双子山(二ッ塚)

2016年5月の阿蘇山・久住山登山計画は 熊本地震で中止を余儀なくされた。その穴埋めとして宝永山登山に切り替えたが、残雪期の滑落や落石のリスクを下げるため、その下の双子山に切り替えた。双 子山は富士山の半径13kmの範囲内に60個はある側火山の一つだ。双子山はその名のとおり、対になっている。総距離5.9km、累積登り439m、累積下り421m。


ルート御殿場口新五合目から下双子山(1,804m)と膜岩を巡回するコースだ。5月18日出発、19日帰着の湯河原1泊とした。

参加者:安井、和田、榎本、秦、青木、田中(湯河原から)


2016年5月18日 アプローチ

東京組:池袋 7:30発→(JR湘南新宿ライン快速)→着8:35藤沢

駅改札口集合 安井さんの乗用車に乗換え 藤沢8:45発→西湘バイパス→乙女峠→御殿場市ぐみ沢丸太交差点→自衛隊駐 屯地→御殿場口新五合目 11:00着

久しぶりの箱根は新緑で心地よい。乙女峠よりの富士山の眺望はすばらしい。今回敬遠した宝永山に残雪はないことを確認。 しかし予定通り、双子山を目的地とする。


御殿場口新五合目

御殿場口新五合目は大きな駐車場だ。大勢の自衛隊員が私服で運動している。しかシ一般の登山者は少ない。富士山頂、宝永 山、双子山がほぼ北北西から南南東方向に一直線に並んでいる。フィリンピンプレートが日本列島を北北西から南南東に押しているため、富士山には北北西から 南南東に直角方向に引っ張られ、北北西から南南東の割れ目ができマグマが噴出したという構図が見える。


御殿場口新五合 目から富士山、宝永山、双子山、下双子山を望む。

駐車場は1450m地点だ。登山開始するが、いきなり広大なスコリアという火山噴出物の荒れ地に入り込む。足跡が消えてしまうためルートがわからない。持 参のGARMINで確認するとそのま ま進めば幕岩に行ってしまうと分かり、コースを変更した。右手に旧二合目の大石茶屋が見える。その大石茶屋からもロープで双子山に向かうルートがつけられ て いる。


双子山登山

二合目の大石茶屋より高く登り、振り返ると左手に山中湖の湖面が見える。その後ろは丹沢の山々。



山中湖から丹沢、矢倉岳への眺望

右手に矢倉岳、金時山、箱根山が見える。小田原在住の日本野鳥の会の友人から渡り鳥のサシバが全国から10月に矢倉岳に集まり、大集団となって渥 美半島の伊良湖岬や鹿児島県の佐多岬、徳之島、宮古群島、台湾経由フィリピンやインドネシアに渡ってゆくのが見えると聞いた。矢倉岳に北からの風が当たっ て上昇気流が生じるため、旅立ちの日この気流にのって旋回しながら一気に高度を稼いでいるという。それにしてもどうしてサシバがこの矢倉岳目印をにするの か不思議に思っていた。双子山から見下ろすと、高くはないが周りに高い山がないため目立つ。サシバも目印にしやすいのでここに集まるのだろうと推察 される。



左に矢倉岳、中央に金時山が手前に明神ヶ岳と重なって、右に箱根山

1,650m地点で小さな円形草地で昼食とした。あとでこの直径3m位の円形草地はスコリアが積もってできた墳丘である双子山の斜面を覆って美しいことに 気 が付く。スコリアは保水性に乏しく,しかも絶えず動いて土地が安定しないため、植物の生育には適していないため、このような円形草地が形成されるようだ。



昼食

登山路は2つある双子山の中間点の双子下に向かっている。1,929mの高いほうの山頂にも足跡はついているが、地図では下の低いほうの1,804mの山 頂へ の登山路のみ表示されている。なぜかと思ったが、登ってみて謎が解けた。白い富士山、灰色の宝永山、新緑の円形の草地のパッチワークで化粧した双子山が一 直線じ重なるという絶妙のデザイ ンを鑑賞できるためのようだ。



双子山の山頂にて


双子山の山頂から南を見ると愛鷹山塊の越前岳がどっかりと座っている。手前には双子山を小さくした浅黄塚、腰切塚、片蓋山などのスコリア 丘が点々と見える。新富士が形成された1万年以降噴出したものだろう。なかで宝永山が1707年と最も新しい。越前岳の向こうには伊豆半島の達磨山や金冠 山が霞んで見える。



愛鷹山塊と多数のスコリア丘



幕岩


双子山から幕岩上(四辻)に下り、ここで左折し、幕岩に下る。途中溶岩が固まった沢に下り、幕岩の上に出る。ここは断崖になっているため、枠を巻いて幕岩 の下にでる。幕岩は溶岩が作った崖である。雨が降れば滝ができるのだろう。



幕岩

幕岩は溶岩とスコリアが層になってできた地層にできた崖である。後はカラ松林の中を駐車場にむかって戻る。5時間かかった。


箱根経由湯河原

富士宮口五合目16:00発→自衛隊駐屯地→御殿場市ぐみ沢丸太交差点→長尾峠16:30発→三国峠→山伏峠→箱根峠→湯河原峠→湯河原温泉17:00着  割烹旅館「久亭」(0465-62-2890) 泊 (Hotel Serial No.543)

箱根外輪山の三国峠から見ると箱根の大涌谷周辺の樹木は硫化水素の影響で茶色に変色している。山伏峠で芦ノ湖の眺望を楽しみ、アイスクリーム入りドラ焼き を楽しむ。

「久亭」は安井さんの定宿。隠れ屋の風情。一足先に直行組の田中氏が合流。食事がおいしかった。話題の東京都知事の別荘は温泉害ではなく、別荘地にあると いう。


5月18日 伊豆山神社

熱海の手前にある伊豆山神社に詣でる。かなりの高台にある。鎌倉幕府の初代将軍である源頼朝と、妻である北条政子が結ばれた場所として、「 縁結びスポット」として人気の高い。かってのアイドルにして文、筆家50才の現在は制作者でもある小泉今日子が鳥居を奉納している。




池田万寿男・佐藤陽子 創作の家

同じ高校の先輩である池田の愛の巣を見たいとの和田さんの希望で池田万寿男・佐藤陽子の創作の家を訪問。熱海駅を見下ろ高台にある。多くの 作品が展示してある。


起雲閣

大正時代の海運王「内田信也」の別荘に東武鉄道創設者の根津嘉一郎が庭と洋館を付加。戦後旅館となり山本有三、志賀直哉、谷崎潤一郎、太宰 治、舟橋聖一、武田泰淳など、日本を代表する文豪が愛用した。廃業して更地になるところを熱海市が買い取り、一般公開したもの。




伊豆の国パノラマパーク

山越えで伊豆の国に入り、ロープウェイで葛城山(452m)に上る。ここからの富士山の眺望は霞みがかかっているがよい。昨日とは逆で、富 士山の手前に愛鷹山塊、その手前に沼津アルプスがある。2006年にWakWak山歩会の仲間と葛城山の南側を巻いて発端丈山に向かったことがある。




柿田川湧水群

2001年に一度立ち寄ったところだ。いつきてもこんこんと多量の水がわき出し、川となっている。ここで湧き 水をペットボトルに詰めて帰る。




三島でウナギ

三島といえばウナギ。定番の遅い昼食を駅前の和食処むさし(055-971-2909)でとって帰路につく。



七里ヶ浜からの富士・箱根の眺望についての研究

双子山から帰って半年後、七里ヶ浜の我が家の西隣の家が取り壊され、富士・箱根方面の眺望が開けた。そこには富士・箱根はむろん、二子山や矢倉 岳、金時山が一望のもとになった。対岸は大磯と渋沢丘陵、さら に左手は小田原の街だ、小田原城の天守閣も双眼鏡で確認できる。



七里ヶ浜から富士山と箱根山を見る 2016/12/28 二階から撮影

富士山、宝永山、矢倉岳と金時山は七里ヶ浜の我が家二階からのカメラの映像をフォトショップを使って輪郭線を描くと下の図のように見えるはずだ と分かる。



七里ヶ浜からみた矢倉岳 2016/11/5日没時撮影 フォトショップで描画

50年ぶりに雪が降った2016/11/24の翌日、空気が澄み、玄関ポーチから双子山の姿も手持ち望遠カメラで撮影できた。宝永火口の下に双子山が完全 に覆わ れている。その右下手前に矢倉岳が黒々と写っている。矢倉岳から金時山にいたる尾根の鞍部には足柄峠があり、そこへの自動車道も見えている。御殿場は箱根 外輪山の尾根の裏に横たわる。

富士山麓には双子山の兄弟分の赤塚、馬ノ頭、次郎右衛門塚、片蓋山、越切塚、浅黄塚が見える。夜になると強い照明灯の光が見えるところは越 切塚の南にある24時間営業のスキー場、スノータウン・イエティーの照明だろう。昼間でも人工雪で白く見える。

手前は七里ヶ浜の西端である。黒沢監督の「天国と地獄」で誘拐された子供が幽閉されていた海浜の別荘が舞台となった。この写真の左下の廃屋か更にその左 下の家がモデル。この直下を走る江ノ電のレールの軋み音と集電ポールの立 てる音が脅迫電話に入っていたことから犯人が割り出され、逮捕されるというお話しである。その手前には建築家隅研吾設計の「竹の家」があるのだが手前の家 の陰に隠れている。鉄筋コ ンクリート造りだが竹の簀の子で覆ってある。

双子山の雪はその後吹いた春一番もどきの温風でいったん12月8日には消えた。しかし12月28日に再び雪に覆われた。二階から手持ち望遠カメラで撮影し たのが 下の写真である。矢倉岳は富士の手前に見える。



七里浜から見る双子山 
2016/12/28 12:00撮影

腰越の小山の向こうに鎌首をもたげているのは片瀬東浜に立つ14階の高層マンション「ヴィルヌーブ片瀬江ノ島」の屋上のエレベーター機械室である。下の写 真は腰越の小山の頂上から撮影したこの高層マンションの姿である。中央に金時山が見える。



片瀬東浜に立つ14階の高層マンション群 2017/1/11撮影

矢倉岳を双子山下から見たのが下の写真だ。左端の矢倉岳と中央の金時山の中間点の鞍部に足柄峠がある。鎌倉時代に箱根ルートが使われる前はこの足柄峠が関 東に出るルートだった。

若い頃、夫婦で矢倉岳登山を試みたが、単調な登山でつかれてギブアップしたものだ。今その理由は山体がマグマが隆起した石英閃緑岩だったからだ。



左に矢倉岳、中央に金時山が手前に明神ヶ岳と重なって、右に箱根山

上の二子山直下で撮影した写真では矢倉岳ははっきりそれと分かるが金時山と明神ヶ岳と重なって見分けがつかない。そこでフォトショップで手前の金時山を線 苗したのが下の図である。



地図を見ると七里ヶ浜と双子山を結ぶ視線(青)は矢倉岳の肩を通過している。また双子山からの金時山と明神ヶ岳への視線(赤)は一本であることがわか る。



地図

明神ヶ岳山頂から金時山を撮影した下の写真をみると金時山の後ろに富士山が見えるので、一致する。



明神ヶ岳からみた金時山と富士山

さて箱根山外輪山の明神ヶ岳と箱根の神山の間にひょっこり頭を出しているのは富士山の南にある愛宕山塊ではないかと疑惑が生じた。

愛宕山塊と七里ヶ浜を結ぶ視線(緑)は箱根の長尾峠、台ヶ岳、明神ヶ岳南の鞍部を通過している。愛宕山塊の越前岳(1,504m)、位牌岳 (1,457m)、箱根外輪山の長尾峠(1,000m)、台ヶ岳 (1,045m)、明神ヶ岳の南の 鞍部(882m)の高さ関係を地球はフラットであると仮定して計算すると下図のようになる。ということは愛宕山塊が箱根山の外輪山の上に少しは見えるはず だ。ところが実際には地球は丸いので、愛宕山塊の七 里ヶ浜からの距離が34.3海里として計算すると愛宕山は高さ270m分沈んでみえるため、箱根の台ヶ岳と外輪山の陰に隠れて見えないことになる。



箱根の神山と明神ヶ岳の間の鞍部を撮影すると真ん中に中央火口丘の東端の台ヶ岳が少し濃い色で頭を出している。台ヶ岳の左の濃い色の山は、手前にある明 星ヶ岳だろう。



箱根山外輪山の明神ヶ岳と神山の鞍部  2016/11/24 撮影

もし地球が平らなら愛宕山塊の越後岳と位牌岳も台ヶ岳の位置に頭を出してい るはずであるが見えない。故に地球は丸いとわかる。ロープウェイがかかる大涌谷はこの台ヶ岳と神山の間にある。時々大涌谷の噴気がみえる。

さて箱根の台ヶ岳とはどんな山かという疑問がでる。下の写真は明神ヶ岳から箱根の駒ヶ岳と神山を撮影したものだ。この右隅に台ヶ岳が写っている。中央火口 丘の末端に連なることがわかる。



明神ヶ岳より中央火口丘の駒ケ岳と神山を望む

望遠カメラを富士より右に転ずると山中湖と御殿場の間にある大洞山や三国山が小さき花の園の 屋根越しに見える。


大洞山と三国山

April 30, 2016

Rev. Jan. 31、2022


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