南会津

田代山・帝釈山

2007年6月18-19日、wakwak山歩会は南会津の田代山(1,971m)と帝釈山 (2,060m)に挑戦した。帝釈山は帝釈山脈の盟主。田代山は山頂に広大な湿原が広がる花で名高い山である。山開きが6月10日(日)で、花見には丁度 好い時期になった、梅雨時だけに「雨にしっとり濡れた花々を愛でる山旅」になるかもしれないと覚悟していたが梅雨入りが遅れて すばらしい快晴下の登山となった。

前泊した湯の花温泉は村人の温泉を使わせてもらうという温泉地らしくない温泉であった。

第一日6月18日(月)

10:30桜木町駅改札口集合、マーさんの車で湾岸線と首都高経由→川口ジャンクション→140km→西那須野塩原 IC→70km→湯の花温泉に到着。 途中通過した塩原温泉は巨大なホテルが何軒もある。そして新しい露天風呂も完成したようだ。3年前の9月の会津駒ケ岳登山の時みた舘岩村(たていわむら)のソバ畑はまだ種を播いてないのか、裸の土であった。

湯の花温泉には温泉街がない。旅館は2軒だけで殆どが民宿である。そして殆どの民宿は外湯方式だ。宿の前には「湯端の湯」があるが、宿の奥さんに相談して 少し離れた湯ノ岐川の河原にある 「石湯」を選ぶ。河原にある大きな石の下から湯が湧き出ている。この共同浴場は混浴である。部落住民は無料だが外来者は200円の入浴料を支払う。源泉の 温度は57度あるそうでかなり熱い。洪水時は浴室の壁の板を取り払い浴室の柱と屋根を洪水から守るのだそうだ。

湯ノ岐川の河原にある 「石湯」

くつろぎ  コンチャン撮影

民宿みちのく泊(Hotel Serial No.393

第二日6月19日(火)

4:30起床。5:30宿を出発 15km(内11kmはダート道)走って猿倉登山口着(1,428m)。途中ドバトが道路を先導してくれる。駐車場の近くでは体長10cm位のノウサギの 子供かナキウサギを目撃。先着車が2台。後から着いたバンからは4名の女性グループがでてきた。

6:25登坂開始。早朝は鳥の鳴き声も聞こえなかったが、次第ににぎやかになる。マーさんがコルリコマドリセンダイ ムシクイヒガラウソジュウイチホトトギスウグイスな どを聞き分ける。

猿倉登山口から田代山山頂までの標高差は543mである。途中振り返れば、東南東に塩原の高原山(1,795m)が見える。その山腹に2001年11月 24日-25日にバイクで走った有料道路の日塩モミジラインが見えるので間違いな い。その左手には那須岳(1,915m)があるはずだが、霞の中で見えない。田代湿原に到着する前に小田代を通過する。ここには田代湿原と同じお花畑があ る。 小田代を過ぎるころから路傍にムラサキヤシオが咲 いている。

田代山山頂の平坦地に出る直前に日光連峰が見える。田代山の山頂は殆ど水平といってよい緩い傾斜の長辺800mの平坦地を持っていてそこが湿地帯となって いる。一歩一歩登るにしたがい、樹木が消えうせてなだらかな草原が緩やかなスロープを見せて眼前に出現してくるところなどまるで天国に登る心地だ。そして 広大な湿原の奥に残雪の会津駒ヶ岳が見えたときなど歓喜の絶頂に上り詰める。

タテヤマリンドウ

ヤマトキソウ

ヒメシャクナゲ

田代山山頂には樹木はほとんどない。湿原にはワタスゲ、チングルマ、タテヤマリンドウ、ヤマトキソウ、ヒメシャクナゲが沢山あった。この他にもイ ワカガミミツバオウレンショ ウジョウバカマコ バイケイソウなどが花を咲かせていた。マーさんによれば木道に近いほど花が多いのは雪が木道周辺から解けるので花も木道付近から咲き始めるためだ という。

田代湿原のワタスゲ、チングルマ、ヤマトキソウ、弘法沼と会津駒ケ岳

たっぷり1時間かけて花を愛でる。田代山山頂で会津駒ヶ岳を背景に記念撮影。ただしここは最高地点ではない。

全員で記念撮影 マーさん撮影

田代山の最高地点にある避難小屋のうしろから帝釈山にかけて多量のオサバグサが群生している。

オサバグサ

帝釈山まで縦走するには60m下って150m登り直すことになるので累積標高差700mであるが、木株を乗り越えるだけで2m前後を登り下りするので実質 累積標高差は800mはあるだろうか?というわけで田代山から帝釈山にかけての従走路は悪路で快適ではない。花もオ サバグサしかなく単調だ。14kmのダート道を走行して到達できる帝釈山登山口から 帝釈山まで260m登り、帝釈山経由で田代山に往復する登山者も多い。帝釈山だけで引き返すとオサバグサしか楽しめないので田代山に往復するのだ。

帝釈山頂より会津駒ケ岳を望む

苦労して帝釈山山頂に至ると北側に会津駒ケ岳の雄姿が広がる。木賊温泉(とくさおんせん)も東北の谷底に見 通せる。目を西に転ずれば燧ヶ岳が中央にデンと鎮座し、その南に至仏山、北に平ヶ岳が見える。平ヶ岳の北は越後駒ケ岳や中岳が白い姿を見せている。至仏山 と燧ヶ岳の間に尾瀬がある。

帝釈山頂より至仏山、燧ヶ岳、平ヶ岳を望む

目を南に転ずれば日光連山が見える。一番左側の高い峰が女峰山(2,484m)、真ん中が小真名子山と大真名子山そして右手奥に男体山がみえる。少しはな れて日光白根山(2,578m) が山頂をチョット覗かせている。昨年11月の坂 東巡礼のとき、中禅寺湖からみた白根山は冠雪していたがその雪はもう消えていた。

帝釈山頂より女峰山、小真名子山、大真名子山、男体山。日光白根山を望む (合成パノラマ写真)

東に目を転ずれば田代山の裏がみえる。そしてその先に那須連山がみえるはずだが霞のなかだ。以上の写真は塩崎氏のパノラマ図と対比すればよいだろう。

塩 崎氏作成の帝釈山山頂の360度パノラマ

11:40帝釈山を出発し、同じ道を逆行して14:05猿倉登山口着。11kmのダート道をバイクでやってきている人がいた。オフロード・バイカーにとっ てはチャレンジの対象であるようだ。ハーレーダビッドソンではとても無理だ。

湯の花温泉「 弘法の湯」で汗を流し、マーさんの車で来た道を逆行し、佐野SAで夕食。横浜ランドマークタワーで解散。

ところでwakwak山歩会の年間計画では6月は平ヶ岳(2,140m)であった。隆起と侵食で形成された山である。只見川沿いの樹海ラインにある平ヶ岳 の登山口は標高800mで山頂に山小屋が無い平ヶ岳に日帰り登山するとすれば1,340mの標高差を往復しなければならない。wakwak山歩会のメン バーの能力は標高差1,000mが限度だ。そこで皇太子のために開発されたという中ノ岐林道で1,250m地点まで運んでくれる送迎サービスを利用しよう と考えた。そのようなサービスを提供しているという山小屋に問い合わせると6月末までは林道の整備をし なければならないのでダメといわれ急遽、田代山に変更したものである。

June 28, 2007

Rev. July 29, 2008


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