メモ

シリアル番号 表題 日付

1056

ネフロトキシン

2006/07/11

腎不全になって体内で作られる毒素のことをいう。ネフロ・・・とは腎臓の・・・の接頭語。

腎不全になると腎臓の糸球体は分子量の大きいタンパク質をろ過できなくなり、タンパク質が分解されて生成する尿素の血中濃度が上昇する。尿素自体は無毒であるが、腸壁から腸内に漏れでた尿素は腸内細菌により利用され、ネフロトキシンが生成される。この有毒物質が腸壁より再吸収されてしもろもろの障害を引き起こす。

第一の治療法は腎臓透析または腹膜透析で血中尿素濃度を下げることである。透析は2日に3時間病院で過ごさねばならず、骨密度も低下するという副作用がある。現在腎臓透析している患者は全国で25万人いる。そのうち60%は糖尿病由来の患者である。いわゆるメタボリックシンドロームの犠牲者である。

第二の治療法は食事療法で摂取するタンパク質量を厳格に管理する方法である。高校時代の同期生で昭和医大の出浦君はこの世界の権威である。

第三の方法として腸内に漏れ出る尿素をイオン交換樹脂または活性炭で吸着して便として体外に排出することであるが、激しい便秘と有用成分の損失という問題がある。

第四の方法としてペクチンなどの水溶性または不溶性食物繊維を摂取して腸内細菌のビフィズス菌や乳酸菌にペクチンを分解させ、尿素とともに菌体タンパク質に変換してもらって便として体外に排出させる方法がある。ビフィズス菌や乳酸菌が同時に産生する有機酸で大腸の運動も活発になり便秘は生じない。

大阪大学教授から味の素の社長になり引退して鎌倉プロバスクラブのメンバーになった弓狩康三氏があるときゴルフ友達の獣医と話しているときに養豚業の最大の公害である臭気をブタにリンゴジュースの絞り糟を与えることで解決できた話を聞いてひらめいたアイディアが第四の方法の開発の端緒となった。 養豚業の悪臭の中心は糞尿に含まれる尿素が分解されてアンモニアになることにある。従って繊維をブタに与えることにより尿素がビフィズス菌や乳酸菌の菌体となって糞に排出されれば簡単にはアンモニアにならないからである。

弓狩氏が開発したケイロックス(潟Pイロン・ジャパン販売)というクッキーには5種類の水溶性、非水溶性の植物繊維が含まれている。これを一日4枚食することによりネフロトキシン 防止のほかに老人性の便秘を予防することができるという。

鎌倉プロバスクラブ卓話


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