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1097

ネオニコチノイド系新農薬

2007/01/05

殺虫剤の主流であった有機リン系の代替として日本曹達が開発した。有機リン系は慢性の神経・精神障害が問題とされていた。

ネオニコチノイド系新農薬アセタミプリド(製剤これらを名モスピラン)はタバコに含まれるニコチン類似物質の殺虫剤である。農薬取締法の登録は1995年 である。 アセタミプリドは水溶性で植物への浸透性が高く、分解しにくい、残留性も高く、人体への影響は高い。分解率は4週間で1.34%である。 欧米では残留農薬の規制は厳しいが日本のアセタミプリドの食品残留基準値は果実5ppm、茶50ppmと他のネオニコチノイド系より緩く設定されている。

よく外国産の農薬を心配する向きがあるが、厚生省がまとめた検疫所の検査報告では日本産も他国産も残留農薬の量では大差ないことが判明している。 最近はやりのその土地で獲れた野菜や果実をとるのはいいが、もしその土地でアセタミプリドをつかっている場合、多量摂取の弊害がでる。むしろアセタミプリ ドを使用していない外国産のほうが安全ということになる。

ーアエラ2006/1/1-8

株と同じで、野菜も各種、各地方のものを取り混ぜて少しずつ食するというリスク分散をすべきなのだろう。野菜のポートフォリオとでもいえばよいのか?

2009年になってミツバチの大量死(Colony Collapse Disorder CCD)が問題になっている。養蜂家は水田で行われるネオニコチノイド系新農薬の散布が原因ではと疑っている。

2010年になってミツバチの大量死にはモンサントが開発したBacillus thuringiensisという土壌微生物由来の殺虫タンパク質(Btタンパク質)を作る遺伝子を組み込んだ害虫抵抗性トウモロコシの花粉が原因となっ ているのではないかという疑いがでてきた と鳥木晃氏に教わる。害虫抵抗性綿花もある。これらをBt作物という。

ミツバチの大量死は受粉が必要な農作物すべてに影響する。 昔から農薬や天敵は環境に与えるインパクトが大きいため、抑制的につかってもダメージが大きいことが知られている。ネオニコチノイド系新農薬やBt作物の 功罪が 今後問われてゆくことになるのだろう。

しかしミツバチヘギイタダニやニホンミツバチの場合 はアカリンダニが CCDの原因とする説もある。

モンサントが開発した除草剤耐性遺伝子組 換え作物の方はいまのところ問題はでていないようだがどうだろうか?

グリーンピースによれば

@ミツバチなどの昆虫の数が減って、これを食べる鳥類の数も減っているとの報道があった。水生昆虫、ミミズにも影響が及んでいることが次第にわかってき た。

A2013年、EUはミツバチの保全と人体への影響を懸念してクロチアニジン、イミダクロプリド、チアメトキサムの販売と使用禁止をした。日本では 反対にクロチアニジンの残留基準をサトウキビ20倍、春菊50倍、カブの葉2000倍に緩めようとしている。

Bキウリのクロチアニジン残留基準:日本2ppm、EU0.02ppm

Cトマトのクロチアニジン残留基準:日本23ppm、EU0.05ppm

欧州食品安全機関(EFSA)はアセタミプリドとイミダクロプリドはヒトの神経と脳の発達に悪影響あるという見解を発表している。

無農薬、 有機肥料農業を実践している友人が時々その成果物をもってきてくれるのだが、大根、ジャガイモ、カボチャなどは問題ない。ところがトウモロコシは無農薬で は悲惨な結果になる。虫食いのトウモロコシから虫食い部分をカットして食べられそうなところだけ茹でて食する。無論芋虫も一緒にというわけだ。食べられな い部分をプラスチックの買い物袋に入れたまま台所の床においていた。次 の日に、その袋を持ち上げたところ、床一面が半透明のベージュ色になっている。何事かと顔を近づけると、数千匹の長さ3mm程のイモ虫が床を覆っている。 掃除機で吸い込めばサイクロンの内面が体液でべとついて使い物にならなくなる。苦労してはがきでこれを回収した。だからグリーンピースが何といおうと 「ネオニコチノイド系新農薬」を使わないと主婦は卒倒するだろう。つまり商品にならない。

2014/12/18水野玲子の「新 農薬 ネコチノイド が日本を脅かすもう一つの安全神話」を読む。

2015/7 大量死したミツバチの死骸をぶんせきしたところ半数以上からカメムシ防除のために水田で散布されたクロチアニジンが検出されたと農水省が公表。注意を呼び掛けた。

2017/末、ネオニコチノイド系農薬のスルホキサフロル承認(登録)された。この農薬は主な用途の一つとしてお米だ。

2019/9友人の小笠原さんから「ネオニコチノイドと、発達障害・パーキンソン病などの関連」と聞く。ネオニコチノイドと発達障害の関係について、雑誌「科学」(岩波書店)の2013年6月号と7月号に記事があるという。参考@参考A

Rev. September 13, 2019


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