読書録

シリアル番号 658

書名

悪の民主主義 民主主義原論

著者

小室直樹

出版社

青春出版社

ジャンル

思想

発行日

1997/11/15第1刷
1997/12/15第20刷

購入日

2004/10/27

評価

鎌倉図書館蔵

戦後民主主義は西欧が苦労して獲得した民主主義とは異なる。

そもそも強制された民主主義ということ自体、最大の矛盾である。

民主主義は「自由」「平等」「人権」などの付随物とともに、一種の錦の御旗になった。誰も反対することができない。出されたら黙らなければならない。それどころか疑問をさしはさむことさえ許されない。(ここは山本七平が語る旧軍の「軍人的断言法」すなわち「判断を規制していって命令同様の一種の強制力を発揮する言い方」と一脈通ずる思考形式であろう。

平等の誤解は「どの生徒にも同じことをさせる」という結果を生み、受験地獄を生み、知的エリートを根絶させ、ノブレス・オヴィリージを埋没させて無責任体制を完成させた。結果、教育を殺し、役人は腐朽(ふきゅう)し、経済は堕落した。
自由の誤解は権威と規範を失わせ、若者を本能のままに放置し放埓となった。

人権の誤解は殺人少年を生み、新左翼の無目的殺人、カルト教団の無差別殺人となった。

議会の誤解が、政治家を役人の傀儡にしている。(茨城大助教授磯田道央の明治政府の議会は地主階級がなり、役人は武士階級がなったという解釈によればむべなるかな。濃尾システム

日本の急務は本当の民主主義を理解することである。

民主主義とは過程であって状態ではない。フローであってストックではない。日本では英米デモクラシーの部品が散乱しているだけで、組織的に組み立てられていない。

自由・平等・議会政治をはきちがえた戦後教育より、二宮尊徳のような禁欲的プロテスタンティズムを教えた戦前教育の方がアメリカ式の教育だった。

この本が引用した言葉は Quotation Serial No.833, 834, 835, 836, 837, 838, 839, 840, 841に収録。 関連メモはMemo Serial No.904, 905


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