読書録

シリアル番号 756

書名

白洲次郎の流儀

著者

白洲次郎、白洲正子、青柳恵介、牧山桂子、牧山圭男ほか

出版社

新潮社

ジャンル

伝記

発行日

2004/9/25
2005/12/10第4刷

購入日

2006/3/30

評価

武相荘で「プリンシプルのない日本」と一緒に購入。白洲次郎のライフスタイルの写真と随筆集

白洲次郎の生き様と言葉が写真とともに、家族によって語られる。印象深いいくつかの逸話を紹介しよう。

白洲次郎がケンブリッジ留学時代、ベントレーで一緒にヨーロッパ一周したストラットフォード伯爵のロンドンのタウンハウス、チェニーウォークのリンゼイハウスを娘の牧山桂子が父白洲次郎と訪問する下りがある。その食堂にクリムト、シーレと並び、近代オーストリアを代表する画家の一人である。オスカー・ココシュカ(Oskar Kokoschka)が1957年にリンゼイハウスのバルコニーから描いたテムズ河チェルシーリーチの絵があったことを書いている。

白洲次郎が すでに引退していたかっての次郎のガールフレンドと昼食をすることになり、あるロンドンのホテルのロビーで次郎と待っていた娘、桂子のまえに、ガールフレンドが登場した時の光景は今でもはっきり桂子の目に焼きついている。車で二時間もかかる田舎から来てくれた彼女は、007のアストンマーティンで轟音と共にホテルの玄関に乗りつけた。恭しくボーイがドアを開けると、ぬかるんだ道を走ってきたにちがいない泥だらけの車の中から、みごとにドレスアップした彼女が現われたのである。

白洲次郎は暖炉はもとより物を燃すのが好きだった。ある日、水上勉氏より火を燃やすのが好きな男は助平だという話を聞いてきた正子が、例の勝ち誇った顔で「次郎さん、あんたは助平よ」というと、次郎はやったとばかりに報復の矢を放った。「助平じゃない男など世の中に居るものか」

ビンテージカーのコレクターの野中昭男氏が白洲次郎がケンブリッジ留学時代乗ったベントレーを英国人から買取り、武相荘に持ち込んだことも紹介されている。英国人のビンテージカーを愛する情熱を感じさせる逸話だ。

この本に収録された白洲次郎の言葉のいくつかは言語録 104110421043に収録。


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