越後

巻機山・八海山

wakwak山歩会の北海道の大雪山縦走計画は途中、羅臼岳・斜里岳・雌阿寒岳三百名山連続登山の魅力に振り回されて、クラブツーリズムへの申し込みのタイミングを逸し、来年の課題になった。代替案としてこれも永年の懸案であった巻機山(まきはたやま1,967m)と八海山(1,778m)に挑戦した。巻機山も百名山の一つである。

巻機山には山頂に山小屋がないので標高差1,227mを日帰り登山することになるのがチトきつい。ルートは登りも下りも安全な井戸尾根とした。それでも下山時刻が日暮れと予想されたのでもう一泊し、八海山に登ることにした。

八海山は八海山ロープウェー(ロープウェー上駅1,120m)をつかう千本檜小屋まで往復の標高差551mの安直登山とした。八海山の語源とされる山頂を構成する 花崗岩の八ッの岩峰(地蔵岳(1,707m)、不動岳、七曜岳、白河岳、釈迦岳、摩利支岳、剣ヶ峰、大日岳(1,729m))を越して大日岳山頂まで行くときは19ヶ所の鎖場をこしてゆかねばならず、その中にはほぼ垂直の壁もあるという。岩峰の麓につけられた迂回路を使っても往復に時間がかかるので千本檜小屋で引き返す計画を立案した。

近郷の地図

巻機山登山ルート

第一日、2006年9月28日

10:00橋本駅集合、関越経由で六日町ICで普通道に入る。時間が余ったので八海山周辺と巻機山の桜坂駐車場(740m)の事前調査をする。ヌクビ沢・天狗尾根コースは立入り禁止の立て札あり。清水部落の旅館・泉屋で前泊。(Hotel Serial No.367

明治期に清水峠を越えて作られた国道は雪崩のため放棄されてしまったが、江戸時代の塩の道はこの清水部落を通過していたのだ。前泊した旅館・泉屋は元関所があったところだそうで、 江戸時代の捕り物道具のひとつサスマタ(刺股)や槍・鉄砲が残っていた。

第二日、2006年9月29日

4:00起床。5:00宿をでて、5:25桜坂駐車場(2合目)より登坂開始。 雑木林の中をジグザグに登りきると五合目焼松という尾根にでて水音とともに尾根の東側にある米子沢(こめござわ)のスラブとカスケード滝が見える。若いブナ林の中を登る。しだいに白樺林に遷移し、六合目展望台は眼前の樹木が伐採してあって、天狗岩とヌクビ沢を望むことができた。登山口で遠望した天狗岩は恐ろしげであったが、ここで水平の視線でみる天狗岩はそれほどでもない。巻機山の語源とされる割引岳(わりめきだけ)は雲の中である。

六合目展望台より天狗岩とヌクビ沢を望む 割引岳は雲の中

樹林帯を抜け七合目まで登ると紅葉が始まっている。ニセ巻機山に切れ込んだ断崖を持つヌクビ沢の支流、三ー沢(みつくらざわ)が眼前にせまる。八合目は三ー沢の源頭となる。

七合目より三ー沢を望む 右はニセ巻機山

八合目より登ってきた井戸尾根を俯瞰するとその先に前泊した清水部落が見える。谷の奥には清水峠が見え、その峠の西側には上越のマッターホルンといわれる大源太山(1,598m)の鋭い独立峰が見える。大源太山の先には谷川岳(1,974m)そしてその西方には仙ノ倉山(2,026m)、平標山(1,984m)と連なっているはずであるが、雲の中で見えない。巻機山から清水峠を越えて仙ノ倉山、平標山と連なる峰々は上越の国境を形成している 。そして山頂部はいずれも草原で美しい。

七合目で コンチャン撮影

八合目より井戸尾根と清水部落を俯瞰

9:43九合目、ニセ巻機山(1,861m)に到着。垂直登坂速度260m/hで計画速度の250m/hより若干早い。

九合目、ニセ巻機山より鞍部へと下りつつ、雲の中の巻機山を望み米子沢源頭を俯瞰

ニセ巻機山からみる巻機山とその間に横たわる鞍部は美しい草原だ。鞍部の避難小屋で昼食。10:50御機屋(おはたや)分岐着。巻機山山頂と書いた標識がたっている。 昔から御機屋分岐を霊山巻機山の頂上としてきた伝統があるためらしい。標識には⇒があって標高1,967mと書いてある。山頂の東に巻機山最高地点があり、標高1,967mと教えているのだと大分後になって コンチャンが気がついた。御機屋分岐から西にゆけば割引岳である。北側を見れば明日登る八海山と八海山を含む越後三山の越後駒ケ岳が見える。Docomoの携帯は通じない。

巻機山頂と書いてある標識がある御機屋分岐

巻機山最高地点まで往復した。数は多くないが池塘が散在。その先にある牛ヶ岳と、割引岳までの往復は簡単であるが時間と体力がないので割愛。

巻機山最高地点まで往復

11:40御機屋分岐発、15:45桜坂駐車場着。下山垂直速度300m/hでこれも計画通りの速度であった。ただしグリーンウッド氏は腰痛をかばったためか両足の膝痛になやむ。しかも用意したサポーターは1個しかない。次回から2個用意する必要を痛感。

上村屋旅館泊(Hotel Serial No.369)八海山の原酒をいただく。

第三日、2006年9月30日

週末のロープウェー運転開始時間は8:00という。これにあわせ7:30宿を出発。8:06には四合目に到着。グリーンウッド氏は腰痛を悪化させないために四合目の小屋に留まり、付近の散策、昼寝、腰痛体操をして過ごし体調を整える。

5年前に越後駒ケ岳から中岳経由、八海山へ縦走途中、越後駒ケ岳で当時61才の単独行の茅ヶ崎のご婦人が消息を絶ったという。危険なコースではないのでクマにでも襲われたのだろうか?

薬師岳(1,654m)を越え、九号目の千本檜小屋まで往復したマー、コン、クリによれば八ッ峰の岩峰の下の迂回路は初心者でも通過でき、片道40分とのこと。

薬師岳(左端)、千本檜小屋、八ッ峰 (地蔵岳、不動岳、七曜岳、白河岳、釈迦岳、摩利支岳、剣ヶ峰、大日岳)

四合目展望台からは南に巻機山、東に八ッ峰、北に越後駒ケ岳、守門岳、そして弥彦山、佐渡島まで見通せる。苗場山登山時に遭遇した中越地震の原因は地下の断層が震源となったという。魚沼丘陵など低い丘が並行に並び、弥彦山を過ぎて佐渡島まで並んでいることから地下の断層が推察できる。 この魚沼丘陵はフォッサマグナの北部東端とされる新発田ー小出構造線に並行している。

南魚沼市と魚沼丘陵

八海山ロープウェーは登山とスキーが主目的だがマウンテンバイクコースも用意されている。登録だけで利用できる。

八海山ロープウェイ

五十沢(いかさわ)温泉ゆもと館(Hot spring Serial No.235)で汗を流す。混浴が楽しめた。20年前、融雪用の井戸を掘っていて温泉を掘り当てたという。湯量が豊富で完全掛け流しの熱い湯だ。飲用してみるとかすかに硫化水素の臭いがする。

October 1, 2006

Rev. November 11, 2006


トップページへ