北アルプス 後立山連峰

針ノ木岳・蓮華岳

wakwak山歩会は月1回のペースで定例登山をしているが、2006年の夏は雨にたたられて碌な登山ができなかった。というわけで8月後半に臨時に針ノ木岳(2,821m)と蓮華岳(2,799m)に2泊3日で登ることにした。

針ノ木岳は北アルプスのほぼ真ん中に位置するため、北アルプスの全域を見張らせる眺望抜群の山頂と色とりどりのお花畑を誇る。また、白馬、剣と並ぶ大雪渓でも有名。

幹事のマーさんが40余年前の後立山縦走では最初に踏んだピークだったという。隣に位置する蓮華岳は、その頂上一帯がコマクサの大群落地として有名。今回は、花の時期としてはやや遅い8月下旬ではあるが、残り花を愛でつつ、のんびりとした山歩を楽しもうとでかけた。

今回のルートは赤線 1964年の北アルプス裏銀座コース縦走ルート

第一日

8月22日(火)小田急開成駅8:00時集合。マーさんの車で中央道経由扇沢に向かう。中央道では雨。扇沢無料駐車場(1,420m)に車を置き、雨の中13:20扇沢発、途中ブナ林の中で激しい雨となる。 雷鳴すら聞こえる。山ではどうしても14:00を過ぎると雷様がおでましになるようだ。半ズボンにスパッツだけ着用して歩いたため、半ズボンが濡れてしまい体温で乾くまで時間がかかった。反省点である。15:00大沢小屋(1,675m) 着。(Hotel Serial No.360)チェックインし缶ビールで祝杯。夜 は星空となる。

第二日

5:00起床。6:10快晴の中を出発。林の中はTシャツ着用。針ノ木雪渓に到着すると雪渓の先に針ノ木岳が見える。針ノ木雪渓は軽アイゼン着用で登る。雪渓の上は長袖シャツを羽織る。今年は雪が多く、夏の終わりというのに雪渓は充分の大きさである。斜度が増すノド部を過ぎて、右岸にたどり着く。いつもの夏ならここで雪渓は終わるのだが、今年は消え残った上部雪渓を横断して左岸に渡る。雪のアーチが薄くなり、穴が空いていて怖い。ここから丸太で土留めした砂地の 急斜面をジグザグに上り詰めれば針ノ木峠だ。

針ノ木雪渓とその先の針ノ木岳 マーさん撮影

10:00針ノ木小屋着。(Hotel Serial No.361)チェックイン後、10:40レインコートと飲料水のみ持って針ノ木岳に向かう。サブザックを持っていないため、重いザックから不要なものを取り出して背負う。途中振り返ると今来た針ノ木峠からの登山道が岩場を巻いているのが見える。

針ノ木峠からの登山道

今年は雪が多かったため、花の時期が遅れて、8月末というのに7月のようにお花畑は花でいっぱいであった。そのお 花畑の中の登山道を横断するライ鳥の親子4匹に出会う。人間を全く恐れず1m位近寄っても逃げない。高山植物の種を食べている。飽食したのかヤンチャ坊主かオテンバ娘か、お花畑のなかでかけっこをして親鳥を心配させるところが人間くさい。

ライ鳥

一休みして振り返れば、一瞬雲が切れて、明日予定している蓮華岳がおだやかな姿を見せている。

蓮華岳を振り返る

針ノ木峠からのとっつきだけが急斜面で残りの登山道は岩場を巻いての緩やかな登りのため、楽な登山であった。

針ノ木山頂は目前 マーさん撮影

12:30山頂着。針ノ木岳は後立山連峰の南端の山である。山頂に立つと後立山連峰の針ノ木岳に隣接するズバリ岳が厳しい山稜を見せている。この狭い稜線を歩くのは気が抜けないだろう。

針ノ木山頂よりズバリ岳を望む

西方を望めば、黒部湖の対岸に立山ロープウェイの終点大観望が見える。そして立山カルデラをかこむ右から鬼岳(2,759m)、獅子岳(2,714m)が見える。鬼岳の右の雲の中に龍王岳(2,872m)があるはずである。獅子岳の左の下がったところが佐々成政の冬の”さらさら越え”で有名なザラ峠だろう。その左にあるはずの五色ヶ原は雲の中だ。 五色ヶ原から下ったところに平ノ渡が見える。成政はザラ峠を越えた後、針ノ木峠を越えて大町に入ったとされているのだ。

針ノ木山頂より黒部湖越しに立山連峰の右から鬼岳、獅子岳を望む

まえじま氏はまだ黒部ダムの建設前の頃、剣→立山→五色ヶ原→平ノ渡 (当時は湖がなく橋だった)→針ノ木谷→針ノ木峠のルートを歩いたという。 ただ針ノ木谷は登山道が未整備で平ノ渡から針ノ木峠に至るまでに間違った沢に入り込む危険がある。友人Sが立山の室堂→龍王岳→獅子岳→ザラ峠→五色ヶ原→越中沢岳→薬師岳→折立への3泊4日の縦走に参加したという。リーダーが病に倒れて五色ヶ原で中断したようだが、五色ヶ原ヒュッテで一緒に風呂を浴びたオランダ娘2人は針ノ木峠→平ノ渡→五色ヶ原のコースをたどって 来たのだが「タフだったが楽しかった」とコメントしたという。本流に向かって下れば道に迷うことはないのだろう。

南側には笹の実会に参加して5月に訪れた高瀬ダムの人工湖が見える。意外に高いところに見えて驚く。携帯は電波を見つけるが、通話はできない。

針ノ木山頂より針ノ木小屋に向かって下山 クリさん撮影

山頂で腰痛を発症し、針ノ木小屋までおそるおそる下山。13:40針ノ木小屋に帰着。昼飯代わりのオデンを肴に生ビール1パイントで乾杯し、夕食まで昼寝する。 針ノ木小屋には小屋とルートのパイオニア、百瀬慎太郎の「山を想えば人恋し 人を想えば山恋し」という有名な言葉が掲げられている。

第三日

快晴なるも昨日、腰痛が悪化したので用心して蓮華岳往復は参加しないことにした。そのかわり小屋でゆっくりと携帯電話で自宅に現状報告と、友人とのメール交換をする。電波は峠の北側の扇沢からではなく、南側から来ている。地図と地形を対比して山の名を特定し、写真撮影をする。やはり8:00-9:00になると雲が晴れて全北アルプスを見渡すことができるようにな った。

針ノ木小屋

針ノ木峠より北側にある後立山連峰を望むと左からスバリ岳、赤沢岳、鳴沢岳、岩小屋沢岳、爺が岳と連なっているのが見える。鹿島槍ヶ岳は爺ヶ岳の陰に隠れてみえないが、後立山連峰は左に折れ曲がって いるため、昨年訪れた白馬三山が鳴沢岳と岩小屋沢岳の間の鞍部の上に顔を出している。

針ノ木峠より後立山連峰を望む 左から赤沢岳、鳴沢岳、岩小屋沢岳、爺が岳、遠方中央に白馬三山

目を南に転ずれば、槍ヶ岳と1964年にクリさんと縦走した裏銀座コース、水晶岳、赤牛岳を望むことができる。手前に縦走の出発点となった烏帽子岳が見える、そしての向こうに三ッ岳、野口五郎岳が見えている。 空高く1万メートルの上空には巻雲が現れて秋の到来を告げていた。

針ノ木峠より槍ヶ岳と裏銀座コース、水晶岳、赤牛岳を望む 中距離に烏帽子岳

絶好の好天下で北アルプスの風景を満喫して蓮華岳から帰った仲間と合流し、9:40針ノ木小屋出発。14:00扇沢着。雷様に出会うこともなかった。

蓮華岳山頂より立山方面を望む マーさん撮影

左手前の針の木岳から右に後立山連峰がズバリ岳から赤沢岳まで視野に入っている

その後ろの立山連峰は獅子岳から剣まで全て視野に入っている

大町温泉の薬師の湯(Hot spring Serial No.230)で汗を流し、遅い昼食をとって、後は車で運転を交替しながら20:00帰宅。

今回の山行きは大沢小屋から針ノ木山頂までの標高差1,146mを登るだけで腰痛が出始めた。2本ストックを使ってもである。9月後半に参加申し込みをしていたクラブツーリズム提案の標高差1,441mの羅臼岳、標高差867mの斜里岳、標高差879mの雌阿寒岳を毎日往復するのは標準時間厳守ではとても無理と判断。大雪山横断にコース変更することに決定した。

腰痛に関しては今後の登山継続の可否も含め、整形外科で検査を受け、筋膜性腰痛症であり、腸腰筋(ちょうようきん)、腹横筋(ふくおうきん)強化の筋トレをすれば問題ないとの診断を得た。

大望峠より蓮華岳、針ノ木岳、爺ヶ岳、鹿島槍ヶ岳を望む 2007/6飯田氏撮影

August 26, 2006

Rev. June 29, 2007


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