ECHOR会

かっての職場の上司から「エネルギー問題に発言する会」のメンバーの石井様から気候変動問題解決策と しての原子力発電の適用範囲の拡大について考えたいからこれを考える会に参加しないかという声がかかった。永年、化石燃料関連設備の設計・建設に携わって 来た者として、気候変動問題と原子力は興味のあるテーマのため、参加させてもらうことにした。会の名前は「ECHOR会」である。

リーダーは電力会社を引退した方のため、たまたま私が少しずつ書き足している小論「グローバル・ヒーティングの黙示録」の第五章 発電セクターにおける対策についてはかなり厳しく査読していただいた。 氏は原発が過小評価されていると不満の意を表されたが、私にとっては現状をありのままに表現しただけである。原発は日本では大きなシェアをもっているが世界では 現時点においてバイオより小さなエネルギーしか供給していないのである。そしてこれからこれが2倍になるところまでは反映しているのだ。氏は再生可能エネルギー導入に関する蓄電技術の必要性につき指摘された。 ただバッテリーは原理上大型化が出来ない技術なので電力会社向きではないだろう。むしろ消費者サイドの技術だ。

ECOH会休憩室: リーダーの石井氏が考え方を簡単に整理した報告書を作成された。これをブログ的に公開し、皆様が誤り修正、補正、書き込み訂正が可能な方法でネット上に公 開したいというので試みとして無料のEZbbs.netを使ってみることにした。スポンサーの広告が出るのはご容赦ください。

2008年7月11日、ECHOR会のメンバーの大部分は蔵前工業会のメンバーである。蔵前工業会東京支部・技術士会共催 キャノン電子株式会社秩父事業所見学会におさそいがあったので ありがたく参加させてもらった。1999年の社長就任後、2年で業績を大幅に改善させ、その後も快進撃を続けるユニークな酒巻社長の経営手腕に舌を巻く会であった。

2009年3月2日旭ガラス研修センター見学会

2009年6月16日、自由人のエネルギー勉強会」 で行った基調講演「エネルギーの世代交代ー原発の止まる日ー」 の裏付けとなる詳細なコスト計算を当会のメンバーに3時間に渡って説明しディスカッションした。

原子力産業や製鉄業など重厚長大産業にどっぷりとつかってきた方々に今後150年間に渡る全体像と各論をバランスよく理解してもらうのは時間がかかると感じた。

物理学で微分方程式を解くときに初期条件と共に境界条件を定めないと解は得られない。未来予測も一種の方程式を解くことで初期条件と境界条件をあたえなければならない。私はその境界条件を地球上のエネルギー資源の有限性に置いた。化石燃料は無論のこと 、高速増殖炉を使う是非うんうんのまえにウランは有限であると指摘したい。そうするといづれ人類の生存のためには有限ではあるが人類に許されるであろう進化論的生存期間の全域にわたって実質無限である太陽エネルギーに依存になるだろうという視点である。

太陽エネルギーの利用技術の一つであるバイオは光合成の原理を使うため転換効率1%こ越えることはない。一方ソーラーセル(PV)は現時点で転換効率 10%前後は確保できるし 、寿命も長い。ただ火力や原子力のように装置の大型化によるコストダウンはむずかしい。家電のように多量生産によるコストダウンしかない。蓄電装置である バッテリーもセルと同じく 原理的に大型化は困難で技術革新と多量生産がコストダウンの方策である。したがってソーラーセルもバッテリーも電力会社が採用できる技術ではない。なぜな ら消費者がこれを組み合わせた分散自家発電に太刀打ちできないからである。いずれそのような時代が到来するということを境界条件におくのが妥当であろう。

分散自家発電をも少し詳しく説明すると現在、日本では発電原価が11円/kWh、送電コスト12円/kWhで電力料金23円/kWhとなっている。さてソーラーセルの発電コストが電力料金と等しくなる(25-15円/kWh)グリッドパリティーが達成されたとする。

バッテリー価格が高いうちは消費側がバッテリーをもっても電力会社の電気料金には太刀打ちできない。したがって昼間の余剰電力はグリッドに逆潮流させ、夜 だけ買電することになる。グリッドと発電装置 の両方を持って運営する電力会社は原発を高負荷で運転して早く設備投資資金を回収したいから設備費が安く、燃料費の高い火力で負荷調整することになる。場 合によっては火力をアイドリングしておかなくてはならない。現在でも原発のためにBTGは夜間需要ゼロでも翌朝に備えるために火は消せない。スチームター ビンも空回ししておかねばならない。そのための燃料は少ないとはいえ無駄になる。 とはいえバッテリーは高価で仮に価格が下がっても送電コストという足枷を持つ電力会社は採用できない。

なぜならバッテリー価格が安くなれば分散発電設備の所有者である消費者は昼間の電力はそのまま空調などに消費し、余剰電力をバッテリーに蓄えて夜に使うと する。そのような家庭では分散発電の総発電量の42%を蓄えるバッテリーが必要となる。リチウムイオン電池の蓄電費が送電コストの数倍の35円/kWh (現在はまだ100円/kWh)まで下がるとすれば分散発電の複合単価は30-23円/kWhとなる。

こうなると消費者は雨の日しか電力を購入してくれなくなるから大型発電装置で集中発電して配電するというエジソン以来のビジネスモデルは苦しくなる。このモデルは有限の一次エネルギー資源を大型装置で低コストで転換し供給するサービス提供を前提にしているからだ。

屋根や土地持ちの一般家庭はもとより、次世代産業も土地持ちが有利になる。 太陽電池の設置を待っている未利用用地が沢山ある。高速道路や新幹線の法面である。現在は草がはえその除草にも金が掛かっている。太陽パネルを設置すると 草が生えにくくなる。それに、専用敷地だから部外者の侵入が無く装置へのいたずらによる破損が防げる。さらに、ルートが人口の集まる都市を結んでいるの で、ルート沿いに送電線(ケーブル)を引けば発生電力を負荷に効率的に輸送できる。基本的に太陽パネルを設置するため、新たに用地を購入する必要がない。 高速道路・鉄道会社が新事業としてやることになろう。現にドイツでは高速道路に太陽電池パネルを沢山設置してあるという。

次の段階として山間部や原野に広大な面積を確保しでソーラーセルで自家発しながら生産する段階にすすむのだろう。

こうして都市への集中化にもストップがかかるであろう。

日本は狭いようで国土の66%は山林・原野で手を加えることは可能である。国土の1.8%にソーラーセルを設置すれば日本の電力の100%をまかなえるこ とが可能なのだ。国内で無理なら海外の砂漠に立地すればよい。海洋だってある。産業にとって国境などはすでに無いに等しい。オースラ社が公表した 177MWのリニア・フレスネル鏡型CSPは蓄熱も可能だ。工場用動力確保に最適である。

ドイツは脱原発で着々と手を打っている。PVは勿論、ドイツを代表する20の大企業がコンソーシャムを組み、サハラの CSP事業に総額で 4,000億ユーロ (54 兆円)の投資を意味するプロジェクトを立ち上げることが決まったという。それらの企業とは;ミュンヒナー・リュック(ドイツの大きな再保険会社)、シーメ ンス(ドイツ最大の総合電機企業)、ドイチェ・バンク(ドイツ最大の銀行)、E.on(世界最大の電力会社)とRWE(ドイツで第二位の電力会社)、 ショット・ソラー(CSP発電設備メーカー)、イタリアとスペインの企業(複数)、アラブ連合の代表者である。電力は地中海を越えてドイツに送電するの だ。ドイツのガブリエル環境相が上記の企業のイニシアティブを歓迎し、政府として最大限の協力を約束する。とくに、多くの国を縦断する送電に関して解決す るべき法律的な問題は「地中海ユニオン」(沿岸諸 国で作る連合)http://www.desertec.org/downloads/solarplan.pdfの枠内で解決する意向を表明するという。

50年以上のスパンで考えるなら、地球を一回りする送電線ルートを建設することになろう。そしてこれに太陽パネル、各種電源(原子力、水力、火力、自然エ ネルギー)を結ぶ様になる。地球の半分は夜昼逆転するから、大雑把に言って電源は半分で済みます。ヨーロッパでは電力網、ガスラインが既につながってい り。ヨーロッパとアメリカはアラスカ辺でつなぎ、アフリカは地中海経由ないし中東でアジア、ヨーロッパとつながっている。日本は北海道から樺太経由でソ連 大陸につながる。カナダや南米、アフリカの大河から豊富な水力発電も送電網に加えることもできる。

ドイツのCSPに関しもっと詳しく知りたい方はドイツ(欧州)環境規制調査 望月浩二氏ににどうぞ。日本の産業界にとってこのニュースは興味ある動きとみえるかどうか?

Eメール: kmochi3@gmx.net

ホームページ: http://www.mochizuki.de

2010年1月19日、日金建設という企業が韓国製の「セス節電機」な るものの日本総販売店になっている。これを「スノーヴァ溝の口」という屋内の人工雪スキー場の冷凍機に設置したところ設置後2ヶ月間は消費電力に変化がな かったが、3ヶ月目に6.8%、4ヶ月目に8.7%、5ヶ月目に11.9%の節電効果があったという。「セス節電機」なるものは回路的にはキャパシターで 中には誘電物質のプラスチックに銅粉を分散させたものが入っているだけだという。インバーターなどの制御回路付きのモーターの効率は上げることができな い。旧式のモーターのみ 効果がある。原理究明のためオシロスコープで波形を見るとパルスがでているという。このパルスがモーターの鉄心に作用して、時間経過とともに鉄心のヒステ リシスカーブが変わって鉄損が減少したのではないかと推察している というが、韓国のメーカーはノーコメントとのこと。「セス節電機」をとりはずすと効果は次第にうすれ数ヶ月後には元の木阿弥となるという。

2010年4月20日、トリウム溶融塩炉を提唱されている古川先生とお会いし、親しく教えていただく。

2010年9月24日、石井さんのアレンジで高速増殖炉「もんじゅ」見学

2014年02月18日、本郷台プラット栄で開催されたECOHR会で「水素エネルギー水素経済は実現するか?」 という話をした。これは私が引退した後、NEDOを中心として産業界が取り組んだ水素エネルギーがテークオフするかというテーマである。私の私見はテーク オフしないというもの。

2014年11月18日、東電の元副社長竹内哲雄氏(名刺交換したら稲村ヶ崎の住人)の話しを聞いた。竹内氏の情報源は日本で発行されている原子力関連の雑誌に掲載されたドイツ事情がネタ本であった。

その本によると「ドイツの電力会社はFIT制度のおかげで倒産寸前で財務状態が悪化している。もし倒産すれば再生可能エネルギーをバックアップする火力が なくなるので停電となる。近隣諸国からも、風力・PVからのピーク電力の流出が迷惑だからピーク電力が流出しないようにせよ」と言われたという。

ネットで調べると

「安定経営を誇っていた電力大手が 危機的状況に陥っている。補助金の後押しを受けた再生可能エネルギーによる電力普及で 電力市価が下落し、大手が保有する火力発電所の収益が悪化しているためだ。各社は 火力発電所の閉鎖を急ピッチで進めているが、業績改善への道筋は見えない。

国内2位のRWEの2013年決算は、純損益が少なくとも旧西ドイツ建国時の1949年以来の 赤字に転落。3位のEnBWも純利益が9割減少した。最大手エーオンは若干の減益にとどまったが、 欧州での同社の総発電量の4分の1超に当たる1300万キロワット分の火力発電所を閉鎖する方針を 明らかにしている。」

のように微妙に竹内氏とはニュアンスがちがう。要するに補助金で安くなった再生可能エネルギーに通常の火力発電が価格で負けただけというように読めます。

コストで敗けたといって最新鋭の火力をとめるとバックアップ電源がなくなって、グリッド制御ができなくなるので電力会社は白馬の騎士よろしくマイナスの価格をつけて応札してバックアップを続けるという自腹を切った応札をしているとのこと。これでは電力会社が持たないので政府補助金を交渉中とのこと。

再生可能エネルギーの普及で市場価格が低下すればグリーン電力の変動を補完する従来 型発電の採算性が悪化し、必要な新型設備への投資も進まなくなるという問題が生じるので何らかの方法で市場の暴走を止める仕掛けがあるだろう。


エネルギー大手の RWEの本社ビル売却を計画中と言う記事もある。卸市場価格低迷が理由とか。再生可能エネルギーに税金の補助がついたのでこれに負けてしまったということのようだ。銀行も金貸してくれないので本社ビル売却とかっての日本で流行したことをなぞっている。

問題はしかし火力を全て止めると、電力網を自動制御する火力発電のガバナーも失うわけ。そうすると風力もPVもお日様と風次第だから需要に合わせて秒単位 で受給バランスを自動調整するガバナーがなくなるわけで電力網は制御できなくなる。風力やPVにそのようなガバナーはついていないし、たとえできたとして 風力、PVは採算にのらなくなる。

ドイツはしかし再生可能エネルギーに相当投資しているから再生可能エネルギー法(EEG)分担金を減らすわけにもゆかない。

私は再生可能エネルギーのバックアップ電力補助金になるのかどうか。でないと火力を動かす会社がなくなって全停電となるからだ。これはドイツの重荷になるのではないかと私も危惧する。日本では目下LNGは高価だから、石炭火力増設オンパレードだ。

関電は伊藤忠商事と組んで、宮城県に石炭火力発電所を建設する方針だ。関電にとって初めて自社エリア外向けの電力供給拠点を設けることになる。伊藤忠の子 会社で新電力の「伊藤忠エネクス」と関電子会社が折半出資で新会社を設立。仙台港近くに発電所を建設し、2017年中の稼働を目指す。出力は11万キロ ワットで、総工費は約300億円。

関電は既に2014年4月から首都圏でオフィスビルなどに電力小売りを始めている。顧客の信頼を得る安定供給を確保するため、自前の発電所建設所に踏み切ることにした。

中部電は、東電の常陸那珂火力発電所(茨城県東海村)に東電と共同で石炭火力発電所を建設する。運営会社の中部電の出資比率は96.55%、東電が 3.45%で、社長は中部電が派遣する。2016年度に着工し、2020年度に営業運転を始める計画だ。発電する60万キロワットのうち、東電に38万キ ロワットを供給し、中部電が16万キロワット、運営会社が6万キロワットを首都圏で販売する。中部電はまた、三菱商事などと組んで静岡県内にも石炭火力発 電所と設ける方針だ。

九電は出光興産、東京ガスと共同で千葉県に大型の石炭火力発電所を建設する。出力は最大200万キロワットで、東電以外の大手電力が首都圏向けに手がける 発電所では最大級。総工費は2000億〜3000億円になる見通しだ。新発電所は出光の千葉製油所(千葉県市原市)近くに建設し、2020年ごろの運転開 始を目指す。出光はオーストラリアに炭鉱を持っており、出光が石炭の安定供給先を確保する狙いもある。東ガスは電力小売りに一枚かんでおきたい思惑だ。

中国電もJFEスチールなどとともに東京湾岸に発電所を建設する計画を進めている。

大手電力以外では、大阪ガスが丸紅と組んで約300億円を投じて茨城県に石炭火力発電所を設ける方針で、2017〜18年度の営業運転開始を目指す。電力 とガスを顧客にセットで販売することも計画する。などなど。私はこれはLNG価格を下げる方策として米国産LNGの輸入とともに支持します。そして石油生 焚きをやめればよい。

ドイツは今世紀後半再生可能エネルギーが100%になった時のグリッド制御法を 研究していると望月氏が教えてくれる。このビデオを見て安心した。このグリッド制御手法とドイツ電力の苦境は微妙に違うということも理解できた。ドイツ電 力の苦境は国家の補助金の影響下で自由市場を展開した場合、補助金のない火力発電が苦境に陥ったということ。解決法として石炭火力を増やして火力発電会社 を救うという日本とおなじ手法が使われそう。そういえばG20のエネルギー協力の原則9条から温暖化防止という文言はいつの間にか消え、サステナブルとい う語に入れ替わっている。日本の記者諸君はその意味が分からず相変わらず温暖化防止と呼んでいるが。

フラウンホーファー研究所が実機で実験した方法はドイツ全土の再生可能エネルギー発電所を単一のグリッド制御コンピューターの支配下に置く。そして風と、 雲の揺らぎによる変動と消費電力の変動との差を秒単位で無くするようにそれぞれの風力発電の羽のピッチ制御、メガソーラーの直交変換機のサイクル制御も全 て単一制御コンピュータの支配下に置く、それでも生じる過不足電力はバッテリー、揚水発電で出し入れする。それでも余る余剰電力で水電解してメタンに変換 し、バイオガスのメタンとともに都市ガス網に供給し、余れば地下帯水層に長期貯蔵する。長期天候不順になればこの備蓄メタンで火力発電する。というもので 純粋に理論的なものすね。日本の再生可能エネルギーは安くするためにメガソーラーの周波数制御や出力調整はしてないし、日本全土を制御下に置いてないの で、いまだ19世紀的配電システムのままだから日本には適用できない。周回遅れとなっている。米英でもおなじ。ドイツはさすがデカルト的合理主義で突っ 走っている。

世界どこでも同じ原理、すなわち再生可能エネルギー発電を垂れ流しにはさせず、完全制御下で運用すれば、100%再生可能エネルギーを達成できる。資源エネルギー長官の国産エネルギー比率を上げる悲願も実現できる。

東電OBの竹内氏及び電力業界の危惧は古い九電力体制と制御パラダイムにとらわれた古い危惧ということになる。でもこの全面実現は独立風力発電業者の権利 の既得権を縛ることを意味し、コスト的にも高くなるのでその実現は今すぐというわけにはゆかず、今世紀後半となるのではないか?なぜなら化石燃料があるう ちは自由市場ではそのコスト圧力で倒産する再生可能エネルギー発電業者は続出することになるのでまた何らかの保護政策が必用となるのでは?ただ化石燃料枯 渇後の人類の将来はこれで安泰という希望が見えているというところに意味がある。当面はドイツでも再生可能エネルギーは垂れ流しにして石炭火力でバック アップがコスト的に有利。それでも石炭火力を朝夕2回止めたり動かしたりするとボイラー・タービンは寿命が短くなるだろうが。

2016年01月22日、突 然主催者の石井氏から講師の三菱FRBシステムズ社員の現役のH氏が私に会いたがっているからなんとか飲み会でもよいから出席してくれと電話をもらった。 ハテ誰だったかなと首をかしげながら、出先から駆け付けたのだが、まったくしらない無い人で「会いたがっている」というのはでまかせのようだった。

いつものノリで米国で開発された確率論的リスク分析手法で得られる結果は確率密度分布だ。そうすると事故確率は10のマイナス6乗程度になる。この数値を もって住民に安全というのは何も知らない住民にウソをつくことになる。実際の確率はそれを積分した累積確率分布でなければならない。そうすると10のマイ ナス3乗程度になってしまう。なぜこれを使わないのかと意地悪な質問をしたところ、世界のどこかで事故が発生する都度累積確率はあがってしまうので使わな いのだと正直な回答。これは不都合なものはほほカムリするという無意識の行動だ。東大の原子力工学科卒だそうだが、大学ではそういう教育しているらしい。 まー!家元の米国がそうだから皆ほうかむりしているのだが。

さて「原子力は巨大集中発電故、民主主義的な技術ではないというのが本質で、みなさんは今後もこれを普及できると信じているのですか?」と聞く。ついで皆 さんは現在の新潟県知事と静岡県知事が失脚するのを待っているのですかと聞くと、みなだんまり、目は点になっていた。ただ「貧乏になると原発でもやむをえ ないかという雰囲気はでてくるのでその「気」待ちだ」ということのようだ。H氏の奥さんは私と同じ考えのようであった。

彼らは原子力技術をすてたら日本国家は滅ぶと信じているようだ。半導体技術の進歩は信じていないようだ。だから東芝はフラッシュ・メモリーチップと原子力 に特化した会社になるという判断のよう。光電変換技術に取り組みガッツはないようだ。メモリーチップなんて完成した技術は安くなければいけないわけで、そ れにしか未来を託せないなんてさみしい。そして原子力に賭けるといわないと政治家と官僚の保護がえられないということのよう。まさに文系的国家。

H氏は三菱でFRBを希望して一生FRBだけを担当してきたという。私は親戚が原子力工学科の教授だったので一応検討したが、原子力という狭い領域に一生 を捧げるリスクをさけて応用の効く、応用化学を選んだ。原子力技術の問題点は放射線汚染のため、炉を自在に分解して目で見て改良できない技術だ。だから技 術者の介入する余地がない。だからわたしの選択は間違っていなかったと思っているというとH氏は「全くそうだと思う」としんみり。

最近の桜井よしこが中心になったFRBをコケにした規制委員会批判広告の広告料はだれが出したの聞いたところ、知らないという。電力会社はFRBから逃げ たいわで当然電力業界ではない。冗談でWillの編集長ではないかとのジョークがでた。花田編集長は私の中国にたいする核抑止力として中国の原発を攻撃で きる潜水艦発射のクルーズミサイルを持つという構想は気に入ってくれたが、そのためには日本の原発を廃炉にして廃棄物は地下に安全に貯蔵しなければならな いと書いたため、没にされた。花田編集長は文芸春秋社をやめたのち軍艦・航空機雑誌出版で金を稼いだ人ですからそういう読者に媚びてゆくのが生きる道と考 えていると思う。

三菱商事社員の50%は監査業務だという話だが三井物産はどうかとこの会常連の物産の部長だった小野氏に聞いたら、「物産だっておなじようなものでそうせ ざるを得ない」とのこと。まー!日本の商社は米国のコマーシャルバンクのようになっていて、投資後の利益確保に真剣にならざるを得ないということのよう。 最近これではいかんと新ビジネス発掘をはじめた若い社員もぼちぼちみられるらしいが。

Rev. January 23, 2016


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