長野北高卒業50周年記念誌原稿 2007年10月
 

通らなかった道

に関する批判の応えて

日本原子力発電の退職後日本原燃サービスの役員になったのち、郷里に引きこもった同期生Sが長野北高卒業50周年記念誌 に 掲載された「通らなかった道」を読んで同期会への一口メモに「この 文は間違いだらけだ。ニガヨモギとオオシュウヨモギは違うのを混同している」と書き込んだ。ところが ニガヨモギ以外の間違いの指摘はない。長年原子力産業に従事していた人間が自分の全存在を批判されて逆襲してきたのではないかと危惧し、2009年6月6 日に次のようなメールをした。


Sさん

はじめまして。

北ラス会への一口メモにニガヨモギについてのコメントをいただきました。これはメアリー・マイシオの「チェルノブイリの森」から引用したものです。

「ヨハネ黙示録」7-9章にアブサンの原料に使われた有毒のニガヨモギという草がでてきます。原発からの大規模放出現 象が発生したウクライナのチョルノブイリ周辺には防虫剤に使われる同じキク科ヨモギ属のオオシュウヨモギ(ウクライナ語でチョルノブイリ、直訳すれば 『黒いディル』、ロシア語でチェルノブイリニク)が自生してしていたため、オオシュウヨモギが村の名前になったとメアリー・マイシオは指摘しています。

ご指摘のように厳密にはニガヨモギとオオシュウヨモギは違いますが、同科、同属で寄稿文の論旨に影響ないのではないでしょうか。

貴兄は私の寄稿文の修飾部分、すなわち本質部分でないどうでもよいニガヨモギとオオシュウヨモギの違いについて指摘されているだけですが、「開口一番、私 の寄稿文には誤りが多い」とのご指摘から読む人は他にも本質論に誤りがあるかのごとき 誤解を与える文章です。もし他に誤りあるならばぜひ具体的にご指摘いただいたく、ここにメールさせていただきました。

その理由はこの寄稿文にその後、図版多数、原発の放射能コンテインメントの信頼性解析と土地損失被害額、電力系のコスト試算、一次エネルギーの世代交代図 等を追輔して

グローバル・ヒーティングの黙示録

という150pの大論文にしてわがHPに掲載しているからです。もし明らかな本質的間違い(意見の違いはご容赦)があるなら修正したいと考えているわけで す。この論文は1冊の本に相当しますのでこれを要約して北ラス会で1時間ほど講演をいたし、大方の好評を得ました。その時のスライドは2009年4月26 日、学士会館302号室で開催された「自由人のエネルギー勉強会」での基調講演「エネルギーの世代交代ー原発の止まる日ー」と同じもの です。

ご高覧をお願いします。もしご指摘いただけるなら貴名を謝辞に加えさせていただきます。

August 14, 2009



以上のようなメールに残念ながら返事はいただけなかった。多分ニガヨモギ以外ケチがつけられなかっ たのだろうと思っていた。2年の時が過ぎた2012年になり、人伝てに2011/3/11の原発事故 の後、Sは急に病が重くなって亡くなった。原発事故がかなりショックだったようだと聞いた。

確率論からは原発事故は確実に発生すると言えるが、何時かは予言できない。人は弱いもので、何時とわからないものは当分ないと思い込みたい。だから原子力 村の住民であるSを説得できはしないと思っていた。私にとっての3/11は申し訳ないが「ぼくはこの日をずっと待っていたんだ」という日だったのである。 Sにとってはまさかという晴天の霹靂だったのかもしれない。

この訃報を聞いても私の不快感は収まらない。揚げ足取りして著者の信用を毀損し、自分の利権を守ろうとするような行為は政治家が好む醜悪な行為 だからだ。Sは反省してくれたのだろうか?いまとなってはわからない。

Rev. January 22, 2012


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