言語録

シリアル番号 日付

1216

2008/6/28


名言 天皇制はどの点で咎があるのか。近代主義の観点からすれば、それは日本の民衆を「植物的」にしたのであり、知的に不活発であらゆる生活領域で長老的権威に依存するものにしたのであった。かれらは臣民であったが「主体性」を欠いていたのである、この主体性なくしては民主主義的な市民権(citizenship)は考えられなかった。このように主体性を説くためには啓蒙された層が必要であり、この層が民衆に対して、その歴史的な惰性から彼らを解放する一見普遍的な思想と理想の総体を翻案していく必要があった。
言った人、出典 丸山眞男の思想を整理してアンドリュー・E・バーシェイ「近代日本の社会科学 丸山眞男と宇野弘蔵の射程
引用した人、他 丸山眞男の近代主義の業績を評価して「丸山のような戦後の近代主義者にとって、日本が全面戦争に乗り出すに至る全過程は、すでに「天皇制」の破産を証明するものであった。敗戦は単に、明らかに非合理政治的社会的配置に終わりを告げたにすぎない。・・・言い換えれば近代主義は、打ち負かされた天皇制を審問に付そうとしたのである。

丸山の祖父は松代藩の下級の家臣であった。父は青年時代に横浜に逃げ、大阪朝日新聞や毎日新聞のジャーナリスト、イギリス的制度の根っからの賞賛者、確固たる経験主義者となり、「薩長閥」による政治支配、ならびに軍隊によるその憲法的地位の悪用の両面批判者となった。家には長谷川如是閑が出入りしていた。

丸山眞男の書き込みのある18,000冊の蔵書は自宅の近くにあった東京女子大に丸山眞男文庫としてのこされている。



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