28年前の写真は色あせてしまったが、使えそうなものをここに収録した。
グリーンウッド氏が社用で約1年間家族同伴でロンドンに駐在した1973年のこと、9月24日から一周間休暇をとり、大型クルーザーを借りてテームズ河をロンドンからオックスフォードまで溯上した。
住んでいたテディントンでギャレー、食卓、8バース(ベッドのこと)、2ヘッド(トイレのこと)付きの大型ボートをチャーターした。免許は不要なので30分操船を練習しただけで出発。ウインザー、メイデンヘッド、マーロウ、ヘンレイ ・オン・テームズ、サニング、レディングを経由し、ゴリンまで達したところで、帰路の時間を計算してここで転針し、帰ることにした。
マーローで (画面に見える教会は 1835年建立 )
上の写真の撮影地点はマーロウのParkwood Community Leisure。
大型ボートはコンクリートで固められていない自然の土手を船が発生する波のエロージョンから守るために、スピードは出ないように調整されている。これをゆっくりと上流に向かって溯上させるわけである。
航跡
英国では産業革命のとき、水運のための水深確保の必要が生じ、テームズ河に多数作られたダムとロックが今だに保守管理されていて観光のために利用されている。これを経由してロンドンからオックスフォードまで行くことができる。
ロック内に注水し、水位を上げているところ
ロックにはパブが併設され、花壇がしつらえてあり、まことに快適。沿岸は高級住宅と牧場が連なり、絵に描いたような景色である。適当なところでもやいを結び、近くのスーパーで食料品を仕入れて料理しながら。食事を楽しみながら航行する。
ロックで
パブでビターを半パイント引っ掛けて酔っ払い運転をしても速度が出ないため、大型船でも事故は生じない。当時3歳のグリーンウッド氏の娘ですら操縦できた。
キャノピーを開け昼食の用意
日替わりで会社の同僚や、隣人を船に招くと一家を車に乗せてやってくる。河であるからこのようなことができる。船上でパーティーだ。おかげでミセスグリーンウッドからずっとギャレーで料理ばかりしていてろくに景色も見えなかったと苦情をいわれた。
ボルジャー一家と当時3歳の娘
ウインザー城やイートン校も船から直行である。マーロウは住宅地であるが、夏にはレガッタが開催され、多くのボートファンが集まる。
ケビン・ボルジャー氏がヘルムをとる
一週間船室で居住した。9月末ともなれば日本の11月の気候となり、早朝はジーゼルエンジンは始動しない。インストラクターに教わったとおりキャブレータに始動用のスプレーを一吹きして始動ボタンを押した。不便なことといえば、バッテリーを気にして夜照明をふんだんに使えないことであった。
レディングの直前、サニング村のサニング・ブリッジのたもとに繋留して一夜を過ごしたが、橋、岸辺、村落、牧場のたたずまいがすばらしかった。レンガ製のアーチ橋が美しい。
Charles Rosenberg. Sunning bridge &c. Berks. 1799.
レディングとオックスフォードの間はテームズ河がノース・ウェセックス・ダウンズを横断するため、河からの景観は単調となる。反転したゴリンはその中間点である。
途中あまりゆっくりしすぎてオックスフォードまではたどりつけなかった。グリーンウッド氏の再挑戦対象となりそうである。
2001
Rev. June 30, 2010