境川−1

源流 草戸山(くさとやま)

境川(さかわがわ)の源流は高尾山と城山湖の間にある草戸山(364m)の大地沢(おおちさわ)であ る。上流では鶴見川と相模川に挟まれた狭い流域の ため、支流も少なく、水量は多くない。下流に至ってもすぐ西側を引地川が流れて、雨水を集めることができない。このように目立たない川であるが、意外と長 い川で 全長69km。神奈川県第2の川である。上流では武蔵と相模の国境を形成しているため、境川の名がつけられたという。

草戸山へのアプローチを調べると京王線の高尾山口駅がある。ここから歩き始めて、草戸峠を経て草戸山に登り、神奈川県側 の旧城山町に 降りていくコースである。ゴールは神奈川中央バスの谷ヶ原(たにがはら)バ ス停だ。しかし、バス停でバスを待つのは味気ない。そこで橋本駅からで谷ヶ原までバスでゆき、京王線 の高尾山口駅に下る事にした。これは相模川の流域から登り、境川の源流を右に見る分水嶺を北上し、多摩川の流域に下ることになる。そのルート図はView Ranger.comで作成した。距離7.81km、登り413m、下り366m、最大高度401mである。ちょっと、キツイが何とかなるだろう。


2017/11/13(月) JR橋本駅北口に9:00少し前に集合。9:00発の神奈川交通バスの「系統番号 橋01 三ヶ木行」で谷ヶ原に向かう。バスの本数はかなりある。バスの中で、Viewranger.comから自分で作成したMt.Kusatoのルート図をダウ ンロードしてスタートさせ、今日のナビとする。

9:20に谷ヶ原で下車し登攀開始。谷ヶ原には巨大な上水施設がある。大きな道路をさけ若葉台住宅地内などを選んだが、残念ながら城山発電所までは殆どそ の建設につ かった本格的なアスファルト道路を登る羽目になった。車も結構通過する。ただ丁度紅葉が始まったばかりで、他に登山者はいないので紅葉を独占しながらゆっ くり登る。

ようやく城山発電所につく。降雨を集める面積もないのに山の上に本沢ダムがつくる人口湖があるのはこれが揚水発電所である証拠である。案の定、表札に揚水 発電所と書いてある。ふしぎなことに東電ではなく、地方自治体が建設している。揚水発電所であるからにはダムが二つ必要だ。相棒はどこかと探すとすぐ南に 津久井湖があるのでそれだろう。安い夜間電力を使ってすぐ南にある津久井湖からフランシス水車を揚水ポンプに使って水をくみ上げて城山湖にたくわえ、昼間 この水を津久井湖に落として発電し、昼間料金で売ってさや稼ぎしているのだろう。それにしても、このフランシス水車はNPSH(ポンプの吸引負圧で水が蒸 気になって空回りするのを防止するため吸引圧をプラスに維持すること)確保のために下の津久井湖水面下に設置しなければならない。それがどこに在るのだろ うか?目の前には揚水と発電兼用のタービン室のような大きな建物は無く、大型のトランスがあるだけで、ここから送電線が南に伸びているだけである。では タービン室はどこに在るのだろうか?ここで2012年に横浜水道道サイクリン グで 谷ヶ原を詳細に調べたことを思い出した。そのとき作成したのは下図である。この空色のラインが地下に構築されているのだ。以下は推定だがロックフィルダム である本沢ダム建設前にこの発電所に立坑を掘り下げ、タービン室がすっぽり入る地下空洞を作り、そこから水平に吸入管を津久井湖底まで設置したはずであ る。



地下の揚水発電所

城山発電所におさらばするということはいよいよアスファルト道から山道に入ることを意味する。草戸山の前にまず、それより高い根窪山(420m)を巻いて C字型に歩くことになる。足下には圏央道のトンネルが揚水発電所の吸入管の上を交差して通過しているはずである。根窪山の南にはアンテナが4基建ってい る。林の中 で視野は開けない。途中2ヶ所程、城山湖がチラッと見えるところがある程度である。分水嶺の尾根歩きは結構、急な斜面の登り降りが連続する。

草戸山の手前 の展望台で11:00だったため、ここで昼食とする。城山湖の先に見えるのは法政大学のキャンパス。



草戸山手前の展望台より城山湖を望む

草戸山の山頂は幼稚園児で騒がしかった。境川源流にある大地沢青少年センターからの遠足らしい。幼稚園児は大地沢青少年センターに下った。われわれは高尾 山口に向かって草戸峠に下る。草戸峠からは高尾山が眼前に見える。境川はこの草戸峠に東斜面に発する。

高尾山には2000年に陣 馬山から高尾山に縦走したのが初めて。2003年の探鳥会にも散策した経験がある。立派な杉の大木が記憶にあるが、ここからもその巨木が林立してい るのが分かる。



草戸峠から紅葉の高尾山を望む

いくつものピークを越えているうちに、しばらく歩いていない仲間の足がつる。足下には中央道 が東西に通じていて、少し左手には圏央動とのJCNがあるはずであるが、見えない。何とかだましだまし高尾 山口に下山。

この14年間のご無沙汰の間に高尾山はミシュランの三つ星のお墨付きをいただいた。そのため か平日にもかかわらず紅葉狩りの客で日曜日のようなにぎわいであった。柿の木で有名な蕎麦 屋「高橋家」に並んでようやく天ぷら蕎麦と生ビールで疲れをいやす。

参加者:小粥、栗林、青木


November 14, 2017

2018/10/15(月)

別ルートで水源に再チャレンジすることにした。

参加者:和田、加畑、安井、小出、田原、青木の6名。

計画では水源を散策したのち京王相模原線多摩境駅まで11.6km歩く予定であった。累積登り153m、累積下り192m。川幅が狭く活蛇行しているので自転車専用道はない。適宜、町田街道やその裏道を歩くことになる。


横浜線相原駅西口 9:30集合。

幹事は藤沢8:08→小田急新宿行き→8:38町田8:57→9:14相原の予定だったが、1列車早く着く。しかしそこには加畑氏が待っていた。

ネット検索でのバス時刻表は相原駅西口発で検索したため、水源に最も近づける大戸行のバスが見つからず。この時間帯では法政大学行きしかないと思い込んで いた。 バス停は大勢の法政大学らしき学生があふれてバス会社の整理の要員が待機していた。彼に大戸行がなぜないのか聞くと、大戸行バスは橋本駅北口発で町田街道 を走っているが、この相原駅西口バス停には入ってこないという。確認のために町田街道まで歩いてバス停を確認。9:49発の神奈川中央バス系統番号25に 乗ることができた。バスは法政大学にも立ち寄った。法政大学は立派なキャンパスであったが、人口減少のこれから、学生に不便な通学をさせ、どうやって学生 を確保してゆくのかなと疑問を感じた。

境川の水源に近い青少年センターで下車。城山湖の直下にある大戸ではなく、右手の谷に入り込 む。谷はやがて2本に分かれるが、左手の大地沢を選んで進む。やがて右手谷底に木道が見えてきた。そこに下って谷底を登ると青少年センターという立派なコ ンクリートの建物があった。花崗岩を張たかなり金がかかった施設だ。ここでトイレを借りようと事務員に聞くと2階に上がればある。ただし靴を脱いでくれ。 ついでに談話コーナーも使ってよいと言う。談話コーナーは絨毯も敷いてあり、一応ホテル並みの施設だ。ここで小休止。食事のサービス以外は宿泊も研修も可 能。酒以外の持ち込み自由。屋外の炊事場、キャビン、テントなどが用意されている。

小休止の後、水源に向かって谷底の道を登る。施設をかりてピンポンを楽しんでいる中年の主婦 達が居る。勾配は次第に急になり、最後の土石止めを越えたのちはジグザグの本格的山道になる。谷が急に立ち上がる所で道は沢を横断してその先は草戸山山頂 らしい。ここに境川源流の看板があったので記念撮影。80才のジジ・ババには少し過酷なルートではあった。



境川源流にて

ここで目的達成と下る。下から幼稚園生が登ってくるのを心配したが引き返したようだ。一人取り残された子が大きな声で泣きはじめたので保護しなければいけないかと迷ううちに先生が迎えに戻ってきた。

談話コーナーで持参の昼食を食べ、小休止。



談話コーナーで昼食

境川は蛇行しながら支流の水も加えて川幅は次第に広くなる。蛇行の極端なところでは数メート ルを残して川が全く逆方向に流れているところもある。ほぼ町田街道にそって歩き、時々川端ををあるく。


風戸橋近く 右は町田街道

遊水地もあった。蛇行が激しい ので洪水もあるようだ。土嚢でそれと分かる。横浜線が町田街道を横断するところまで歩き、本日の目的は達したことにし、コーヒーショップもないので流れ解 散とした。歩数計では11kmだそうだが、計画時、地図上で計った距離は京王相模原線多摩境駅までで11.6kmだった。しかし多摩境駅までの3kmは歩いていない。それに山の中は計画時より0.5kmは余計に 歩いたので都合11.6-3+0.5=9.1kmが歩いた距離ということになる。

境川(遊行寺より 上流部瞽女淵まで)

September 18, 2018

Rev. December 7, 2018


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