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958

いまだに残る日本の悪弊とその結末

2005/05/01

●官僚のアンタッチャブル性、無誤謬性、行政の継続性⇒ゆとり教育と称して教員のゆとりのために週5日制にし、次世代を無能化させた。ー文芸春秋2005/5号 、森健「ゆとり教育 A級戦犯は誰だ」

お白州式裁判所⇒刑事裁判でいまだに被告は弁護士の隣に座れず、江戸時代の白州式に一人ぼっちで座らせられている。 西洋が苦労して獲得した推定無罪の原則ではなく、江戸直系の推定有罪の深層心理が背景にあると思われる。これもおいおい改善されるだろう。 警察で取り調べ中の弁護士同席もまだ認められていない。ー文芸春秋2005/5号

●論争否定の伝統⇒自民党内、郵政民営化論争

●村意識で外には情報を出さず身内で処理する⇒雪印、三菱自動車他、不祥事を出し破産の瀬戸際にたつ。

●JR西日本横転事故

ー非論理性・精神至上主義⇒適性がなく、よく問題を起こす運転手に合理的訓練をせず、日勤教育と称して、上司の我流教育に任せているため、上司によっては精神がたるんでいるので鍛えるためと、無為に反省文を何度も書かせる、草ムシリをさせる、トイレ掃除をさせる、皆の見えるところで晒しものにする、などのイジメ、見せしめに類することをしている 職場があるという。日勤教育の期間は乗車手当てがカットされて収入減となる。挙句の果てに自殺者まで出している。今回は停車位置不良を再発して精神的に追い込まれた運転手が遅れをとりもどそうと直線区間でスピードを上げたのち、減速不充分でカーブに突っ込み遠心力による転覆事故を起こし、107名の死者を出した。

ー現場を知らないトップマネジメント⇒叩き上げでない人間がエスカレータにのってトップに駆け上がり、バランス・シートのみを気にして過密ダイヤを組み時刻厳守を経営方針とする。人間はミスするものあるという危険性認識に欠落が生じているため、ヒューマンエラーをカバーする自動減速機能を持つATSーPまたATCは設置も していない。信号見落とし停止のATS-SWしか設置していなかった。西日本での設置率はたったの8%という。資金不足というが1個数十万円のATS-SWの地上子を2個組み合わせれば、オーバースピードを検知してとめることも可能なのだ。今回は無用ではあったが 、脱線ガードレールすら国の基準にないとして設置してない。競合私鉄は国の基準よりきびしい自主基準で設置している。そして ただ運転手が遅延すると組織をあげて叱責する。スピードをあげて遅れを取り戻すことは運転手の裁量として奨励している。暗黙に危険を冒せといっているわけだ。 利用者からみれば多数の列車が次々に到着する路線の場合、特定の列車の遅れより、乗っている時間が短いことの方が大切という認識が欠落している。トップは日勤教育の実態や資格審査基準がどうなっているかも知らない。危険の認知能力もないお坊ちゃま経営が実態のようだ。これでは死者が浮かばれない。 旧国鉄の悪弊がまだ抜けていないようだ。

学習棄却ができない⇒列車の本数が10分間隔より短くなれば、なんらかの遅れで発着時刻が遅れても、列車の速度が遅くならないかぎり利用者にはさほどの迷惑がかからない。いわば波の位相が変わっても波の伝播速度が遅くならなければ不都合がないのと同じである。しかし運行者として昔の記憶のまま無理をして遅れを取り戻そうとするのは、列車本数の増えた現実に対応した学習棄却ができていないのと同じで無駄なことと思う。

ー被害者意識、非規定意識、無責任体質:JR西日本は記者会見でまず自動車が突っ込んできて、こちらは被害者だと公表。次にレールに粉砕痕があると写真付きで公表し、あたかも 置石があったように喧伝。しかしこの粉砕粉はバラスと同じ成分と判明、事故の結果であって原因でないことが判明。また早期の段階で半径306mのカーブでの転覆速度は133kmと公表。しかし、これは空車で車体は剛体と仮定して計算した値だ。 軽量車両のため、乗客による重心の移動は従来型より大きい。ラッシュ時の満員に近い乗客による高くなる重心、不均一な重量配分、乗り心地をよくするための車軸スプリングに加え車体についている空気バネのたわみによる重心の移動を考慮すれば、転覆速度は105kmになると 金沢工業大学の永瀬和彦教授は自ら計算していう。別の教授は120kmという。そして120kmを越える速度で曲線部に突入し、急制動をかけた速度は108kmであったという。遠心力や風圧 を加えたのベクトルが左側車輪の外側に出れば、右側車輪が浮き上がる。右車輪の脱線痕が残っていないこと、左レールに乗り上げ痕がないこと、ボルスタレス台車の右側のヨーダンパーが千切れていたこと、ストッパー傷があること、電柱の高さ2メートルに横転しかかった車体の2両目のパンタグラフの衝突跡が残っていること、1両目が左に横転したままビルにもぐりこんでいること、乗客・目撃証人の証言がすべて物語っている。

ー以上をみているとまるでJCOのマネジメントが臨界事故の発生の可能性があるという教育を作業員にせず、生産性を挙げることのみを奨励し、 作業員がこれに応えるべく、バッチ処理量を上げて事故が発生するに至った経緯に似ていることに気がつく。すなわち組織がもつ意識の問題ではないか。

ー対策としては行政的事前規制型があるが、硬直性があり、技術の進歩に対応できないという弊害があるため国鉄は民営化したわけだ。まだ不充分ということだろう。日本も欧米のように司法的事後規制型に移行して経営者がバランスシート上でも安全確保するほうが安いと感ずるようなシステムにしなければよい。 日本の伝統にはなんじまないが、日本の悪弊を断ち切るための第一歩として遺族やマンションの住人は巨額の補償訴訟してもらったらいいとおもう。


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