荒川土手サイクリング

越流点を探して

2015/9/10 この鬼怒川が50年ぶりの集中豪雨で鬼怒川が越流で決壊した。荒川は大丈夫かなと思って調べると都心部水没に終わる「蟻の一穴」が2ヶ所あるという。

2011年1月24日、「エネルギーの世代交代」という講演をするために板橋のグリーンカレジホールに出向いた。原発はヤバイという話が中心だったそして 予言通り、2月後の03月11日に福島第一の事故が起こった。あまりにタイミングが良すぎた。講演では三田線の志村3丁目駅から会場まで歩いたのだが、荒川 の河岸段丘直下という感じであった。ちょうど中山道が志村坂上から下ってきた地点だ。この河岸段丘の上は住みやすい台地で縄文の遺跡が発掘されている。

北陸新幹線が上野駅を出てから赤羽まで左手の車窓には断崖が見える。これも荒川と隅田川が造った河岸段丘である。江戸時代、川越と江戸の水運を担った新河岸川は川越周辺の水を集めて、隅田川にそそぐ川であった。明治以降、川越の洪水防止のためにこの川をまっすぐにしたため、洪水の波は東京を直撃するようになった。この新河岸川は隅田川にそそぐ。

そもそも荒川は関東平野中央部、埼玉県川口市から鴻巣市にかけて広がる関東ローム層からなる大宮台地と呼ばれる三角形の洪積台地の北側の熊谷市のあたりを 東にながれたのち、三角形の台地の東側を南に流れた(元荒川)のだ。中山道はこの台地の上に付けられていた。この元荒川は江戸時代に西側に付け替えられた。だから荒 川堤防は東京を洪水から守る万里の長城になっているわけである。実はそこに「蟻の一穴」が2つあるというのだ。見ないわけにはゆかない。



江戸川と荒川のキャスリーン台風での決壊点 wikiより


キャスリーン台風での利根川の東村決壊点は友人Tと一緒に見た。

今回は荒川の越流点を探すのが目的なので次のような散策ルートを考えてみた。

全て歩くと16kmとなる。そこで急遽ブロンプトンでのサイクリングに切り替えた。

寝る前にタイヤ入れた空気が抜けていないことを確認して2015年9月28日藤沢から東海道線、宇都宮行きに乗る。東京駅を出ると2015年3月14日に開業した 東北新幹線の上に建設した2階建ての線路で神田、秋葉原、御徒町をパスする東京上野ラインで宇都宮線には入る。これは上野、尾久駅、赤羽にとまる。運転手は若い 女性が勤めている。上野から河岸段丘下を走るが、王子駅近くで石神井川がこの河岸段丘を割って流れ出ているのが見えた。

10:30赤羽駅で下車。ブロンプトンを組み立て、ヘルメットをかぶり、「おむすび権米衛」でおにぎり2個を買ってサイクリング開始。

宇都宮線が新河岸川と荒川を渡る鉄橋の脇にでると眼前に新河岸川のコンクリリート製の高さ2m程度の防潮堤が見え、その向こうに芝を貼った荒川の 堤防が見える。下の写真のように明らかに荒川の堤防は宇都宮線の鉄橋は土手より低い。今回の1つ目の荒川堤防に開く「蟻の一穴」である。ここで越流破堤すれば流れ出る荒川の水は手前の低い防潮堤を簡単に乗り越えてしまうだろう。



赤羽駅北の宇都宮線鉄橋脇の堤防

荒川堤防に渡り、旧岩淵水門(赤水門)に向かう。これは大正時代につくられたもので記念に保 存しているものだ。高さが不足して放棄されたもの。荒川水位の観測を始めた昭和2年から平成12までの74年間の水位上位6例が表示されていた。第 1位は昭和22年のカスリーン台風でAP8.6mだという。堤防の高さはAP+12.5mであるという。カスリーン台風といえば、友人Tと一緒に利根川土 手をサイクリングしたとき東村決壊地点で記念碑をみたことがある。このときは江戸川沿いに10ヶ所も決壊した。

旧岩淵水門(赤水門)

赤水門の下流に現役の岩淵水門がある。ここから隅田川が始まる。ここで岩淵水門の高さが 10mで堤防より2.5m低いことを発見。これでは宇都宮線の鉄橋で越水が発生する水位ではこの水門の上や脇の土手を越水することになる。今回2つ目の荒 川堤防に開く「蟻の一穴」である。水門のゲートはワイヤーで上げ下げする構造だ。

岩淵水門

岩淵水門下流は隅田川である。この隅田川に川越から流れてくる新川岸川が合流している。

隅田川始点

荒川の対岸には川口丘陵の水を集めて荒川にそそぐ芝川の芝川水門と新芝川排水機場が見える。


芝川水門と新芝川排水機場

河川敷きに降りて走行する。やがてかっての都民ゴルフ場となっていたところが水辺公園として整備され、母子家族2組がピクニックしていた。ここの柳の木陰で昼食とする。対岸にはハーレーダビッドソンで何度も走った中央環状線が見える。

昼食

五色桜大橋、江北橋、扇大橋など空高くかかるいくつかの新しい橋がある。扇大橋は完成し、舎 人線の車両が見える。舎人線とはなにか調べると日暮里駅と足立区の見沼代親水公園駅を結ぶ、東京都交通局が運営する案内軌条式鉄道(新交通システム)路線 であるという。これも自民党の置き土産らしいが、中途半端で需要はあるのか心配になる。これらの橋をくぐって進むとやがて西新井橋という旧式の橋を見つけ る。明らかに堤防より低い。これは今回3つ目の荒川堤防に開く「蟻の一穴」となる。

河川敷きには青色のシートで作ったホームレスの家があったが、ソーラーパネル4枚を設置した電化ホームであった。

やがて千代田線の鉄橋に行き着く。この鉄橋は新しいので十分な高さが確保されている。しかい 北千住の駅は地下にあるのでその入口が低いとそこから水が入る。どうなっているか見に行った。トンネル入り口は3mのコンクリート壁に守られて水の流入は なさそう。堤防に戻るとき、疲労で足がつる。

北千住の千代田線地下トンネル入り口

いよいよ京成本線鉄橋が見えてきた。明らかに戦前からある古い鉄橋で堤防より「低い。今回4つ目の荒川堤防に開く「蟻の一穴」である。これで合計4つあることになる。

京成本線鉄橋

堤防上にある東部伊勢崎線の堀切駅でブロンプトンをたたむ。ペットボトル1本は空となるも無人駅で飲料水自動販売機もなし。曳舟駅で半蔵門線⇒田園都市線の中央林間駅行きに乗り換える。中央林間駅で蕎麦屋に入り、コップ3杯の水を飲み干す。

小田急江ノ島線で藤沢駅に帰る。藤沢からはBromptonで帰宅。シャワーを浴びて体重をチェックすると1kgの減量に成功。

September 24, 2015

Rev. September 29, 2015


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