天国と地獄
1963年の黒沢映画の名作「天国と地獄」は横浜西区の浅間台の高台下のあばら家に住む 竹内というイン ターンが毎日自宅から見上げていた横浜西区の浅間台の高台に住む三船が演ずる実業家一家を妬み、その子の誘拐を企てる。しかしまちがって運転手の子を誘拐 し、麻薬患者の夫婦が管理している海浜の別荘に幽閉する話である。
Google
Mapの地形図で調べると浅間台は旧東海道や新川間川のある江戸時代は海面下であった低地から見上げると崖の上にある。Google
Mapで3D表示すればこの崖はいまでも残っている。しかし撮影につかわれた建物は建て替えられたか見つからない。
東海道線酒匂川鉄橋の手前を走行中の特急コダマ2号に乗った三船に子供が無事なことを見せ、鉄橋を渡りきったところで身
代金の入ったカバンをトイレの窓から投下させるという手口であった。実際にコダマ号をチャーターして東海道を走らせて撮影したという。映像を見ると撮影さ
れた鉄橋はリベット打ちの旧式トラス式鉄橋である。Google
Mapで現在の酒匂川の橋をチェックするとトラス式ではあるが、更新されたのかリベット打ちではなく、一枚板の溶接トラス構造になっている。
誘拐された子供が幽閉されていた海浜の別荘に刑事が踏み込んだ映像には海が写っている。
海浜の別荘は誘拐された子供が書いた富士山と海に沈む夕日の絵から藤沢と絞られ、直下を走る江ノ電の集電ポールの立てる 音が脅迫電話に 入っ ていたことから急カーブの近くと特定されるというお話である。今では集電ポールはなくなり、普通のパンタグラフなのでレールの軋み音のほうが激しい。映画 では藤沢方面といっていたが正確には鎌倉市腰越1丁目 5−1番地である。下のGoole map上にマークした地点である。
Google mapではジンジャーの咲いていた庭が見える。ここからならレールの湾曲部のキシミ音もよく聞こえるであろう。この家に登るにはいまでも撮影当時のまま残されている急な坂道を登らねばならないが、右下の道がそれである。
映画の舞台となった別荘周辺 (江ノ島には新旧の灯台が見える) 2002/9/14撮 影
昭和初期に星野写真館が撮影したほぼ同じアングルの写真がある。
白い家は別のアングルから撮影した下の写真にみえる。青い家との相対位置が分かる。
誘拐がつかった車は当時のトヨペットクラウン3059である。七里ヶ浜の丘の上に、横浜市西区浅間台の上の三船の豪邸に 似たコンクリートの建物がある。あれが映画のモデルになったと 勘違いしている人もいるが、映画は2階であるが、こちらは3階である。
ちなみに原作は エド・マクベインの「キングの身代金」。ストーリーはほぼ踏襲しているようだ。
2002/9/14
Rev. November 4, 2017