読書録

シリアル番号 963

書名

The Little Prince

著者

Antoine de Saint-Exupery

出版社

A Harvest Book NY

ジャンル

小説

発行日

2000

購入日

2008/7/4

評価

原題:Le Petit Prince

テグジュベリが書いたものは「夜間飛行」と「人間の土地」を読んだがその代表作である「星の王子様」は若き頃、フランス語の原典を使ってスイス人からフランス語を教わった。象を飲み込んだボアがでてくる数ページ読み進んだところで挫折した。その後、本棚に鎮座し続けている。

NEW Forumの第7回目の企画として 北ラス会のメンバーにして不条理演劇作家の代表にあげられる別役実氏の音楽劇「夜と星と風の物語」(テグジュベリ原作の「星の王子さま」より)を観ることになった。劇場から電子メールで受け取った劇の広告に主演女優で劇作家の矢代静一氏の娘の毬谷友子さんが「私が一番好きなところはキツネが『かんじんなことは目にみえない』という有名なセリフを言う場面です」と言っているのを読んで俄然興味を持ちよむことにした。日本語の翻訳は手元にない。ガリマール書店発行のフランス語の原典はとても無理なのでミセス・グリーンウッドの蔵書から英訳を取り出して拾い読み始めた ら2時間で読破できた。

星の王子さまの小惑星に生えるバオバブの木の芽をマメに抜かないと大きくなりすぎて小惑星が壊れてしまうとして小さな星に生えた3本のバオバブの木の挿絵を見た覚えがある。この話しは地球上に異常に増殖しつつある人類を象徴しているのだろうか?

王様が星の王子さまを見つけたときAh! Here's a subject!(Ah! Voila un sujet)と叫ぶところが面白い。明治憲法はsubjectを臣民と訳したので「ああ!臣民がいる」とでも訳すのか。

拾い読みではストーリーがわからない、はじめから読み始めるとなかなか面白い。引き込まれて1日で読破してしまった。大人の世界を強烈に風刺しながら、子供に世の中なんてこんなものだと教えているようだ。


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