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多文化との共生がもたらしたもの

2017/6/9

元日産自動車副会長 高橋忠生

幼小期体験が一生を縛る。高橋忠生氏が工学を学び製造会社にはいり、それも製造現場の建設に飛び込んだのも幼小期にモーター工場に連れられて行ったときかっこいいと思ったから。

入社直後は群馬工場の建設現場からはじめ、日産が傾いてゴーン氏が乗り込んできてメキシコ工場建設をきめたこと。この建設現場に送り込まれ、ついでに工場長も務めることになった。

この間、異文化とのふれあいで学ぶことがあった。一言でいうと日本は中根 千枝のベストセラー「タテ社会の人間関係」で説明できる。日本はタテ社会、その他はヨコ社会ということ。これによってデミングのPDCAサイクルは下表のようにパターン化できる。

             縦社会        ヨコ社会
Plan     劣る        優れている
Do    優れている      don’t do
Check    劣る        優れている
Act        優れている       劣る

中根千枝さんが本書の原型となるアイデアを思いついたのは、海外の研究生活を経て、東大の教授会に参加したときであるという。漁村の寄り合いと東大の教授会が似ていたためだった。本書は社会集団の構成の要因を、資格(構成員に共通したもの、例えば、氏、素性、学 歴:出身大学、地位、職業、資本家、労働者、など)によるものをヨコ社会。場(一定の職業集団、所属機関、地域、など)によるものをタテ社会に分類。日本 は場により構成されるタテ社会であり、その中での順序(通常は年功序列)が重要である。日本のようなタテ社会は、分業が成り立たない社会、能力平等という非現実的な事柄を前提とした悪平等社会、中央集権の政治構造を持つ社会、派閥の功罪の生じる社会である。また、契 約精神の欠如のために、共通の目的・仕事の達成に責任感が乏しく、往々にして、それ以上に感情的な人間関係が重要視される。

今、フランスのルノーの工場は旨く行っている。日本が優れているDo とActを上手く導入したからと理解している。

ゴーン氏で思い出すことは、名前を憶えていて挨拶には必ず名前をいう。会議には15分まえにきていて定刻きっかり始める。配布資料は開けもしない。会議が 終わればその資料は破り捨てる。1対1で説明が終わると必ずきかれたことは、この会社にとって20年後に必要なことは何かと必ず効かれたことだ。そう聞か れないとついできることしかしない。中国への工場建設もゴーン氏の決断だ。氏は歴史を勉強していたのだと思うが、良く知っていて、経営判断もそれに準拠し ていたと思う。

2017/6/9

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