丹沢

大山と広沢寺温泉

2006年6月8日、7月の南アルプス登山のための訓練登山としてwakwak山歩会の有志が蓑毛(320m)から大山(1,252m)に登り、不動尻経由で広沢寺温泉(130m)に下った。登りの標高差932m、下りの標高差1,112mのキツイトレーニングである。大山は1971年と2004年についで3度目である。

濃緑色のルート

入梅直前の雨のない日を選んだのだが、山頂近くから降り始め、広沢寺温泉に下るまでずっと雨だった。下界では予報通り雨は降らなかったという。

8:55に秦野駅集合。9:05のバスで蓑毛に向かう。9:25蓑毛より登坂開始。2005年2月2日に丹沢前衛の山に登った時のルートである蓑毛越に向かい登り、途中、分岐点から大山山頂を目指す。この時期は山蛭が出るとディートという有効成分を含む虫除けスプレイを足回りに散布し、スパッツを着用する。11:00には早めの昼食とする。山頂に近くなって小雨が降り出す。ストックを1本にして傘を さす。

カケス、ウグイス、シジュウカラ、アオバトにまじって秩父で聞いた流麗な鳴き声を聞く。鳥にくわしいマーはガビチョウだという。 ソウシチョウと同じく外来のカゴヌケ鳥だという。そういえば高尾山探鳥会で宮尾がガビチョウだと教えてくれたことを思い出す。クロウタドリ(ブラックバード)ほどではないが美しい鳴き声だ。この10年で急に増殖した という。鳥類図鑑には日本の野鳥として掲載されていない。

12:45山頂着。昼食時間の20分を差引いて、時速310mの垂直速度で過去でも最高 レベルの記録であった。小雨のなか山頂で記念撮影。

大山 山頂にて

下界は霧の中だ。13:15不動尻に向かって下山開始。途中メーンの下山路である見晴台への道を分け、北進すると地図にない道が七沢の方角に下っている。これを無視して気持ちの良い尾根道を更に進む。雨はますます本降りとなって地図は雨でびっしょりになる。痩せ尾根を越えるとあずまやのある唐沢峠に至る。あずまやで濡れたシャツを脱ぎ、レインコートを羽織る。ここからは地図にない 枝道が左右に分かれているが、直進して小高い丘の上に出る。右折して不動尻に向かう。コンチャンはここで直進して道に迷ったのだろう。途中保護されているモミの巨木を見る。不動尻はキャンプ場であった。アスファルト舗装した林道を巡礼速度で歩いて遅れを取り戻す。無灯火の 「山神ずい道」を抜けて更に歩くとやがて広沢寺の屋根が見え、1軒の温泉宿が見えた。広沢寺温泉であった。16:30着で予定より30分遅い。雨のためだろう。残念ながら温泉は ウィークディは16:00で終了であった。

最終バスを待つ間、スパッツを外そうとすると肌色の山蛭が左足のスパッツの上に3匹、右足のスパッツの上に2匹しがみついているのを発見!手袋をしてむしり とって地面に捨てる。ズボンを捲り上げてすねを点検するが異常なし。スパッツと手袋をビニール袋に収納してザックに収める。隣ではクリさんが同じ状態らしく大騒ぎしている。マーさんは無事らしい。同じディートという有効成分を含む虫除けスプレイを使ったのだがマーさんは別のメーカー品という点が違う。バスに乗って一安心と思っていると、マーさんがクリさんの背中を尺取虫風に移動中の山蛭を発見して退治する。バスの乗客は敬遠して席を移る。それを見たグリーンウッド氏がひょいと自分の手を見ると黒い海草風のものが指の股についている。よく見ると血を吸って黒くなった山蛭ではないか。手袋してむしりとってその手袋を振って床に落とそうとしたが、行方不明となってしまった。どうなったか気がかりだがやむをえない。

厚木の「魚民」で反省会をし、小田急に乗るまでの3時間、指からの出血は止まらなかった。蛭は血液中の凝固因子を無活性化させる酵素を皮下に注入するのでそれが出尽くすまで、出血は続くようだ。

山蛭

藤沢駅で気になってスパッツをビニール袋から取り出し点検するとそこに1匹の山蛭を発見した。上の写真がそれである。家に帰って、ザックの底に手を入れると手に1匹食いついてきた。スパッツをビニール袋を洗って干し、翌朝ビニール袋を裏返すとまたまた1匹でてきた。 もうなれてしまってパニックにはならない。雌雄同体なので血を吸うと卵を産んで増えるらしい。庭などに放すわけにはゆかない。洗剤をかけても元気だ。結局ちり紙でむしりとって、ゴミ袋にポイした。これで3匹がザックの中に居たことになる。ザックは洗うより乾燥がいいだろうと判断した。ヤツは乾燥に弱いのだ。広沢寺温泉で捨てた5匹とバスの中で血を吸われた1匹を合わせ9匹にとりつかれていたというわけである。1匹のヒルも取り付かなかったと豪語していたマーも山の道具を洗っていたら、スパッツに小さな「赤い尺取虫」を1匹みつけたと連絡してきた。

今回参加しなかったメンバーは仏果山で大量のヒルにやられたそうである。頂上で、ひとりのオジサンが上半身裸になって大騒ぎをしているのを不思議に思って下山したら、彼もおなじ状態であったという。 ふもとの温泉にはいったら、先客が持ち込んだのが湯船に浮いていたのか、奥さんのおっぱいや股のあたりに吸いつき、へんなところにシコリができたと気にしてさすったのだが、それがヒルとわかり、大悲鳴をあげることになったそうである。

くわばらくわばら。スパッツは有効だが虫スプレーは当てにならない。木酢液が有効とのことだが、臭くなる。最大の解決法は梅雨期の丹沢に入らないということのようだ。 泉鏡花が「高野聖」で描いた山蛭にこの世で出会うなど思ってもみなかった出来事ではあった。

でJune 10, 2006

Rev. November 25, 2006


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