七里浜の危機

シーサイド七里浜在住

グリーンウッド

まだ建設省内部の検討段階とのことですが、七里浜の沖合い400 メートルの所にリーフを設け、(海面上に出ない程度の防波堤)現在の七里ヶ浜を埋め立てて、現在の134号線の下に地下道式、片道2車線の道路にしようと の計画が検討中とのことです。現在の134号線は遊歩道にするのだそうです。一見よさそうな計画に聞こえますがよく考えてみましょう。

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七里ヶ浜

134号線は休日、海を見ながらのドライブを目的としてくる人々で混雑します が、混雑解消しても肝心の海が見えなくなるのでは、何のために鎌倉まで来たのかわからなくなるでしょう。遊歩道から海を見ても、波も無い水溜りとそこに浮 いたごみ、干潮時に露出する人工リーフを見て何か楽しいというのでしょうか。毎日丘の上から海を見て暮らしている地元にとっては、水の中の醜悪なテトラ ポットを見て暮らすくらいならどこか余所に移転したほうがよさそうです。サーフィングを楽しむためにここに越してきた人にとっては絶望ということになるで しょう。

海の生物にとっては災難です。レイチェル・カールソンが言っております。「人間は他の生物の犠牲なしにいきられない。だからこそ自然に対する責任がある」と。

山の中にダムを作ったために浜は砂の供給を絶たれ、痩せ細って行くばかりです。このため日本海の海岸は沖にテトラポットのオンパレードで醜い浜になってしまいました。陸前浜にもテトラポットが出現しつつあります。ついに鎌倉の浜にもこのような貧相なものが出現するのかと思うと悲しくなります。

このようなマッチポンプ的なことをなぜしなければならないのでしょうか。それも、国民の貴重な税金を使ってです。このようなわけで七里ヶ浜の住人は反対の署名運動をしております。皆様のご理解をいただきたいと思います。

1998年2月14 日


後日談:

このアピール文を書いてから5年経過しました。役所のほうは署名運動もあって工事は諦めたようでですが、自然は刻々と変化し、稲村崎 の浜の砂は流失し、岩が波で直接洗われるようになりました。砂は東に流れ、由比ヶ浜はいまのところ問題ないようです。小動岬の東側の砂浜は痩せてきており ます。小動岬の周りにテトラポットを投入したのが原因です。基本的には川の上流の砂防ダムにより砂の供給が途絶えることとが第一の要因ですが、岬や港湾で 人口の防波堤を作ると海岸に平行に流れる砂を止めて、港は砂で埋まり、下流の海岸は痩せるという現象が生じます。茅ヶ崎港の突堤 の東側の浜が痩せて防風林に波が直接せまって護岸を築かざるを得なくなっております。 また鳥取砂丘は鳥取港の構築の犠牲となってやせ細っています。そして港に溜まる砂をドレッジングしては砂丘に運ぶという無駄なことをしているのです。相模 湾でも人口の岬を構築して砂の横流れを止め る試みをしていますがかえって逆効果のようです。

港湾と河川の管理官庁が縦に分断されてそれぞれ部分最適化しようとするために

2003年7月末のニュース・ステーションで青森県下北半島の北端の町、大畑町で の公共事業の失敗とその回復工事のもような紹介されておりました。大畑町が税金で港を作り、フェリー岸壁も作ったのに、漁獲高は減り続け、フェリーの運航 はとりやめになり、町は過疎になってしまいました。住民がどこで間違ってしまったのだろうと昔の豊かだった時代の写真を持ち寄って話し合ううちに、かって 磯があったことを思い出し、税金で護岸を壊して磯を再生したら、ノリ、ワカメ、ウニ、サカナが豊かにとれるようになったとのこと。日本中の海岸をコンク リートで固めてかえって貧しくなっていたわけです。

16世紀から営々として行なってきたオランダの干拓事業にならい日本はいまだに干拓事業を継続していますが、ご本 家のほうはとっくの昔に干拓は止めてしまい、今は環境保護に転向しております。役所は一旦始めた事業はやめたがりません。これを止めることが出来るのは市 民の声とこれを取り上げるマスコミだけです。

2009年10月、久しぶりの大型台風がやってきて七里ヶ浜の老朽化した海岸の護岸が2ヶ所崩れました。稲村ヶ崎近くの西田幾太郎の記念碑のあるところは 自然の土手が残るところだが、波に洗われて少し崩れ 遊歩道の舗装が浜に落下したのがその一つ目。二つ目はレストラン珊瑚礁の近くです。台風が過ぎて数日たったところで老朽化したブロック積みのブロックが抜 け、中の砂が地下水とともに流れ出して国道134号線が陥没し、交通止めになりました。土嚢を積んで応急処置をしたが何らかの恒久処置が必要となります。

 応急処置

ダム建設で相模湾の砂浜がやせ細っている上に温暖化で海面が上昇するという。今世紀末に2m上昇するという。浜が消えるに十分な上昇だ。テトラポットの投入だけは勘弁してもらいたい。

October 23, 2009

2013年に入りようやく七里ヶ浜の擁壁の更新工事が始まり、2019年に完成しそうです。

January 14, 2019



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