コック・オ・ヴァン |
コック・オ・ヴァン(coq au vin)はフランス中央山岳地帯・オーヴェルニュ地方の地鶏と赤ワインを使った、世界的に有名な料理である。
グリーンウッド氏はこれをアイルランド人から教わった。1972-73年にかけロンドンの郊外のハンプトンのバッキンガム・ロードに住んで娘を地元の保育園に預けたとき、友人となったボルジャー夫妻がいた。英国では週末は妻の献身に感謝して夫は寝坊をしている妻のベッドにモーニングセットを届け、昼は何らかの料理を作って家族に振舞うのである。
ボルジャー夫妻は我々家族をそのような日曜日の昼食に招いてくれた。無論料理はボルジャー氏が腕をふるったものである。その料理がコック・オ・ヴァンというものであったのだ。早速材料と料理の仕方を教わって我もそのようにしようと決意したのだが、過去30年間に2回くらいしか実行していない。
記憶のみに頼って書いているのであやふやだが、用意するものは骨付き鳥肉、赤ぶどう酒、トマトピューレ、トウモロコシの缶詰、調味料、塩などであったと思う。骨付き鳥肉を赤ぶどう酒で煮込むのにかなり時間がかかったと思う。1970年代にロンドンで買った料理の本を紐解いて再現してみた。トマトピューレ、トウモロコシも使わない本格的な赤ワイン料理である。
鶏肉(骨付き) | 1kg |
ベーコン | 100グラム |
マッシュルーム | 200グラム |
タマネギ | 5個 |
オリーブオイル | 大サジ1杯 |
メリケン粉 | 大サジ2杯 |
赤ワイン | 3/4ボトル |
シーゾニング(醤油) | 若干量 |
砂糖 | 小さじ1杯 |
ナツメグ | ひとつまみ |
ブーケガルニ | 若干量 |
鶏肉、ベーコンから余分な脂肪分を取り除く。マッシュルームを縦に薄切り、タマネギを細切りにする。
フライパンにオリーブオイルを敷き、ベーコン、タマネギ、マッシュルームを炒める。炒めたベーコンと野菜はキャセロールに移す。鶏肉を皮が下になるようにフライパンに置き、黄金色になるまで両面を焼く。焼いた鶏肉はキャセロールに移す。脂肪分をあらかじめ除去しなかった時は鶏肉にブランデーをかけて火をつけ、余分な脂肪を燃焼させる。フライパンにメリケン粉と赤ワインを入れて良く撹拌してメリケン粉を溶かす。 バレンシア産またはフランス産の赤ワインは安くて品質もよいので使った。撹拌しながら加熱してルーを作る。砂糖、シーゾニング、醤油、ナツメグを加えて味を調える。加熱を10分以上継続してワインのアルコールを抜く。こうしてできたルーをキャセロールにそそぎ、180度Cのガスオーブンで45分間加熱して出来上がり。
ルーからアルコールを抜いておかないと酔っ払ってしまう料理だ。アルコールを抜くと暗褐色の濃いルーができる。アジアのアミノ酸系統 とは異なる味でまことに美味。海外経験の豊富な方に試食してもらって好評を得た。
料理人谷昇のやりかた
骨付き鶏肉を2-3日間赤ワインに漬けておくことが特徴。肉が空気に触れないようにワインに沈め、冷蔵庫に保管する。肉は取り出してしばらく放置し、表面が乾いたら塩をふる。漬け込んだワインは沸騰させアクとって漉す。フライパンにオリーブオイルを敷き、ニンニクと肉を弱火で焼く。あとは肉もメリケン粉もつけワインも新しいワインも混ぜて20-30分煮るだけ。ガスオーブンは使わない。ー朝日新聞「おいしさ発見」2007/2/24
January 30, 2006
Rev. February 26, 2007