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102

食品保存料

2006/2/9

食品保存料について考察しているうちに、1985年頃、ウォルドーフ・アストリア・ホテルのスィ−トルームで食品添加物メーカーのU製薬のオーナー社長から「 市販のおにぎりが日持ちするのは包装直前に保存料のスプレーの下をサットくぐらせるためですよ。厚生省の指針では天然の植物から抽出した保存料ならその旨表示しなくてよいことになっているのでおかげで儲かってますねん!なにかはお教えできまへんが、北海道でその植物を栽培させてそこから抽出してます」という言葉を聞いたことを思い出した。

いままでなにか詮索しなかったが、気になってこのページでなぞ解きを呼びかけたところ、小学館の広瀬真言氏からその植物はクマザサではないか。ササの葉は防腐作用があり、古来チマキなどを包む目的につかわれてきている。近年、漢方薬の原料にも健康食品にもつかわれているとのことであった。

グリーンウッド氏はしかし岩波の理化学辞典でみつけたナナカマド属(Sorbus)の果汁に含まれるソルビット(Sorbite)またはソルビトールというヘキシットまたはヘキシトール(6価アルコール)という甘味のある無色の結晶かとも思う。D型、L型、ラセミ体の3種の光学異性があるが、生物由来物質は右旋性のD型である。チクワメーカーによるかもしれないが、たまたま手持ちのチクワのパッケージにはソルビトールという成分名を明記してある。またインターネットで調べるとSorbate(ソルビン酸カリウム)というのもある。これは化学合成で造られる。チクワにも多量に使われてきたものだ。従って安全性は多分問題ないはず。今ではエチレンを原料とするクロトンアルデヒドとケテンを反応させて得られるソルビン酸を炭酸カリウムで中和させて製造するようだ。合成物はD型、L型、ラセミ体の混合物のはずである。天然ものでなくなるので表示義務があるが、法律では保存料として表示すればよいらしい。

発酵生成物のポリリジン、グリシンなど、保存料としてキサンタンガムはツヤとか保水性を保つために使われるようだ。

不飽和脂肪酸のシス型が部分水添でトランス型に変る問題のように食材の光学異性体が混じるのは完全にシロではないだけに気がかりである。



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