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シリアル番号 表題 日付

1252

前帯状回

2009/10/28

前帯状回は前帯状皮質ACC(Anterior cingulate cortex)とも呼ばれる。

帯状皮質の前部で、脳の左右の大脳半球間の神経信号を伝達する線維である脳梁を取り巻く"襟"のような形をした大脳周辺系の一部領域。

前帯状皮質は血圧や心拍数の調節のような多くの自律的機能の他に、報酬予測、意思決定、共感や笑いを含む情動といった認知機能に関わっているとされてい る。すなわち動機付けを司る部位。何らかの行動を積極的にやるべきか、やらないかを判断する中枢。

意識して何かを覚えている必要があるとき、活動する。

刺激のトップダウンとボトムアップの処理や他の脳領域への適切な制御の割り当ての中心的役割を担っている。前帯状皮質は学習の初期や問題解決のような、実 行に特別な努力を必要とする課題に特に関係していると考えられている。ストループ課題実験 (順次的な意思決定の過程への固執性 (adherence) を計測する実験) における一般健常者の前帯状皮質の応答は高くなっている。

適切な判断や選択を行い、目的を達成するためには、外界でおこっている出来事のモニタリング、必要な情報へ注意を向ける、必要な情報の選択、長期記憶から の情報の取り出し、必要な情報の処理、必要な情報の出力、不必要な出力の抑制などが必要であり、これらのプロセスがうまく協調して働く必要がある。このよ うに、ある目的を遂行するためにさまざまな機能系を協調して働かせる仕組みがワーキングメモリであるが、ワーキングメモリは、前頭前野背外側領域 (DLPFC)や腹外側領域(VLPFC)と帯状回の認知領域が協調して働く。注意制御はワーキングメモリの中でも特に加齢の影響で衰退しやすいが、 ACCとPFC間の機能的結合性が加齢の影響で劣化しているためではないかと推測される。

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世界観が真っ向から 対立すること の多いリ ベ ラル派と保守派だが、実際、脳の構造が異なっていたとする研究成果が、Current Biology 21, 677–680, April 26, 2011に英ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ(University College London、UCL)の研究チームが"Political Orientations Are Correlated with Brain Structure in Young Adults"という 論文を発表した。かれらは健康で若い成人90人を対象に実験を行った。自分の政治的志向を1の「非常にリベラル」から5の「非常に保守的」 まで5段階で評価してもらったあと、脳をスキャンした。その結果、リベラル派であるほど前帯状皮質の灰白質の容積が大きく、保守派であるほ ど右へんとう体の容積が大きい傾向があることがわかった。前帯状皮質は複雑性の理解に関連しており、不確実性や対立をチェックする機能を持 つ。そのため、前帯状皮質が大 きい人ほど不確実性や対立への認容性が高く、リベラルな物の見方を許容しやすくなると考えられるという。一方、へんとう体は恐怖心の処理に関連しており、 これが大きい人ほど、反感や脅すような表情に敏感で、危機的状況に際してはリベラル派以上に攻撃的に反応する傾向があるという。

貯蓄性向の高い人とそうでない人に違いも脳の構造にある。貯蓄性向の高い人は脳の中心部にある腹側線条体(ventral striatum)前 頭前皮質(Prefrontal cortex, PFC)内側部(m-PFC)が活性化されている。貯蓄性向の低い人は欲望や情動をつかさどる 大脳周辺系が活発。貯蓄性向の高い人は大学進学率も高い。

解剖学的脳の構造で判明しているものは言語をつかさどるブ ロー カー野ウェルニケ野、動きを認識するMST野、短期記憶を担う海馬、自己の性別を認識する部位などある。


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