グローバル・ヒーティングの黙示録

第四章 電力系統連携

 

第四章 電力系統連携

電力は貯蔵できません。需給アンバランスはフランスを除き、どの国も最も建設費の安い炭化水素燃料をつかう火力発電の出力を調節しています。フランスは原 子力の比率が高いですから原子炉の制御棒を上げ下げして出力調整をしています。フランス以外の国では設備費の高い原子力は最高負荷で運転したいため、火力 で調節しているわけです。

さてここに不安定なソーラーセルとか風力などの再生可能エネルギーが入っても安価な火力で調節できます。ヨーロッパでは中小火力を持つ中小都市が一定間隔 で均一に分散して入るため、都市と都市の空間の農地に分散する風力とは距離的に近く、送電線を太くせずとも火力でバックアップ可能です。このような事情で 風車を多量に導入しても問題ありません。

ところが日本は細長い地形に巨大都市は集中していますから土地面積の広い田舎に沢山の風車を導入すると、火力発電所を抱える巨大都市に向かって長い送電線 を逆流させねばなりません。送電網を太くし、サブステーションを逆流させないと、火力で調整できないのです。

結果としてバッテリーでバックアップという考えが生じます。問題はバッテリーがいまだ高価で今後も本質的に下がりにくい。下がるとしても半分くらいでしょ う。石油タンクとおなじ機能を電子軌道の切り替えで行うわけです。化学的に電子を蓄えるために炭素のミクロ構造にリチウムイオンを出し入れするわけですか ら、多孔質炭素やリチウムイオンなどの化学物質というマスが必要ですし、劣化という化学特有の問題が生じます。

だからEUは非再生可能エネルギーでバックアップできなくなったら火力についで安い揚水発電で蓄電と思い定めたのです。揚水発電は初期投資額はバッテリー よりも高価ですが100年は使えますから社会インフラ投資としては絶好です。

揚水発電やバッテリーに加えるに、安定な再生可能エネルギーとして地熱、バイオマス、蓄熱器付き集光型太陽熱発電を補助的に使ってバックアップします。し かし長期間の天候不順への対処法が苦しいところです。解決策は海外のサンベルト地帯でから合成したメタンガスまたはアンモニア燃料を使うコンバインドサイ クル発電でしょう。 さて地球の半分は常に昼です 。多国間をケーブルで結び、昼の国から夜の国に送電することで蓄電なしに電力の供給が可能になります。電流は西から東に向かって流れるようになります。

 

電力の品質について

電気事業法施行規則には電圧変動幅は100Vの場合±6V、200Vの場合±20Vと許容値を書き込んでおります。周波数の周波数変動幅は法的には束縛し ておりませんが電力各社は最大偏差を0.2Hz-0.3Hzに自主管理しています。

電力会社と政府は電力の品質をまもるためには不安定な風力は系統に取り込めないとしてその量を制限しています。具体的には経済産業省が2002年に制定し た「新エネルギー利用特別処置法RPS法」を逆手にとって風力の購入を2%程度受け入れただけです。政府の設定する義務量は1%以下、2010年にようや く1.35%にするだけです。しかし真意は原発の能力が休日などの最低需要を越えていて、余剰電力を揚水発電で蓄えなければならない事情を隠しているため です。

日本は9電力に分割されていますが、電力会社間の系統連携があまりされていませんので系統容量が小さく、周波数が変動しやすいという傾向があります。また 消費側も公共交通機関で一斉に出社し、仕事を始めるという国民性もあり、需要の変化率は世界でも最も高いものです。しかしこれも系統連携すれば緩和するこ とです。

周波数変動幅に関しては消費側の技術は格段に進歩しました。今時、正確な周波数をたよりにする時計なるものはないでしょう。電波時計がそれに変りました。 家庭用電気器具は殆ど、100V-200V、周波数は問いません。インバーターのおかげで力率などもどうでもよくなりました。電力会社はいまでは過剰ス ペックとなった電力品質を守ると称して再生可能エネルギー導入の抵抗勢力となっているのです。

あらゆる手段を講じても、遮断機の故障で瞬間停電などということは避けられないでしょう。中部電力の火力発電所で1986年に使用開始した日立製の断路器 の電極を止めるボルトとナットが2010年12月に脱落し、瞬間停電の結果多くの工場が停止したことは記憶に新しいですね。

 

電力の安定供給法

風力とPVは不安定です。しかも電力は貯蔵できません。

そこで系統連携でバックアップします。これを火力、水力、原子力、揚水発電で行うと蓄電費は10yen/kWh以下となります。しかるに二次電池を使えば 10-20yen/kWhになります。電力会社は送電網維持に8.4yen/kW必要としており、このアキレス腱を見かけ上消去するには積極的に系統連携 をするのが賢い方法。しかるにこともあろうに電力会社は風力業者にバッテリーと送電線投資を押し付けたので日本の風力は死にました。折角の安い電源をみす みす見のがしたのです。

溶融塩蓄熱器を付きCSP発電は夜も発電可能です。だがヨーロッパのように直流送電可能なサンベルト地帯は日本にはありません。したがってこれを転換合成 燃料を使います。炭化水素資源もウラニウムも高価になる1世紀後にはバックアップしてくれる火力発電も原発もありませんので合成燃料を使います。合成燃料 としては窒素系のアンモニアまたは炭素系のメタノールも使えます。

この他に揚水発電、浸透膜発電、地熱発電、フライホイールも小規模に使われるでしょう。一般に貯蔵密度がたかいと貯蔵規模は大きくなり、貯蔵コストは下が ります。ちなみに石油の貯蔵密度は10kWh/liter、規模は1,000-10,000MWhです。いかに石油が貯蔵密度も高く、大規模で、かつ安価 であったかお分かりのことと思います。


方式

詳細

貯蔵密度

貯蔵規模

電力回収率

建設単価

貯蔵単価




kWh/liter

MWh

%

yen/W

yen/kWh

域外連携

相互融通、自由市場

直流送電

-

-

95

-

0.5

系統連携

火力発電バックアッ プ

バックアップ・コス トは低負荷運転による効率低下。 炭化水素燃料がピークアウトしたら再生可能エネルギー転換燃料をバックアップに使う

10

any size

低負荷効率

164 to 140

0.3 to 0.5

水力発電バックアッ プ

再生可能エネルギー であり必要に応じて使える

-

any size

-

730 to 700

10.4 to 9.9

地熱発電バックアッ プ

再生可能エネルギー であり必要に応じて使える

-

any size

-

1,100 to 950

15 to 13

原子力バックアップ

設備費の割合が大き くバックアップコストは大

-

any size

-

350 to 330

7.9 to 7.6

化学蓄電

二次電池

化学エネルギーに変 換する二次電池

0.4

0.01 to 100

75 to 85

4.6 to 2

10 to 24

再生可能エネルギー 転換水素

再生可能エネルギー を水素という化学エネルギーに変換にして貯蔵し、再動力化

0.004

0.1 to 100

40

197

42

再生可能エネルギー 転換合成燃料

再生可能エネルギー をアンモニアまたはメタノールという化学エネルギーに変換にして貯蔵し再動力化

7

any size

40

170 to 135

20 to 19

物理蓄電

揚水発電

位置エネルギーに変 換、スケールメリット

0.001

100 to 1,000

71

238 to 230

7.6 to 8.7

浸透圧発電

逆電気透析法 Reverse electrodialysis(RED)と浸透膜法Pressure retarded osmosis(PRO)の2方式

-

-

-

-

-

圧縮空気貯蔵コンバ インドサイクル発電

圧力エネルギーに変 換するエネルギー貯蔵、スケールメリット

0.002

100

70

-

20

蓄熱

溶融塩などに熱とし て蓄えるエネルギー貯蔵、スケールメリット

0.8

0.1 to 100

90

-

3

フライホイール

慣性エネルギーに変 換する

0.08

1 to 10

80

400 to 1,200

3.9 to11.8

超伝導電磁石

磁場エネルギーに変 換する超伝導

0.01

10 to 100

70

400 to 2,400

29


電磁力平衡コイル

- - - - -

ウルトラ・キャパシ タ

電気二重層電池とよばれる物理電池

0.1

-

80

-

-

表-4.1 電力の安定供給法  神本 日本機会学会誌 97, 922 1994に追加


次の図はwiki commonから借用したがエネルギー貯蔵の適用範囲を示す。


図-4.1 エネルギー貯蔵技術の適用範囲  wiki commonより借用



多国間連携

地球の半分は常に昼です、多国間をケーブルで結び、昼の国から夜の国に送電することで蓄電なしに電力の供給が可能になります。電流は西から東に向かって流 れるようになります。 一国間でも送電線の損失は4%程度のため、直流送電ないし超伝導送電が可能になれば最も効率的で安価な方法でしょう。 伝送損失を5%とすれば、電力原価を10円/kWhとすれば0.5円/kWhの損失となります。北海道の最北端から九州本島の最南端までは約 3,000kmです。

EU27ヵ国のうちの北海に面する8ヵ国(イギリス、ドイツ、フランス、ベルギー、オランダ、ルクセンブルグ、デンマーク、アイルランド)とEU非加盟国 はノルウェーが再生可能エネルギー(主に風力)発電の電力を融通し合うことで意見が一致し、そのために北海の海底に送電損失の少ない直流高圧送電のケーブ ル網を敷設することになったようです。その費用は300億ユーロ 〜 4兆円と見積もられています。これによって、北はノルウェーの北端から南はフランスの南端まで4,500kmの仮想的発電所を形成し、それによって再生可 能エネルギー発電の最大の弱点である出力の不安定性が緩和 します。

これら9ヵ国で再生可能エネルギー発電の電力が余るときには、ノルウェーのフィヨルドに数多い揚水発電所でポテンシャル・エネルギーとして電力を蓄えるの です。はノルウェーのフィヨルドの揚水発電所で風力のバックアップをし、イベリア半島とサハラの蓄熱装置つき集光型CSP発電で夜間発電をするというもの です。これで欧州は原発と炭化水素燃料なしに電力供給が出来るとしております。2010年11月ドイツの全国紙 DIE ZEITはこの構想を『緑のヨーロッパ:こうすれば欧州連合は将来、原発と石炭の電力なしでやっていける』と題して図にしております。

再生可能エネルギーとは直接関係ありませんが、旧ソ連圏のリトアニアにはチェルノブイリ型の原発があり、これを早期に廃炉にするためにスエーデンの原発の 廃棄方針を撤回して電力を融通することを検討中とのこと。

ドイツをリーダーとするヨーロッパは更に多国間系統連系の範囲を拡大し、サ ハラ砂漠に集光型太陽熱発電装置を多数設置し、直流送電で地中海を横断する送電網を建設中です。この規模は古代ローマの版図をカバーする勢いです。


自由化と系統連携

日本の電力系統は9電力に分断されており、縦割り行政の弊害とおなじように、それぞれ独立王国で域内だけの需給バランス物理的にしたいたため、連携線を使っての系統連携は必要なかったという歴史があり ます。これが再生可能エネルギーの有効利用のための制約条件になっていました。

電力需要は人間活動に応じて大幅に変動します。電力会社は燃料費の安い原発、成り行きで発電する自流式水力、風力、ソーラーセルを優先的に稼動させる高負 荷稼動電源とし、燃料費の高いLNG火力発電、石油火力発電、石炭火力、貯水式水力発電、揚水発電を負荷調整電源として需給バランスをとらざるをえません。こ れを系統連携といいます。火力発電はエネルギー貯蔵を安価に行うことができる化学エネルギー発電です。燃料費は高価でも設備関連資本費が小さいため設備を余剰にもてることがバック アップに最適な理由です。電力会社が原発を負荷調整電源として使わない主たる目的は投下資本を最大限に回収するためですが、また頻繁に出力調整すると温度歪みなどにより疲労が蓄積して装置寿 命を下げるかも知れないという危惧もあります。

ヨーロッパや米国では電力事業は自由化されており、電力会社はそれぞれ自社の電力パッケージの仮想的需給バランスを取り、長期的な過不足 分は取引所を通じて他社から購入、または販売し、それぞれの地域の配電網を通じて自社の電力パッケージを消費者に売っています。秒オーダーの過不足は地域の配電網を運営する電力企 業のバックアップを受け、一定の時間、たとえば30分以内にバランスをとれば決済不用という取り決めを結んでおけばよいのです。過不足が出たときのみ、あらかじめ定めた料金で決済します。当然連結点にメーターがあり、相互決済できます。

消費者は特定の地域の電力会社の配電網に物理的につながっていますが、消費者は別の会社の電力パッケージを自由に購入契約できます。無論契約は年度毎にしか 変えられませんが、これを全ての電力会社は知っていて、どの発電所を動かして消費者の需要に応えるか計画し、自分の再生可能エネルギー発電所と消費との差は負荷追従型発電所の出力を調整します。こうして潮 流に齟齬が生じないようにしているのです。消費者の一人、たとえばM氏がノルウェーの水力を安く買いたいと申し出でれば、その他の購入契約も合算して過去の経験を加味して年間の発電計画と売電、買電計画を立てます。

日 本では地域独占の正当化のために「地域独占は電力の安定供給には欠かせない」といますが、ヨーロッパも米国も停電は言われたほどではありません。むしろ多 様化しているために彼らのやり方に一日の長があります。日本のように一様な単独管理法はむしろ天災にたいして脆弱性をもつでしょう。地域独占は自由競争を 前提とする経済学のパラダイムに反することで、それ自体ナンセンスではないでしょうか?こういうことは当然権益の受益者の勝手なロジックと言わざるを得ませ ん。日本が自由競争で世界の市場を手に入れたのはこの自由競争のおかげでした。そしていまそれを失いつつあるのは、ひとつは電力に地域独占を与え続けてい るためといえるのではないでしょうか?

各国の原発の設備利用率は80%以上ですがフランスでは原発のシェアが80%と高いため、原発も負荷調整電源とせざるをえなく、設備利用率は75.8%で す。日本は負荷調整電源ではないにもかかわらず64.8%と異常に低くな り、平均でも74%です。フランスのPWR型はより負荷追従が容易とされています。休日には完全停止も行われているといわれます。

風力は不規則変動します。このため日本ではNaS電池などをバックアップにつかうようですが、高価すぎて意味がありません。 ドイツの政府系研究機関であるフラウンホーファー研究所はフィヨルドに建設する揚水発電、地熱発電と少量の水力発電でバックアップしようとしています。い ずれも再生可能エネルギーです。ソーラーセルは昼間の空調によるピーク電力が、最大需要にフィットしているため、好ましい電源と考えられます。フラウン ホーファーは揚水発電で賄えない長期間貯蔵は水素またはメタンガスに変換して蓄えることを構想しております。アンモニアにすれば貯蔵費は下がります。


図-4.2  逆潮流と域外グリッド連携を許容するグリッド

系統連携で再生可能電源のバックアップに火力発電を使えば電力需要が増えない場合は既設の火力をそのまま維持するだけですので新規の資本投下は必要ありま せんし、燃料費むしろ減少しますので必要ありません。もしあるとすれば火力を低負荷で稼動すると熱効率の低下があることでしょう。

LNGコンバインドサイクルは59%という高効率を達成できましたが、悲しいかなガスタービンを使うため、低負荷では効率低下が著しい。二酸化炭素回収・ 隔離火力発電で紹介した低負荷で効率低下が少ない溶融炭酸塩燃料電池ーガスタービンハイブリッドサイクルも研究されているようですが、燃料電池は寿命が短 く高価です。

最近は変速モーター技術が利用できますので空気圧縮機をタービンからデカップリングして複数に分け、可変速モーターで駆動するという方式を採用すれば低負 荷の効率も向上し、負荷調整電源として最適な選択となるのではないでしょうか? インバーターのおかげで可変速モーターの大型化が可能になり、製鉄や天然ガス液化プラントには積極的に採用されはじめています。電力でも使えるのではない かと思うのですが。 これを発展させれば圧縮空気を地下の水封したコンクリート貯槽に蓄えて蓄電に使うことが可能となります。

米国では再生可能エネルギーの導入により困難になる系統連携を情報網と連結することにより、制御しようというスマートグリッド構想があります。IT網を 使って分散発電量を即時に中央にあつめ、潮流コントロール するという構想です。時間帯別料金という硬直した制度ではなく、需給バランスに応じて臨機応変にコストと需要を制御しようとするものです。 別の方向としては情報網の制御方式として成功したインターネットに採用されている自律分散制御があります。ドイツのように電力マーケットが自由化されてい ると、いくつもの配電会社が自律分散制御しなから連携するという制御方法を採用しております。蓄電・蓄熱器をもつものは電力価格が安いときだけ蓄電・蓄熱 器を作動させるということが出来るようになります。

系統連携では、再生可能エネルギーの導入では特定の時間帯に地域的に電力が不足する場合はLNGシャトル船に再ガスカ装 置積んで陸にガスを送るか、250MWのコンバインドサイクル発電装置を搭載してケーブルで電力不足地域に電力を送る発電船が有効となる。2015/9に MHIはインドネシアなどの島嶼 部向けに火力発電船を400-480億円で売り出すと公表したが、これが日本でも利用可能である。

 

二次電池

石油がなくなる時代には電気自動車は鉄道についで重要な輸送機関になるでしょう。輸送機関には二次電池が最有力です。ただ二次電池は作動原理が化学的なも のゆえ、放電深度にもよりますが寿命が短いのが欠点です。これは原理的に電極に金属 が析出したり、溶けたりのサイクルを繰り返すうちに表面積をつぶすように多孔質の穴を金属が埋め尽くしてしまうためで、この進行を遅くする方法がないこと です。 あるとき突然使えなくなるのではなくなだらかに容量が減るので寿命は経済性と利便性によって決まります。また大型化は不可能で多数のバッテリーを並列に連 結するだけになるため単価を下げることが困難で電力会社の集中蓄電には適しません。大型化の出来ないソーラー発電と組み合わせる分散発電・分散蓄電向きと 思われますがコストを下げることができるかが普及のポイントでしょう。

二次電池には鉛蓄電池、ナトリウム/硫黄(NAS)電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、リチウム・イオン電池、リチウムメタル電池、全固体 電池、金属空気電池 、マグネシウム・イオン電池、フロー電池などがあります。

現時点においては鉛蓄電池は重すぎて自動車用には使えません。ニッケル水素電池がハイブリッド車などに使われておりますが、EV用にはよりエネルギー密度 の高いリチウムイオン電池に期待が集まり、市販されていますが価格がネックで普及には程遠いものです。

二次電池は石油に次いでエネルギー密度は大きいのですが、それでも石油の1/50ですので頻繁に充電する必要があります。そして瞬間充電はできません。電 力需要のピークカットに有効であると認めれば二次電池、蓄熱装置に1/3の経済産業省の補助金がでますが一時的な刺激策に終わるでしょう。

シャイ・アガシ氏がイスラエルで計画しているバッテリーの規格を統一して、国中に充電スタンドを沢山設け、充電したバッテリーを載せ変えながら走るという 方式 が普及するかどうか。各社はまだ様子見というところでしょう。電池電気自動車はルーフにソーラーセルを設置し、駐車中も常時蓄電することも併用するでしょ う。

図-4.3 一次電池、二次電池の貯蔵密度と出力密度

<鉛蓄電池>

鉛蓄電池は正極に二酸化鉛(PbO2)負極に海綿状鉛、電解液に希硫酸を使います。標準起電力は2.04Vで水電解圧より高い。エネルギー密度は30- 40Wh/kg(300Wh/l)程度です。

鉛蓄電池は一番普及しておりますが、重く容量が小さい欠点があります。改良型にディープ・サイクル型があります。

図-4.4  2.52kWhディープサイクル ・バッテリー

発展途上国での自動車の需要が大きく、2008年には資源バブルの発生で鉛の価格が上昇しましたがまた正常にもどったようです。

<ナトリウム/硫黄(NAS)電池>

フォード社が高エネルギー密度を得られるというナトリウム/硫黄(NAS)電池の概念を発表してから東京電力は電力系統の負荷平準化のためにNEDOの支 援を得て開発しました。マイナス極に 金属ナトリウム、プラス極に溶融硫黄、電解質にベーターアルミナという地球上に豊富にある材料から製造したセラミックス使い、寿命10年以上、エネルギー 回収率を75%以上にして揚水発電の代替にしようとする目的でした。 金属ナトリウムと溶融硫黄は円筒形のセラミック膜を介して円筒形の筒に収納され、この筒81本が砂に埋められ、シリーズ結合された構造になっています。運 転温度が350oCで作動する高温作動型電池です。 高温による熱損失のため電力の長期貯蔵には向きません。寿命12年以上(期待4,500回、能力半減は2,500回の充放電)のものが開発され、製鉄会社 でも試験的に採用されていますが、電力網用には揚水発電のコストが大幅に下がったため 、コスト的にかないませんでした。

図-4.5  NAS電池模型

ABB社など外国勢も電力の自由化を理由に撤退したのに東京電力はこの技術開発に長い期間、固執してきました。結果としてメーカーは世界で日本碍子だけに なりました。メーカーから市販されているものは充放電効率87%(初期値)で直交変換効率95%(片道)ですから、電力回収率は78.5%(初期値)とな ります。古くなれば揚水発電の71%を下回ります。

NAS電池の開発を担当した東京電力の元執行役員技術開発研究所長で現フェローの立花慶治氏は経営陣からの圧力で研究を継続しただけのものであると言明し ております。このようなわけで、二次電池が電力系統の蓄電装置として使われる可能性は低いと思われます。

このNAS電池は日本風力開発株式会社の六ヶ所村二又風車発電に34MW採用されていますが電池のコストは公表されておりません。2012年になりNAS電池は熱暴走の危険性から生産中止になったと聞きました。

<ニッケル・カドミウム電池>

正極に水酸化ニッケル、負極に水酸化カドミウム、電解液に水酸化カリウムを使うアルカリ電池です。起電力は1.2Vです。

その容量のほぼ全てを使い切らない、電荷が十分に残っている状態で継ぎ足し充電を繰り返すと、電荷が残っているにもかかわらず放電電圧が低下し、結果とし て容量が減少した様に見えるメモリー効果があります。

自然放電が多いので大出力用とには適しているが長期間稼動させる目的には向きません。また ニッケルカドミウム電池は有毒物質があって問題です。

<ニッケル水素電池>

ニッケル水素電池(ニッケル・メタルハライド電池)はトヨタのハイブリッド車に使われました。

ニッケル水素電池の正極には水酸化ニッケル、負極には水素吸蔵合金を使います。電解液は水酸化カリウム水溶液のため起電力は1.2Vでアルカリマンガン乾 電池と互換性をもつという特徴があります。水系電解質は過充電しても熱として消費されるという本質的安全性を持っております。

かなり改善されましたがメモリー効果があります。

トヨタの初期のハイブリッド車に採用されました。

<リチウム・イオン二次電池>

リチウムイオン電池は一次電池であるリチウム・メタル電池を充電できる二次電池にしたものです。エネルギー密度を高くできますので電池電気自動車 やプラグイン・ハイブリッド車搭載として期待されております。

水系の電解液は水の電気分解電圧以上の起電力を出せないという制約があって高容量化の制約になっていましたが、非水系にはそれがなくLiイオンは4V以上の高い起電 力、大電流放電が可能、メモリー効果がないなどの有利さがあります。コバルト酸リチウムを開発したのはグッドイヤーでした。負極(アノード)にリチウム金属を使うと劣 化の問題がありましたが1987年に旭化成の吉野彰氏が負極にアモルファス炭素を使うという発明をして突破口を開いたのです。現在でも負極(アノード)にリチウムやシリコンを使うアイディアや正極に硫黄を使うなどの研究がなされています。

こうして普及しているリチウム・イオン電池は負極に炭素 (グラファイト)、正極にコバルト酸リチウム、LiCoO2、非水系の炭素エチレン(エチレンカーボネート)、炭素ジエチル(エチ ルメチルカーボネート)などの有機溶媒にLiPF6などの電解質を溶解した非水電解液を使っています。蓄電の原理は基本的には負極 のグラファイトのp電子軌道の最低非結合分子軌道(LUMO)に電子を電気化学的に出し入れする 原理です。他の二次電池と比較して優れていても、電解のように化学変化を生じて物質を蓄える方式に比べ容量を大きくすることにはおのずと限界があることが わかります。

携帯やパソコン用は正極に高価なコバルト酸リチウムを使っていますが価格を下げるためにマンガン利用が研究されています。東芝は負極に微粒子のチタン酸リ チウム、正極にマンガン酸リチウムをつかうSCiBTMという2次電池を開発しました。負極に炭素をつかった通常の二次電池の寿命は 1,000-3,000サイクルですが、これは6,000サイクルが期待されるようです。低温環境に強い、急速充電ができるなどの特徴がありますがまだ試 作段階でコストは不明です。普及するでしょうか? 日立は正極にマンガンを使い、かつ寿命が倍の10年を達成したとしています。

正極材料にオリビン構造のリン酸鉄リチウムを使うリチウムイオン蓄電池はソニーが開発した。コバルト酸リチウムに比べ安全で長寿命という特徴がある。

非水系電解質はしかし過充電で発火事故を生じます。過充電保護回路が必要となります。 ここで電解質を難燃性にするため、この部分を可燃性液体から熱に強いポリエーテル系高分子に変えた全固体電池などが開発中です。

現在、リチウム・イオン電池のエネルギー密度は一次電池である金属リチウム電池の500Wh/lに近く、理論的限界に達したと考えられております。電池自 体については充電に投入した電力の90-95%は取り出せますが、変換機ロスも入れて85%位が回収できます。

リチウム資源は40$/kgと高価ですがバッテリー全体に占める価格は3%以下で問題ないし、全世界の車をEVにするには15TWhのバッテリーが必要となりますが、リチウム資源からは90TWhのバッテリーを作れます。

携帯電子機器の電源としたソニーが商品化しましたが、そのソニーも価格競争力を維持困難になり2016年に売却。ニッサ ン自動車はEV向けに自社開発していましたが、これもパナソニックなどからの購入に切り替えました。電力網向けに東芝製のリチウムイオン電池が南相馬に政 府の復興資金で設置されましたが、これは補助金で可能となったもので、経済合理性はありません。

バッテリーは消耗品ですので発電装置のように40年間にわたって、投下資本を償還する費用項目には入りません。したがって実質上は運転経費に計上する費用としての性格が強いものであるということに着目する必要があります。

リチウムイオン電池が大量に普及すればリチウム資源枯渇は一つの問題として浮上するでしょう。現在の採掘可能な埋蔵量は1,100万トン。多くは南米や中国の塩湖の水に溶けております。ボリビアのウユニ塩湖が有名です。

2011年のリチウムイオン電池の素材メーカー

正極剤:日亜化学15%、ユミコア(ベルギー)12%、L&F(韓)10%

正極接着剤:クレハ70%

負極剤:日立化成36%、BTR(中)25%、JFEケミカル14%

電解液:宇部興産・ダウケミカル23%、三菱化学17%、パナックスイーテック(韓)13%

セパレーター:旭化成36%、東レ東燃22%、セルガード(米)15%

外装材:昭和電工(アルミラミネート箔)


<全固体リチウムイオン電池>

(1)電解質に高分子樹脂(ポリマー)シートを使うタイプでフランスBolloré社の子会社であるフランスBatScap社の全固体2次電池です。負極材料に金属Li、電解質にポリマーシートを用いていることから、金属Liポリマー電池(LMP)と呼ばれます。

(2)Li含有遷移金属酸化物からなる正極層、リチウムイオンだけを通過させる性質をもっている硫化物や酸化物からなる固体電解質、炭素系の負極層を積層させた構造をもっております。さまざまな固体電解質の中でも、リン導入硫化物(Li2S-P2S5系)ガラスは、高いイオン伝導率(イオンの移動のし易さ)を示します。日立造船が開発しております。

全固体電池には、既存のLIBに比べて技術的優位点が幾つもあります。1つは安全性が高い点です。電解質が固体であるこ とで液漏れが起こらず、揮発成分がないか、あってもわずかで、発火しにくい。固体電解質は一般には硬いため、電極に析出する樹状結晶(デンドライト)が、 正極と負極を短絡する可能性も低い。次に、電解質が固体であることでセルの設計自由度が大きく増します。高温や低温での特性が高いのも大きな長所です。

2015年9月には、車載部品メーカー大手のドイツBosch社が全固体電池の開発ベンチャーの米Seeo社を買収しました。英Dyson社は2015年 4月、半導体プロセスに基づく全固体電池を開発する米Sakti3社に1500万米ドル(約18億円)を出資。Sakti3社は米University of Michigan発のベンチャー企業です。同年10月に9000万米ドル(約108億円)で同社を買収しました。さらに2016年3月には、その全固体電 池の実用化を目指し今後5年の研究開発に10億英ポンド(約1800億円)を投資すると発表しました。

2025年以降には、Li硫黄(Li-S)電池、あるいはLiイオン以外のイオンを使う全く新しい2次電池が実用化される可能性もある。

<ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム二次電池>

ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム・イオン電池も可能性はあります。 リチウム・イオン電池と原理は同じでマグネシウムイオンを黒鉛電極に出し入れして充電・放電を行います。 まだ理論的な研究段階ですが、資源的に無限でリチウムのような制約がないことがメリットですがコスト的に安くなる可能性は低いといえます。

<金属空気電池>

一次電池の一種です。ボタン電池として使われています。

<フロー電池>

電解液と電極セルを分離し、電解液をタンクと電極セルを循環する二次電池のことをフロー電池といいます。電解膜のコストがたかいことと、イオンの溶解度が低いことがコストダウンの障壁となっています。

レドックス・フロー電池(redox flow cell,redox flow battery)が代表的フロー電池でイオンの酸化還元反応を溶液のポンプ循環によって進行させて、充電と放電を行う流動電池です。redoxは reduction-oxidation reaction の短縮表現です。「フロー」を略してレドックス電池と呼ぶこともありますが、分類としては流動電池(フロー電池)が上位になります。1974年、 NASAが基本原理 を発表し、1980年代に研究されたものは鉄 - クロム系が主でしたが、次第に両者が混合し、容量が低下する問題がありました。その後開発が進んだバナジウム系では1種類の元素だけを用いるため、容量 低下が起こ らず、実用化に至りました。住友電気工業株式会社が2000年(平成12年)ごろから製品の販売を開始しております。しかしバナジウムが高価でコストダウ ンが難しいという難点があります。もう一つの重金属である劣化ウランを使うアイディアもありますが、放射能があって環境汚染のおそれがあります。

2014年、バナジウム・フロー電池を搭載した革新的EVが欧州で公道走行認可されました。開発したのは Nanoflowcell社で、航続距離は最長600km、最高時速は350kmということです。10,000回の充電サイクルを繰り返すことができま す。nanoFLOWCELL技術はEV車だけでなく、エネルギー、海運、鉄道、航空などの分野へ導入される可能性を持つとしています。

米ハーバード大学の研究者マイケル・アジズ氏が、バナジウムという重金属の代わりに2つのケトン構造を持つ環状の有機化合物キノ ン⇔ヒドロキノンの間の酸化還元を使ったフロー電池を考案したと米科学誌「サイエンス」2015年9月25日号に発表しました。欧州の企業にライセンスした初期のものは、材料に有害で揮発性のある臭素が含まれ ていました。その反応はベ ンゼン環が3つ結合したアントラセンとなっているアントラキノンに,さらにスルホ基を2つ結合した分子AQDS(9,10-AnthraQuinone- 2,7-DiSulphonic acid)で,そのAQDSの水溶液を負極の活物質として使用し,正極には臭素水を使用しています。放電時の反応としてはヒドロキノンがキノンに戻る反応 と臭素分子が臭素酸になる反応が組み合わされ、

H2AQDS → AQDS + 2H+ + 2e-(負極)
Br2 + 2H+ + 2e- → 2HBr(正極)

という反応で放電します(充電時は逆反応)今回は、臭素をフェロシアニドという無害な非腐食性イオンに置き換えることに成功しました。寿命はこれからの研究で確かめられます。

セルの隔膜にはイオン交換樹脂を使います。バナジウムの場合は鉄 - クロム系のような混合問題はありませんでしたが、キノンー臭素またはフェロシアニド系には混合問題があります。

ヒドロキノンとキノンの酸化還元反応は生物でも使われ、素材のベンゼン環は有機合成反応で容易に石油留分から合成できます。AQDSの水への溶解度は10 g/Lで低いためタンクが大型になります。

2016年、ハーバード大は脂溶性ビタミンKの親類のキノンの代わりに水溶性のビタミンB2(riboflavin  or lactoflavin)を使うフローバッテリーの特許を申請しました。この場合、酸素の代わりに窒素が電子担体になります。水溶性のため、タンクは小さくできます。

揚水発電

<日本の揚水発電>

標高差のあるダムを二つ造り、夜間に下のダムの水を上のダムに水車を逆転させて揚水しておき、昼間、これを下のダムに落として発電するという一種の蓄電器 の役割をするのが揚水発電所です。日本の1960年代に始まる高度成長時代には安価なガスタービン発電機がなかったのでピーク電力需要に対応するために揚 水発電が採用されました。

その後、1981年頃から原子力発電所が沢山建設されたにもかかわらず1990年代に電力需要の伸びがとまり、電源構成のなかの原発の比率がたかまりまし た。これを受けて揚水発電の役割は原発の夜間の余剰電力を蓄えてピーク電力需要に対応するためとして再定義されました。 当初揚水発電のコストが高かったためNAS電池という二次電池の開発に巨額の金が投入されましたが、土木工事の合理化で揚水発電のコストが下がり、二次電 池の優位性は失われました。

今後、風力とかソーラーセル電力の比率が増えれば供給は不安定になります。天然ガスなどの炭化水素燃料がある間は設備費の安いLNGコンバインドサイクル 発電でピーク電力を供給してバックアップするのが一番安価とおもわれます 。しかし世紀末になって天然ガスが枯渇すれば蓄電の必要が高まります。その時は揚水発電所の建設適地は限られて はいても一番コストの少ない揚水発電が蓄電の中心になるでしょう。二次電池は消費端近くでの分散蓄電となるでしょう。消費者は蓄熱で対処する ということになるのが、全体最適化となるのではと予感します。

さて揚水発電所では水車を正逆両方に回転させて揚水ポンプと発電水車に切り替えて使います。

揚水時の消費動力Wiは流量Q、落差H、ポンプ効率ηiと し 、流路の損失を無視しますと

Wi=QH/ηi

発電時の出力Wo

Wo=QHηo

電力の回収率Wo/Wi葛野川揚水発電所の場合

Wo/Wi=ηηo =0.71

となります。往復約71%の電力を回収できます。29%の損失はすべて水温の上昇となります。 流路の損失ゼロの時のポンプ効率、タービン効率は84%程度ということになります。

図-4.6 落差714mの世界最大級の葛野川揚水発電の上日川ダム(大菩薩湖)

この写真は葛野川揚水発電の上のダムとなる上日川ダムで下のダムは葛野川ダムです。葛野川揚水発の建設費は上下のダムと2基の発電機込みで 3,500億円(建設単価438,000円/kW)、4基が完成すると3,800億円(建設単価238,000円/kW)ですから表-5.30のように設 備利用率80%で、負荷率100%の時の資本費は3.32円/kWhとなります。蓄電コストは下式で計算します。

蓄電コスト=資本費/負荷率+複合発電原価x(1-電力回収率)

元来揚水発電は休日に余る原発電力を蓄えておくために建設されましたから負荷率は0.5*2/7=0.15程度となり、電力会社全体の 複合発電原価が14.61円/kWh(2002年基準)のとき蓄電単価は3.32/0.15+14.61*(1-0.71)=26.4yen/kWhで す。ところが再生可能エネルギーのバックアップとしては毎日の昼夜となりますので負荷率は0.5となり3.32/0.5+14.61*(1-0.71)= 10.88yen/kWhです。電力会社がこの原発用蓄電費を喧伝して再生可能エネルギーのバックアップは金がかかると主張するのは不正直なプロパガンダ です。

東電は9ヶ所の揚水発電所もっております。長野県の北アルプス山中にある新高瀬川発電所、このほか玉原湿原にある玉原発 電所、山梨県の大菩薩嶺にある葛野川発電所、御座山(おぐらやま)山中の南相木ダムを使う神流川発電所など です。神流川発電所は回収効率が葛野川より3%向上しています。

新高瀬川発電所は険しい北アルプスの山間に建設したため、高瀬川には多量の土石が流れ込んで、ダムを埋めてしまう問題があります。特に不動沢が激しいよう です。毎日、何十台というダンプトラックで運び出しているのを目撃すると大きな矛盾を感じます。よくよく考えてみれば山は侵食で崩れて、河川が土砂を海に 運び、海溝を埋めて初めて日本列島が維持されているのだということに思い到ります。ダムを作ることは自然の摂理に反しているわけです。西欧近代文明の限界 の一つが見えたわけで別の方策を考えねばならないでしょう。また地震時のダムの決壊のリスクもないとはいえません。

ポンプとタービンは現時点では一定回転数で殆ど手動でオン・オフ運転しておりますが、風力・PVの導入に対応して可変速型とし、0.01秒の対応ができる ガバナー制御となる。2011-2020年にかけ東電、関電、北海道、九州各電力がこの高機能型揚水発電機を既設の揚水発電所に導入する計画を発表してお ります。

神奈川県は1965年に完成した重力式城山ダム(津久井湖)と直ぐ北側にあるロックフィルダムの本沢ダム(城山湖)と対にして揚水発電している。


<海水揚水発電>

電源開発が建設した沖縄やんばる海水揚水発電所で実証試験が行われている。 島であるため、水力発電所が殆どゼロに近い上に他の電力会社との連係が不可能な沖縄電力では、貴重な調整力として活用しています。最大使用水量 26m3/s、海面との有効落差136mを利用し、最大出力3万kWを得る世界初の海水揚水発電所です。

<EUの揚水発電>

EUは2050年までに原発、炭化水素発電を全て止めて再生可能エネルギーだけで、電力の系統連携をすること は可能であるとの報告書をドイツ政府系研究機関のフラウンフォーファーが出しております。。再生可能エネルギーは不安定ですが、これをバックアップする原 発も炭化水素発電もありません。そこでフィヨルドに揚水発電を建設し、100GWの直流送電線を敷設することを計画しています。また炭鉱の廃坑利用の揚水 発電も検討されているようです。

<マイクロ揚水発電>

家庭用の電力貯蔵はLED照明やTV、情報機器はバッテリーですが空調や冷凍・冷蔵は蓄熱が最も経済的です。小電力はバッテリーとしますが、マイクロ揚水 発電が理論的には可能です。 直径1m、深さ100の井戸を2個を並べて掘り、78.5トンの水を50mの落差で移動させるマイクロ揚水発電をすれば回収率70%として約7.5kWh の蓄電が可能です。夜間電力1kWで 約8時間の消費に耐えられます。アクティブ・ソーラーハウスは水槽が作る人工地盤の上に建設します。7.5kWhのリチウムイオンバッテリーの単価は 60,000yen/kWhで、寿命7年です。100年間の費用は642万円となります。したがって100年間マイクロ揚水発電をつかうなら井戸の建設費 はバッテリー価格とほぼ等価となります。井戸が資産として評価される時代が到来するのではないでしょうか。

図-4.7 マイクロ揚水発電または浸透圧発電

 

浸透膜発電(Pressure retarded osmosis PRO)

純粋の揚水発電ではありませんが浸透膜発電Pressure retarded osmosis(PRO)は擬似揚水発電です。理論的には270mの落差が期待されますが、最適値は150-120mです。グリッド安定用の蓄電装置とし て使えば、汚染されていない水と塩水ですから 膜の寿命は長いでしょう。家庭用の蓄電装置としても使えます。

家庭用には13トンのタンク2基と小さな濃塩水タンク1基で3.7kWhの蓄電が可能な浸透圧発電が考えられます。

 

圧縮空気エネルギー貯蔵

CAES(Compressed Air Energy Storage) または水封式岩盤内圧縮空気貯蔵ガスタービン発電とも呼ばれます。夜間の余剰電力を圧縮空気のエネルギーに変えて地下200mの大深度に建造する鉄筋コン クリート製タンクに貯蔵して、これを昼間の電力最高需要時に取り出してガスタービン発電するものです。内圧20気圧に対抗するため重泥水による外水圧を利 用するため、コンクリート壁は圧縮応力下におくことができます。タンク内圧を一定の維持するため圧力補償水で空気を置換する方式が採用されます。揚水発電 がトンネル掘削機の採用でローコストになったようにこれも土木工事の機械化で安価にできる可能性があります。

図-4.8 負荷平滑用圧縮空気貯蔵LNGコンバインドサイクル

このCAESと可変速空気圧縮機を持つLNGコンバインドサイクルを組合わせれば最高の物理・化学融合蓄電方式となるでしょう。 LNGコンバインドサイクルはタービン入口温度を1,500oCにすれば59%の高効率をだせます。しかしガスタービンの欠点とし て低負荷での効率はよくありません。そこで再生可能エネルギーのバックアップとして使うとき空気圧縮機とタービンをデカップリングして可変速モーターで駆 動するLNGコンバインドサイクルを組合わせれば最適の物理・化学融合蓄電方式となるでしょう。本設備がもし海岸に設置されれば二酸化炭素の海洋隔離がフローシートのように可能となります。

2017/5/25神戸製鋼はNEDOの助成金を得て、伊豆の河津町の風力発電所に発電容量500kWの「空圧電池」を 建設したと発表しました。風力や太陽光で得られた電力を産業用のエアコンプレッサーで断熱圧縮し、冷却して圧縮空気と圧縮熱に分離します。このうち圧縮空気は多 数の鋼製縦型円筒耐圧タンクに貯蔵し、電気がほしいときに空気を取り出して圧縮空気を圧縮熱で高温に戻し、スクリュー式エアタービンを回して発電機を稼働させます。

2016年、Light Sail Energy社が圧縮機と膨張機に水をスプレイして等温圧縮・膨張を行うという方式を研究していると発表しました。圧縮空気は炭素繊維を使った高圧ボンベに貯蔵する。家庭用にも利用できます。



家庭用水スプレイ等温圧縮・膨張方式


液化空気エネルギー貯蔵(LAES:Liquid Air Energy Storage

空気を余剰電力で圧縮液化して常圧タンクに蓄え、電力不足時に液化空気または液化窒素を膨張して動力を回収する方式。

 

蓄熱

溶融塩による蓄熱は主としてCSP発電とコンビで使われます。昼間、集熱器で発生させた水蒸気または熱油を蓄熱槽に埋め込んだ伝熱管で暖めて溶融僭 越と比熱の大きいアルカリ炭酸塩を溶かして蓄熱する方式(Molten salt)です。夜間、同じ伝熱管に水を送れば水蒸気を回収できます。これで夜間でもCSP発電のタービン発電を継続できます。詳細は明らかになっており ませんが、米国のオースラ社は溶融塩を使わず、水で蓄熱する方式を開発中としております。

常圧で作動しますので大型化に適しておりますので、CSP発電の蓄熱に使えます。米国のアリゾナで実用化されております。2010年にはイタリアで アルキメデスというCSP発電装置が稼動します。これは集熱も溶融塩で行います。

電力需要を平準化するため安い夜間電力を使ってヒートポンプを動かして製氷し、昼間これを空調としてまた冷蔵庫として使うことはビル、ホテルなどですでに 実用化されています。おなじ原理でソーラーセル電力で昼の間に製氷して夜間の空調にこれを使うということもできます。

エジンバラ大工学部のWin Rampen教授はアルゴンガスを圧縮して得られる高温を、これを膨張して得られる低温をそれぞれ小石の充填層に、または油に顕熱として蓄えるという方式を「記念レクチャー」で提案しています。この教授はMHIが買収したArtemis Intelligent Power Ltdの風車向け油圧変速機にも関係しています。


ソーラーポンド

ソ−ラ−ポンド(Solar pond or salinity gradient solar pond)とは、池の中に底の方ほど濃度の濃い塩水濃度勾配層をつくり,その密度差によって対流を起こさせないようにして放熱を防ぎつつ、太陽エネルギ− の季節間蓄熱をおこなうものです。塩水の濃度勾配層の代わりに,透明なポリマ−等の粘性溶液層とか多重薄膜層を用いた無塩型のソ−ラ−ポンドもあります。 構造が簡単で、コストが安い特徴があります。家庭用には4x4mx1m工業用には数1,000uという大きな表面の池のに降り注ぐ太陽エネルギ−を水中に 閉じこめて,70-81℃の温水を大量につくり,これを冬季まで蓄熱しておいて、温度差発電、温室,養魚場の暖房などの農漁業用の熱源として利用します。

ソ−ラ−ポンドの下層は滞留蓄熱層(storage zone)とよばれ、塩濃度は300kg/m3に維持します。高温水または熱はこの蓄熱層より取り出し、熱利用後の低温水は同じレ ベルに戻します。中間層 は非滞留断熱層(insulation zone or Halocline)と呼ばれます。ここを拡散する塩の量は30kg/m2y であるため、常時断熱層に塩を加え続ける必要があります。最上層部の表層(sueface zone)の塩濃度を20kg/m3に維持するために真水を加え、余剰水は捨てます。
本法は塩の消耗費に加え砂漠など超安価な土地がないとコスト的に無理でしょう。


フライホイール

電力をフライホイールの回転エネルギーに変換して蓄えるものです。蓄えられるエネルギーは

E=1/4Mr2ω2

ここでE(ジュール)、M (kg)、r (m)、v (ラジアン/秒)です。日本原子力研究所の大型核融合実験装置向けに111万kWのパルス電力を3台のフライホイール発電機で供給している。直径 6.6m、重さ642トンの鉄製のフライホイールを600rpmまで加速して使っています。周速度は音速の60%です。

中小型にはフライホイールが安価で適しており、物理的な方法のため、寿命も長く、安価で実用的でしょう。重いので自動車には使えませんが、定置用には問題 ありません。配電網の安定化のために電力会社が設置する ようになるのでしょうか?電力貯蔵費はキロワット時当たり3.9-11.8円とのことです。

フライホイールは出力インバーター、フライホイール・ドライブ・インバーターとフライホイールによって構成され、総合効率は95%です。多数のメーカーに よって鉛蓄電池代替のフライホイール無電源装置が市販されています。100kVAで64秒が1,480 x 864 x 1977mm程度のキューブに収納され、自重2.75トンのものが市販されております。

 

超伝導電磁石貯蔵

SMES (Superconducting Magnetic Energy Storage)と呼ばれます。1970年代にウィスコンシン大のブーム教授らが研究を開始したものです。

超伝導送電は冷却が難しいのですがエネルギー貯蔵コイルの冷却は窒素冷却が容易で期待できそうです。

コイル形式には各種ありますが東京工業大学の鶴田教授の超伝導磁力平衡コイルはトロイダルコイルに働くフープ力とポロイダルコイルに働く向心力をバランス させてマグネットに力が働かないようにしております。

図-4.9 超伝導磁力平衡コイル

 

ウルトラ・キャパシタ

ウルトラ・キャパシタ(EDLC Electric Double Layer Capacitor)または電気二重層電池とよばれる固体と液体の界面に電荷が蓄えら れることを利用したエネルギー蓄積・供給デバイスです。スーパーキャパシタはNECのブランド名。活性炭粒、カーボン ・ナノチューブとアルミなどだけで構成されています。 物理的原理のスーパーキャパシタは秒単位の充放電が可能で、充放電を繰り返しても劣化することがありません。しかしいまだ容量が充分なものが開発されてお りませんので瞬停対策用、エンジンスタート用、回生エネルギー貯蔵、バッテリーとハイブリッドして二次電池の長寿命化に実用化されている程度です。

4.7Fから1kFの素子が市販されています。1ファラッド;F=C/Vで、1クーロン;C=W x s/VですからF=W x s/V2と なります。1kFとは1秒間に1ボルトのスイングで1kWの電力を貯蔵できるというものです。電気自動車への登載に適していると考えられます。カルフォル ニア大デイビス校では30kW/kgの電力密度をもつウルトラ・キャパシタが試作されております。

擬似電気二重層電池(電気化学キャパシタ)は金属酸化物の酸化還元反応も加味したもので化学反応も含め大容量化しようというものです。このほか二次電池と 組み合わせて二次電池の寿命を延ばすということも可能です。これはウルトラ・バッテリーとよばれています。

問題はナノ・オーダーの加工技術が必要とされ、コストダウンがまだというものです。

 

世界の電力料金

ヨーロッパの主要国の2007年下半期の電力料金は表-4.2の通りです。日本の数値は独自解析したもので伝統的電源構成での試算結果をまとめた表- 4.4からとりました。 電力取引が自由化されている国では、配電会社は地域独占でも、この配電網をつかって発電会社と消費者がローコストの電力売買契約を結ぶことが可能となって います。

  家庭 用単相電力料金(yen/kWh) 商用 三相低圧電力料金(yen/kWh)
  発電原価 配電費他 税金 合計 発電原価 配電費他 税金 合計
日本 14.42 8.2 0.38 23.00 14.42 0.2 0.38 15.00
英国      UK - - - 16.29 - - - 1.86
フランス    FR - - - 13.30 - - - 6.38
ドイツ         DE 7.26 6.80 9.08 23.14 7.13 2.71 1.31 11.15
ベルギー  BE 7.71 6.44 4.37 18.52 6.74 2.62 1.07 10.43
デンマーク DK 4.58 6.78 15.06 26,42 4.57 3.83 1.46 9.86
ノルウエイ NO 4.25 7.50 4.72 16.47 3.77 3.14 1.41 8.32
フィンランド   Fl 5.23 4.31 4.37 13.91 4.53 1.66 0.25 6.44

表-4.2 電気料金の国際比較 (EUROstat統計を110円=EURO換算)

 

日本の電力料金

日本では月間50kW以下の電力は自由化されておらず、認可された価格で独占的に電力を売ることが認められています。 電気料金は次のようになっております。月間50kW以上の電力を消費する地方自治体や中央官庁はこの自由化の恩恵に浴して、安い電力を購入しております。

<単相電力と電力料金>

電灯など家電向け 単相交流の給電方式には2種の結線方式があります。

@二線式:100Vの単相交流電力を電圧線1本・接地された無電圧の線1本、計2本の電線・ケーブルを用いて供給する低圧配電方式です。30Aが限度で す。

A三線式:(単三)単相変圧器二次側の中間点から電圧のかからない接地された中性線と、両端の端子から位相が逆の対地電圧100Vの電圧がかかった電圧線 2本とを引き出し、電圧線同士を接続して200V負荷に、電圧線と中性線を接続して100V負荷に供給することができます。柱上トランスの一次側が2本、 二次側3本のものが相当します。

結線方式と電力料金に差はありません。契約電流増大による追加料金も必要ありません。料金体系には2種あります。

@従量電灯料金B:30A契約では355kWh/monthの場合、基本料金819 + 17.87円/kWh x 120 kWh+ 22.86円/kWh x 180kWh + 24.13円/kWh x 55kWh  = 8,435.4円/monthです。

A季節別時間帯別電灯契約: 季節別時間帯別電灯契約は昼夜の大きな需要変動を平準化して夜間需要の落ち込みを防止し、原発をフル運転するために設定されたものです。この月額基本料金 1,260円。時間帯10:00-17:00の昼間料金は28.28円/kWh、時間帯23:00-7:00の夜間料金は9.17円/kWh、朝夕の時間 帯料金は23.13円/kWhです。この方式で料金を計算すると9,610円/monthで従量電灯料金と大差ありません。

です。両者とも約23円/kWhとなります。

<三相電力と電気料金>

商店、小工場など50kW以下の200V、三相仕様モーター専用の給電方式で電力料金は15円/kWhと安くなっております。一般家庭でも200V三相の 空調機機器を購入すれば電力料金は安くなります。 柱上トランスの一次側が3本、二次側3本のものが相当します。電灯とは別に契約し、別系統で引き込みます。

契約電力1kW、月間電力355kWh/monthとすれば1,071円/kW x 1kW +13.2円/kWh x 355kWh =5,757円/monthです。16.2円/kWh相当となります。

家庭向け空調で契約電力1kW、月間電力200kWh/month使い、半年はスイッチを切って基本料金の半額を支払うとすれば年平均で(1,071+ 1,071/2)/2+(13.2x200)/2=2,123円/monthとなります。これは21.2円/kWh相当となります。

この試算で分かることは単相配電費は11.35円/kWh、月間355kWh以上の三相配電費3.25円/kWhということです。 同じ電力で比較すると電流が1/3になりますので、電線もトランスも細身になるため安くなるようです。

 

将来の電源構成

電力需要は人間活動に応じて大幅に変動します。電力会社は発電原価がほとんど固定費で構成される原発、使わなければ失われる自流式水力を高負荷稼動電源と しています。一方燃料費の高い石炭、LNG、石油、ダム式水力発電、揚水発電は需要に応じて稼動させる負荷調整電源として需給バランスをとっております。

負荷調整電源となっている発電所の同期発電機にはガバナーが設置されていて、発電機の回転数の変動がないように蒸気や燃料の量を瞬時に制御しています(ガ バナーフリー)。それでも追従できない数秒から数分にわたる大きな周波数変動には中央給電指令所に設置された制御システムが自動的に負荷調整電源の出力を 制御して周波数を制御します(Load Frequency Control LFC)。50分程度の需要変動に伴う周波数変動は燃料費が安価な電源を優先するよう経済負荷配分制御(Economic Load Dispatch Control EDC)が行われます。

電力会社にとってはグローバルヒーティング防止というより、将来の炭化水素資源枯渇やウラン資源に伴う価格高騰に備えるためにも再生可能電源の導入は避け て通れない道です。しかし工場が海外移転したため、電力需要が伸びず、結果として原発を過剰に抱え込んだ電力会社は設備の償却をしなければなりません。こ のため競合する再生可能電源の導入には後ろ向きになります。電力の品質の維持、すなわち安定した電圧と周波数の維持などを理由にあげて抵抗します。そして 蓄電の必要性を理由にあげます。

たしかに日本では最小需要曲線が極端に落ち込むためと負荷調整のできない原発の比率が大きいため、休日などの最小需要時には余剰電力を蓄えなければなりま せん。 ドイツでは最小需要曲線が日本程に落ち込まないためとフランスの原発は負荷調整のできるPWR型ですので蓄電せずとも多国間系統連携で再生可能電源のバッ クアップができております。それでも休日には原発を止めるとのことです。しかし日本のBWR炉は負荷追従 できるのですが、電力会社は原子力発電単価を下げる目的と炉の寿命を短くしないように一定運転しています。

日本では電二次電池の採用が論じられますが、二次電池は寿命も短く、家庭用電力をPVだけで供給するオフグリッド発電や電気自動車には使えても電力網の安 定化にはコスト的に無理と感じます。揚水発電が今のところ使える最も安価な蓄電装置です。 これを風力などのバックアップに使うためには揚水発電まで逆潮流を許さねばなりません。 最も安価な負荷調整法はしかし設備投資額の少ないLNGコンバインドサイクルでしょう。それにIPCC仮説はいずれ間違いだと分かるでしょう。再生可能エ ネルギーでは地熱発電が、負荷調整用電源として使えます。

本シュミレーションの目的は負荷調整電源を含めた電力料金がどのようになるかかを試算することにあります。
最大需要曲線と最小需要曲線は現状と変わらないとします。

各電源の採用基本原則は

原発:従来はベースロード用に一定運転でした。しかし201年3月の福島第一原発事故後は安全対策、事故補償コス トを原発発電単価に含め、3つのシナリオを検討します。

シナリオ-1:新規原発は建設しない。現有原発は設計寿命より若干短く運転して廃炉、2030年でゼロにする

シナリオ-2:新規原発は建設しない。現有原発をその設計寿命40年より若干眺めに使って廃炉にし、2060年でゼロにする

シナリオ-3:新規原発は若干建設しつつ、現有原発を含め廃炉にし2090年にはすべてゼロにする

石炭:原則として原発と同じくベースロードとするが、休日は停止する。LNGがなくなると負荷調整に使われる

LNG:価格が高いことと発電設備が安価なことを利用し、負荷調整電源

再生可能エネルギー転 換アンモニア燃料発電:2090年にはLNG代用で負荷調整電源

石油:高価になれば利用停止

地熱:新たに開発されるとする。負荷調整電源

ダム式水力:負荷調整電源

揚水発電:負荷調整電源

風力・PV:成り行き発電。地域独占電力とは別の日本縦断の送電網が完成して融通すれば、すべての風力が止まるとい うことはなくなり、北海道の風力は東京にもってこれる。PVも地域的な雲の影は送電網で補完できる。

流下式水力:成り行き発電


需給バランス・シミュレーション

需給バランスのシミュレーションは需要と供給を常時平衡させるのが目的です。結果としてはそれぞれの電源の負荷率が得ら れます。風車とPVの天候の影響を受けた年間稼働率はすでにそれぞれの単価に折込済ですので、年間の電力複合単価がこの負荷率から求めることができます。

ドイツのフラウンホーファー研究所のようにコンピュータ・シミュレーションを1年間に渡って行うことができる場合は負荷 率も稼働率に含めることは可能ですけれど手計算ではせいぜい1日分しかシミュレーションできません。そこで私が編み出した方法はPVや風車の天候による年 間稼働率はその発電単価に埋め込んでしまう方法でした。そして風車などの1日以内の短時間の振れを平準化するための揚水ポンプ、地熱、再生可能エネルギー 転換アンモニア燃料発電の負荷 率を計算するのです。そしては総合結果は同じはずです。

風車のキャパシティーファクターは25%、PVの幾何学的年間平均は31.6%、天候ファクター すなわち雨か曇りの日は40%で総合すれば皆様のご存知の12%になります。

一日の受容曲線はすべてのシナリオ、全ての年度で同じとしました。

<2000年の最大需要時の受給バランス>

1996年夏の東京電力の最大電力需要日の需要曲線と同じとします。下図に示しました。このグラフの見方はたとえばLNGの一日の発電量はオレン ジ色の線とその下の石炭の空色の線に囲まれる空間の面積となります。原子力を負荷調整につかいませんから余剰電力は揚水として蓄えます。


図-4.10 2000年の最大需要曲線

このとき負荷率は

(負荷率)=(一日の実出力)/(ピークで運転した一日の出力)=76.5%

となります。

電力需要が最大となる週日は昼間のピーク時には原発、石炭、LNG、石油、 ダム式水力発電、揚水発電すべて最大ピークで運転します。自流式水力は成り行きで最大出力で運転します。未明の最小負荷時には原発はピーク負荷で、自流式 水力は成り行きで運転するも石炭、LNG、石油は絞って負荷追従運転をし、余剰電力で揚水をします。

<2000年の最小需要時の受給バランス>

電力需要が一番すくないのは年間に120日ある休日・祭日です。産業用の需要が減少し、平日にくらべて大幅に少なくなります。最小需要曲線は下図 に示しました。


図-4.11 2000年の最少需要曲線

最小需要日の需要の落ち込みが大きいため、原発を一定の負荷で動かす限り、全ての火力発電を停止させても発電量が最小需要曲線を越えてしまいます。このた め蓄電装置が必要となります。蓄電装置のなかで一番コストが低いのは揚水発電です。余剰電力で水をくみ上げ、週日の昼間のピーク需要にそなえます。

このとき

 (負荷率)=(一日の実出力)/(ピークで運転した一日の出力)=31%

となります。

最小需要時は原発ピーク出力で稼動させ、自流式水力は成り行きとします。石炭は絞って負荷追従運転し、LNG火力、石油火力発電、ダム式水力発電 、揚水発電は完全に止めてしまいます。ただし余剰電力を使って揚水だけして週日に備えます。

<2030年の需給バランス>

冗長のため省略。ご希望の向きには別途要望に応じます。

<2060年の需給バランス>

冗長のため省略。ご希望の向きには別途要望に応じます。

<2090年の最大需要時の受給バランス>

2090年になると化石燃料枯渇しますので再生可能エネルギーの再生可能エネルギー転換アンモニア発電、地熱、揚水発電を使います。風力とPVが勝手に発 電しますので、負荷調整電源である石炭、アンモニアが大活躍します。ここでPVが夜でも発電しているようにみえるのは石炭のラインの上にゼロ出力のPVが 重なっているのでPVが夜も発電していると錯覚するのです。



図-4.12
2090年の最大需要曲線

<2090年の最小需要時の受給バランス>



図-4.13 2090年の最少需要曲線


需給バランス原発の発電量は下図のようになります。


図-4.14 原発の発電量

石炭火力の発電量は下図のようになります。



図-4.15
石炭火力の発電量

LNGコンバインドサイクルの発電量は下図のようになります。脱原発の速度が速いほどLNG発電比率が一時的に高まりま す。石炭も同時に増やせばLNGのピークは減らせますが二酸化炭素も一時的に増えます。




図-4.16 LNGコンバインドサイクルの発電量

風力の発電量は下図のようになります。脱原発シナリオとは関係なく一定の増加としました。技術が成熟しているため初期に早く増加させ、次第に伸び が飽和するとしました。




図-4.17 風力の発電量


PVの発電量は下図のようになります。発電が制御できない風力+PV+流下式水力の2090年の年間出力の合計は37%ですから負荷調整型電源で バックアップ不能になることはありません。



図-4.18 PVの発電量


再生可能エネルギー転換アンモニア燃料の発電量は下図のようになります。天然ガス枯渇後の主要な負荷調整電源となります。



図-4.19 再生可能エネルギー転換アンモニア燃料の発電量

地熱発電の発電量は下図のようになります。地熱発電は脱原発速度と関係なく開発が進むとしました。



図-4.20 地熱発電の発電量


揚水発電の発電量は下図のようになります。揚水発電の必要性は原発が多いほど高くなります。再生可能エネルギーが増えても揚水発電の必要性は高ま ります。



図-4.21 揚水発電の発電量


各電源の負荷率

各電源の受給バランスを満たす各電源の負荷率は下図のようになります。発電が自由にコントロールできない流下式水力、風 力、PVの電源は負荷調整用につかわれます。

シナリオ-1:新規原発は建設しない。現有原発は順次運転を停止し、2030年でゼロにするケース

図-4.22 シナリオ-1:原発は2030年でゼロにする ケースの各電源負荷率

シナリオ-2:新規原発は建設しない。現有原発をその設計寿命40年使い切ったら廃炉にし、2060年でゼロにするケース


図-4.23 シナリオ-2:原発は2060年でゼロにする ケースの各電源負荷率


シナリオ-3:新規原発は若干建設しつつ、現有原発を含め廃炉にし2090年にはすべてゼロにするケース


図-4.24 シナリオ-3:原発は2090年でゼロにする ケースの各電源負荷率


グリッド料金と二酸化炭素排出量の計算

最大と最少需要曲線を想定しますと各電源のピーク出力比、負荷率、最大需要日の出力比、 最小需要日の出力比、年間平均出力比が計算で きます。例えばシナリオ-2の2030年についての計算例は表-4.4のようになります。各電源の固定費と燃料費はすでに計算したものをつかいます。そし てアンモニアの発電単価は再生可 能エネルギー転 換アンモニア燃料発電の試算値を使います。

grid power cost 2030 peak capacity load factor annual average (revenue-fuel cost)/power fuel cost/power power cost single phase consumer three phase consumer each CO2 CO2 emission
  % % % yen/kWh yen/kWh yen/kWh yen/kWh yen/kWh gCO2/kWh gCO2/kWh
flowing hydraulics 1.4 100.0 3.3 9.24 0 0.13 - - 39 1.3
nuclear 8.5 96.3 18.8 6.63 3.93
1.33 - - 46 8.6
coal BTG 21.4 57.3 27.9 4.79 4.84 3.14 - - 737 205.9
LNG combined cycle 27.2 42.7 26.6 3.37 14.87 6.10 - - 342 90.9
wind 14.2 27.9 9.1 2.66 0 1.36 - - 23 2.1
PV 8.7 12.9 2.6 1.29 0 0.87 - - 89 2.3
geothermal 6.4 42.6 6.2 12.89 0 1.94 - - 15 0.9
dam hydrailics 8.5 28.9 5.6 9.24 0 2.73 - - 39 2.2
storage turbine 3.6 3.9 0.3 3.21 0.00 2.92 - - 39 0.1
composit power cost 100 - 100.4 - - 20.51 20.51 20.51 - 314
grid cost + tax - - - - - - 9.78
1.78
- -
grid price - - - - - - 30.28 22.28 - -

表-4.4 シナリオー1の2000年のピーク容量比、負荷率、年間平均出力比と複合グリッドコストならびに二酸化炭素排出量

電源毎の負荷率は各電源の最大需要日の一日の実出力と最終需要日の一日の実出力を最小需要日は年間120日あるとし、最大需要日は365-120日 あるとして加重平均した年間平均出力を各電源をピークで運転した一日の出力で割った値として定義します。

(負荷率)=(年間平均出力)/(ピークで運転した一日の出力)

ここで風力の負荷率はいわゆるキャパシティーファクター0.25と同じです。PVの負荷率はジェオメトリックファクター 0.316とウェザーファクター0.4の積です。風力およびPVの発電単価はピーク出力ベースの発電単価です。

電源毎の最大需要日の出力比は下式で計算しました。

(最大需要日の出力比)=(最大需要日の実出力)/(最大需要日の総需要)

同じく

(最小需要日の出力比)=(最小需要日の実出力)/(最小需要日の総需要)

最小需要日における原発の比率が64.6%を越えていることが良く分かります。

年間平均出力比は最小需要日は120日、最大需要日は残りの365-120日として加重平均した年間平均 実出力を同じファクターで加重平均した年間平均総需要で除したものです。

(年間平均出力比)=(年間平均実出力)/(年間平均総需要)

なお本シミュレーションでは揚水発電の電力回収率は71%としました。

再生可能電源は8.9%、原発は32.5%、二酸化炭素を排出する炭化水素燃料電源は58.6%です。

ハードなエネルギーの国産化率は7.6%ですが、国境をソフトに拡大し、原発とLNGを含めたソフトエネルギー国産化は63%となります。

複合発電原価は電源別発電原価を年間平均出力比で加重平均した値です。

複合発電原価=Σ((資本費+運転維持費)i/(負荷率)i+ (燃料費)i)x(年間平均出力比)i

となります。そして

電力料金=複合発電原価+配電費他+電源開発促進税

です。結果は表-4.3のようになります。

最後に8兆円の福島原発事故補償と除染費は1015年から2050年までの間25年間、4%の年賦で 返済するとすれば1.8yen/kWhです。

 

2030年原発ゼロのグリッド料金と二酸化炭素排出量(シナリオー1)


図-4.25 2030年原発ゼロの場合のグリッド料金と二酸化炭素排出量

 

2060年原発ゼロのグリッド料金と二酸化炭素排出量(シナリオー2)



図-4.26 2060年原発ゼロの場合のグリッド料金と二酸化炭素排出量


2090年原発ゼロのグリンド料金と二酸化炭素排出量(シナリオー3)



図-4.27 2090年原発ゼロの
場合のグリッド料金と二酸化炭素排出量

風力発電とLNGコンバインドサイクルを組み合わせた発電事業

電力事業を発電と送電に分離し、小口販売自由化の暁に、風車発電業者がLNGコンバインドサイクルと組み合わせて送配電網を通じて一般消費者に売るビジネスが自由化されれば2030年までには採算にのることは表-4.5の通り。


unit 2030 2060 2090
Wind power cost yen/kWh 10.63 10.63 10.63
Backup LNG capacity % 100 100 100
Capacity factor of wind % 25 25 25
Availability % 90 90 90
(revenue-fuel cost)/power generated by LNG yen/kWh 3.37 3.37 3.37
fuel cost/power generated by LNG yen/kWh 7.20 14.87 26.67
Actual fuel consumption for wind backup yen/kWh 4.86 10.04 18.00
Composit power generation cost yen/kWh 18.87 24.04 32.00
Transmission cost yen/kWh 9.78 9.78 9.78
Cost for single phase consumer yen/kWh 28.65 33.82 41.78
Grid cost, zero nuclear in 2030 yen/kWh 31.9 28 27.1
Grid cost, zero nuclear in 2060 yen/kWh 30.3 30.5 30.1
Grid cost, zero nuclear in 2090 yen/kWh 28.5 27.3 27

表ー4.5 風車発電業者がLNGコンバインドサイクルと組み合わせて送配電網を通じて一般消費者に売るビジネス

しかし石油価格パリティーで次第にLNGコストが上昇する2060年以後は地熱などでバックアップする必要がでてくる。LNGコストを下げるための海上液化、海上気化などの技術開発もありうる。

2013/2/7のブルームバーグに よれば、世界第2位の石炭輸出国のオーストラリアにおいて、風力発電のコストが石炭発電のコストを下回ってUS8.3cents/kWhまでさがりまし た。1$=100円とすれば風力はほぼ8yen/kWhとなりますので電力が自由化され、送電料金が現在の電力会社の内部費用の9.78yen/kWhで あるなら、28.5-10.63+8=25.87yen/kWhとなり、原発事故対策費の重荷を背負う、既存発電会社に対抗できるようになると考えられま す。


まとめ

3つのシナリオでのグリッド料金をまとめると下図のようになります。

価格高騰は脱原発速度が2030年ゼロ・シナリオ−1で8.9yen/kWh
価格高騰は脱原発速度が2060年ゼロ・シナリオ−2で最大上昇7.3yen/kWh(寿命を少しのばす)
価格高騰は脱原発速度が2090年ゼロ・シナリオ−3で最大上昇5.5yen/kWh(新設する)

原発の安全性向上の原価増は1.58yen/kWhとなります。(電力料金にして0.51yen/kWh)
シナリオ−1での加速償却による原価増は1.3yen/kWhです。(電力料金にして0.42yen/kWh)
化石燃料価格上昇が電力料金に与える影響はシナリオ3で5yen/kWhです。
脱原発の速度による差は1yen/kWhと小さいにもかかわらず、脱原発が遅れれば事故補償費1yen/kWhとなるシナリオ-3は意味がありません。事 故補償費以外の社会の荒廃という間接被害を含めればできるだけ早く脱原発という結論となります。

過去の事故を整理するとべき分布になります。炉心にあるすべての分裂生成物の2%程が放出されたとされる福島級の事故の累積確率P= 0.0005  または2,000炉年に1回となります。日本の原発50基を向こう40年間稼働させれば福島級はもう1回発生することになります。1基1GWとし、稼働率 70%と すれば原発の総発電量=50x40x0.7x24x365=12,264,000GWh福島級の事故補償総額1基8兆円とすれば原発の発電原価にしめる補 償費は0.65yen/kWhです。日本の原発シェアは30%ですから電力料金に換算すれば0.22yen/kWh増となります。

べき分布には平均値はありません。 チェルノブイリでは炉心にあったセシウムの30%、ヨウ素の50%が放出されたとされます。仮に30%が放出されるとすれば。放出量は15倍となり、累積 確 率P=0.000166、または6,000炉年に1回となります。日本の原発50基を向こう40年間稼働させればチェルノブイ リ級は1/3回発生することになります。補償額は放出量比例とすれば8x15x1/3=40兆円となります。原発発電原価にしめる補償費は 3.3yen/kWhです。日本の原発シェアは30%ですから電力料金に換算すれば1.1yen/kWh増となります。

チェルノブイリ級以下なら再稼動したほうが安くつきます。ただチェルノブイリ級以上なら高くつきますし、事故補償費には原発立地による他産業の逃避、住民 離散による間接損失が含ま れていないため、再稼動は原発立地地方にとっては割に合わないといえるでしょう。



図-4.28 3つのシナリオ
でのグリッド料金

3つのシナリオの二酸化炭素排出量をまとめると下図のようになります。



図-4.29 3つのシナリオ
の二酸化炭素排出量

以下の結論は実は2011年3月11日の福島原発事故前に書いたものです。事故後、脱原発シナリオの切り替えて試算をやり直しましたが結論は大きくは変わ りませんでした。

気候変動問題に取り組む日本政府の政策に原発の増設しかないことに不安を覚えたために本研究をしてまいりました。そして政府が原発の立地確保のために使っ ている電源三法交付金なども含めれば原発は決して安価な電源ではないことがわかりました。また現存する原発の耐震性にも不安があります。人間のすることは 無誤謬ではありませんから、多量の放射能汚染難民を発生させて、太平洋戦争に匹敵する損失をこうむり、国家存亡の危機に陥ることもなきにしもあらずです。

日本の組み立て産業は人件費の高さゆえに国際競争にまけましたが、日本の装置産業は償却済み装置のコスト競争力に守られ て国際競争に生き残っています。し かしこの特権も設備の寿命には勝てず、設備更新ができない運命にあるのではないでしょうか。これら多エネルギー消費型産業の米となった原発をこれ以上増設 する需要があるかは疑わしく、補強して耐震性を高めた原子力発電を現在の電源構成比に維持しつつ再生可能電源を導入することになるのでしょう。グローバル 経済の下では国際競争力が大切ですし、石炭価格の暴騰を抑えるためにも原発の存在は有効です。そこで原発は耐震性など不安なところは補強して寿命一杯使い 切ってから廃棄するのが妥当な判断でしょう。石炭火力はどうするかですが、二酸化炭素が温暖化の原因でないなら海洋隔離型石炭火力に転換する必要もなく資 源のある間は使えます。石炭が枯渇すれば蓄熱器つき集光型太陽熱発電に転換すればよいのです。すなわち 炭化水素燃料もウラニウム資源も枯渇する次世紀では、国際競争力を心配せずに再生可能エネルギーを使うことができます。

中央集権国家や官僚が権力を握っている国家はトップダウンシステムを好みます。そして新しい可能性を学ぼうとせず古い技術体系である原発に執着する傾向が あります。国家独占電力会社「フランス電力公社EDF」を持つフランスはその典型でしょう。ソ連がそうでした。そしてチェルノブイリ事故後、国家が崩壊し たのです。政府が再生可能 電源の購入義務枠を低く設定しているのは理解できませんでした。日本政府内でも資源エネルギー庁内部に原発は最早安くない、原発重視の国家政策は転換する 必要があるとの認識があるとのことですがそれを公表するとインパクトが多きすぎて公表できないという話しも聞こえてきておりました。 オバマ政権の動きを見てようやく経済産業省も重い腰を上げて倍額購入価格での購入を義務つけるようです。しかしこれは遅くれてやってきた政策で害あって利 なしです。

そうならないことを祈りながら、行くしかないのかなという感じです。でも「祈る」とはアンブローズ・ビアスの「悪魔の辞典」によれば「はっ きり言えば取るに足らない、たった一人の請願者の利益のために、宇宙の法則をねじ曲げるように求めること」ですから所詮不可能なことです。

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 April 1, 2007
 Rev. July 12, 2018


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