PDA クリエ

グリーンウッド氏は2003年までPDA(パーソナル・デジタル・アシスタンス)を使ったことがなかった。しかしパソコンで作成した資料を持ち歩くといっても、検索する時、文字入力をしなければならない。スタイラスで画面をタッチしながら文字入力するのが面倒だから使わないだろうという読みである。手書き入力など真っ平ごめんである。生まれつきの悪筆ゆえにパソコンを買ったのではなかったか。というわけでこの商品が出てから10年間は無視してきた。

そもそもPDAは1993年にアップル社がニュートンという商品を出した時にはじまる。日本ではシャープがザウルスを売り出した。1996年にU.S.ロボティックス社がPalmの前身のパイロットを出して米国でブレークした。しかしいずれもハードキーボードは付属品として追加する仕組みになっていた。

数年前にザウルスがハードキーボード付きを出したときグラッと来たが、なんとか持ちこたえた。2003年にザウルスがほとんどパソコンと見まがうハードキーボード付PDAを出した。LinuxのOSである。しかしバッテリー時間が短いのとグローバルスタンダードでないので見送った。

結局ハードキーボード付きのPalm OSで動くソニーのクリエを選んだ。ハードキーボード内臓式のClie PEG-NX60である。Palm OS向けに開発されたアプリケーションの使いやすさがあり、メモリースティックによる他のソニー製品とのデータ互換性が決定要素のもう一つ。

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Seven Mile Beach Fileのトップページを表示したクリエ

PDAを使う気になった一番の理由はいちいちPCのスイッチを入れないでデータをすぐ見れる環境がほしかったためである。PDAの長所はスイッチオン、即作動可能という所にある。過去14年間パソコンのファイルメーカーでつくった1000名のアドレス・電話番号・メール番号を含む住所録を閲覧可能とする。山根式ファイルリストをPDAで閲覧可能としておけば、これをもって探し物が簡単になる。

Clie PEG-NX60のPalm OS5はマルチタスクである。またプロセッサーはインテル社の200MHzのRISCプロセッサーであるがこれは直接ユーザーには関係ない。バッテリーが長持ちすればよいわけだ。PalmOSはすぐれもの。上位機種の30万画素のカメラ付きは不要と考えて選ばず。200万画素のカメラ付きは重過ぎる。

ハードキーボードの使い勝手

片手持ちで使うときでもソフトキーボードや手書き入力よりハードキーボードが使いやすいことがわかった。メモを書くときなどは机の上に置いてハードキーボードを使えばPC並の使い勝手となる。シグマリオンよりキーボードは小さいが、ポケットに入れて気にならない。ボールペンも紙も持たずに登山にでかけ、小休止時、立ったままで片手持ちでハードキーボードで記録をとり、帰宅してから再入力することなく、PCに取り込み、登山記録を作成することができた。航海記録もこれでとれそう。ただ一筆書きのアルファベットを覚えてしまえばソフトキーボードより手書きがミスタッチがなくむしろ早いのは意外だった。

メモリースティックとDellとの接続機能

クリエ側にMemory Stick Importアプリケーションが入っている。パソコン側にMemory Stick Exportをインストールしておいてクリエ側でMemory Stick Importを起動し、接続ボタンを押すとパソコンのエキスプローラーでクリエに挿入した “メモリースティック”に、HotSyncを使わずにアプリケーションやデータファイルをWindows機能で操作できる。メモリースティック機能を持たないパソコンの外付けデバイスとしても使えるわけだ。たとえばデジカメとDellを都度UBSケーブルで接続しなくとも、メモリースティックをクリエに差し込んでクレードルに置き、Memory Stick Importを起動すればコピーできる。一番重宝している機能だ。

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カメラ用、ビデオカメラ用、音楽用、辞書メモリースティック

電子手帳機能

PC上の個人データベースは全てファイルメーカーで作成してあり、今後も使い続けるつもりである。現時点ではファイルメーカー上のアドレスはコンマ区切りテキストファイル経由でPDA標準添付のPC上の電子手帳に移行させた。個人、レストランなどカテゴリー別に取り入れる。電子手帳機能すなわちアドレス、予定表、to do、メモ帳、電卓はクレードルに乗せてホットシンクボタンを押すだけでPCと最新のファイルを共有できる。PCで入力しようが、PDAで入力しようが新しい方のデータを共有できる。面倒だが、アドレスは今まで通りファイルメーカーで一元管理をする。パソコンのアウトルックは引退してから使わなくなったのでちょうどよい。メモ帳とかシステム手帳を携帯するのはかさばるのでClie付帯の電子手帳機能をもっぱら使っている。電子手帳機能は携帯電話でも持っているが入力が不便で使用していない。

MS Office データ共用

DataViz社のDocument to GoをPCにインストールし、PCのマイファイルにあるWordやExcelファイルを項目リストに取り込んでおいてクリエをクレードル上に載せ、ホットシンクボタンを押すとPDAで閲覧、修正可能となる。マイファイル内文書を改訂すれば次のホットシンクでPDA内の同文書が上書きされる。逆も真なりである。Wordで作成した登山計画書など問題なく読める。会議中にエクセルで再計算も可能。ただセル内文章が表示パネルサイズを超えると面倒だ。

ファイルメーカーとのデータ共有

Palm OS向きに開発されたFileMaker Mobile2.1を使えばファイルメーカーとデータ互換があり、非常に便利とPalm機を検討した。条件としてPC側のファイルメーカーのバージョンを4から5.5または6にアップしなければならない。7では下方互換性がなくだめという。バージョン7が発売になった時点でバージョン6にアップグレードするか思案している。

辞書機能

英和・和英・国語辞典を持ち歩いていつでも使えるようになるのも魅力である。辞書専用機も売っているが、全ていれても32Mb以下のため64Mbメモリースティック一つに音楽なども入れられる。

音楽

CDの音楽をパソコン(VAIO)に内臓ソフトSonic Stageでwavファイルとして取り込んだものをスエーデンのTord Jansson氏が自分用に作成したMP3エンコーダーで十分の一にMP3圧縮し(サンプルレート44.1kHz、ビットレート128kbps)、メモリースティックに入れ散歩事に楽しんでいる。バスも4段階に調節できる。可動部がないのでバッテリーも長持ちし文句ない。128Mbのメモリースティックに34曲は入る。CD3枚分である。演奏時間は120分以上となる。64MbのメモリースティックにはCD1枚分ちょっとだ。クリエのイヤホン出力をボーズ・アコースティック・ウェーブ・システムのAux入力につなげば旅先で2時間ノンストップの自動コンサートができるし、好きな曲の任意の数小節を何度も繰り返し聞くことも可能となる。

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クリエの音楽出力先となるボーズ・アコースティック・ウェーブ・システム

通信機能

PHS、無線LAN、携帯は海外では使えない。世界のホテルで使えるのはアナログモデムということになる。ということで海外旅行用にCFカード Type IIのアナログモデムカードBillionton CF56Kを使っている。Clie Mailもよくできている。受信メールの最大行数を指定できるし、読めなかったところを再度受信できる。受信してもサーバーを消去しないようにも指定できる。SMTP認証もしてくれるのでプロバイダーのウィルスチェックにも対応できたわけだ。

ビデオカメラトセットでつかっていたBluetoothモデムはClie PEG-NXシリーズには使えない。PHSは通信費がかさむし、CDMAone携帯のパケット通信はauとプロバイダー両方に別料金が必要。無線LANは自宅内とJRの主要駅などに限定される。家庭内だけならPCと競合して意味がない。

アナログモデムを使うとバッテリーは早く消耗する。旅先にバッテリーチャージャーを持ち歩く必要あり。

ブラウザー

クリエにはNetFront3.0が標準装備されている。これと通信機能を使って、インターネットのウエブサイト閲覧ができる。本ウェブサイトは画面が小さいPDAのためノンフレーム表示を選択できるようにしてはある。しかし目次から当該ページにジャンプするときNetFront3.0が毎回、前のページを消していいですかと聞き、OKするとダイアルアップ・シーケンスに入って時間と電話代金が無駄になる。文句をいってもはじまらないので目次から各ページに飛ぶとき同じフレーム内に表示するように約1000ページを全部改訂した。こうすることでその都度ダイアルアップ・シーケンスに入ることは避けられた。参照ページやトップページにジャンプするとき、新たなページを開くことに変わりはない。

PDAの制約としては100kbを越えるページは写真など一部脱落する、巨大な表の後半が見えないなどである。pdfファイルは当然見えない。音は出ないが、アニメーションgifは作動する。

NetFront3.0はメモリースティックに入れたhtml文書やjpgイメージを閲覧できる。本HPはGreenwood氏が親からもらった貧弱な内部記憶装置の外付け記憶装置として作成したものなので、40MBすべてメモリースティックに内臓してこれで参照できるようにした。酒の席で笑い話など即引用可能。

html文書は//PALM/PROGRAMS/MSweb/に格納する。本HPは128Mbのメモリースティックに悠々納まる。

jpgイメージは//PALM/Image/に格納する。

Clieがハングアップしてハードリセットボタンを押すとNetFrontは消去されるのでPC経由の再インストールが必要となる。

写真・ビデオ鑑賞

撮影したデジカメ写真、ビデオが記録されたMemory Stickをカメラから取り出して差込み、仲間と鑑賞できる。

録音機能

モノラル録音だが、講演などを全て録音できるし、歩きながら説明なども録音できる。64Mbのメモリースティックに1時間20分録音可能であるが、メモリーを使い切ってしまうと、ハングアップし、電源すら切れなくなる。リセットすると、メモリースティックの録音は残るが、内部メモリーは予定表、住所録、インターネット接続情報含めすべて失われる。PCへのデータバックアップは必須である。

その他の機能

世界時計や計算機は旅先で便利だ。

発売停止

米国で売停止と聞いていたが、日本でも停止と聞く。不採算部門となったのはソニー の戦略が悪かったためなのだ。折角使い込んでいたのに2階に上がってハシゴをはずすとは。ユーザーとしては今後ソニー製品を採用することに用心しなければならないとのメッセージとうけとった。

February 22, 2003

Rev. March 16 , 2005


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