彼はこの草がもっとも恐るべき呪術を無力にすることを指摘した最初の神であった。
 今日、この草はペネウスの湖の付近やアルカディアの一地方のキレネー山(いずれもギリシャ)に産するといわれている。この草はホメロスの述べているように、たまねぎほどの黒い丸い根をもち、
カイソウに似た葉をつけている。ギリシャの著述家たちによると花は黄色だというが、ホメロスは白い花 だといっている」

・・・モーリュがビロードモウズイカであるとの説もあるが、プリニウスの時代、「モリ=モーリュ」とは、全くの空想上の植物か、あるいは、ニラの仲間(アリウム属)だという2説に分かれていたらしい。


 モロヘイヤ

胡麻のような種
下の目盛りは1目盛り
1センチ

モロヘイヤという野菜の原産地はエジプトであり、クレオパトラの時代から神秘の健康野菜として好まれてきました。

なかでもモロヘイヤスープは、日本でいえば、味噌汁のようなエジプトの国民食になっています。このモロヘイヤには病の王様を救ったという故事があり、そのために「王様の野菜」とか「宮廷野菜」と呼ばれてきました。

モロヘイヤの特徴健康野菜モロヘイヤは、栄養面から見ると驚くほど豊富にビタミン、ミネラルを含み、まさに野菜の王様です。カロチン、ビタミンB1、B2、カリウムなどがいっぱいで野菜不足になりがちな現代人にぴったりの高栄養野菜です。

<モロヘイヤ100g当たりの栄養素>

カリウム   
920mg(ニンジン100g当たりの2.3倍)

カルシウム
410mg(ブロッコリー100g当たりの8.4倍)

カロチン
10826mg(ほうれん草100g当たりの3.5倍)

ビタミンA効果
6015IU(あしたば100g当たりの2.9倍)

ビタミンB1
0.72mg(ほうれん草100g当たりの5.5倍)

ビタミンB2
4.95mg(ニンジン100g当たりの99倍)

高岡商店「モロヘイヤ」広告

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現在非常に注目されている野菜であるが、その種は猛毒であった。平成8年10月に牛5頭に種付きのモロヘイヤをあたえたところ、そのうち3頭が死亡するという事故が起きた。種に、強い毒性が有るのがわかったのはつい最近のことである。

毒・害

薬・効

<種子のみ
強心配糖体のストロフェチジン。アフリカ原住民が矢毒として用いたものと同じ成分である。

症状:起立不能、食欲不振、下痢、死亡。自家栽培で食用にしているときには、種をつけないように育てるのが無難。

野菜、お茶として売られているものに関しては問題はない。安心して御利用ください。