読書録

シリアル番号 1270

書名

腸内環境を整えて不調を解消する10の基本

著者

青木陽子、山祥ショウコ

出版社

株式会社(えい)出版社

ジャンル

医術

発行日

2015/7/10第1刷

購入日

2016/03/10

評価



腸内細菌に着目した健康法の紹介。

表紙に便秘、肌荒れ、アレルギー、肥満、心疾患、糖尿病、うつ、自閉症、過敏性大腸症候群、花粉症は腸から治す!とある。

著者はyokoaoki.comで「腸内フローラは」アメリカ やイギリスなど英語圏で先に話題になっていた。日本でもNHKの番組でブレイク。腸内に乳酸菌やビフィズス菌がいて活躍してくれていることは日本人のほう がむしろ馴染みがあるが、一般的な西洋人は「お腹の中にフレンドリーなバクテリア(ヤクルトの英市場でのキャッチコピー)?」とだいぶ驚いたようだ。減量 法として注目を集めた低糖質ダイエットやブームになりかけたパレオ・ダイエット(Paleolitic diet、またはhunter gatherer diet)のようなリスクになりそうな要素がほとんどないので取材して書いたという。

第一章 腸内フローラで不調をなくすための10の基本 (慶応大学先端生命研の福田真嗣准教授の監修)

1.腸内のフローラを意識するーケアはまず意識するところから
我々の体は37兆個の細胞から構成されている。腸内に共生している細菌は100兆個、1.5kg
2.フローラのために食事をするー菌を元気するには菌のえさが大事
細菌は食物繊維、糖類、発酵食品が好物。
3.ヨーグルトや発酵食品を食べようー乳酸菌は善玉菌
発酵食品とは麹菌、カビ、納豆菌、乳酸菌で成分をアミノ酸、乳酸、ビタミンなどに変化させたもの。乳酸菌などは胃液で死んでしまうがその分解物が腸内フローラのエサになる。
4.食事をほんとに大切にしようー腸内の居候にも影響が
伝統的な和食は腸活にぴったり。季節の野菜をいれた味噌汁、納豆、根菜の似付け、ぬか漬、しば漬け、野沢菜漬けがいい。外食や加工食品は食物繊維が少ない。精製度が高く糖分が高い
5.食品パッケージの裏に親しむー添加物に注意深くなろう
サッカリン、アスパルテーム、マウスの実験では肥満や糖尿病、腸の炎症に関係あるとの報告がある。Nature 514:181-186, 2014。乳化剤は自己免疫疾患、メタボ症候群になりやすい。Nature 519,92-96, 2015
6.くすりに頼らないー抗生物質は腸内フローラを弱らせる
市販の風邪薬や解熱剤に含まれる非ステロイド性抗炎症薬であるアスピリン、イブプロ フェン、ジクロフェナク、インドメタシンは消化管の壁を保護している粘膜を弱くする。頭痛の時に飲む鎮痛剤のロキソニンも要注意。また抗生物質を飲んでも ウィルスには直接作用しない。むしろ腸内バクテリアを殺して腸内フローラがボロボロになり、体力が落ちる。
7.「〜抜きダイエット」には要注意ー気づかぬうちに腸内フローラに影響が
低糖質ダイエット、低グルテンダイエットが流行っているが、腸に届く食物繊維やオリゴ糖などのバクテリアたちの食べものがかたよるために腸内フローラが人間に提供する栄養や炎症を抑える物資も減ってしまう。
8.赤ちゃん」の時期は超大切!ー良い腸内フローラを育てられる期間
生まれる前の赤ん坊は無菌状態、産道で膣のフローラをもらい、3歳くらいまでに適したフローラを作る。この時期に抗生物質を使うと肥満になったり、喘息やアレルギーになる可能性が増える。
9.潔癖症にならないー除菌はかえって悪玉菌を増やすことも
抗菌・除菌商品をつかって身の回りの物を消毒していると良いバクテリアまで一網打尽にしてしまうため、悪い細菌に体内侵入を許すハメにも。
10.続けることが大事ー体が変わるには月単位・年単位
新しいヨーグルト、食物繊維を食べるなら、2週間は継続すること。更に月単位半年単位で体調の変化を観察すること。
11.福田真嗣准教授のSpecial Interview
2006年、ワシントン大のゴードン先生が無菌のマウスに肥満マウスの腸内フローラを 移植したら肥満したとの実験をしたことが腸内フローラ研究の活性化を引き起こし、免疫システムとの関連があることもわかってきた。人間には「経口免疫寛 容」という仕組みがあるが腸内フローラが乱れると食物アレルギー、花粉症などを発症する。更に腎臓病、糖尿病、動脈硬化、ガンの発症につながる。腸と脳は 脳と腸を直結する迷走神経やホルモンで対話していて、これを「脳腸相関」という。腸内フローラがこの「脳腸相関」経由で脳に影響を与えて自閉症や多発性硬 化症の原因となる。抗生物質服用でこじれる偽膜性腸炎治療には便移植という手がある。「脳腸相関」経由フローラが脳に食べたいものを指令させることすら考 えられる。**デイブ・アスプリーの本にも「脳腸相関」は絶食遊動脂 肪因子(FIAF)というタンパク質が担っていると書いている。痩せ菌は2種見つかっているが、肥満菌は見つかっていない。フローラのバランスのずれが肥 満させるらしい。だから幼児のころは、なんでも口にいれて菌種をふやすことがおすすめ。

第二章 あの病気もこの不調も腸内フローラが関係している?

1.「もう一つの臓器」、腸内フローラは小宇宙
フローラとは花畑の意味。ここに住み着いた微生物は濃密な一つの生態系を形成しつつ、人間と共生しているもう一つの臓器ともいえる。消化液では分解できない植物繊維や多糖類を分解し、短鎖脂肪酸、糖分、ビタミンを産生し、病原菌を分解してくれる。
2.薄い腸壁は、皮膚の仲間
腸管上皮は上皮細胞一層のみ。その上をムチンという糖タンパク質の粘液が覆っているだけ。
3.腸内フローラには、善玉菌・悪玉菌・日和見菌が
腸内フローラの菌にはビフィズス菌、ラクトバチルス菌、大腸菌、ウェルシュ菌などがあ る。いずれも酸素のない環境に生きるため酸素に弱い。大腸菌の大部分は日和見菌で普段はおとなしくしている。これらバクテリアの広大な遺伝子ストックは人 間のそれの150倍もあり、新しい食べ物に遭遇したときに役に立つ。
4.腸内フローラは人それぞれ。年齢や食習慣でも異なる
一卵性双生児や夫婦の腸内フローラは似ている。地域の食文化によっても異なる。日本人は海藻の繊維を分解する菌をもったいるが西洋人には少ない。
5.乳酸菌などの善玉菌は免疫づくりを促進
小腸の内側に絨毛が多数存在していている。しかし、この絨毛は一様に分布しているわけ ではなく、パッチワーク状に絨毛が未発達な場所が点在している。これがパイエル板である。パイエル板の免疫で重要な働きをするのがM細胞 (microfold cell)である。M細胞は、腸管の上皮組織の一部で、腸管内と接している。M細胞は腸管内腔側からエンドサイトーシスによって腸管内腔の細菌などの抗原 を取り込み、基底膜側で接触しているT細胞やB細胞、マクロファージに提示することによって、パイエル板内の免疫細胞群に抗原情報を伝達する。パイエル板 内では種々のリンパ球などの間で複雑に情報処理が行われ、病原微生物に対しては免疫グロブリンA(IgA)の分泌を中心とする免疫応答による排除が、食物 由来のタンパク質や腸内の常在細菌に対してはアレルギー反応などの異常な免疫反応が起こらないような免疫寛容が、それぞれ誘導されていると考えられてい る。つまり、食物由来のタンパク質に激しく免疫応答を起こしてしまう食物アレルギーにも、パイエル板での情報処理が深く関係していることになる。赤痢菌は M細胞をだます能力を持っている。
Symptom01
花粉症・アトピー性皮膚炎・食物アレルギーは住環境が清潔になると発症する。フローラが産生する短鎖脂肪酸はぜんそく症状を抑える。胃がんの原因となるピロリ菌を持っているとアトピーやぜんそくになりにくい。
Symptom02
風・インフルエンザなどの感染症の感度にも影響する。クロストリジウム菌(偏性嫌気性で芽胞を形成するグラム陽性の桿菌)は糖を多量に含む糖タンパク質からなるムチンという粘液の分泌を即す。
-NHKスペシャル:総持寺の修行僧は食物繊維の多い精進料理を食べているとアレルギーが直る。これは腸内のクロストリジウム菌が情報物質を分泌してTreg細胞(制御性T細胞)を活性化するためである。Treg細胞は自己免疫疾患や健康な細胞に対する誤った破壊を防 ぐために、免疫系を負に制御し、免疫系の恒常性の維持に働いている免疫細胞。

Symptom03
多発性硬化症、橋本甲状腺炎、間接リウマチ、全身性エリテマトーデス、1型糖尿病、潰瘍性大腸炎などの自己免疫疾患と腸内バクテリアは関係ある。
Symptom04
ガン・悪性腫瘍も免疫系がうまく働かないと罹患する。そして免疫系と腸内細菌とは直接影響しあっている。一方肝臓ガンの原因となる腸内細菌もいる。
6.腸内細菌をいい状態に保つためには、まず食事
果物にあるペクチン、こんにゃくのグルコマンナン、海藻のヘミセルロースなどの水溶性繊維質繊維質、タマネギやアスパラガスに含まれるオリゴ糖、乳酸菌を毎日摂取もよし。
7.善玉菌たちの大好物、レジスタントスターチ
ごはんを冷蔵庫に保管しておくと立体構造がβ化した難消化性でんぷんとなる。これをレジスタントスターチというが小腸で消化できず、大腸に届く。そこで短鎖脂肪酸になる。
8.健康な人の便をくすりとして使う「便移植」とは?
移植を受ける人は抗生物質で自分の菌を殺し、健康なフローラを注入する。潰瘍性大腸炎、過敏性大腸炎でいい結果がでている。中東のベドウィンはラクダの糞をたべて病気を治すという。
9.病気の原因リーキーガット。それってどんな腸?
直訳すると「漏れやすい腸」。腸内フローラが乱れて腸壁を超えてはいけない物質やバクテリアが体内のもれてしまうことで、種々な免疫上の問題を生ずる。
10.肥満・メタボ・糖尿病の原因は腸内フローラ?
腸内フローラが消化されにくい食物繊維やオリゴ糖を腸内細菌が発酵することにより生成される。短鎖脂肪酸を作れないときは肥満になる。短鎖脂肪酸は免疫を調節してくれる。短鎖脂肪酸が増えるとインスリンの分泌量も増える。脂肪が多い食事をとると肥満を抑える菌が減る。
11.心疾患・動脈硬化は、腸内フローラの代謝物が関係?
昔はコレステロール動脈硬化説があったが、廃れ、牛肉などの赤身肉に含まれるカルチニ ンというアミノ酸が腸内バクテリアでトリメチルアミンNオキシド(TMAO)に変わり動脈硬化を促進する。またはリーキーガットになると免疫細胞がサイト カインを出し、それが動脈硬化を生じるという説に変わりつつある。NEJM誌オンライン版2013年4月25日号
12.ダイエットを唄う炭酸飲料やアイスクリームは逆に太る!?
アイスクリームの乳化剤である「カルボキシメチルセルローズ」と「ポリソルベート 80」をマウスの飲み水に少量加えて与えると太り始め、糖尿病予備軍になったり、潰瘍性大腸炎になった。いずれも腸壁の粘液層が薄くなったためである。 アスパルテームやサッカリンでも同じような作用が報告されている。
13.脳と腸とバクテリアは、ホルモンや迷走神経を通して会話する?
腸には脊椎より細胞数の多い「第二の脳」とも呼ばれる迷走神経が走っていて感情など無 意識の領域で大きな仕事をしている。また腸内バクテリアの一部は「幸せホルモン」とよばれる生理活性アミンの一つセロトニンを出すように腸の上皮細胞に働 きかけている。セロトニンの8-9割は腸起源で主に小腸にある腸クロム親和性細胞、および腸クロム親和性細胞様細胞が産生し、腸の蠕動亢進に働く。そのた め、消化管のセロトニンが過剰に分泌されると下痢になり、分泌が少ないと便秘になる。一方、脳内の神経伝達物質として働くセロトニン(以下、脳内セロトニ ン)は脳幹の縫線核で合成される。腸で生成されたセロトニンは血液脳関門を通らないため、脳のニューロンに直接作用する可能性はない。「抑制性の神経伝達 物質」として働くγ-アミノ酪酸(Gamma Amino Butyric Acid)略してGABAは腸内バクテリアが産生する。キムチからギャバを効率よく生産できる乳酸菌が発見され、チョコレートや飴、コーヒーや醤油など、 ギャバを添加した多くの食品が開発、販売されるようになってきている。
Symptom07
うつ・慢性疲労症候群も食生活で治る?
Symptom08
自閉症スペクトラム障害も腸内フローラの改善で治る。自閉症マウスの血液には自閉症の人間とおなじ4-ethylphenylsulfate(4EPS)という物質が多い。健康なマウスの腸内フローラを注入すると4EPSが減る。
14.肌荒れ・ニキビは化粧品じゃなく、腸が大事
コスメをあれこれ買いあさるよりも、冷蔵庫をヨーグルトや漬物、野菜で一杯に「するほうが近道。バクテロイデスという菌の仲間は人間は合成できないビオチンという必須ビタミンを作る。


Topics
1.「日本人の食事摂取基準」はカロリー基準ではなくなった!
厚生省が2015年改訂した日本人の摂取基準はBody Mass Index BMI=Mass/Height2<25に変わった。
2.ネズミの実験で「痩せ菌」を発見
脂肪の多い食事は肥満につながる細菌が増える。-セル・メタボリズム誌2014/12/2 クリステセネラ・ミヌータがあるネズミは肥満しない。Nature Online 518, 2015/2/25
3.アメリカで大人気、リーキーガット療法事情
乳製品、グルテン、ナス科のジャガイモ、トマト、大豆、フラクトーズなどがリーキーガットになりやすいとされている。荒れた腸をいやす食材としてグルタミン酸の、や骨だしスープが売れている。
4.腸内フローラは脳に働きかけている
人間は腸内フローラの「乗り物」に過ぎないかも。宿主がストレスに強くハッピーで、いろんなところに出かけるような社交的な人ならばバクテリアも広く遺伝子交換ができ、繁栄する。
5.コラーゲンを食べても美肌にはならない
消化吸収される分子量は1,000以下。コラーゲンの分子量は30万。したがっていくらコラーゲンたべてもお肌プルプルにはならない。プラシーボ効果ならあるかもしれが。

食と健康の最新ニュース6
News1 増えている「〜抜き」ダイエット
低糖質ダイエットや「hunter gatherer diet(狩猟採集社会食事法)」、「caveman diet(穴居人ダイエット)」とも呼ばれるパレオダイエットは食物繊維を減らさないように注意。低グルテンダイエットはグルテンアレルギーでない人がし ても無駄。
News2 豆・穀類をよりお得に食べる方法
パレオダイエットでは豆、玄米、全粒粉は毒性があるとやり玉にあげられたが、毒性は時 間をかけて吸水させることでフィチン酸が急速にへり、軽く発芽させることでビタミンも増え、加熱調理すると毒性のあるレクチンもなくなり安全な食品に変わ る。腸内フローラからの観点からも食物繊維や多糖類を多く含むこれら食材は大切にしたい。
News3 酵素ジュース、大腸洗浄・・・などの話題の健康法、腸から見ると
故ダイアナ妃が好んだ大腸洗浄は意味がないどころか有害。低速圧搾で繊維質を除いた生ジュースは繊維質がなく、酵素は胃で分解して失活し、糖質だけがとりこまれるので有害。
News4 ”フレキシタリアン”って?
フレキシタリアン(ゆるべジ)=ベジタリアン+乳製品・卵+時々肉
News5 流行のプチ断食を行うなら
1食だけ抜く、一日だけ抜くをプチ断食という。食物繊維やレジスタントスターチを選ぶべし
News6 話題に事欠かない「」の問題
マーガリンに使われるトランス脂肪酸は欧米では禁止になったが日本では野放し。かって 必須脂肪酸として称賛されたω6系多価不飽和脂肪酸(リノール酸)は菜種油にふくまれていてサラダ油として推奨されたが、取りすぎはよくないとされてから 嫌われるようになった。しかし魚油に含まれるオメガ3系多価不飽和脂肪酸(αリノレン酸)は推奨されている。一価不飽和脂肪酸のオレイン酸はオリーブオイ ルに含まれ推奨される。

Special Column
ヨーグルトが腸の老化を防ぐー福田真嗣准教授
腸は内なる外、腸管バリア機能が外から内に有害なものが入らないように監視している。 抗菌ペプチドが細菌通過しないようにがバリヤを作っているが、加齢やストレス、不規則な生活で腸管バリア機能は低下し、便秘がちになり慢性化する。この防 止のためにヨーグルトに含まれるLB81乳酸菌が有効。
はしやすめ「うんち」の話し
「うんち」は腸内フローラそのものだ。低糖質ダイエットをすると「うんち」が減って便秘になる。だから便秘にならぬよう、食物繊維を摂取する必要がある。

第三章 腸内フローラを育てて元気になるごはん 掘知佐子監修

1.腸内フローラを育てるにはどうすればいい?
Rule1:フローラのエサとしてはプレバイオティックスとして野菜、豆類、雑穀類。プロバイオティクスとしては乳酸菌、ビフィズス菌。
Rule2:動物性脂肪は避ける。バターやオリーブオイル推奨
Rule3:食生活改善は月単位、年単位で
Rule4:老化に関わる物質であるAdvanced Glycation End Products(AGEs 終末糖化産物)ができるため、揚げ物・高温で焼く料理は控えめに
Rule5:人工甘味料は控えめに
Rule6:よく噛んで
Rule7:ストレスの少ない生活
2.腸内フローラを育てる朝ごはん
和腸食:麦ごはん、豆腐とワカメの味噌汁、納豆、ゆで青菜、ヨーグルト
洋腸食:全粒粉パン、豆のサラダ、ゆで卵、ヨーグルトフルーツ
3.コンビニランチでも腸内フローラを鍛えられる
旬の野菜の入った麺類、納豆巻、赤飯おむすび、海藻入りサラダ、雑穀入り幕の内弁当、昆布・大根・ゴボウ天入りおでん、野菜の多いパスタサラダ
4.腸内フローラを育てる食材
皮つきフルーツ:リンゴ、みかん、レモン、夏みかん、オレンジ
発酵食:キムチ、ぬか漬け、納豆、みそ、ザワークラウト、ヨーグルト、しば漬け、野沢漬け、塩麹、チーズ、大豆を発酵させたテンペ、ペナンブラー
豆類:レンズ豆、ヒヨコ豆、白いんげん豆、キドニーピーンズ、あずき、枝豆
野菜:玉ねぎ、にんじん、ほうれん草、ゴーヤ、ピーマン、セロリ、トマト、トウモロコシ
根菜・きのこ:ゴボウ、サツマイモ、キノコ
海藻・その他:わかめ、こんぶ、めかぶ、ひじき、海苔、ところてん
全粒穀物:玄米、ライ麦、あわ、蕎麦、大麦、全粒粉パスタ、

最後に免責事項があり、ここには最新ニュースも紹介されているため、あくまで自己責任で適用することとある。

本誌と同じ内容の記事が雑誌Number Do vol.26 2016に掲載された。


60才から空腹時血糖値が高かった私の経験からのコメント

糖尿病予備軍の悩みは糖質食への渇望をどう絶つかかである。日本医療のすすめる糖質を許容しながらカロリー制限する方式は人間の欲望を計算にいれていないため全く役に立たないと悟った。そこでデイブ・アスプリーバターに含まれる短鎖脂肪酸や、ココナッツオイルに含まれる中鎖脂肪酸食、宗田哲男のケトン食説にしたがい、糖質制限食、すなわち肉 と脂質、なかんずく中鎖脂肪酸を多量に摂取するケトジェニック食品を好きなだけ食すれば糖質制限となり、BMIも、血糖値も正常になり、何よりもアトピーも治 り、歯の劣化防止になるという経験をしている。

ケトン食は糖質中心の主食主義をやめ、おかず中心の主菜中心としても、外食では提供されず、家でも料理が大変になる。明確なことは脂肪をいくらたべても BMIは増えないということ。そしてBMIが減りすぎたら糖質を摂ればすぐ復帰することだ。問題は糖質を摂ると糖質渇望がかえって激化してしま うことにある。この糖質渇望を消すためには中鎖脂肪酸中心の脂質を使う料理が有効だ。ただ、冬季は固体で使いにくく、フライパンでは熱で気化して台所が汚れることだ。油 いためはオリーブ油、天ぷらは米油と使い分けている。

このようにエネルギー源としての糖質は制限して脂質からエネルギーを得る以上、脂質とフローラの関係が気になる。本書ではセル・メタボリズム誌の脂肪の多い食事は肥満につながる細菌が増えるといマウス実験が紹介されている。気になって独自に文献調査した。「腸内細菌と脂質代謝」 によると腸内細菌は未消化食物成分の分解をして、短鎖脂肪酸、アミノ酸、ビタミンなどにして宿主に還元している。ここでLeyがNatureに発表した発 表した論文を引用している。肥満患者に脂肪と炭化水素を制限した食事 を与え、糞便細菌叢を解析した結果、BMIと腸内のバクテロイデス門対ファーミキューテス門の組成比率の関係は脂質制限より炭水化物制限食のほうが大き いという。マウスでは腸内フローラの組成の違いは肥満の結果ではなく、原因であるという。このように文献間で全く反対のことを主張していることがわかる。 つらつら考えるに脂質は胃液に含まれるリパーゼによりエステル結合が加水分解されればそのまま腸壁で吸収されて、腸内フローラには何も残らないから、関係 ないのだろうか?ただリパーゼを作る細菌もいるようで本当はどうなのか?

別の京大の文献「腸内細菌の脂肪酸代謝が宿主の脂肪酸組成に影響を与える」 では乳酸菌「Lactobacillus plantarum」を用いて、「なたね油」中に広く含まれるn-6系多価不飽和脂肪酸の「リノール酸」が多段階の反応を経てオリーブに多い「オレイン酸」へ と飽和化する代謝経路の全容が解明された。腸内フローラのお世話になるまでもなく、「なたね油」はもう使っていません。ご心配なく。でも日本では認識が遅れていて、この米国産の「なたね油」はいまだ食料油の中心ですね。疑うことを知らないお人よしの日本人。

いずれにせよケトン食は脂肪の正しい使い方さえ心得ていればと腸内フローラは矛盾しないどころか、「なたね油」のような間違った脂質を使っても腸内フローラは助けてくれるといえる。

かねてより老化と共に便秘気味であったが、このケトン食は本書が主張するように野菜を多量に摂取しても 便秘が激しくなる。抜歯で抗生物質服用したことも影響したかもしれない。プルーンと新谷酵素という麹菌培養エキスと乳酸菌の混合物のサプリメントとモロヘ イヤから作った青粒という錠剤服用が必須となってしまった。新谷酵素は麹菌の低温発酵と米や麦などの自然由来の酵素と乳酸菌が含まれ ているされているという。ならばとこの本がいう腸内 フローラをハピーにするために、ご飯、パン、麺類を完全に絶つ方式を改め、朝はオートミール、または半切れのパン、またはオールブランフレーク、ご飯はひ と握り、麺類をBMIをみながら時々口にしてい る。そしてあまり好きでなかったヨーグルトも口にして、サプリメントに頼らないですむように注意している。腹這いの姿勢20を分維持してガスを分離するという手も併用することを覚えた。知人2名が腸閉塞で苦しむさまをみているので切実である。


日本医事新報No.4807 2016.6.11特集「腸内細菌の臨床応用の可能性」

友人の野本医師から頂いた最新情報。腸内細菌と腸疾患、糖尿病、肥満、、肝疾患との関連に関する一線級の研究者が執筆。

●疫学者清野宏氏インタビュー

腸管が免疫臓器だと認識されたのは1970-1980年頃。最近10年間で細菌の全体像が遺伝子情報でわかるようになって急速にわかってきた。特定の免疫 細胞を発達誘導することと、必要な栄養素を製造してくれる人間と共に共進化微生物である。また腸管は神経制御に関わる神経ペプチドを産生している。今後 10年でこれら細菌が産生する全物質が分析されるであろうから、新しい知見がでてくるだろう。またウィルスとの関係も知る必要がある。腸内細菌・ウィルス 研究は宝の山。将来的には検便機能付きトイレも市場にでるだろう。

●腸疾患との関係 慈恵会医科大大草敏史教授

胃がんや十二指腸潰瘍がヘリコバクターピロリ菌によるものと同じく、安倍首相の持病である炎症性腸疾患やクローン病は昔は自己免疫疾患だとされていたのが 最近では腸内感染症だもその一因とわかってきた。便秘も同じ原因で起こる。大腸癌も腸内細菌と関係あると疑われている。薬剤の投与によって腸管にびらんや 潰瘍などの炎症が起き、腹痛、下痢や下血 などの症状が生じる非ステロイド性抗炎症薬起因性腸炎も腸内細菌が原因とわかっている。

●糖尿病・肥満との関係 順天堂大学教授

腸内フローラはヒトの消化酵素では分解できない食物繊維を発酵させることができる。人のエネルギーの8-10%はこの発酵生成物である。産生物は短鎖脂肪 酸である。そのうち酢酸は脳と筋肉で、プロピオン酸は肝臓で糖新生の基質になる。2型糖尿病と最近組成の関係は不明。過剰エネルギー供給やインスリン抵抗 性との関連も研究中。日本の2型糖尿病患者は血液中に含まれる腸内細菌が発見される率が28%と高い。正常者は4%である。

私は空腹時血糖値が高めで、対応が面倒になり、糖質制限を採用しているのだが代替カロリー源としている脂質の過剰摂取も腸内細菌に影響を与えるかもと、好きでもないヨーグルトをとって細菌たちへの配慮を始めた。これは便秘防止には有効のようだ。

●肝疾患との関係 横浜市立大

腸内分解生成物は門脈経由で肝に直行するため、肝臓は腸内細菌の大きな影響を受けている。これを腸肝相関(gut liver axis)と呼ぶ。リーキーガット・シンドロームになると高脂肪食、果糖、飲酒、薬剤でバリヤ機能が失われ、肝障害になる。またアルコール性肝疾患にも腸内細菌が関わっているかもしれない。腸内細菌への配慮は大切と思い始めた。


TED(Technology Entertainment Design)会議 U-tube

●腸内細菌 The gut flora: You and your 100 trillion friends: Jeroen Raes at TEDxBrussels
検便サンプルから細菌群の遺伝子シークエンスを測定し、その細菌群組成がわかるようになって、疾病との関連がわかるようになり、この分野の研究成果は急速に蓄積されつつある。

●住環境細菌 Managing the magic of microbes | Jessica Green | PhD at TEDxPortland
腸内細菌と同じく我々のすむ住宅も膨大な量の最近の住処だ、これを無菌化はできない。いかにして好ましい細菌が害のあるある細菌を抑えてくれるようになるかを解説している。

●狩猟採集社会食事法 Minding your mitochondria | Dr. Terry Wahls | TEDxIowaCity
人は豊かになると、便利な調理済食品に傾く。しかし、これこそ、病気の原因となる。自身が全身の神経に異常が起きる難病である進行型多発性硬化症で車椅子生活をしていた女医が神経軸索内のミトコンドリアが必要とするビタミ ンなどの栄養素が食品から摂取できていないのではと考え、いわゆる狩猟採集民が口にしたような食品を選んでたべたところを完全に直り、自転車通勤している というお話し。感動的。

●合成遺伝子による癌治療 Synthetic virology | Andrew Hessel | TEDxDanubia
癌を一般的に攻撃できる医薬品の開発はコストがかかりすぎるし、副作用も大きい。癌組織の遺伝子配列解析できるパソコンの接続の機器がローコストになった ため、これで解析し、癌細胞に不都合な遺伝子配列をPCで作成し、そのDNA配列を実際に合成し、運び屋となるウィルスに感染させて、これを患者に注射す れば癌細胞ないでウィルスが増殖し、癌細胞だけを破壊することができるという構想。

Rev. January 14, 2018


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