エクセルで作った

レシプロ・エンジン解析モデル

 

間伐材ガス化発電においてレシプロ・エンジン特性を推算するためにガソリン燃料エンジン搭載、前進1段のバギー車エンジン特性をベンチマークにしてどの位のエンジン出力が得られるか推算を行なった。

内燃機関はオープンサイクルで下記PV図に示されるような熱サイクルを行なう。

engine.gif (3756 バイト)

PV図

それぞれの記号の意味は下記の通りである。ガスは全て理想気体と仮定すると。

P (atm)

V (m3/kgmol)

n (kgmol/h)

R = 0.0887 (kcal/Nm3 K)

T (deg K)

Cp −Cv = R

r = Cp/Cv = Cp/(Cp - R)

m = r polytropic efficiency  (m > 1)

それぞれの工程のCpはガス化炉設計に使用したものと同じ計算式とパラメータを使用し、温度は工程の始まりと終わりの温度の算術平均値を使用した。工程出口温度はゴールシーク機能で収斂させる。

圧縮工程(A to B)は下記のように記述できる。ガソリンは液滴のままであるとした。したがってn1は吸入空気のみとした。ガス燃料の場合はガス・空気混合ガスである。発電用エンジンを一定回転数のまま低負荷運転する時、燃料空気混合ガスのスロットル弁がガバナーで絞られ、シリンダー内が大きく負圧になる。この時、スロットル弁のジュールトムソン効果は理想ガス仮定でゼロとした。ポリトローピック効率は100%とし て理論効率を求める。

P1V1m = P2V2m

T2/T1 =(P2/P1)(m - 1)/m

W1= 24.2179 n1(P2V2 - P1V1)/(m - 1)

燃焼行程(B to C)は下記の通りであるとした。ガソリンはここで気化し、燃焼ガスの温度まで加熱されるものとし、そのエンタルピ差はDEphaseとした。DHはガソリンの燃焼熱である。n2は燃焼ガスのモル数である。

DH-DEphase = 24.2179 n2Cp(T3 - T2)

T2/P2 = T3/P3

膨張行程(C to D)は下記の通りとした。ポリトローピック効率は100%として理論出力を計算。

P3V2m = P4V1m

T4/T3 =(P4/P3)(m - 1)/m

W2 = 24.2179 n2(P3V2 - P4V1)/(m - 1)

全工程をまとめると

Theoretical Thermal Efficiency = (W2 −W1)/ DH

Actual Efficiency/Theoretical Efficiency

ここで実効率と理論効率の比はそれぞれのエンジン固有の値でガソリンとガスで変わらないと仮定し、ガスの実熱効率を推算した。低負荷運転時は発電用に回転速度一定とし、スロットル弁で絞るとした。

発電用では低負荷でもサイクルを一定にするため、回転数を下げて負荷調整できず、燃料スロットル弁を絞って運転することになる。吸入ガス圧力が大幅に下がり、エンジン効率は大幅に低下する。自動車のように変速エンジンでもアイドリングではかなりスロットル弁がしぼられるので効率が悪くなる。定格なら決して悪くない効率が低負荷では極端に下がるのが内燃機関の欠点だとよくわか る。ハイブリッドカーが開発された理由がよく納得できた。

ハイブリッド車の効率の良さも定格で高くなくては意味がない。jこのためエンジンはアトキンソンサイクルを改良したミュラーサイクルを採用し 、吸気弁を閉める時期を遅らせて体積効率を70%に下げ、圧縮工程の圧縮比P2/P1=10程度、燃焼行程で圧を上げて膨張比はP3/P4=13になるようにして効率を38%にしている。

May 6, 2003

Rev. January 14, 2010


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